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※それから一ヶ月後
それから一ヶ月後、騎士団を辞めた団長と私は、団長の実家領であるアストロニダへ移り住んだ。結婚式ならぬお披露目会は来月、領民祭の時にやる予定だ。
「これからやること、目白押しですね……」
領民祭の企画はすでにほとんど終わっているので良いものの、問題は今後の人員についてだ。義父の代に雇われた屋敷の使用人たちの大半が、あと数年で引退する。領主が皆に慕われる良い方だと、人が入れ替わらない。義父が領主となった時に雇った者たちが、義父と共に年齢を重ねてしまったので、二、三十年後には引退が相次ぎ、人手不足になってしまうのだ。
新たに採用計画を練らねば。マトロア地区にあった騎士団詰所も、騎士は王都から赴任してくるので良いものの、問題は一般兵だ。現地で採用する兵は数年勤めたら辞めてしまうので、毎年のように採用活動を行っていた。一般兵の仕事はそれなりにきつい。商売をするための資金稼ぎだと、割り切って働いている人がほとんどだった。
採用計画を練ったり、会計処理を行なったり。私は団長の奥さんになってもやることは変わらなかった。むしろ仕事は増えたかもしれない。何せ、騎士団でやってきたような仕事に加え、貴族の付き合いもしなくちゃいけないからだ。
「サラには苦労をかけるよ」
「いいですよ。ま、覚悟してましたし」
申し訳なさそうに眉尻を下げる団長……いや、ランヴァール。やっぱり団長のことを名前で呼ぶのは慣れない。名前を呼ぶ時ちょっぴり照れる。
「家令業が出来る人を増やしたほうがいいですね。あと、私の仕事の補助をしてくれる侍女も欲しいです」
義母の侍女はそのまま義母と共にカントリーハウスへ移り住んでしまった。私は私で、誰か信頼のおける人を雇わないといけない。貴族の奥さんのやる事は山ほどある。とてもじゃないが一人では捌けない。
仕事は大変だが、やり甲斐はある。元々働くのは嫌いじゃない。
「ああ、サラの思うようにやってくれ。君を信頼している」
「ありがとうございますっ! 任せてください!」
こういう時、ランヴァールと三年間一緒に働いてきて良かったと思う。なにより信頼関係がある。私たちの連携はばっちりだ。きっと私たちの領運営は上手くいくはずだ。
◆
夜。夫婦の寝室に響き渡るのは、男の微かな呻き声と、ぬちゃぬちゃとぬかるみを歩くような音。
「ランヴァール、気持ちいい?」
「うっ、うっっ……さ、サラ……駄目だ、そんなに腰を振っては。……ぁっ、あ、っく」
「どうしてですか? はぁっ……私も気持ちいいです……。ランヴァールのが、すごく良いところに当たるの……」
ランヴァールの股間に跨った私は、彼の割れた腹筋に手をつき、ゆるりと円を描くように腰を回す。
私が腰を浮かせて上下に跳ねるたび、下になったランヴァールは「あぁっ!」と裏返った悲鳴をあげる。
私はこのアストロニダに移り住んでから、魔導師による膝と腕の治療を受けた。魔導師の魔法による治療は高額で、なかなか市井の身分では受けられない。しかし伯爵の妻となった私はランヴァールの勧めもあり、魔法の力で膝と腕を治した。さすがに騎士をやっていた時ほど、俊敏には動かせないが、セックスの時、攻め手に回れる程度には回復した。
ランヴァールは口調は相変わらず厳しいが、セックスの時はとても優しい。私の身体を常に気遣ってくれる。だが、私にはその気遣いのある行為が少し物足りない。だから私はたまにランヴァールの上に跨って思う存分腰を振っているのだ。
「ぅうぅぅん、あぁぁんっ……」
