転生王子はスライムを育てたい ~最弱モンスターが世界を変える科学的飼育法~

宵町あかり

文字の大きさ
77 / 110

第77話 光と風の予行演習

しおりを挟む
 古代遺跡を発見した翌日。六体共鳴の前に、予行演習が必要だと判断した。

「いきなり六人全員で共鳴させるのはリスクが高い。まず二人で試してみよう」

 研究室で、計画を説明する。ホワイトボードに図を描きながら、手順を整理していく。

「ルミナとエオリア、君たちで二体共鳴の実験をしたい」

 二人が顔を見合わせる。

「私たち...ですか?」

 ルミナが不安そうに聞く。金色の瞳が、僕を見つめている。

「うん。光と風——二つの属性は相性が良いはずだ。それに、君たちは既に対極共鳴を見てきたから、共鳴の感覚をある程度理解してるはず」

 フィルミナとクリスタの対極共鳴実験——その成功を目の当たりにした経験が、きっと役立つ。

「頑張ります!」

 エオリアが元気に答える。風が彼女の周りで嬉しそうに踊る。

「でも...私、まだ共鳴したことないです。できるかな...」

 ルミナが不安そうに俯く。彼女は慎重派だ。新しいことに挑戦する時、いつも不安を抱える。でも、その慎重さが彼女の強みでもある——丁寧に、確実に物事を進める力。

「大丈夫。最初は誰でも不安だよ。でも、エオリアと一緒なら、きっとできる」

 ルミナの肩に手を置く。温もりを伝えたい。

「エオリア、ルミナを支えてあげてね」

「はい!ルミナ、一緒に頑張ろう!」

 エオリアがルミナの手を握る。その笑顔が、ルミナの不安を少し和らげたようだ。

「ありがとう、エオリア」

 ルミナが小さく笑う。

---

 中庭で実験を始めた。広い空間が必要だから、屋外での実施が適切だ。

「まず、古代音叉の音を聞いて、その周波数を覚えよう」

 音叉を鳴らす。澄んだ音色が響き、虹色の光が放たれる。美しい倍音が空気を震わせる。

 ルミナとエオリアが、目を閉じて音を聴く。二人とも、真剣な表情だ。魔力が微かに揺れている——音叉の周波数に反応しているようだ。

「この音...すごく綺麗」

 ルミナが呟く。

「うん。心に響く感じ」

 エオリアが頷く。

「次に、二人で手を繋いで、魔力を流し合おう。音叉の周波数に合わせて」

 二人が手を繋ぐ。ルミナの金色の魔力と、エオリアの緑色の魔力が、手の中で混ざり合い始める。でも、まだ調和していない——波長が合っていない。

「もっとゆっくり。相手の魔力を感じながら」

 二人が深呼吸する。魔力の流れが、少しずつ整ってくる。でも、完全な共鳴にはまだ遠い。

「試しに、魔法を発動してみよう。同時に」

「はい!」

 二人が魔法を放つ。

 ルミナが光の球を作り、エオリアが風の流れを作る。光と風——二つの魔法が空中で出会う。でも、融合しない。ただ混ざり合っているだけだ。

「うまくいかない...」

 ルミナががっかりする。

「最初からうまくいくはずがないよ。対極共鳴だって、フィルミナとクリスタは何度も失敗したんだから」

 励ます。失敗は成功の母だ——研究の基本だ。

「もう一度。今度は、相手の魔力の波長をもっと意識して」

 二回目の挑戦。

 少し良くなった。光と風が、微かに共鳴し始める。でも、まだ不安定だ。すぐに崩れてしまう。

「惜しい。波長はほぼ合ってる。でも、タイミングが0.3秒ずれてる」

 測定器でデータを確認する。タイミングのずれ——それが共鳴を妨げている。

「0.3秒...そんなに細かいんですか?」

 エオリアが驚く。

「共鳴は精密な現象だからね。少しのずれでも、全体が崩れる」

「どうすれば、タイミングを合わせられますか?」

 ルミナが真剣に聞く。その目には、諦めていない意志が宿っている。

「音叉の音に集中して。音叉がリズムを作ってくれるから、それに合わせて魔法を発動するんだ」

 三回目の挑戦。

 音叉を鳴らし、その音に二人が耳を傾ける。音のリズムが、二人の心を繋いでいく——それが見えるような気がする。

「今!」

