60 / 76
第六章「悪魔のルコ」
60.恋する乙女
しおりを挟む
「なあ。あれ、どういうことなんだ?」
「ルコ様が探していた男ってのがあいつなのか?」
青髪のレフォードに抱きしめられ涙を流すルコ。それは魔王城ナンバー2の魔族長ではなく、完全に恋する乙女の顔であった。抱きしめ合うふたりを前にミタリアがむっとして言う。
「ちょっとぉ、ルコちゃん! いつまでそうやってるつもりなの!!」
レフォードの胸に顔を埋めながらルコが横目で答える。
「ずっと……」
「ダメよ、ダメダメ!!」
ミタリアを見たレフォードが言う。
「お前、もうそのかつら外していいぞ」
「あ、そうだね」
ミタリアはずっとつけっぱなしにしていた青髪のかつらを外し、彼女特有の赤い髪をはらりと垂らす。ルコが言う。
「あ、ミタリアなの」
ようやく幼き頃のイメージに合致したルコが安堵の声を出す。
「お、お前はっ!!!」
そんな再会を喜び合う兄弟の前に、皺のない高級なタキシードを着た上級魔族が指を差しながら立つ。腰には鋭利なレイピア。以前ラリーコットでレフォードに瞬殺された魔族サキュガルである。レフォードが言う。
「よお、久しぶりだな」
「な、なにを!? 貴様、一体……」
憎き青髪の男。今でも彼に殴られた体が疼きその都度湯治を続けている。
とは言え予想外の展開。主であるルコの知り合い、それも相当仲が良い知り合いと映る。サキュガルがルコに尋ねる。
「ルコ様っ!! これは一体どういうことでしょうか!!」
魔族皆が聞きたかった質問。ヒト族の男と抱き合って喜ぶなど魔族長として許すまじ行為である。ルコが答える。
「レー兄様はルコのお兄様なの。ルコはレー兄様が大好きなの」
「し、しかし……」
「ルコはレー兄様と結婚するの。ルコの夢なの」
「は?」
「え?」
「おいっ!!!」
「ルコちゃん!!!!」
そこに居たルコを除くすべて者が声を上げる。特に『お兄ちゃん大好きミタリア』は頭から湯気を噴き上げて怒る。サキュガルの傍に居た上級魔族がぼぞっとつぶやく。
「けっ、やっぱり人間との混血だな。あんな奴が魔族長なんかに……」
「混血がどうしたって?」
「ひぃ!!??」
そうつぶやいた魔族の背後から巨躯の男が声を掛ける。魔族は振り返りながら真っ青になって答える。
「ま、魔王様。いえ、別にそう言う意味では……」
「失せろっ!!!」
「は、はいーーーーーーっ!!!」
上級魔族は吹き飛ぶようにその場から消えて行った。
(こいつ、ヤベエ奴だ……)
レフォードが魔王カルカルを見つめて思った。
静の中にも迸る荒々しさ。鋭い眼光は睨まれただけで普通の人など失神してしまうほど。強靭な体。満ち溢れる魔力も半端ない。ミタリアがレフォードの陰に隠れて言う。
「お、お兄ちゃん……」
「ああ、分かってる」
相手は魔族最強の魔王。ここで争いになったら一体どうなるか分からない。魔王カルカルはレフォードを一瞥してからルコに尋ねる。
「ルコちゃん、これがルコちゃんが探していた男なのかい?」
先程の魔族の時とは打って変わって可愛らしい声。レフォードとミタリアが一瞬拍子抜けする。ルコが頷いて答える。
「そうなの。ルコのお兄様。レー兄様なの」
「そうか……」
そう言ってカルカルがレフォードをじっと睨みつける。強い圧力。正直やり合って勝てるかどうか分からない。カルカルが尋ねる。
「お前がルコを守り切れるのか?」
緊迫した空気。薄いガラスか氷のようにちょっと強く押せば全て割れてしまうような緊張感。魔族や近くにいた青髪の男達、ミタリアがその言葉をじっと聞く。
