最弱職【掃除士】が実は環境最強でした ~ダンジョンの浄化で世界を救う~

宵町あかり

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第54話 掃除士学校の設立

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「掃除士学校か……本当にやるのか?」

国王の執務室で、翔太は緊張の面持ちで立っていた。隣にはガイウス騎士団長とエリーゼが同席している。

「はい。昨日の東の大陸との交流で確信しました。掃除の技術を体系的に教える場所が必要です」

国王は顎に手を当て、しばらく考え込んでいた。そして、にやりと笑った。

「面白い! 虚無王を倒した英雄の頼みだ。それに、掃除士が増えれば王国も清潔になる。一石二鳥じゃないか」

「本当にいいんですか?」

「ああ。王国として全面的に支援しよう。場所はどこにする?」

翔太は準備してきた地図を広げた。

「王都郊外の、あの丘の上はどうでしょうか。見晴らしも良いですし、広い土地が確保できます」

「なるほど、あそこか。確かに良い場所だ」

国王は即座に書類に署名した。

「これで正式に土地の使用を許可する。ヴェリディアン王立掃除士学校として、国の認可も与えよう」

「ありがとうございます!」

翔太の顔に安堵と喜びが広がった。



王都郊外の丘に立つと、素晴らしい眺望が広がっていた。

「ここに学校を建てるんだな」

リクが感慨深げに呟く。集まったのは、翔太の仲間たち全員だった。

「すごい! ここなら最高の学校ができるよ!」

カールが興奮気味に駆け回る。レオも目を輝かせていた。

「実技の練習場も作れそうですね」

ミーナが地形を確認しながら言う。

「座学用の教室、実技練習場、瞑想室……必要な施設はたくさんあるな」

翔太が構想を語り始めると、突然、空中に建物の幻影が浮かび上がった。

《システム通知:建築支援モード起動》
《3D設計図を空間投影します》

「また変なことが……」

システムの改変後、こういう予期せぬ機能が時々現れる。でも今回は便利そうだ。

「おお、これは分かりやすい」

空中に浮かぶ透明な建物のイメージ。翔太が手を動かすと、それに合わせて建物の配置が変わっていく。

「本館はここに。三階建てで、座学教室を6つ」

建物が具現化していく。

「実技棟は少し離して。汚れを作って浄化する練習もするから、広めのスペースが必要だ」

「瞑想棟は静かな場所がいいですね」エリーゼが提案する。「あの木立の近くはどうでしょう」

「いいね。自然の中で心を落ち着けられる」

さらに翔太は続けた。

「国際交流棟も必要だ。煌国から留学生が来るって約束したから」

「煌国の建築様式も少し取り入れたらどうだ?」リクが提案した。「向こうの人も親しみやすいだろう」



建設が始まると、予想以上に多くの人が協力を申し出てきた。

「英雄様の学校建設なら、俺たちも手伝うぜ!」

王都の大工組合が総出でやってきた。石工、左官、屋根職人……あらゆる職人たちが集まる。

「これは助かるな」

