契約妻と無言の朝食

野地マルテ

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※ たくさんの赤い痕

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 ──くすぐったい……。

 エリオンの膝の上に、彼と向かい合うように跨ったらすぐに乳房にぱくりと吸いつかれた。じゅるじゅると音を立てて、何も出ないはずの乳首をエリオンに執拗に吸われている。
 たぶん、されて気持ちがよくなる行為なのだろうけれど、私はこう言う事の経験がまったくない。舌先でころころと乳首を転がされるとくすぐったくて、私は腰をもぞもぞと動かしてしまった。

 ──あれ、硬い?

 自分の股の下に何か硬いものがある。跨った時は気がつかなかった。
 私が股の間を覗き込もうとすると、胸の膨らみから口を離された。

「……アレクシアは男を煽るのが上手いな。閨の経験があるのか?」
「ひっっ、あああるわけないじゃないですか!」
「冗談だ」

 ──冗談に聞こえないんですけど。

 本当にエリオンのことは何も知らないのだ。家令のお爺さんや彼のお兄さんからは彼の人となりを聞いたけど、二人ともエリオンのことを『槍を振るうだけが取り柄の、絵に描いたような堅物』だと苦笑いしながら言っていた。今のエヴニール私設兵団の団長さんもエリオンは女遊びを一切しないと言っていたし、女性には興味がないのかなと思っていたけど。

 ──どうみても慣れているわよね……。

 今はまた、エリオンは私の胸の間に強く吸いついて赤い花を散らしている。ちょっと痛い。エリオンはおっぱいが好きなのかもしれない。
 人と比べたことはあまりないけど、私の胸は大きくも小さくもないと思う。まあ自分では左右の大きさがだいたい揃っている綺麗なおっぱいだと思っているけど。

「……たくさん赤い痕がついたな。これで君は俺のものだ」

 私の赤くなった胸を見て、エリオンは満足げに言う。

 ──どうしてそんなに私と別れたくないのだろう。
 
 頭の中で首を傾げる。
 私のことが好きなのだろうか? でも、私のことが好きだったら、もっとこう、この半年の間に色々あっただろうに。まったくエリオンの考えは読めない。この半年間のエリオンの態度は、好きな女性に対するものだとは到底思えなかった。
 なにせ朝食の時間の間、目が合うことすら稀だったのだ。

 乳を吸われまくった私は、エリオンの膝からよろよろとベッドへ降りた。
 唾液で濡れた双丘がぷるんと揺れて、顔から火が出そうになった。
 私は朝っぱらから一体何をしているのだろう。
 というか、これは本当に現実なのか疑わしい。さっきから頭の奥がじんと痺れたままなのだ。妙に現実感がなかった。


「……下を脱がせてもいいだろうか?」
「あ、はい……ど、どうぞ!」

 ぱちんぱちんと音を立てて、ガーターベルトの金具を外す手付きさえもエリオンは妙に手慣れている。女の私でさえ、ガーターベルトの付け外しは少し戸惑うのに。

「……旦那様はこういうこと、慣れていらっしゃるのですか?」
「ああ、練習したからな」
「れ、れんしゅう……?」
「人間何事も最初から上手くはやれないからな」

 過去の女性遍歴を練習とは。
 エリオンは真面目そうな顔をして、下半身はかなりの暴れん坊なのかもしれない。
 そうこうしているうちに、白いショーツもストッキングもするするすぽんと脱がされてしまった。

「アレクシアは下も綺麗だな、毛も黒ずみも薄い」
「そう……そうですか?」

 そう言われても、喜んでいいのかイマイチ分からない。秘部など人と比べて見る機会がないからだ。

「脚を大きくひらいて」
「はい……」

 エリオンに言われるがまま、すっぽんぽんになった脚を開く。恥ずかしい。普段こんなに開脚することはないし、そもそも素足を誰かに見せることさえ、私にとっては無いことなのだ。

 エリオンは私の腰を腕に抱えると、なんと開いた脚の間に顔を埋め出した。

「旦那様、何を……? ひゃっ⁉︎」

 ──何かを舐めてる……?

 見ると、エリオンは身を屈め、小水を出すところのすぐ上辺りをちろちろと舐めていた。舌先がこりこりしたところを掠めるたび、腰がびくびくと勝手に跳ねる。自分のものとは思えない身体の反応にびっくりしていると、今度は月の触りが来る場所に違和感を感じた。

 急に感じた異物感にぎゅっと股に力をいれると、エリオンは顔をあげた。

「狭い……」
「な、なにをするんですか……? 痛いです!」
「指の一本で痛がっていたら、先が思いやられるな」

 ──ゆ、ゆび……!