 二人が同時に魔法を放つ。

 光の球が風に乗って舞い始める。以前より長く持続している——でも、まだ完全じゃない。数秒で崩れてしまう。

「もうちょっとだったのに...」

 エオリアが悔しそうに言う。

「いや、かなり進歩してるよ。三回目でここまで来たんだから」

 データを記録する。波長のずれ、タイミングのずれ、魔力の強度——全てが貴重な情報だ。

「休憩しよう。無理は禁物だ」

---

 木陰で休憩しながら、二人と話す。

「ルミナ、まだ不安?」

「少し...でも、エオリアと一緒だから、頑張れます」

 ルミナが微笑む。その笑顔が、以前より明るい。

「エオリアは?」

「楽しいです!ルミナと一緒に、新しいことに挑戦できて」

 エオリアが元気に答える。その明るさが、場を和ませる。

「二人とも、良いコンビだね」

 本当にそう思う。ルミナの慎重さとエオリアの明るさ——対照的な性格が、お互いを補い合っている。

「でも、共鳴って難しいですね。技術だけじゃダメなんですか?」

 ルミナが聞く。

「技術も大切だけど、それ以上に心が大切なんだ。相手を信じること、相手を感じること——それが共鳴の本質だよ」

 二人が顔を見合わせる。

「私、エオリアのこと信じてます」

 ルミナが言う。

「私も、ルミナを信じてる!」

 エオリアが笑顔で答える。

「じゃあ、その気持ちを魔法に込めてみよう」

---

 休憩後、四回目の挑戦。

「今度は、相手を信じる気持ちを込めて。技術じゃなく、心で繋がって」

 二人が手を繋ぐ。今度は、魔力の流れが違う。以前より滑らかで、温かい——感情が込められている。

 音叉を鳴らす。二人が目を閉じて、音に集中する。

「ルミナ、準備できた?」

 エオリアが優しく聞く。

「うん。一緒にやろう」

 ルミナが頷く。その声に、迷いがない。

「じゃあ、せーので。3、2、1...!」

 二人が同時に魔法を放つ。

 瞬間、空気が変わった。

 光の粒子が風に乗って舞い始める。でも、今度は違う。光と風が完全に融合している——まるで一つの魔法のように。

 光の粒子が、虹色に輝きながら、優雅な螺旋を描いて舞い上がる。風がメロディを奏で、光がそれに応える。まるで、音楽と光のダンスだ。

「すごい...成功してる!」

 息を呑む。これは、ただの魔法じゃない。芸術だ。科学と芸術の融合——共鳴の本質がここにある。

 光と風が作り出す現象は、言葉では表現できないほど美しい。虹色の光の粒子が、風に乗って天使の羽根のような形を作る。そして、その羽根が風鈴の音のような、優しい音色を奏でる。

「Light Wind...光の風、か」

 新しい魔法の名前が、自然と口から出た。

 二人が目を開ける。驚きと喜びで、目が輝いている。

「私たち...できた!」

 ルミナが信じられないという顔をする。

「やった!ルミナ、すごいよ!」

 エオリアが喜んで抱きつく。

 Light Windは、しばらく続いた。光と風が空中で踊り、美しいハーモニーを奏でる。周囲の植物も、その魔法に反応して微かに光り始める——共鳴の影響が、環境にまで及んでいる。

 やがて魔法が消えると、二人は疲れた顔で、でも満面の笑みで抱き合っていた。

「成功だ。完璧な二体共鳴だった」

 データを確認する。波長のずれ0.01秒以内、魔力の同調率98%、持続時間32秒——全てが理想的な数値だ。

「これで、六体共鳴への道が見えた」

 ノートに記録する。今日のデータは、六体共鳴の成功確率を大幅に上げる。

---

 夕方、研究室で今日の成果を整理していた。

「Light Windは、完璧な共鳴の実例だ」

 シグレが頷く。

「二人の信頼関係が、技術的な制約を超えました」

「そう。共鳴は技術だけじゃない。心の繋がりが必要なんだ」

 ホワイトボードに図を描く。

**共鳴の三要素**

1. 技術的精度(波長、タイミング、魔力制御)
2. 感情的繋がり(信頼、共感、一体感)
3. 環境的条件(場所、触媒、魔素密度)

