20 / 25
第20話 理想を守る絆
しおりを挟む
政府代表たちとの会議から三日が経った深夜、アビス・パレス地下の古い研究室に、忍び足で集まる影があった。
「こんな場所があったなんて」
エルンストが驚きの声を上げる。水晶の明かりが青白く輝く研究室は、古代竜人族の魔法技術で作られた秘密の場所だった。石造りの壁には古代文字が刻まれ、魔素を感知する装置が静かに光を放っている。
「祖先たちが政治的圧力から技術を守るために作った場所です」
リヴァイアが振り返る。彼女の表情には、普段の冷静さに加えて、決意に似た強さが宿っていた。
「つまり、昔から同じような問題があったということですね」
ユエファンが壁の古代文字に手を触れながら言う。彼女の声には、諦めにも似た苦悩が込められていた。
「僕の国の政府も、もう技術者の自由な研究を制限し始めています」
タカハシが重い口調で話す。「軍事機密として扱うべきだという声が日に日に強くなって」
マリナは三人の表情を見回した。会議の後、それぞれが自国からの圧力について相談してきていた。純粋な技術への情熱が、政治的思惑に押し潰されそうになっている現実を、全員が実感している。
「私たちの研究は、本来すべての人々のためのものです」
エルンストが拳を握りしめる。「それが特定の国の利益のために使われるなんて」
「でも現実問題として、政府の支援なしには大規模な研究は続けられません」
ユエファンが苦しそうに言う。「東方王国では、すでに技術者への監視が始まっています」
リヴァイアがゆっくりと古代の装置に手を置く。すると、装置全体が柔らかな青い光に包まれた。
「この装置は、古代の『技術者の誓い』を記録したものです」
光の中に浮かび上がったのは、古代文字で刻まれた文章だった。
「『我らは知識を分かち合い、技術の純粋性を守り、すべての生命の繁栄のために智慧を用いることを誓う』」
リヴァイアが古代語を現代語に翻訳する。「千年前の技術者たちも、同じ理想を持っていました」
マリナの胸に熱いものが込み上げる。「私たちも同じ気持ちです」
「ええ、技術に国境なんてありません」
エルンストが力強く頷く。「海洋保護も、環境技術も、地球全体の問題です」
「私たちにできることはないでしょうか」
タカハシが前に出る。「政府の圧力に屈することなく、純粋な研究を続ける方法は」
リヴァイアが振り返る。「実は、古代の記録に興味深いシステムがあります」
彼女が装置を操作すると、新しい文字が浮かび上がった。
「『技術者同盟』という組織です。政治的中立を保ちながら、技術者同士の自由な交流を保障する仕組みでした」
「現代でも実現可能でしょうか」
ユエファンが身を乗り出す。
「竜人族には外交的特権があります」
リヴァイアが説明する。「古代三族協定により、アビス・パレスは中立地帯として認められています。ここでの活動は、どの国の法律にも縛られません」
マリナの心に希望が灯る。「つまり、ここを拠点にすれば」
「自由な技術交流を続けられます」
リヴァイアが微笑む。「各国政府に対しては、正式な外交ルートを通じて協力体制を築く。でも技術者としての純粋な研究は、政治的圧力から完全に独立させる」
「素晴らしいアイデアです」
エルンストが興奮して言う。「それなら、どの国の利益にも偏らない、本当に公正な技術開発ができます」
「でも、政府が反対したら」
タカハシが心配そうに言う。
「技術者個人としての自由な学術交流です」
マリナが答える。「政府間の正式協定とは別に、私たち研究者同士の知識共有を行う。それ自体は、どの国でも保障されている学問の自由の範囲内です」
「なるほど、二重システムですね」
ユエファンが理解を示す。「政府レベルでは正式な国際協力、技術者レベルでは自由な学術交流」
リヴァイアが頷く。「そして竜人族が両者の調整役を務めます。政治的中立性を活かして、真の技術協力を実現する」
マリナは四人の顔を見回した。それぞれの目に、同じ決意の光が宿っているのが見える。
「皆さん、一緒にやりませんか」
マリナが手を差し出す。「技術者としての理想を守るために」
