俺の才能は魔力が少ないことだ!

平成人間

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俺の名はアラン!

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転生してから5年がたち、俺は5歳になった。
そしてこの世界の言葉も話せるようになり、わかったことがいくつかある。

まず、俺の名前はアラン。そしてうちは男爵家だった。まぁ色々と豪華だったから薄々そうじゃないかとは思ってたけどね。
そして家族構成。俺にはカールという一つ年上の兄がいて、俺は2番目の子だ。ただこの兄貴がなかなかにうざくて毎日のように俺が魔力が少ないことを煽ってくるのだ。

「おい、見ろよアラン。お前にはこんな簡単なこともできないだろ。」

ほらきた。今日はウォーターボールか。いっつもこんな感じで自分の魔法を見せびらかしてくるのだ。別にただ見せびらかしてくるだけならいいんだ。でも

「ほら避けてみろよ」

とか言って魔法を打ってくるのには我慢ならない。

「カールお兄さんやめてよ」

「はっ。嫌ならやり返してみろよ!」

そう言って指をクイックイッとしてくるのはマジでムカつく。いつか絶対仕返ししてやるからな。
とはいってもこの男爵家の継承権はあいつにあるし、親も甘やかしてるし仕返ししたら怒られるのは俺だ。
はぁ。ホントやんなっちゃうよ。

でもなぁ。俺だって魔法を使いたいんだよな。
そうだ。今日にでもお母さんに頼んでみるか。


「そろそろお昼ご飯でございます。」

そうそう、この世界には本物のメイドがいるんだ。最初のうちはずっと興奮してたけど最近は慣れてきてなんとも思わなくなってしまった。

それはそうと、昼ごはんか。ちょうどいい。お母さんに魔法を習えないか頼んでみよう。


「母上」

「なぁに?アラン。そんな真剣そうな顔して。」

「僕もお兄さんみたいに魔法を使って見たいです。」

そういうとお母さんはとても悲しそうな顔をした。

「アランは魔力が少ないからねぇ。でもそろそろ魔法を少しは使えるくらいまで増えたかしら。いつもわがままも言わないでいい子にしてるし、書斎の本も読めるみたいだし。いいわよ、今度家庭教師を呼んであげましょう」

え、本当に! 断られると思っていただけに嬉しい。ついに俺も魔法デビューだ。っていうか書斎の本勝手に呼んでたのバレてたか。全然役に立つ本なかったけど。

「ありがとうございます!」

「ええ。でもアランはお兄さんみたいに魔力が多くないからあんまり凄いことは出来ないかもしれないけど......あんまり期待しないでちょうだいね」

ようやく魔法デビューができる。この世界には魔法があるというのに自分は全く使えないというもどかしい日々。それとももうすぐおさらばだ!待ってろよまだ見ぬ魔法たち!


一週間後。

「アラン、アンナ先生が来てくれたわよ」

「こんにちは、アラン君。今日から家庭教師を担当するアンナよ。よろしくね。」

うん。怖そうじゃないし、いい先生そうだ。そして可愛い。

「よろしくお願いします。アランです。」

「5歳なのにしっかり挨拶できてえらいわね。カール君の時は敬語も使えなかったから。じゃあまず最初に魔力量だけはからしてもらうわね。あまりにも少ないと全く使えないから。この水晶玉の上に手を乗せてみてくれる?」

くっ。嫌な時が来た。

「ふぅ」

覚悟を決めるしかねぇ

「そんなに身構えなくていいのよ。ほら。」

そういうと先生は俺の手を掴み水晶玉の上に乗せた。

すると水晶玉は......じわーっと光った。

「うーん......この量はギリギリね。二回くらい使えればいい方ね。教えてもあんまり使えないけど教わりたい?」

二回か......いや、二回でも十分だ。

「はい。魔法を使って見たいです。」

「じゃあ早速教えてあげるわね。私の手を握ってくれる?」

この先生可愛いから緊張するな......

「今から私が魔力を流し込むから感じて。何かどろどろしたものが体に入ってくるから。それが魔力。」

確かに体の中に何かが入ってきた。

「その顔はわかった顔ね。じゃあその魔力を手のほうに移動させてみて?」

ムムムム。少しずつしか動かない。

「ふふ、少しずつでいいわよ。動かすだけでも初めての人には大変だから。」

ムムムムムゥ。よし、手まできた。

「手まできたわね?それじゃあ手のひらの上に小さい水をイメージしてみて?」

水水水......ミズ......みず......水......

「あ!」

「できたわね。凄いわ!こんな一回でできるようになった子は初めてだわ。」

俺の手の上には野球ボール程の大きさの水の塊が浮いていた。

はぁ、はぁ、普通に疲れた。めっちゃ集中しなきゃいけないし大変だな。
でも、ようやく魔法が使えたぞ!

「それじゃあ後は好きなようにやってみてね。水の他にも火とかも想像すれば出せるはずよ」

「え?これだけで終わりですか?」

まさかのここで丸投げだと......

「魔法っていうのは人に教わるものじゃなくて自分で高めていくものなのよ。だからこれからどこまで成長するかはあなた次第。頑張ってね」

そう言って、先生は帰って行った。
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