翔太が感謝を述べると、親方が胸を張った。

「虚無王を倒してくれた恩返しさ。それに、面白いものが見られそうだしな」

実際、建設現場では次々と面白い現象が起きた。

《建設速度+300%バフ発動!》

突如として職人たちの動きが高速化する。

「うおっ!? 体が勝手に……でも疲れない!」

「これはすごい、一日で一週間分の仕事ができそうだ!」

ある時は、資材が勝手に整列したり、設計図が立体映像で空中に浮かんだり。

「便利だけど、慣れないな……」

職人たちは戸惑いながらも、その恩恵を活用していく。

カールとレオも積極的に手伝った。

「掃除術で、建設現場を常に清潔に!」

レオが【浄化】を使って粉塵を除去し、カールが資材を綺麗に整頓していく。

「お前ら、大した掃除士だな」

職人たちも感心していた。



建設と並行して、カリキュラムの検討も進められた。

王宮の一室を借りて、会議が開かれる。

「まず基礎課程だ」翔太が黒板に書き始める。「レベル1から20くらいの初心者向け」

基礎課程の内容:
- 掃除道具の正しい使い方
- 物理的清掃の基本技術
- 浄化魔法の初歩
- 掃除の心構えと哲学

「物理的な掃除から始めるのが大切だと思うんだ」

カールが頷く。

「そうですね。いきなり魔法じゃなくて、手を動かすことから」

「応用課程は、レベル21から50向け」ミーナが提案する。

応用課程の内容:
- 状態異常の浄化技術
- 環境浄化(水質、大気)
- チーム掃除術の習得
- 特殊な汚れへの対処法

「チーム掃除術は重要だな」リクが言う。「一人じゃ限界がある」

「そして特別課程」翔太が続ける。「これは選抜制にしよう」

特別課程の内容:
- 心の浄化(精神的アプローチ)
- 概念浄化への第一歩
- 瞑想と内省
- 掃除道の極意

「概念浄化は、才能も必要だからな」

エリーゼが新たな提案をした。

「東の技術も取り入れましょう。リン・シャオさんが言っていた『気の流れ』を読む技術」

「それいいね。東西の技術を融合させた、新しい掃除術が生まれるかも」

さらに議論は続く。

「段位制も面白いかもしれない」ミーナが提案する。「レベルとは別に、技術の習熟度を示す」

「初段から九段まで?」

「そう。レベルが低くても、技術が優れていれば段位は上がる」

「それなら、レベル1でも頑張れば評価されるってことか」

カールの目が輝いた。



教師陣の選定も重要な議題だった。

「校長は翔太さんで決まりでしょう」ガイウスが言う。

「いや、俺は特別講師くらいで……」

「何言ってるんですか!」カールが立ち上がった。「翔太様以外に誰が校長を務められるっていうんです!」

「そうだそうだ」レオも同意する。

結局、翔太が校長を引き受けることになった。

教師陣の配置:
- 翔太:校長兼特別講師(概念浄化)
- カール:基礎技術主任(レベル48)
- レオ:実技指導教官(レベル37)
- リク:戦闘応用講座(掃除×戦闘の融合)
- ミーナ:理論・座学担当主任
- リン・シャオ:特別講師(東西文化交流)※月一回
- エリーゼ:名誉顧問(妊娠中のため軽い役職)