「もちろんです」
エルンストが真っ先に手を重ねる。「純粋な技術への情熱を、政治に汚させるわけにはいきません」
「私も参加します」
ユエファンが繊細な手を重ねる。「東方の技術を、世界のために役立てたい」
「僕も同感です」
タカハシが力強く手を重ねる。「現実的な解決策を見つけて、理想を実現しましょう」
最後にリヴァイアが手を重ねる。「竜人族として、技術者たちの理想を全力で支援します」
五つの手が重なった瞬間、古代の装置が一段と明るく輝いた。まるで古代の技術者たちが、現代の仲間たちを祝福しているかのようだった。
「これで『技術者同盟』の結成ですね」
マリナが感動に声を震わせる。
「政府の思惑に左右されない、純粋な技術協力のために」
エルンストが誓うように言う。
「具体的にはどのような活動を?」
タカハシが実用的な質問をする。
リヴァイアが考えを整理する。「まず、この秘密研究室を技術者同盟の本部とします。ここで自由な研究と情報交換を行う」
「各国での研究は、それぞれの政府との協力の下で進める」
マリナが続ける。「でも、得られた知識は同盟で共有し、全人類の利益のために活用する」
「技術の軍事転用については、同盟として厳しい制限を設ける」
ユエファンが提案する。「環境保護と平和利用を最優先にして」
「そして、新しい技術者の育成も重要ですね」
タカハシが付け加える。「次世代に、私たちの理想を引き継いでもらうために」
リヴァイアが古代装置に再び手を置く。「古代の智慧も活用しましょう。竜人族に伝わる技術で、現代の問題解決に役立つものがたくさんあります」
装置から新しい光が放たれ、部屋全体が神秘的な青い光に包まれた。
「この光は『誓いの証』です」
リヴァイアが説明する。「古代から続く技術者の絆を示すもの。私たちの決意が本物であることを、祖先たちが認めてくださったのです」
マリナの心に、深い感動が広がる。転生前の世界では味わえなかった、仲間との真の絆を感じている。
「明日からは、表向きは政府との正式協議を続けます」
マリナが整理する。「でも、私たち技術者の本当の活動は、ここから始まる」
「政府の皆さんにも、きっと理解していただけます」
エルンストが前向きに言う。「技術者の自由な発想こそが、本当のイノベーションを生むということを」
「そのためにも、まず成果を示すことが大切ですね」
ユエファンが現実的な視点を示す。「理論だけでなく、実際の技術で政府を納得させる」
「みんなで力を合わせれば、きっとできます」
タカハシが希望に満ちた声で言う。
リヴァイアがマリナの方を見る。「あなたの提案から始まったこの技術協力が、こんな形で発展するなんて」
「私一人では何もできませんでした」
マリナが微笑む。「皆さんがいてくださったから、こんな素晴らしい仲間に出会えました」
「これからが本当の始まりです」
リヴァイアの瞳に、これまで見たことのない温かさが宿る。「技術者として、そして」
彼女が少し照れたように視線を逸らす。
「そして、大切な人として」
マリナの頬が薄く赤らむ。政治的な困難の中で育まれた絆が、今、確かなものになろうとしている。
「技術者同盟の活動方針を、もう少し詳しく決めましょう」
エルンストが実務的な提案をする。「まずは研究テーマの優先順位から」
「環境保護技術を最優先にしたいと思います」
マリナが答える。「海洋浄化、大気保全、生態系保護」
「エネルギー技術も重要ですね」
ユエファンが付け加える。「クリーンで持続可能な魔素活用法」
「それから災害対策技術」
タカハシが提案する。「自然災害から人々を守る技術」
リヴァイアが頷く。「竜人族の古代技術には、それらすべてに関する知識があります。喜んで共有させていただきます」
「では、活動の基本原則を確認しましょう」
マリナが提案する。
「第一に、技術の平和利用」
エルンストが言う。
「第二に、環境と生命の保護」
ユエファンが続ける。
「第三に、知識の自由な共有」
タカハシが付け加える。
「第四に、政治的中立の維持」
リヴァイアが締めくくる。
