【R18・完結】騎士団長とは結婚したくない

野地マルテ@2月27日『帝国後宮録』発売

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※いいですよ




 二人で寝室へ移動する。
 ちゃんとベッドの上でやることはやりたいと思うのは、なんとも団長らしい。

「サラ、本当にいいのか?」

 ベッドの上で向かい合って座ると、改めて確認された。
 団長は真面目な人だなぁと思っていたけど、こんなところでも真面目なのか。酒の勢いで人を押し倒したりはしない。まぁ、団長は酒を呑んでもまったく変わらない人だけど。

「いいですよ」

 書類整理でも引き受けるような、そんな軽いノリで答えると、また団長は眉間に皺を寄せる。

「後悔したって知らないぞ?」
「しませんよ? だって私、団長のこと嫌いじゃないですから」
「嫌いじゃなきゃ、君はセックス出来るのか?」
「う~~ん……誰とでも出来るわけじゃないですけど、少なくとも団長とは出来そうですね」

 団長のことはめんどくさいと思っているが、生理的に嫌じゃない。団長は少々潔癖症の気があるほど清潔感があるし、女遊びをしないから病気だって持ってないだろう。それに団長の涼やかな外見はタイプだ。

「団長、とりあえずキスしてもいいですか?」

 とりあえず、キスしなきゃ始まらない。このままじゃうだうだしている間に朝になってしまう。自分からキスしようと提案すると、団長はまた固まった。私はかまわず、岩のように固まった団長の首にするりと腕を回し、目の前にある形の良い唇に自分の唇を押し当てた。
 最初の夫ロバートが亡くなって以来のキスだ。
 顔を斜めに傾けて、口づけを深める。団長とのキスは想像していた以上に気持ちが良かった。団長の口の中に舌を入れてみたいなと自然と思えた。

「……っ」

 団長はたぶん、キスをしたことがないんだと思う。団長の見た目は涼やかなのに、吐息が荒い。舌先を突き出して、唇の表面をなぞり、隙間があいたところに自分の舌をねじこむ。綺麗に生え揃った歯列に舌を這わせると、団長の身体が震えた。

「はぁっ……はっっ」

 このままでは団長は酸欠になってしまうと思い、顔を離した。ぜえはあと息を絶えだえさせる団長の顔は耳まで真っ赤で、切れ長の目には涙を浮かべている。

 ──あ、まずいかもしれない。

 見たことがない団長の顔にものすっごくキュンときた。心臓が波打つとはこういうことかもしれない。今まで三年間、私は団長の仏頂面しか見たことがない。年上の騎士が半数のマトロア地区の騎士団をまとめあげている団長の表情はいつも険しい。それなのに、今、団長は顔を赤らめ、涙目で私を見つめている。不覚にも可愛いと思ってしまった。

「きゅっ、急に何をする……!」
「何って、ディープキスですよ。気持ち良かったでしょう?」
「こ、こんな行為しらない……!」

 団長は気高い深窓の令嬢のような反応をする。実際、団長も女の子に生まれていれば、深窓の令嬢になっていた可能性は高い。団長の家は良家だ。
 しかし、ディープキスを「こんな行為しらない」とは。
 団長は本当に独身の騎士だろうか? 独身ならば、非番の前日に娼館へ通う騎士も少なくない。団長はなまじ剣の腕が立つので出世が早かったらしい。先輩や上官に娼館へ連れ込まれる経験もろくに無かったのだろう。まぁ、真面目な団長ならば「女性を買うだなんてとんでもない」とか言って、誘いを一蹴しそうだけど。

「はいはい。服、脱がせてもいいですか?」
「君が脱がせるのか?」
「セックスの時は脱がせっこぐらいしますよ」

 団長は、外見だけなら一方的に女の子を丸裸にしてアンアン言わせそうな俺様系の見た目をしているが、今、私におとなしく脱がされている。
 ゆったりしたシャツのボタンを一つずつ外すと、鍛えあげられた身体が露わになる。ところどころ残るミミズのように盛り上がった傷痕が少し生々しいが、手当てをしたのはだいたい私なので、見慣れていると言えば見慣れている。団長は先陣を切って魔物の群れへ向かっていくらしく、生傷が絶えない。少しは管理職の意識を持ってもらいたいものだ。

「怖くはないのか?」
「何がです?」
「俺の身体には傷があるだろう」
「そんなの、見慣れてますよ」

 シャツのボタンをすべて外して袖を抜く。うちの父も騎士だったので、戦う男の身体はむしろ馴染み深い。

「団長の身体、綺麗ですよ? 私、傷のある男の人、好きです」
「サラ……」

 腕を伸ばし、団長の肩や腕をするりと撫でる。一見筋肉がぼこっと浮いていてごつごつしているように見えて、結構弾力がある。抱き合ったらむちむちしていて気持ちが良いかもしれない。
 最初は団長と寝るとか、想像ができないと思っていたけれど、いざキスをして上半身裸の団長と向かい合っていると楽しい気分になってきた。
 団長の盛り上がった胸板に顔を埋めて、ちろりと舌を出す。団長の身体からは、お風呂あがりの清潔な匂いがした。
 胸筋の谷間に舌をつつっと這わせると、団長のたくましい身体がびくっと震える。

「お、おい!」
「団長、愛撫は必要ですよ?」
「それは分かるが、その……男女逆ではないか?」
「お互い人間なんですから、二人で交代しながら触り合えばいいと思いますよ?」
「ふん……そういうものなのか?」
「団長も私のこと、触ってもいいですよ」

 私は自分から、団長から借りた運動着を脱ぐ。腕や腹まわりはぽっちゃりしているのに、胸の膨らみが足らない残念な身体が露わになる。団長が萎えてしまわないか心配になったが、団長は私の二の腕を掴むと、嬉しそうな顔をした。

「おおっ、柔らかい。サラの身体は白くて愛らしいな」
「団長の身体も弾力があって触ってて面白いですよ」

 色気はないが和気藹々としたセックスが始まった。
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