「いい布陣だな」

ガイウスが満足そうに頷く。

「問題は生徒集めだが……」

その心配は杞憂だった。



学校建設のニュースは、瞬く間に王国中に広まった。

『英雄・佐藤翔太が掃除士学校を設立!』
『王立認可! 学費は実質無料!』
『東の大陸からも留学生!』

告知を出してわずか三日で、応募が殺到した。

「応募者が……300人を超えてます」

ミーナが書類の山を前に呆然としている。

「初年度の定員は30人なのに……」

応募者の内訳を見ると、実に多様だった。

王都の若者たちはもちろん、地方からも多くの応募があった。農村から、漁村から、山間の村から。

「掃除士になって、村を綺麗にしたいです」
「環境を守る仕事がしたい」
「翔太様のようになりたい!」

手紙には、それぞれの思いが綴られていた。

さらに、煌国からも早速留学希望者のリストが届いた。

「煌国から5名、第一期生として送りたいとのことです」

リン・シャオからの書簡だった。

選抜をどうするか、新たな会議が開かれた。

「学力試験?」
「いや、掃除に学力は関係ない」

「実技試験?」
「初心者には厳しすぎる」

議論の末、翔太が決めた。

「面接だけにしよう。掃除への情熱と、学ぶ意欲を見る」

「それだけ?」

「それが一番大切だと思うんだ。技術は後からいくらでも身につく。でも、心構えは最初から必要だ」



二週間後、仮校舎を使って面接が行われた。

「どうして掃除士になりたいの?」

翔太の質問に、応募者たちは様々に答えた。

「街を綺麗にしたいから」

「家族が病気で、浄化の技術を学びたい」

「かっこいいから!」

素直な答えもあれば、深い事情を抱えた者もいた。

ある少年は、こう答えた。

「僕の村は、昔、汚染で苦しみました。今は回復しましたが、二度とそんなことが起きないように、守りたいんです」

また、ある女性は、

「子供たちに、物を大切にすること、清潔の大切さを教えたいんです。掃除を通じて」

レベルは問わないという方針通り、合格者のレベルは様々だった。

レベル1の少年、レベル15の主婦、レベル28の元兵士……

「皆、やる気は十分だな」

リクが面接記録を見ながら言う。

最終的に、第一期生として35名が選ばれた。定員を少し超えたが、皆の熱意に応えたかった。

内訳:
- ヴェリディアン王国民:30名
- 煌国留学生:5名



建設開始から一ヶ月。

ついに、ヴェリディアン王立掃除士学校の主要施設が完成した。

「見事なものだ」

国王自ら視察に訪れ、満足そうに施設を見て回る。

本館は白亜の三階建て。座学教室が6つ、図書室、教員室が配置されている。

実技棟は、広大な練習スペースを持つ平屋建て。様々な「汚れ」を人工的に作り出し、浄化の練習ができる。

瞑想棟は、木立に囲まれた静謐な空間。煌国の建築様式も取り入れ、東西の文化が融合したデザインになっている。

国際交流棟は、留学生の生活も考慮した造り。煌国式の茶室まである。

「素晴らしい。これなら、良い学びの場になるだろう」

エリーゼも満足そうだ。体調は良好で、お腹も少し目立ち始めていた。

「この子も、いつかここで学ぶのかしら」

優しくお腹を撫でる。

「きっとね。その頃には、もっと大きな学校になってるかも」

翔太が微笑む。



開校を一週間後に控えた夕方。

翔太とエリーゼは、完成したばかりの校舎の屋上にいた。

「夢みたいだな」

翔太が呟く。

「最弱職と呼ばれた掃除士の学校が、国の認可を受けて建つなんて」

「あなたが頑張った成果よ」

エリーゼが優しく言う。

「いや、皆のおかげだ」

カールとレオは、すでに授業の準備に余念がない。教材を作り、練習メニューを考えている。

リクとミーナも、それぞれの担当講座の準備を進めていた。

「なあ、エリーゼ」

「なに?」

「この学校から、どんな掃除士が育っていくんだろう」

翔太の問いに、エリーゼは少し考えてから答えた。

「きっと、あなたのように優しくて強い掃除士よ」

「俺みたいに?」

「ええ。でも、それぞれが自分なりの掃除の形を見つけていく。それが素敵じゃない?」

確かにその通りだ。

掃除に正解はない。それぞれが、それぞれのやり方で世界を清め、守っていく。

「リクたちも、最近幸せそうだよな」

翔太が話題を変えた。

「ええ。ミーナさんと、いい雰囲気みたい」

「学校の準備で一緒にいる時間も増えたし」

「もしかしたら、近いうちに……」

エリーゼが意味深に微笑む。

「結婚か」

「平和になって、皆がそれぞれの幸せを見つけていくのね」

二人は夕日を眺めながら、穏やかな時間を過ごした。

一週間後の開校式。

そして、新しい掃除士たちの物語が始まる。

世界は確実に、より良い方向へ進んでいた。

━━━━━━━━━━━━━━━
【ステータス】
翔太 Lv.200【創世の掃除士・校長】
HP: 99999/99999
MP: 50000/50000

エリーゼ Lv.60【聖女・生命を宿す者】
HP: 8000/8000
MP: 5000/5000

カール Lv.48【上級浄化士・教官】
レオ Lv.37【正式浄化士・実技担当】
━━━━━━━━━━━━━━━
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