俺の才能は魔力が少ないことだ!

平成人間

文字の大きさ
9 / 11

魔石の使い道

しおりを挟む

俺は一旦家に帰ることにした。このまま王都にいるとライルとレストに徹夜で実験に付き合わされるはめになるからな。それは何としても避けなければならない。

「アラン。もう帰るのか?」

「はい。少し疲れが溜まってきたので。」

「そうか。健康が1番だよな。また王都に来たら声をかけてくれ。あ、水球の新しい性質を見つけたら教えてくれよな。」

「あ、はい。」

「あ、そうそう。そこにある本好きなだけ借りていっていいぞ。」

「え!あ、ありがとうございます。」

なんと!お金を一円も使わずに目標を達成出来てしまった......


俺は面白そうな本を十冊ほど選び、馬車に積んだ。

「それでは、さようなら。」

「ああ。また今度な。」

「いい報告待ってるよ。」

ライルとレストが手を振って見送ってくれている。

報告ってもしかして実験の報告のことか?
なんで俺が家でも実験をすること前提になってるんだよ。

まぁ、でも実際一つだけ試したいことがあるからな。

俺の予想通りの結果になれば......

「あっ。」

「おぇぇぇぇ。」

そうだ。馬車は酔うんだった。
大人しく寝ていよう。うん。



こうして、俺の濃密で楽しい、王都への買い物は終わった。

おかしいな。三日しか経ってないのに一ヶ月分くらいの密度があったんだけど......まぁいっか。


ーーーーーーーー


「おい。俺は今から自分の部屋で実験をするから入ってくるなよ。」

メイドに俺はそう言って、誰にも実験を見られないようにする。

はっきりいって、俺が今からすることを他人が見たら、明らかに頭がおかしい奴だからだ。

「えーと。」

先ずは、石臼で貰った魔石を砕いて砕いて砕いて砕いて、粉にする。

「よし。」

どこに王様に貰ったばっかりの超お高い魔石を粉々にする馬鹿がいるんだろうね。
あ、ここか。

そんな茶番は置いておいて、別に俺の頭がおかしくなった訳では無い。
これはある仮説に基づいた行動なのだ。

え、とそしてこの神秘的な粉を......俺の水球に溶かす。

お、溶けてく溶けてく。
あとは結果だけだが......

「お!」

突然水球が光出した。

「これは何かが起きているに違いない!」

水球の中を見ると、謎の黄色い光が回転している。

そしてその光はどんどん増え、黄色以外も、赤、青、紫の光も混じっている。

そして......なかなか回転はおさまらない。

「うん。長いな。」

果たしてどれくらいの時間がたっただろうか。


水球が今までとは比べ物にならない程の明るさで輝き、光は消えた。

え、もしかして失敗?

『おい。小僧。』

「ん?」

水球の中を見ると、1人の可愛い女の人がいた。18歳くらいか?プラモデルみたいだ。

......ということは。

「実験成功だ!」

『おい。人の話を聞け。』

なんかもしかしてテレパシーみたいなので話しかけられてる?

「なんですか?」

『お前が私の復元に成功したのか。』

「復元?復元かどうかは分かりませんけど、もしかしたらそうかもしれません。」

『ここはどこだ?見たところ透明な丸い物体のようだが。』

「ああ、僕の魔法の中ですよ。」

『おお!ついにやったのか。20歳で病に倒れ、それでもまだまだ魔法の研究がしたくて死ぬ間際に自分の全てを魔石にし、きっと将来は復元の技術も発達してるんだろうと思い自分も復元して貰えことを期待していたが....今は私が死んでから何年くらいがたった?』

「多分700年くらいって王様が言ってましたよ。」

『なに!700年もたったのか!それは......どんな新しい魔法が生まれているのか楽しみだ!』

あぁ。可愛いプラモデルが動いてるのを見るのってこんなに癒されるんだな。

『おい、何か失礼なことを考えていないか?』

「いや、1ミリたりともそんなことは考えていません。」

『そうか。ならいい。ところでだ。どんな魔法を使って私を復元しているのだ?さっきからそれが気になって仕方がないんだ。』

いや、そんなキラキラした目で見られても。

「ただの魔法で作った水の塊ですよ。」

『なに!こんなに小さいのはとても複雑な魔法だからじゃないのか。』

「あ、はい。ただ僕の魔力が少ないだけです。申し訳ありません。」

『じゃ、じゃあどうやって呼び出したのだ。』

「あなたの魔石を砕いて粉にして水球の中に溶かしました。」

『な!私のことを砕いたのか!』

「いや、あなたの事を砕いたって言うか......はいそうです。すみません。」

『そんな簡単なことで私を復元できたのか。ところでこの魔法はすぐに消えてしまうということはないよな?』

「あ、はい。そこだけは安心してください。この水球。2年ものなんで。っていうかむしろ消せないんですよ。魔力が少なすぎて。」

『消えないならいいだろう。それじゃあ......早速私にこの世界の魔法がどのくらい発展しているのか教えてくれ!』

いやそう言われてもな。俺なんも知らんよ?
ライルとレストが居ればきっと説明してくれたんだろうが......