「そして第五に、次世代への継承」
マリナが最後の原則を述べる。
五人が改めて手を重ねる。古代の装置が再び光を放ち、技術者同盟の誓いを祝福するかのようだった。
「明日からの政府協議では、このシステムを提案してみましょう」
マリナが言う。「技術者の自主性を尊重しながら、政府の要求にも応える方法として」
「きっと理解していただけます」
リヴァイアが確信を込めて言う。「竜人族の外交力も活用して、最良の結果を目指しましょう」
夜が明けかけた空が、研究室の小さな窓から見えている。新しい一日が、希望に満ちて始まろうとしていた。
「技術者同盟の第一回会議を、これで終了します」
マリナが宣言する。
「次回会議は明日の夜、政府協議の結果を受けて」
リヴァイアが続ける。
「それまでに、各自で具体的な研究計画を考えてきましょう」
エルンストが提案する。
「私たちの理想を、現実のものにするために」
ユエファンが決意を新たにする。
「必ず成功させましょう」
タカハシが力強く宣言する。
五人は秘密の研究室を後にした。表面的には何も変わらない朝が来ても、彼らの心には確かな絆と希望が宿っている。
技術者としての純粋な情熱を守り抜く。そのための仲間が、今ここに結集した。
海底のアビス・パレスに、新しい時代の扉が静かに開かれようとしていた。
「こんな場所があったなんて」
エルンストが驚きの声を上げる。水晶の明かりが青白く輝く研究室は、古代竜人族の魔法技術で作られた秘密の場所だった。石造りの壁には古代文字が刻まれ、魔素を感知する装置が静かに光を放っている。
「祖先たちが政治的圧力から技術を守るために作った場所です」
リヴァイアが振り返る。彼女の表情には、普段の冷静さに加えて、決意に似た強さが宿っていた。
「つまり、昔から同じような問題があったということですね」
ユエファンが壁の古代文字に手を触れながら言う。彼女の声には、諦めにも似た苦悩が込められていた。
「僕の国の政府も、もう技術者の自由な研究を制限し始めています」
タカハシが重い口調で話す。「軍事機密として扱うべきだという声が日に日に強くなって」
マリナは三人の表情を見回した。会議の後、それぞれが自国からの圧力について相談してきていた。純粋な技術への情熱が、政治的思惑に押し潰されそうになっている現実を、全員が実感している。
「私たちの研究は、本来すべての人々のためのものです」
エルンストが拳を握りしめる。「それが特定の国の利益のために使われるなんて」
「でも現実問題として、政府の支援なしには大規模な研究は続けられません」
ユエファンが苦しそうに言う。「東方王国では、すでに技術者への監視が始まっています」
リヴァイアがゆっくりと古代の装置に手を置く。すると、装置全体が柔らかな青い光に包まれた。
「この装置は、古代の『技術者の誓い』を記録したものです」
光の中に浮かび上がったのは、古代文字で刻まれた文章だった。
「『我らは知識を分かち合い、技術の純粋性を守り、すべての生命の繁栄のために智慧を用いることを誓う』」
リヴァイアが古代語を現代語に翻訳する。「千年前の技術者たちも、同じ理想を持っていました」
マリナの胸に熱いものが込み上げる。「私たちも同じ気持ちです」
「ええ、技術に国境なんてありません」
エルンストが力強く頷く。「海洋保護も、環境技術も、地球全体の問題です」
「私たちにできることはないでしょうか」
タカハシが前に出る。「政府の圧力に屈することなく、純粋な研究を続ける方法は」
リヴァイアが振り返る。「実は、古代の記録に興味深いシステムがあります」
彼女が装置を操作すると、新しい文字が浮かび上がった。
「『技術者同盟』という組織です。政治的中立を保ちながら、技術者同士の自由な交流を保障する仕組みでした」
「現代でも実現可能でしょうか」
ユエファンが身を乗り出す。
「竜人族には外交的特権があります」
リヴァイアが説明する。「古代三族協定により、アビス・パレスは中立地帯として認められています。ここでの活動は、どの国の法律にも縛られません」
