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孤独のタイピング
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カタカタカタカタカタ…
いつものように狭くて暗い部屋で1人、好きなアーティストのツイート、電子機械に関する情報を漁り、エナドリを飲んでいる私は、来栖桜妃(くるすおうひ)。中学三年生。
実は私は二重人格。小学校から親からの虐待やクラスメートからのイジメで二重人格になってしまった。私は毎日現実逃避して生きている社会不適合者だと思ってる。学校はほとんど保健室登校で友達とも話さない。てかまず学校の生徒の中で友達がいない。
(「桜妃、ごめんもうあんたの人格に付き合ってられない。」)
この言葉が唯一の親友からの最後の言葉。それ以来引きこもるようになり、休みの日は三食エナドリ、出かけることもないので服はちょっとボロいジャージを着てパソコンの前で永遠と座り続けている。
最近は人格が変わる頻度が多く、記憶が残っている時と残っていない時があるので用心するようにしてる。
クラ…
一瞬頭が真っ白になった。タイピングをする手は止まり、まるで骨が抜かれたように俯き私は桜妃ではなく、もう1人の人格、来栖竜妃(くるすりゅうひ)に変わった。
(うわ頭痛ぇ…)
人格が変わると毎回のように頭痛が起こる。しかしそんなの一瞬の話であってしばらくすれば直る。飲みかけのエナドリを手に取り、1口飲むとまたタイピングをし始める。今回は前の人格がやっていたことの記憶がちゃんと残っていたので焦らずに済んだ。
ピコン
携帯の着信が鳴った。ネッ友の廻田(かいだ)・マリン・ライナーからだった。
彼女は英語と日本語と中国語が喋れるトリリンガルで俺と同い年。
『竜妃?それとも桜妃?どっちでもいいけど私のお得意さんが君にプログラミングをお願いしたいって。引き受けてくれる?』
コイツはいい仕事だ。直ぐに返信した。
『竜妃だ。引き受ける。お前暇か?』
いつもはこんな時間にメール送ってくる事とかないし、逆にこっちからメールすると未読無視だし。
でもいい仕事を持ってきてくれるのはこいつしかいない。
『今日はね、好きぴとデートなの♡』
なんだよ好きぴって。ちょっとイラッとしながら既読無視をし、その依頼人とメールができるタグを送ってもらい、ページに飛んだ。
『こんにちは。この度はご依頼ありがとうございます。どう言ったご依頼でしょうか?』
『こんにちは。あなたが竜妃さんですね?早速ですが、あなたは1人でこの仕事をされているんですか?
年齢を教えていただけないでしょうか?』
こいつやけに知りたがりだな。以来の内容さえ言ってくれればいいのに。少し怪しく思いながらも質問に答えた。
『15ですけど。違法労働なのはわかっているんです。』
もしかしたら警察に通報されるのではないかと心配した。
『確かに違法労働ですね。ですが安心してください。私もその歳になってから年齢詐欺して働いていましたから。』
少し驚いたが、通報はしなさそうなので安心した。
『それで、依頼というのは?』
『竜妃さん。あなた私と一緒にエンジニアの仕事をしませんか?今すぐ決めろとは言いません。よく考えてから決めてくださいね。』
一瞬心がドキッとした。エンジニア?この俺が?いつ元の人格に戻るのか分からないこの俺が?
詐欺ではないか疑ったは疑ったが、廻田のお得意さんなら嘘は言わないだろう。
エナドリを二口流し込み、決意した。
『エンジニアの仕事、やらせてください。』
この一言で後に何が起こるのか分かってもいなかった。が、自分が将来、苦しくならないなら、それでいいと思った。
そして俺は自分の決断に満足しながらも別件の仕事を続け、今日も一人、カタカタとキーボードを打ち続け、孤独な時間を味わった。
いつものように狭くて暗い部屋で1人、好きなアーティストのツイート、電子機械に関する情報を漁り、エナドリを飲んでいる私は、来栖桜妃(くるすおうひ)。中学三年生。
実は私は二重人格。小学校から親からの虐待やクラスメートからのイジメで二重人格になってしまった。私は毎日現実逃避して生きている社会不適合者だと思ってる。学校はほとんど保健室登校で友達とも話さない。てかまず学校の生徒の中で友達がいない。
(「桜妃、ごめんもうあんたの人格に付き合ってられない。」)
この言葉が唯一の親友からの最後の言葉。それ以来引きこもるようになり、休みの日は三食エナドリ、出かけることもないので服はちょっとボロいジャージを着てパソコンの前で永遠と座り続けている。
最近は人格が変わる頻度が多く、記憶が残っている時と残っていない時があるので用心するようにしてる。
クラ…
一瞬頭が真っ白になった。タイピングをする手は止まり、まるで骨が抜かれたように俯き私は桜妃ではなく、もう1人の人格、来栖竜妃(くるすりゅうひ)に変わった。
(うわ頭痛ぇ…)
人格が変わると毎回のように頭痛が起こる。しかしそんなの一瞬の話であってしばらくすれば直る。飲みかけのエナドリを手に取り、1口飲むとまたタイピングをし始める。今回は前の人格がやっていたことの記憶がちゃんと残っていたので焦らずに済んだ。
ピコン
携帯の着信が鳴った。ネッ友の廻田(かいだ)・マリン・ライナーからだった。
彼女は英語と日本語と中国語が喋れるトリリンガルで俺と同い年。
『竜妃?それとも桜妃?どっちでもいいけど私のお得意さんが君にプログラミングをお願いしたいって。引き受けてくれる?』
コイツはいい仕事だ。直ぐに返信した。
『竜妃だ。引き受ける。お前暇か?』
いつもはこんな時間にメール送ってくる事とかないし、逆にこっちからメールすると未読無視だし。
でもいい仕事を持ってきてくれるのはこいつしかいない。
『今日はね、好きぴとデートなの♡』
なんだよ好きぴって。ちょっとイラッとしながら既読無視をし、その依頼人とメールができるタグを送ってもらい、ページに飛んだ。
『こんにちは。この度はご依頼ありがとうございます。どう言ったご依頼でしょうか?』
『こんにちは。あなたが竜妃さんですね?早速ですが、あなたは1人でこの仕事をされているんですか?
年齢を教えていただけないでしょうか?』
こいつやけに知りたがりだな。以来の内容さえ言ってくれればいいのに。少し怪しく思いながらも質問に答えた。
『15ですけど。違法労働なのはわかっているんです。』
もしかしたら警察に通報されるのではないかと心配した。
『確かに違法労働ですね。ですが安心してください。私もその歳になってから年齢詐欺して働いていましたから。』
少し驚いたが、通報はしなさそうなので安心した。
『それで、依頼というのは?』
『竜妃さん。あなた私と一緒にエンジニアの仕事をしませんか?今すぐ決めろとは言いません。よく考えてから決めてくださいね。』
一瞬心がドキッとした。エンジニア?この俺が?いつ元の人格に戻るのか分からないこの俺が?
詐欺ではないか疑ったは疑ったが、廻田のお得意さんなら嘘は言わないだろう。
エナドリを二口流し込み、決意した。
『エンジニアの仕事、やらせてください。』
この一言で後に何が起こるのか分かってもいなかった。が、自分が将来、苦しくならないなら、それでいいと思った。
そして俺は自分の決断に満足しながらも別件の仕事を続け、今日も一人、カタカタとキーボードを打ち続け、孤独な時間を味わった。
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