「無論だ。俺がルコを守る」
「おお……」
レフォードとしては当然の回答。兄として大切な妹を守る。だがそこに居た皆はもちろん別の意味としてとらえる。
「ルコ、嬉しいの。ずっとレー兄様について行くの」
「お、お兄ちゃん!! それじゃ浮気に……」
「分かった。許可しよう」
周りの雑念を跳ねのけるように魔王カルカルが大声で言う。さらに次の言葉はそこに居合わせた皆を心底驚かせた。
「本日よりヒト族への侵攻を一切禁止する。我が娘ルコの花婿の為に!!!」
「は?」
「え?」
「ひょえ!?」
「はあああああああああああ!!??」
短い言葉であったが魔王カルカルが発したその言葉に、すぐに理解できない要素がてんこ盛りになっていた。魔王の側近が恐る恐る尋ねる。
「あ、あの、カルカル様。それは今後ヒト族を攻撃しないという意味でしょうか……」
「そうだ。文句あるか?」
「い、いえ。確認の為に……」
そう答える側近であったがやはり動揺は隠せない。本能としてヒト族を狩ることを植え付けられた魔族や魔物達。高い知能を有する魔族は魔王や上官の命令で制することもできるが、知能の低い魔物は別だ。さすがにヒト族攻撃禁止は想像できなかった。
「ふざけるな!!! その首俺が落としてやるーーーーーーっ!!!!」
突然魔族の中から響く声。
魔王の決断に不満を持ったひとりの上級魔族が、剣を片手に魔王カルカルへと一直線に飛び込んで来た。
「刹那の重圧!!」
ドフッ!!
「ギャッ!!!」
魔王が軽く唱えた重力魔法。飛び掛かって来た上級魔族を一瞬にして床に押し付けた。ルコと違い小範囲で正確、素早さを兼ね備えた重力魔法。皆がその威力に脂汗を流す。
「牢に入れて置け」
「御意」
床に押し付けられ気を失った上級魔族が別の魔族によって運ばれる。ルコが尋ねる。
「ねえ、カルカル。私があなたの娘ってどういうことなの?」
ルコの言葉にカルカルが真面目な顔となって答える。
「ああ、実はな……」
カルカルはまだ弱小魔族だった頃に恋に落ちたヒト族の女の話をした。
可憐で美しかった女性。当初魔族だと身分を明かさずに会っていたのだが、彼女はカルカルの正体を知ってからも変わらず接してくれた。やがて訪れる異動命令。カルカルは泣く泣く別れを告げると同時に、彼女の懐妊を知った。ルコが言う。
「そう、カルカルが私のお父さんだったの」
「ああ、隠していてすまなかった。ごめんよ、ルコちゃん」
魔王カルカルが父親の顔になって謝る。
「いいの。そんな気がしていたの」
「そうだったのか。なあ、ルコちゃん。お母さんは元気でいるのか?」
(……)
一瞬ルコの心臓が強く鼓動する。
「うん、元気なの。いつか会えると思うの」
カルカルが目を閉じて答える。
「そうか、いつかまた会いたいな……」
何かを感じたのか、その閉じられた大きな目から涙が流れる。黙るルコ。レフォードとミタリアも無言になる。ふたりは知っていた。ルコの母親らしき女性があの村で虐殺されたことを。魔王カルカルがレフォードに言う。
「レフォードとか言ったな」
強い圧。それに負けじとレフォードが答える。
「ああ」
カルカルがレフォードに向かって言う。
「我々は今後ヒト族と争わない約束を交わしたい。どうしたらいい?」
「約束?」
その言葉は驚きを持って受け入れられた。
言ってみれば魔族とヒト族との休戦協定。叶えばこれほど人類にとって嬉しい知らせはない。レフォード以上に驚いたミタリアが興奮気味に言う。
「お、お兄ちゃん!! これって凄いことだよ!! こんなことしたら平和勲章貰えるかも!!!」