マリナの心に希望が灯る。「つまり、ここを拠点にすれば」
「自由な技術交流を続けられます」
リヴァイアが微笑む。「各国政府に対しては、正式な外交ルートを通じて協力体制を築く。でも技術者としての純粋な研究は、政治的圧力から完全に独立させる」
「素晴らしいアイデアです」
エルンストが興奮して言う。「それなら、どの国の利益にも偏らない、本当に公正な技術開発ができます」
「でも、政府が反対したら」
タカハシが心配そうに言う。
「技術者個人としての自由な学術交流です」
マリナが答える。「政府間の正式協定とは別に、私たち研究者同士の知識共有を行う。それ自体は、どの国でも保障されている学問の自由の範囲内です」
「なるほど、二重システムですね」
ユエファンが理解を示す。「政府レベルでは正式な国際協力、技術者レベルでは自由な学術交流」
リヴァイアが頷く。「そして竜人族が両者の調整役を務めます。政治的中立性を活かして、真の技術協力を実現する」
マリナは四人の顔を見回した。それぞれの目に、同じ決意の光が宿っているのが見える。
「皆さん、一緒にやりませんか」
マリナが手を差し出す。「技術者としての理想を守るために」
「もちろんです」
エルンストが真っ先に手を重ねる。「純粋な技術への情熱を、政治に汚させるわけにはいきません」
「私も参加します」
ユエファンが繊細な手を重ねる。「東方の技術を、世界のために役立てたい」
「僕も同感です」
タカハシが力強く手を重ねる。「現実的な解決策を見つけて、理想を実現しましょう」
最後にリヴァイアが手を重ねる。「竜人族として、技術者たちの理想を全力で支援します」
五つの手が重なった瞬間、古代の装置が一段と明るく輝いた。まるで古代の技術者たちが、現代の仲間たちを祝福しているかのようだった。
「これで『技術者同盟』の結成ですね」
マリナが感動に声を震わせる。
「政府の思惑に左右されない、純粋な技術協力のために」
エルンストが誓うように言う。
「具体的にはどのような活動を?」
タカハシが実用的な質問をする。
リヴァイアが考えを整理する。「まず、この秘密研究室を技術者同盟の本部とします。ここで自由な研究と情報交換を行う」
「各国での研究は、それぞれの政府との協力の下で進める」
マリナが続ける。「でも、得られた知識は同盟で共有し、全人類の利益のために活用する」
「技術の軍事転用については、同盟として厳しい制限を設ける」
ユエファンが提案する。「環境保護と平和利用を最優先にして」
「そして、新しい技術者の育成も重要ですね」
タカハシが付け加える。「次世代に、私たちの理想を引き継いでもらうために」
リヴァイアが古代装置に再び手を置く。「古代の智慧も活用しましょう。竜人族に伝わる技術で、現代の問題解決に役立つものがたくさんあります」
装置から新しい光が放たれ、部屋全体が神秘的な青い光に包まれた。
「この光は『誓いの証』です」
リヴァイアが説明する。「古代から続く技術者の絆を示すもの。私たちの決意が本物であることを、祖先たちが認めてくださったのです」
マリナの心に、深い感動が広がる。転生前の世界では味わえなかった、仲間との真の絆を感じている。
「明日からは、表向きは政府との正式協議を続けます」
マリナが整理する。「でも、私たち技術者の本当の活動は、ここから始まる」
「政府の皆さんにも、きっと理解していただけます」
エルンストが前向きに言う。「技術者の自由な発想こそが、本当のイノベーションを生むということを」
「そのためにも、まず成果を示すことが大切ですね」
ユエファンが現実的な視点を示す。「理論だけでなく、実際の技術で政府を納得させる」
「みんなで力を合わせれば、きっとできます」
タカハシが希望に満ちた声で言う。
リヴァイアがマリナの方を見る。「あなたの提案から始まったこの技術協力が、こんな形で発展するなんて」
「私一人では何もできませんでした」
マリナが微笑む。「皆さんがいてくださったから、こんな素晴らしい仲間に出会えました」
「これからが本当の始まりです」
リヴァイアの瞳に、これまで見たことのない温かさが宿る。「技術者として、そして」
