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お前もか。カール!
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社交パーティーが終わって一週間がたった。
相変わらず俺の水球は消えない。
そして友達もいない。
お母さん社交パーティーで友達作れって言ってたけどあんなとこで作れっかよ。挨拶だけでも一苦労だったのに。
まぁ一旦それは置いておいて、今日は珍しくお父さんに会えるのだ。
最後に会ったのは去年だったっけか。
お父さんはお城務めらしく、いつも屋敷にはいない。
なんだよ自分の領地に居ない領主って。
別に会うだけならなんの問題もない。
問題はその後だ。
客としてあのステラさんとそのお父様。つまりポール公爵自身がうちに来るのだ。
なんでも、親交を深めるためだとか何とか。
そして、そこで俺とカールを紹介するらしい。
長男だけにしておいてくれよ。まったく。
はぁ。また彼女もカールの友達になるのかな。
いやでも身分が違いすぎるしそんなわけないか。
穏便に済ませてすぐに帰ってこよう。普通にしていれば何も起きないだろう。きっと。
ーーーーーーーーー
「こちらが私の息子たちのカールと、アランです。」
「こんにちは。俺はカールだです。よろしくお願いします。」
なんだよ。カールのやつ緊張しすぎだろ。
そういえば、なんか緊張してても自分より緊張してる奴見つけると急に緊張が吹っ飛ぶことってあるよね。今まさにそれだわ。
「お初にお目にかかります。ポール公爵。次男の、アラン・ティヌールと申します。以前のパーティーでステラ様にご挨拶をさせて頂いたのですが、ステラ様は皆に慕われているのですね。ぜひ僕とも仲良くしてください。」
こんなもんでいっか。
ちょっとべらべら話しすぎたか?
いやでもただ挨拶をするだけよりもこの方が賢そうに見えるだろ。
「はは、利発そうなお子さんですな。私はポール公爵家当主のカロスだ。ほら、ステラも挨拶しなさい。」
「こんにちは。ステラ・ポールです。よろしく。」
改めて見ても可愛いな。俺は別にロリコンとかではないと思うけど、可愛い。ほ、本当だからな!
「子供たちには庭で遊んでて貰いましょうか。」
「ああ、そうだな。」
あれ、なんかゲスい顔してるおっさんずがここに。
大人の話でもすんのかな。
まぁいいや。子供の俺には関係がない。
「改めて、私はステラよ。」
「俺はカールです。」
あれなんかカール、顔が赤いぞ?
もしかしてこいつもステラのこと好きになったのか。
まだ8歳なのに。
「僕はアランです。」
「あなたさっきも言ってたけど、前のパーティーで会ったわよね。」
「はい。あの時はなかなか挨拶できなくて大変でした。」
「まぁ私公爵家だしね。クルトに絡まれて大変だったでしょ。」
ああ、あいつか。
「ああ、あの人でしたら何故かわかりませんがすぐにいなくなっていきましたよ。」
ステラは理由を今思い出したのか、少し顔が赤くなっている。
「ま、まぁこの話はここら辺にしておきましょう。何して遊ぶ?」
「魔法で遊びませんか?」
うっわ。クルトの奴待ってましたと言わんばかりに話に入ってきたわ。
しかもなんで魔法なんだよ。
もしかして俺がステラと話してんのに嫉妬して俺に恥ずかしい思いをさせようとしてるのか?
「それはいいわね。アランもそれでいい?」
「はい。」
しょうがない。やるか。カール。見てろよ?
俺の今までの練習の成果を!
「じゃあまず俺がやります!」
カールの奴張り切ってやがる。これは確定だ。絶対一目惚れだ。
「いけ、ウォーターボール。」
そう叫ぶと、半径1mくらいの大きい水の球が現れ、的変わりの気に向かって凄い速さで飛んでいき、爆ぜた。
「へー。なかなかやるのね。」
「だろ!俺は魔力が多くて魔法が得意なんだ。」
「次は私がやるわね」
そういうと彼女の横に水の塊が現れ......
ってデカ!
カールの方を見ると口をあんぐりと開いて固まっている。
「いけ!」
ドーンッ
すごい音と共に水の塊は飛んでいき、爆散し、木が折れた。
「凄いですね。」
「でしょ?私も魔法は得意なの。」
いや、あれ絶対得意とかいう次元じゃない。
「アランもやってみなさいよ。」
「ああ、あのいや僕は......」
「ステラさん。カールは魔力が少ねぇんだよ。」
「あら、でもあなただけやらないのかしら?」
くそう。あれを見たあとだと何をしてもインパクトが足りない。けどやるしかないか。
「あんまり期待しないでくださいね。」
俺は服の中に隠していた水球を外に出し......