 なんとあんな狭いところに指を挿れられていた。
 槍を振るうエリオンの指は太くて長い。関節もごつごつしていて、自分の細っそりした指とはまるで違う。そんなものが自分の中で蠢いている。未知の感覚にだんだん怖くなってきて、私は頭を振った。

「や、やめてください……! いや、こわい……!」
「慣らさないと裂けるぞ」
「ひっっ」

 エリオンはもう最後までするつもりなのだろう。黙々と指で私の中を擦り上げ続けている。探るような指の動きに、ますます恐怖心が高まった。

 最初は指の動きによる摩擦で痛みを感じていたのに、股の間にあるこりこりした突起を舐められながら膣に指を出し入れされると、少しずつ別の感覚が沸いてきた。
 ある特定の場所を指で擦られると、むず痒いのようなもどかしい刺激を感じ、下腹から足先までびりびり痺れるのだ。
 その痺れる感覚を何度か感じていると、呼吸が苦しくなり、いきなり目の前が真っ白になった。

「あっあぁっ……! あっ────‼︎」

 下腹に急激に力が入り、背中が大きく反った。自分の身体の反応に驚き、息を乱していると、エリオンは私を見下ろして微笑んだ。

「アレクシアは絶頂を迎えたことがないのか?」
「ぜっ……ちょう?」
「今のがそうだ。女性は気持ちがよくなると、今のアレクシアみたいになるそうだ」

 どうも私は股を舐められて、月の触りが来る狭いところを指でかき混ぜられて気持ちがよくなってしまったらしい。今も膣に挿れたままの指をくるりと中で回されて、腰が跳ねた。

「もう指が二本はいるな」
「やぁっ……」

 私を穿つごつごつした指の本数が増やされる。
 肉の壁がきゅうっとエリオンの指に吸い付く。

 ──ううっ、また、脚先がびりびりする。

「はぁっ……あぁっ、はっ、くるしっ……」

 膣内の水嵩が増えるたびに増す、もどかしい刺激に涙が出る。エリオンは二本の指を少し折り曲げているのだろう、お腹側を擦られると猛烈にむずむずして苦しかった。

「中途半端は苦しいだろう? アレクシア」
「は、はい」
「もっと、君のなかを埋めつくすものが欲しいか?」

 ──私のなかを埋めつくすもの?

 エリオンは私の中から指を引き抜くと、自身のタイトなズボンに手を掛けた。身体を起こして彼の股の辺りを見ると、彼の下履きを突き破らんとするほど、不自然に大きく膨らんだものが見えた。

 ぞわりと鳥肌がたつ。
 あれを私の中に挿れるのだと思うと、恐怖心で震えた。
 あんなの絶対に入らない。

「いやっ、いや、……入りません、そんなの……!」
「君は子どもを望んでいるのだろう? 受け入れるんだ」
「やだっ、嫌です! むりっむり!」

 エリオンは脱いだ下履きを床に投げ捨てた。彼は青く染められたアスコット・タイも指を首元に引っ掛けて少し乱暴に剥ぎ取ったが、上のシャツは着たままだった。
 シャツの裾から見え隠れする、彼の股間についた肉色の棒は、指よりも遥かに太かった。
 一般常識として、月の触りがくるところに男性器を挿れることぐらいは知っていたが、まさか男性器があれほどまでに太く長いとは。全部挿れたら子宮が破れるのではないか。
 串刺しになる自分を想像し、私は必死で抵抗したものの、やはり並みの一般男性より屈強なエリオンには敵わない。

 仮眠室の簡易ベッドに裸体を押さえつけられ、上からのし掛かられる。膝裏を掴まれて再び大きく脚を開かされた。
 脚の間、今まで指が入っていた場所に、肉色の棒の先を突きつけられ、ぐりぐりと丸い先を押しつけられているのがはっきり分かる。

 もうここまで来たら抵抗しても無駄だ。瞼をぎゅっと閉じ、身体にもぐっと力が入る。

「力を抜かないと痛むぞ」
「そんなことを言われても……!」

 狭いところを無理やり押し広げるようにそれは入ってきた。結合部が熱く感じるぐらい鈍く痛む。色気の無いうめき声が自分の口から漏れた。

「うっうっ、いたい、いたい……!」

 私の膝を掴むエリオンの手をばしばし叩いたが、彼はやめようとはしない。さらに体重をかけて私のなかに無理やり入ってこようとする。結合部からはギチギチと音がしそうだ。

 エリオンは「思ったよりも濡れてないな」とぼそりといい、何故か私の乳首を掴んでくにくに弄りはじめた。これをすると濡れるのだろうか。よく分からない。とにかく結合部が痛い、熱い、苦しい。涙で前がよく見えない。

「……アレクシア」
「は、はい?」
「アレクシアは俺のことが好きか?」

 また同じ質問。さっき、分からないと答えたのに。
 まあ確かに、閨事をしたら好きになるかもしれないとは答えたが。

「わかりません……」

 正直に答えたら、頭上からため息が聞こえた。
 そのため息が無性に悲しくて、またひとつ頰に涙が溢れ落ちた。
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