彼女が少し照れたように視線を逸らす。
「そして、大切な人として」
マリナの頬が薄く赤らむ。政治的な困難の中で育まれた絆が、今、確かなものになろうとしている。
「技術者同盟の活動方針を、もう少し詳しく決めましょう」
エルンストが実務的な提案をする。「まずは研究テーマの優先順位から」
「環境保護技術を最優先にしたいと思います」
マリナが答える。「海洋浄化、大気保全、生態系保護」
「エネルギー技術も重要ですね」
ユエファンが付け加える。「クリーンで持続可能な魔素活用法」
「それから災害対策技術」
タカハシが提案する。「自然災害から人々を守る技術」
リヴァイアが頷く。「竜人族の古代技術には、それらすべてに関する知識があります。喜んで共有させていただきます」
「では、活動の基本原則を確認しましょう」
マリナが提案する。
「第一に、技術の平和利用」
エルンストが言う。
「第二に、環境と生命の保護」
ユエファンが続ける。
「第三に、知識の自由な共有」
タカハシが付け加える。
「第四に、政治的中立の維持」
リヴァイアが締めくくる。
「そして第五に、次世代への継承」
マリナが最後の原則を述べる。
五人が改めて手を重ねる。古代の装置が再び光を放ち、技術者同盟の誓いを祝福するかのようだった。
「明日からの政府協議では、このシステムを提案してみましょう」
マリナが言う。「技術者の自主性を尊重しながら、政府の要求にも応える方法として」
「きっと理解していただけます」
リヴァイアが確信を込めて言う。「竜人族の外交力も活用して、最良の結果を目指しましょう」
夜が明けかけた空が、研究室の小さな窓から見えている。新しい一日が、希望に満ちて始まろうとしていた。
「技術者同盟の第一回会議を、これで終了します」
マリナが宣言する。
「次回会議は明日の夜、政府協議の結果を受けて」
リヴァイアが続ける。
「それまでに、各自で具体的な研究計画を考えてきましょう」
エルンストが提案する。
「私たちの理想を、現実のものにするために」
ユエファンが決意を新たにする。
「必ず成功させましょう」
タカハシが力強く宣言する。
五人は秘密の研究室を後にした。表面的には何も変わらない朝が来ても、彼らの心には確かな絆と希望が宿っている。
技術者としての純粋な情熱を守り抜く。そのための仲間が、今ここに結集した。
海底のアビス・パレスに、新しい時代の扉が静かに開かれようとしていた。
0
あなたにおすすめの小説
ふしあわせに、殿下
古酒らずり
恋愛
帝国に祖国を滅ぼされた王女アウローラには、恋人以上で夫未満の不埒な相手がいる。
最強騎士にして魔性の美丈夫である、帝国皇子ヴァルフリード。
どう考えても女泣かせの男は、なぜかアウローラを強く正妻に迎えたがっている。だが、将来の皇太子妃なんて迷惑である。
そんな折、帝国から奇妙な挑戦状が届く。
──推理ゲームに勝てば、滅ぼされた祖国が返還される。
ついでに、ヴァルフリード皇子を皇太子の座から引きずり下ろせるらしい。皇太子妃をやめるなら、まず皇太子からやめさせる、ということだろうか?
ならば話は簡単。
くたばれ皇子。ゲームに勝利いたしましょう。
※カクヨムにも掲載しています。
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
悪役令嬢は死んで生き返ってついでに中身も入れ替えました
蒼黒せい
恋愛
侯爵令嬢ミリアはその性格の悪さと家の権威散らし、散財から学園内では大層嫌われていた。しかし、突如不治の病にかかった彼女は5年という長い年月苦しみ続け、そして治療の甲斐もなく亡くなってしまう。しかし、直後に彼女は息を吹き返す。病を克服して。
だが、その中身は全くの別人であった。かつて『日本人』として生きていた女性は、異世界という新たな世界で二度目の生を謳歌する… ※同名アカウントでなろう・カクヨムにも投稿しています
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる