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あれから十三年後
※ 折れる時が来たのかも
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あれから月日が経ち、マイヤは三十四歳になっていた。
三十五歳の誕生日まであと数日というこの日、彼女はとある人物と待ち合わせをしていた。
「マイヤさん!」
マイヤが待ち合わせ場所であるカフェへ入ろうとしたその時、彼女を後ろから呼び止める声がした。
「レジナンド、早かったわね」
彼女は聞き覚えのある声に振り返る。
そこには三十を過ぎても締まりの無い笑顔を浮かべるレジナンドの姿があった。彼は一目で仕立ての良い物だと分かるフロックコートを身に纏っている。家を継いで十三年。身なりだけは貴族らしくなったのだが。
「マイヤさんの呼び出しが嬉しすぎてさぁ……あっ痛て!」
レジナンドは即座にマイヤへ身体を寄せる。くびれのある腰に腕を回し臀部を撫で回すも、彼女に手の甲をつねられてしまう。
マイヤはレジナンドを睨みつける。
「はぁ……。あなたもう今年で三十七歳なんでしょう? 相変わらず節操ないわね」
「マイヤさん以外の女の人とはシてないよ」
「……まったく」
マイヤはあれから度々、エヴニール伯爵家の当主となったレジナンドと関係を持っていた。レジナンドは一回身体を許すだけで多額の融資をしてくれる都合の良い貴族だったからだ。彼と寝ることはマイヤにとってルーティンだ。金が貰えるし、女の欲も発散出来る。
ただ、年齢を重ねると気になることもある。
レジナンドは貴族家の当主だというのに、まだ結婚していないのだ。跡継ぎはどうするつもりなのか。部外者であるマイヤでさえ、やきもきするのだ。エヴニール家の家令はさぞや気を揉んでいることだろう。
「ねえ、マイヤさん、もう宿行こ?」
そう耳打ちするレジナンドは、鼻の下が伸びきっている。マイヤは心の中でため息をつきながら、頷いた。
◆
「ねえ、レジナンド」
「やだ、ベッドじゃレジーって呼んでって言ったじゃん」
「……レジー。あなた、結婚しないの?」
一戦交えた後、マイヤは余計なことを尋ねている自覚がありつつも、聞いてしまった。
レジナンドはふぅと息を吐く。
「何回も言ってるでしょ? 俺はマイヤさん以外の女の人と結婚したくないんだよ」
「本気なの?」
「本気だよ。本気だからさぁ、君の商売に融資するんだよ。何? 俺と結婚したくなった?」
「……心配なのよ」
リュボフとの婚約破棄の一件以来、定期的にレジナンドと関わってきた。彼にはどれだけ助けられてきたか分からない。マイヤはレジナンドに恩を感じていた。それゆえに、彼の現状を心配せずにはいられない。
「マイヤさんが心配することないよ。俺はこう見えて色々考えてるから」
「跡継ぎはどうするの? あなた、自分の子どもを持ちたいとは思わないの?」
「エヴニール家には縁者がそこそこいるから跡継ぎはどうにでもなるって。子どもはマイヤさんが欲しいなら協力するよ?」
レジナンドからは何とも煮え切らない言葉が返ってきた。
ここで自分が彼と結婚すると言えば、どういう反応が返ってくるのだろうか。マイヤは天井を見上げているレジナンドの横顔を見つめる。
レジナンドはずっと自分と結婚したいと言っていた。もう十三年もそう言い続けて、独身を貫いている。
(もう折れる時期なのかもしれないわね)
彼が自分と結婚したいと言うのは口実で、本当は自由の身でいたいだけではないかと勘繰ったこともある。しかし、本気なのではないかと思ったことも何度もある。
マイヤはレジナンドとの関係をどうするのか、考えて、考えて、三十五歳を目前にした今、結論を出した。
「ねえ、レジナンド」
「何?」
「私と結婚しない?」
レジナンドはマイヤの言葉に目を見開く。
「……うそ、冗談じゃないよね?」
「こんな笑えない冗談、なんの為に言うのよ」
「えっ、マジで? どうしたの? 急に……」
「私もあと数日で三十五歳になるからね……。そろそろ、身体を張って商売するのもキツいなって思ってたの」
「マイヤさんはまだまだ抱きたくなるような良い女だよ。今日のアソコの締まりも最高に良かったし。……あ~~想像したらまた勃ってきた」
「ちょっとレジナンド! 私がプロポーズしてるんだから、股間を擦り付けないでよ」
「もちろん結婚するよ! だからもう一発ヤラせて?」
「もう!」
マイヤは怒りながらも脚を開き、レジナンドの剛直を受け入れる。彼の雄は先ほど精を吐き出したばかりだとは思えぬほど硬かった。
レジナンドは恍惚とした表情を浮かべながら腰をぱんぱん、ぱんぱん打ちつける。
「あ~~……さいっこう……! これから毎日マイヤさんと朝晩出来るかと思うと勃起が止まらないんだけど!」
「あなた、身体のことばっかりね」
「マイヤさんだって、俺のチンコ好きだよね?」
「……好きよ」
「やった! 両思い!」
「ちょっと、やだ、深いところばっかり抉らないでよ……! あっ、あん、やぁっ、やだぁっ、深い、深いってば!」
「またマイヤさんの子宮にたっぷり精液かけてあげるからね♪」
レジナンドはマイヤの背に腕を回すと、膣の奥へ奥へと陰茎を押し込む。柔らかな子宮口を硬い亀頭で抉られたマイヤはびくびくと腰を震わせる。
「マイヤさんのなか、すっげービクビクしてる。きもちぃーー……」
「あっんあっあっいやっ、いやぁっ」
「マイヤさんマイヤさん、これからは俺とたくさん子どもを作ろうね?」
「あっああぁーーーっ!」
弱いところを攻められ続けたマイヤは、レジナンドの腕の中で大きくのけぞった。
この夜から約一年後、彼らの間には一粒種の男の子が生まれる。
レジナンドは妻マイヤの尻に敷かれながら、そこそこ上手く領地の運営を回していくのだが、それはまた別の話だ。
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