あ、丁度いいのがあった。

「あの、僕はまだ若造なのでそんなに魔法のことはよく分からないんですが、この国の第一人者(多分)から借りてきた本が10冊ほどあるので見てみますか?」

『わかった。ところでもう一つだけお願いがあるのだが......この水球の操作権を私にくれないか?』

え?

『い、今だけでいいんだ。渡してもお前が返して欲しいと思えばすぐに帰ってくるから。な?』

「どうやるんですか?」

『おお。やってくれるか。心の中で操作権を私に渡すと思うだけだ。よし。できたな。』

そういうと、急に水球の形が変わり始め......膨らみ始めた。

そして......人の形になった。

「いやー、久しぶりの体だな。あ、意識がなかったからそんな久しぶりでもないか。」

え、なんででかくなったん?
しかも色ついてんの?なんかインク混ぜた?

「あの、どうして大きくなったんですか?」

「ん?中を空洞にしただけだ。別に大したことじゃないだろう。」

中を空洞にしただけだと?
そんな発想があるとは......

「ところで、まだ名を名乗っていなかったな。私はネミルだ。700年前は大魔道士と呼ばれていたぞ。よろしくな。」

ちょっと待って。ツッコミどころが多すぎてどこから突っ込めばいいのか分からない。

まず、なんで色づいてんの?
しかも大魔道士って何?超大物じゃん。通りで宝物庫にあるわけだ。
しかも見た目なんて完全に人間なんだけど。
マジで何が起きてんの?

「どうしたそんな顔をして。お前の名はなんだ。」

「アラン・ティヌールです。」

「そうか。私のことは気軽にネミルと呼んでいいぞ。あと敬語はもどかしいから敬語は使うなよ。」

もう癖で敬語使っちゃうんだよなー。

「敬語はやめろよ?」

はい。圧がすごいので敬語はやめます。

「分かったよ。ネミル。これでいい?」

「ああ。なんと言っても、私の宿り主だからな。」

宿り主ってなんだよ。お前は寄生虫かよ。あ、でも確かに俺の水球に寄生してるか。

「何やら失礼なことを考えていそうだが、許そう。ところで、本はどこだ?早く読みたくて仕方がないんだが。」

「そこの本棚に入ってるよ。」

「そうか。じゃあこれから読むから話しかけるなよ。」

「うん。」

そういうと、ネミルは黙々と本を読み始めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

転生ちびっ子の魔物研究所〜ほのぼの家族に溢れんばかりの愛情を受けスローライフを送っていたら規格外の子どもに育っていました〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
高校生の涼太は交通事故で死んでしまったところを優しい神様達に助けられて、異世界に転生させて貰える事になった。 辺境伯家の末っ子のアクシアに転生した彼は色々な人に愛されながら、そこに住む色々な魔物や植物に興味を抱き、研究する気ままな生活を送る事になる。

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国の辺境で、ただ静かに生き延びたいと願う少年、ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、前世の記憶と、母が遺した『物理法則を応用した高圧魔力』という危険な理論だけだ。 敵の大軍が迫る中、ヴァンは剣も振るわず、補給線と心理を切り裂く。 結果、敵軍は撤退。代償も、喝采も、彼には無意味だった。 だが、その「効率的すぎる勝利」は帝国の目に留まり、彼は最高峰の『帝国軍事学院』へと引きずり出される。 「英雄になりたいわけじゃない。生き残りたいだけだ」 謎の仮面メイド『シンカク』、命を取引に差し出した狼耳の少女『アイリ』。 少年は選択する。正義ではなく、最も費用対効果の高い道を。 これは、合理が英雄譚を侵食していく、学園ミリタリーファンタジー。 【※作者は日本語を勉強中の外国人です。翻訳ソフトと辞書を駆使して執筆しています。至らない点もあるかと思いますが、物語を楽しんでいただければ幸いです。】

氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依
ファンタジー
 氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。  死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。  大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。

異世界転生した女子高校生は辺境伯令嬢になりましたが

ファンタジー
車に轢かれそうだった少女を庇って死んだ女性主人公、優華は異世界の辺境伯の三女、ミュカナとして転生する。ミュカナはこのスキルや魔法、剣のありふれた異世界で多くの仲間と出会う。そんなミュカナの異世界生活はどうなるのか。

処理中です...