「六体共鳴も、この三つが揃えば成功するはずだ」

「坊ちゃま、明日の準備は整いますか?」

「ああ。今日の実験で、最後のピースが埋まった。明日、古代遺跡で六体共鳴を実施しよう」

 決意を固めた。準備は整った。あとは、実行するだけだ。

---

 その夜、各国の諜報員たちは新たな報告を送った。

 ガルヴァン(神聖騎士団)が震える手で報告書を書く。

「新たな属性兵器が開発された!」

「『Light Wind』——光と風を融合した攻撃魔法!」

「虹色の光は目を眩ませ、風は敵を吹き飛ばす!」

「全軍に通達!光防御と風防御の両立訓練を開始せよ!」

---

 メルキオール(聖教国神官)が興奮して祈りを捧げる。

「天使の羽根が現れた!神の奇跡だ!」

「虹色の光は神の祝福、風鈴の音は天の声!」

「全信徒に通達!新たな奇跡を讃えよ!」

---

 チェン・ロン(東方連合商会)が算盤を弾く。

「光と風の装飾品!新商品の可能性!」

「虹色の光る風鈴、天使の羽根のアクセサリー!」

「全商隊に通達!光風商品の開発を急げ!」

---

 学術国の学者たちが論文を書く。

「二属性融合魔法の成功例!」

「光の波動と風の波動の完全同調!」

「これは魔法学の歴史を書き換える発見だ!」

---

 一方、レオンは——

「ただ予行演習しただけなんだけど...」

 研究ノートを見直しながら、苦笑いしていた。

「でも、確かに美しかったな。Light Wind...良い名前だ」

 ルミナとエオリアが、まだ興奮した顔で話している。

「明日は、みんなで一緒だね」

 フィルミナが言う。

「うん。六人全員で、最高の共鳴を見せよう」

 マリーナが元気に答える。

 世界が戦争準備を始めようとも、レオンたちは知らない。

 各国が新兵器対策を練り、宗教団体が奇跡を讃え、商人たちが新商品を開発しようとも——。

 その温度差は、もはや計測不能だった。

 そして、運命の日——六体共鳴の日が、明日に迫っていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~

きよらかなこころ
ファンタジー
 シンゴはある日、事故で死んだ。  どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。  転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。  弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

転生辺境の雑用兵、知らぬ間に世界最強になっていた件 〜追放されたけど美女たちに囲まれて安寧生活〜

eringi
ファンタジー
辺境軍の雑用兵として転生した青年・レオン。異世界に転生したのに、剣も魔法も地味でパッとしない日々。ところが彼の“地味な努力”が、実は世界の理をゆるがすほどの能力だと気づく者が次々と現れる。貴族令嬢、魔族の姫、神官少女──気づけばハーレム状態に。追放された元仲間が破滅していく流れの中、本人だけは「俺、そんな強いかな?」と首をかしげる。無自覚最強×ざまぁ×追放後スローライフ×英雄伝説が交錯する、異世界逆転ストーリー。

ホームレスは転生したら7歳児!?気弱でコミュ障だった僕が、気づいたら異種族の王になっていました

たぬきち
ファンタジー
1部が12/6に完結して、2部に入ります。 「俺だけ不幸なこんな世界…認めない…認めないぞ!!」 どこにでもいる、さえないおじさん。特技なし。彼女いない。仕事ない。お金ない。外見も悪い。頭もよくない。とにかくなんにもない。そんな主人公、アレン・ロザークが死の間際に涙ながらに訴えたのが人生のやりなおしー。 彼は30年という短い生涯を閉じると、記憶を引き継いだままその意識は幼少期へ飛ばされた。 幼少期に戻ったアレンは前世の記憶と、飼い猫と喋れるオリジナルスキルを頼りに、不都合な未来、出来事を改変していく。 記憶にない事象、改変後に新たに発生したトラブルと戦いながら、2度目の人生での仲間らとアレンは新たな人生を歩んでいく。 新しい世界では『魔宝殿』と呼ばれるダンジョンがあり、前世の世界ではいなかった魔獣、魔族、亜人などが存在し、ただの日雇い店員だった前世とは違い、ダンジョンへ仲間たちと挑んでいきます。 この物語は、記憶を引き継ぎ幼少期にタイムリープした主人公アレンが、自分の人生を都合のいい方へ改変しながら、最低最悪な未来を避け、全く新しい人生を手に入れていきます。 主人公最強系の魔法やスキルはありません。あくまでも前世の記憶と経験を頼りにアレンにとって都合のいい人生を手に入れる物語です。 ※ ネタバレのため、2部が完結したらまた少し書きます。タイトルも2部の始まりに合わせて変えました。

42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。

町島航太
ファンタジー
 かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。  しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。  失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。  だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

処理中です...