「あ、ああ、そうだな……」
どう対処していいのか分からないレフォードに代わり、ミタリアがカルカルに答える。
「とーっても簡単なことです! 争わない内容を記した文章にお互いが署名すればいいんです!! そのような書面って用意できますか??」
少し考えるカルカル。隣にいる側近を見ても首を振っている。
「悪いが用意できない。我々にはこれまでそのような文化がなかったからな」
元々ヒト族と交渉などする必要がなかった魔族達。休戦協定など準備できるはずがない。ミタリアが言う。
「分かったわ。じゃあ書面はこちらで用意する。一度国に帰ってからまた来るね!」
「了解した。手続きはお前らに任せる」
ミタリアは国を守る領主の顔となって魔王との交渉を終えた。ルコがレフォードを見上げながら尋ねる。
「レー兄様は今、どこに住んでいるの?」
「俺か? 今はラフェルの城かな」
しっかりとした定住地がないレフォード。敢えて答えるとすればラフェル王城である。ルコが頷いて言う。
「じゃあ、ルコもそこで暮らすの」
「は?」
「ル、ルコちゃん!!!」
慌てて声を上げるふたり。魔王カルカルも悲しそうな表情を浮かべながらもそれに同意する。
「可愛い娘の嫁入りだ。頼んだぞ、レフォード」
「お、おい! ちょっと待て、魔王カルカル!!」
その言葉を聞いたカルカルが眉間に皺を寄せて言う。
「なんだ、その呼び方は!? お義父様と呼べ」
「な、何を言ってるんだ!? 一体!! おい、ルコ!! お前は俺の妹だろ??」
そう振られたルコが嬉しそうに答える。
「ルコはレー兄様のお嫁さんになるの。よろしくなの」
「ル、ルコーーーっ!!」
思わぬ展開となった魔王城潜入。
結果としてルコを見つけ出し、更には魔族との休戦協定を結べることとなった。蛮族、ヴェスタ公国、そして今度は魔族と次々とラフェルの憂いを除いたレフォード。だがそんなラフェル王国に新たな牙が向けられようとしていた。
レフォードが魔王城に潜入していた頃、ラフェル王国を始めとして各地で緊急号外が配布された。
【ガナリア大帝国の皇帝ヘルム失脚。後継者に新皇帝ゼファーが就任】
レフォードの働きでまとまりかけていた世界。今まさに風雲急を告げようとしていた。
「ルコ様が探していた男ってのがあいつなのか?」
青髪のレフォードに抱きしめられ涙を流すルコ。それは魔王城ナンバー2の魔族長ではなく、完全に恋する乙女の顔であった。抱きしめ合うふたりを前にミタリアがむっとして言う。
「ちょっとぉ、ルコちゃん! いつまでそうやってるつもりなの!!」
レフォードの胸に顔を埋めながらルコが横目で答える。
「ずっと……」
「ダメよ、ダメダメ!!」
ミタリアを見たレフォードが言う。
「お前、もうそのかつら外していいぞ」
「あ、そうだね」
ミタリアはずっとつけっぱなしにしていた青髪のかつらを外し、彼女特有の赤い髪をはらりと垂らす。ルコが言う。
「あ、ミタリアなの」
ようやく幼き頃のイメージに合致したルコが安堵の声を出す。
「お、お前はっ!!!」
そんな再会を喜び合う兄弟の前に、皺のない高級なタキシードを着た上級魔族が指を差しながら立つ。腰には鋭利なレイピア。以前ラリーコットでレフォードに瞬殺された魔族サキュガルである。レフォードが言う。
「よお、久しぶりだな」
「な、なにを!? 貴様、一体……」
憎き青髪の男。今でも彼に殴られた体が疼きその都度湯治を続けている。
とは言え予想外の展開。主であるルコの知り合い、それも相当仲が良い知り合いと映る。サキュガルがルコに尋ねる。