鳥の形に変えた。
これを羽ばたかせながらステラさんの周りをいい感じに飛ばしてっと。
「わぁ!すごいわね。本物の鳥みたい。」
「ははは。そうでも無いですよステラさんに比べたらこんなのまったく凄くないです。」
「なんだよ。こんなちっちぇえ鳥作りやがって。」
あ、カールの奴拗ねてる。これが2年間24時間練習し続けた成果ってやつだ。
「ステラ。そろそろ帰るぞ。」
おや、もうそんな時間か。
「ステラさん。また会いましょう。」
「そうね。またね。」
「ステラさん、俺ともまた遊ぼうぜ!」
ステラは、微笑みながら帰っていった。
相変わらず俺の水球は消えない。
そして友達もいない。
お母さん社交パーティーで友達作れって言ってたけどあんなとこで作れっかよ。挨拶だけでも一苦労だったのに。
まぁ一旦それは置いておいて、今日は珍しくお父さんに会えるのだ。
最後に会ったのは去年だったっけか。
お父さんはお城務めらしく、いつも屋敷にはいない。
なんだよ自分の領地に居ない領主って。
別に会うだけならなんの問題もない。
問題はその後だ。
客としてあのステラさんとそのお父様。つまりポール公爵自身がうちに来るのだ。
なんでも、親交を深めるためだとか何とか。
そして、そこで俺とカールを紹介するらしい。
長男だけにしておいてくれよ。まったく。
はぁ。また彼女もカールの友達になるのかな。
いやでも身分が違いすぎるしそんなわけないか。
穏便に済ませてすぐに帰ってこよう。普通にしていれば何も起きないだろう。きっと。
ーーーーーーーーー
「こちらが私の息子たちのカールと、アランです。」
「こんにちは。俺はカールだです。よろしくお願いします。」
なんだよ。カールのやつ緊張しすぎだろ。
そういえば、なんか緊張してても自分より緊張してる奴見つけると急に緊張が吹っ飛ぶことってあるよね。今まさにそれだわ。
「お初にお目にかかります。ポール公爵。次男の、アラン・ティヌールと申します。以前のパーティーでステラ様にご挨拶をさせて頂いたのですが、ステラ様は皆に慕われているのですね。ぜひ僕とも仲良くしてください。」
こんなもんでいっか。
ちょっとべらべら話しすぎたか?
いやでもただ挨拶をするだけよりもこの方が賢そうに見えるだろ。
「はは、利発そうなお子さんですな。私はポール公爵家当主のカロスだ。ほら、ステラも挨拶しなさい。」
「こんにちは。ステラ・ポールです。よろしく。」
改めて見ても可愛いな。俺は別にロリコンとかではないと思うけど、可愛い。ほ、本当だからな!
「子供たちには庭で遊んでて貰いましょうか。」
「ああ、そうだな。」
あれ、なんかゲスい顔してるおっさんずがここに。
大人の話でもすんのかな。
まぁいいや。子供の俺には関係がない。
「改めて、私はステラよ。」
「俺はカールです。」
あれなんかカール、顔が赤いぞ?
もしかしてこいつもステラのこと好きになったのか。
まだ8歳なのに。
「僕はアランです。」
「あなたさっきも言ってたけど、前のパーティーで会ったわよね。」
「はい。あの時はなかなか挨拶できなくて大変でした。」
「まぁ私公爵家だしね。クルトに絡まれて大変だったでしょ。」
ああ、あいつか。
「ああ、あの人でしたら何故かわかりませんがすぐにいなくなっていきましたよ。」
ステラは理由を今思い出したのか、少し顔が赤くなっている。
「ま、まぁこの話はここら辺にしておきましょう。何して遊ぶ?」
「魔法で遊びませんか?」
うっわ。クルトの奴待ってましたと言わんばかりに話に入ってきたわ。
しかもなんで魔法なんだよ。
もしかして俺がステラと話してんのに嫉妬して俺に恥ずかしい思いをさせようとしてるのか?
「それはいいわね。アランもそれでいい?」
「はい。」
しょうがない。やるか。カール。見てろよ?
俺の今までの練習の成果を!
「じゃあまず俺がやります!」
カールの奴張り切ってやがる。これは確定だ。絶対一目惚れだ。
「いけ、ウォーターボール。」
そう叫ぶと、半径1mくらいの大きい水の球が現れ、的変わりの気に向かって凄い速さで飛んでいき、爆ぜた。
「へー。なかなかやるのね。」
「だろ!俺は魔力が多くて魔法が得意なんだ。」
「次は私がやるわね」
そういうと彼女の横に水の塊が現れ......
ってデカ!
カールの方を見ると口をあんぐりと開いて固まっている。
「いけ!」
ドーンッ
すごい音と共に水の塊は飛んでいき、爆散し、木が折れた。
「凄いですね。」
「でしょ?私も魔法は得意なの。」
いや、あれ絶対得意とかいう次元じゃない。
「アランもやってみなさいよ。」
「ああ、あのいや僕は......」
「ステラさん。カールは魔力が少ねぇんだよ。」
「あら、でもあなただけやらないのかしら?」
くそう。あれを見たあとだと何をしてもインパクトが足りない。けどやるしかないか。
「あんまり期待しないでくださいね。」
俺は服の中に隠していた水球を外に出し......
鳥の形に変えた。
これを羽ばたかせながらステラさんの周りをいい感じに飛ばしてっと。
「わぁ!すごいわね。本物の鳥みたい。」
「ははは。そうでも無いですよステラさんに比べたらこんなのまったく凄くないです。」
「なんだよ。こんなちっちぇえ鳥作りやがって。」
あ、カールの奴拗ねてる。これが2年間24時間練習し続けた成果ってやつだ。
「ステラ。そろそろ帰るぞ。」
おや、もうそんな時間か。
「ステラさん。また会いましょう。」
「そうね。またね。」
「ステラさん、俺ともまた遊ぼうぜ!」
ステラは、微笑みながら帰っていった。
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