自分で腰を揺らめかせていると、肉棒の穂先が感じるところに良く当たる。ビクビクと腰を震わせて、私は絶頂を迎えた。
私が勝手に快楽の頂きへ昇り詰めると、思うことがあるのだろう。ランヴァールは私の背に手をやると、むくりと上体を起こした。その目には熱が灯っている。
「サラ、俺がもっと快くしてやる」
私が嬉々としてランヴァールの首に腕を回すと、彼は私の尻たぶを下から掴んだ。長い指が柔らかな尻に食い込むほど強く掴まれて、私はこれから与えられるであろう快楽に胸を高鳴らせる。
「あぁぁっっ……!」
ランヴァールは私の尻を下から持ち上げると、そのまま自身の雄を、肉のあわいの奥へ奥へと深く差し込んだ。
柔らかな胎の入り口に、太い穂先がこつんと当たる。そのまま、穂先は胎の口をぐりっと抉った。
「あああぁぁっ‼︎」
足先がつかない、不安定な状態で与えられた強すぎる刺激。私は背をぐんと仰反らせ、隘路をこれでもかと窄める。肉棒の感触が分かるほど、ぎちぎちと締め付けたのに、ランヴァールは果てない。それどころか、彼は自分の腰を私の股に打ち付けてきた。ガチガチに固くなった肉棒が何度も何度も私のなかを力強く貫く。
「ひぃぃぃっ……ふぁぁっ! ああぁぁっ!」
「サラ、可愛い……もっと快くなってくれ」
「やっ、いやぁぁっっ、またイく……! イク……!」
足先までびりびり痺れる。私は足指を丸まらせて絶頂した。今度の締め付けには耐えられなかったのだろう。ランヴァールは低い呻き声を漏らすと、そのまま胎に白い昂りを流しこんだ。肉棒が跳ねまわる感触にまた私は絶頂を迎えかけた。
「……サラ、また無理をさせてすまない」
「ううん、ぜんぜん! めちゃくちゃ気持ちいいので、毎晩やって欲しいぐらいですよ」
二人で汗だくのままベッドで抱き合う。
アストロニダに来てからも、騎士団にいた時と何も変わらず多忙な日々を送っている。正直今はランヴァールとのセックスぐらいしか楽しいことがない。ランヴァールとのセックスは楽しい。触れ合っているだけで気持ちがいい。
「ランヴァール、もう一回しましょう? 今度は後ろからガツガツ突いて欲しいです」
「もう少し休憩しよう」
「ええ~~でも、ランヴァールのここはまだ元気ですよ?」
ランヴァールの股間に手を伸ばし、手のひらを使って肉棒やその下にある袋を撫で回す。勃ち上がりはじめた肉棒を輪の形にした手指で上下に擦り上げ、その下にある陰嚢を力を入れずにやんわり揉むと、ランヴァールは苦悶と愉悦が混じったため息を漏らした。
「……サラ、君は淫魔なのか?」
「個人的には、女は少しスケベぐらいがちょうどいいと思います。子どもも欲しいですし」
「そうだな。嫌々子作りされるより、ガツガツ求められるほうがいいよな」
「へへ~~、キスしてください!」
「ああ」
ランヴァールは触れるだけの口づけをしたが、もの足らなくて私から舌を差し込んだ。やっぱりランヴァールとのキスは気持ちいい。
私たちは毎晩イチャイチャしていた。
再婚は大変なこともめんどうなことも山ほどあったけど、ランヴァールと結婚して良かったと思う。これからも彼と一緒に生きていけるのだなぁと思うだけで、胸がいっぱいになる。どんなに面倒なことがあっても、ランヴァールとキスして抱き合うだけでストレスなんか吹っ飛んでいく。
私はこれからも、末永くランヴァールを支えていきたい。……まぁたぶん、支えられているのは私の方なんだろうけれど。
<おわり>
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今回のイチャラブカップルも良かったです、ご馳走様でした
次回作も楽しみにしています
イチャラブカップル!気に入ってもらえて良かったです!😄