「ルコ様っ!! これは一体どういうことでしょうか!!」
魔族皆が聞きたかった質問。ヒト族の男と抱き合って喜ぶなど魔族長として許すまじ行為である。ルコが答える。
「レー兄様はルコのお兄様なの。ルコはレー兄様が大好きなの」
「し、しかし……」
「ルコはレー兄様と結婚するの。ルコの夢なの」
「は?」
「え?」
「おいっ!!!」
「ルコちゃん!!!!」
そこに居たルコを除くすべて者が声を上げる。特に『お兄ちゃん大好きミタリア』は頭から湯気を噴き上げて怒る。サキュガルの傍に居た上級魔族がぼぞっとつぶやく。
「けっ、やっぱり人間との混血だな。あんな奴が魔族長なんかに……」
「混血がどうしたって?」
「ひぃ!!??」
そうつぶやいた魔族の背後から巨躯の男が声を掛ける。魔族は振り返りながら真っ青になって答える。
「ま、魔王様。いえ、別にそう言う意味では……」
「失せろっ!!!」
「は、はいーーーーーーっ!!!」
上級魔族は吹き飛ぶようにその場から消えて行った。
(こいつ、ヤベエ奴だ……)
レフォードが魔王カルカルを見つめて思った。
静の中にも迸る荒々しさ。鋭い眼光は睨まれただけで普通の人など失神してしまうほど。強靭な体。満ち溢れる魔力も半端ない。ミタリアがレフォードの陰に隠れて言う。
「お、お兄ちゃん……」
「ああ、分かってる」
相手は魔族最強の魔王。ここで争いになったら一体どうなるか分からない。魔王カルカルはレフォードを一瞥してからルコに尋ねる。
「ルコちゃん、これがルコちゃんが探していた男なのかい?」
先程の魔族の時とは打って変わって可愛らしい声。レフォードとミタリアが一瞬拍子抜けする。ルコが頷いて答える。
「そうなの。ルコのお兄様。レー兄様なの」
「そうか……」
そう言ってカルカルがレフォードをじっと睨みつける。強い圧力。正直やり合って勝てるかどうか分からない。カルカルが尋ねる。
「お前がルコを守り切れるのか?」
緊迫した空気。薄いガラスか氷のようにちょっと強く押せば全て割れてしまうような緊張感。魔族や近くにいた青髪の男達、ミタリアがその言葉をじっと聞く。
「無論だ。俺がルコを守る」
「おお……」
レフォードとしては当然の回答。兄として大切な妹を守る。だがそこに居た皆はもちろん別の意味としてとらえる。
「ルコ、嬉しいの。ずっとレー兄様について行くの」
「お、お兄ちゃん!! それじゃ浮気に……」
「分かった。許可しよう」
周りの雑念を跳ねのけるように魔王カルカルが大声で言う。さらに次の言葉はそこに居合わせた皆を心底驚かせた。
「本日よりヒト族への侵攻を一切禁止する。我が娘ルコの花婿の為に!!!」
「は?」
「え?」
「ひょえ!?」
「はあああああああああああ!!??」
短い言葉であったが魔王カルカルが発したその言葉に、すぐに理解できない要素がてんこ盛りになっていた。魔王の側近が恐る恐る尋ねる。
「あ、あの、カルカル様。それは今後ヒト族を攻撃しないという意味でしょうか……」
「そうだ。文句あるか?」
「い、いえ。確認の為に……」
そう答える側近であったがやはり動揺は隠せない。本能としてヒト族を狩ることを植え付けられた魔族や魔物達。高い知能を有する魔族は魔王や上官の命令で制することもできるが、知能の低い魔物は別だ。さすがにヒト族攻撃禁止は想像できなかった。
「ふざけるな!!! その首俺が落としてやるーーーーーーっ!!!!」
突然魔族の中から響く声。
魔王の決断に不満を持ったひとりの上級魔族が、剣を片手に魔王カルカルへと一直線に飛び込んで来た。
「刹那の重圧!!」
ドフッ!!
「ギャッ!!!」
魔王が軽く唱えた重力魔法。飛び掛かって来た上級魔族を一瞬にして床に押し付けた。ルコと違い小範囲で正確、素早さを兼ね備えた重力魔法。皆がその威力に脂汗を流す。
「牢に入れて置け」
「御意」
床に押し付けられ気を失った上級魔族が別の魔族によって運ばれる。ルコが尋ねる。
「ねえ、カルカル。私があなたの娘ってどういうことなの?」
ルコの言葉にカルカルが真面目な顔となって答える。
「ああ、実はな……」
カルカルはまだ弱小魔族だった頃に恋に落ちたヒト族の女の話をした。
可憐で美しかった女性。当初魔族だと身分を明かさずに会っていたのだが、彼女はカルカルの正体を知ってからも変わらず接してくれた。やがて訪れる異動命令。カルカルは泣く泣く別れを告げると同時に、彼女の懐妊を知った。ルコが言う。
「そう、カルカルが私のお父さんだったの」
「ああ、隠していてすまなかった。ごめんよ、ルコちゃん」
魔王カルカルが父親の顔になって謝る。
「いいの。そんな気がしていたの」
「そうだったのか。なあ、ルコちゃん。お母さんは元気でいるのか?」
(……)
一瞬ルコの心臓が強く鼓動する。
「うん、元気なの。いつか会えると思うの」
カルカルが目を閉じて答える。
「そうか、いつかまた会いたいな……」
何かを感じたのか、その閉じられた大きな目から涙が流れる。黙るルコ。レフォードとミタリアも無言になる。ふたりは知っていた。ルコの母親らしき女性があの村で虐殺されたことを。魔王カルカルがレフォードに言う。
「レフォードとか言ったな」
強い圧。それに負けじとレフォードが答える。
「ああ」
カルカルがレフォードに向かって言う。
「我々は今後ヒト族と争わない約束を交わしたい。どうしたらいい?」
「約束?」
その言葉は驚きを持って受け入れられた。
言ってみれば魔族とヒト族との休戦協定。叶えばこれほど人類にとって嬉しい知らせはない。レフォード以上に驚いたミタリアが興奮気味に言う。
「お、お兄ちゃん!! これって凄いことだよ!! こんなことしたら平和勲章貰えるかも!!!」
「あ、ああ、そうだな……」
どう対処していいのか分からないレフォードに代わり、ミタリアがカルカルに答える。
「とーっても簡単なことです! 争わない内容を記した文章にお互いが署名すればいいんです!! そのような書面って用意できますか??」
少し考えるカルカル。隣にいる側近を見ても首を振っている。
「悪いが用意できない。我々にはこれまでそのような文化がなかったからな」
元々ヒト族と交渉などする必要がなかった魔族達。休戦協定など準備できるはずがない。ミタリアが言う。
「分かったわ。じゃあ書面はこちらで用意する。一度国に帰ってからまた来るね!」
「了解した。手続きはお前らに任せる」
ミタリアは国を守る領主の顔となって魔王との交渉を終えた。ルコがレフォードを見上げながら尋ねる。
「レー兄様は今、どこに住んでいるの?」
「俺か? 今はラフェルの城かな」
しっかりとした定住地がないレフォード。敢えて答えるとすればラフェル王城である。ルコが頷いて言う。
「じゃあ、ルコもそこで暮らすの」
「は?」
「ル、ルコちゃん!!!」
慌てて声を上げるふたり。魔王カルカルも悲しそうな表情を浮かべながらもそれに同意する。
「可愛い娘の嫁入りだ。頼んだぞ、レフォード」
「お、おい! ちょっと待て、魔王カルカル!!」
その言葉を聞いたカルカルが眉間に皺を寄せて言う。
「なんだ、その呼び方は!? お義父様と呼べ」
「な、何を言ってるんだ!? 一体!! おい、ルコ!! お前は俺の妹だろ??」
そう振られたルコが嬉しそうに答える。
「ルコはレー兄様のお嫁さんになるの。よろしくなの」
「ル、ルコーーーっ!!」
思わぬ展開となった魔王城潜入。
結果としてルコを見つけ出し、更には魔族との休戦協定を結べることとなった。蛮族、ヴェスタ公国、そして今度は魔族と次々とラフェルの憂いを除いたレフォード。だがそんなラフェル王国に新たな牙が向けられようとしていた。
レフォードが魔王城に潜入していた頃、ラフェル王国を始めとして各地で緊急号外が配布された。
【ガナリア大帝国の皇帝ヘルム失脚。後継者に新皇帝ゼファーが就任】
レフォードの働きでまとまりかけていた世界。今まさに風雲急を告げようとしていた。
27
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる