PINK

ヴァンター・スケンシー

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第ー話「キャバクラ」

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久々にキャバクラに行くことになった。
かなり力を入れていたプレゼンで競合に勝ち、見事受注をすることができたということで、上司の奢りで行くことになった。
正直・・・キャバクラってそんなに楽しくなんいんだよな・・・
いや・・可愛い女の子とお酒を飲めるのは楽しいが、別のその先があるなんて思うほどピュアじゃないし、少なくとも自分の金では行くことはない。
まあでも、今回は部長が上機嫌でいつもの3次会で行くようなキャバクラでなく、高級なキャバクラに連れて行ってくれるということだった。

店の名前は『ノストロモ』
・・・なんだっけな?なんか聞いたことあるような・・・
まあいいや、でも確かに店構えからして高級感があるお店だった。
 
ボーイに案内されて席に向かった。
二人掛けの高級そうなソファーに一人ずつ席に着いた。
席に着くと部長が「気に入った子だったら延長していいぞ、今日は社長からの許可も出ているから金のことは気にするな」とお達しが出た。

女の子たちがやって来た・・・・
やべ・・・可愛い・・・どこのアイドルグループだ?

全員可愛かったが俺の隣に座ってくれた女の子・・・超好みだった。
色白、スレンダー、大きな瞳。

「こんばんは、今日はありがとうございます」

俺の隣に座った女性はそう言って微笑んだ。
・・・・可愛い・・・惚れちゃいそう・・・・いやいや・・・キャバクラだし・・・
一瞬初めてあったアイドル級の女の子に恋をしそうになったが、我に返った。

「ララァです、よろしくお願いします」

ララァ???
某ロボットアニメのインド風の少女の名前かな?

「あっよろしくね」

「なんてお呼びすればいいですか?」

「ああ、名前ね・・鈴・・いや、シャアで」

「シャア?笑・・・大佐って呼んだ方がいいですか?」

あっやっぱそうだ。
しかもノリがいいな、こんな可愛いのにオタクなのかな?
話も合いそうだし、大当たりだな、延長だな、これは。

「いやいや、さすがに部長が一緒だし大佐はまずいかなぁw鈴木です、よろしく」

「あはは、部長と大佐ってどっちが偉いんでしょうね?・・・鈴木さんですね」

「なんでララァなの?」

「私ですか?私・・・ニュータイプなんです笑」

「マジで?笑」

「はい・・今日は・・・・大きなお仕事が取れたお祝いですね・・・・」

「すごい!当たり笑。でも、大体わかるでしょ笑。サラリーマンが5人でしかも部長までいてさ」

「あはは、バレました?どんなお仕事をしているんですか?」

「AIの開発」

「AIって人工知能って奴ですか?あの携帯に話しかけたら答えてくれる奴みたいな?」

「まぁ・・・大きく分けたらはそうなんだけどね・・・そんな大層な物は作ってないよ」

「えーでも凄いじゃないですか。かっこいいですね」

「いやいや、マジでそんな大したもんじゃないよ。う~ん、SNSとかやってる?」

「はい、やってますよ」

「広告とか出るじゃない?」

「はい、出ますね」

「あれってさ、使ってる人のデータを使って出し分けてるって知ってるよね?」

「なんとなく聞いたことあります。私、下着とコスメの広告ばっかり出ます笑」

「下着好きなの?」

「はい、可愛いの見つけたらすぐ買っちゃいます。見たいですか?笑」

「見たいけど・・・見せてくれるの?」

「いいですよ、下着の写真なら笑」

「なんだよ~着ているところが見たいんじゃ~ん」

ちょい下ネタもオッケーなんだな、いいね、しかし可愛いなぁ~

「でね・・・携帯でなんかする時ってさ、指で押すじゃない?画面を」

「まあ、そうですね」

「そんでさ・・・その時の体温を感知してね、使ってる人のテンションっていうか、感情を分析してみるっていうことをやってみたんだよね」

「体温で感情をですか?」

「うん・・・これは実際にやった実験なんだけど・・・ちょっとゲスい話・・ちょっとエロい話平気?」

「ちょっとなら平気ですよ笑」

「あのね、男の人ってさHな動画みるじゃない?」

「そうみたいですね、私もちょっと見てみたいですけど笑」

「そんでね、動画を探している時、再生を押した時、えーと早送りというか、みたいシーンに移動する時、停止を押した時の体温を比べてみたのね。いつが一番体温が高かったと思う?」

「えーいつだろう・・・探している時?」

「惜しい!!!それ二番目だったんだよね、みたいシーンを探してるっていうか移動してる時が一番体温が高かったんだよね」

「へー、なんでですか?」

「うーん、まあ・・一番テンションが上がってたんだろうね・・・いろいろなテンションが笑」

「いろんなテンションがですね笑」

「うん、その後も、会社の人とチャットしてる時と、彼女とチャットしてる時。とか、彼女と喧嘩してる時のチャットと彼女の愚痴を聞いている時のチャット。とか、いろんなシチュエーションで調べたんだよ」

「すごい・・・面白いですね」

「で、今までの広告っていうのは、今までどんなページを見たか?とかどんな物を買ったか?とかそういうデータを分析していて出していたんだけど、それに加えて、ユーザー・・ああ、使っている人のその時のテンションというか、どんな気分かっていうのも分析して広告を出すっていう仕組みを作れないか?ってね。
お腹減ってる時の体温とかも違うんだよね、だから『この人今お腹減ってるな』って分析をしたらフードデリバリーの広告出したりってね」

「えーやっぱり凄いじゃないですか・・・・凄いけどちょっと怖いですね・・・」

「うん、作ってる側が言うのも何だけどさ、めっちゃ分析されて、管理されてんじゃないか?って思うよね」

「・・・・・・・私・・・・・」

「うん?何?」

「ニュータイプって言うのは嘘なんです笑」

「あははは、知ってるよ笑」

「鈴木さんだけにこっそり教えちゃいますね・・・」

なんだ?連絡先でも教えてくれるのか?わくわく・・・・・

「私たちもみんなAIなんですよ・・・・」

「え?なになに?笑」

「AIっていうか・・AIを搭載したアンドロイドなんですよ!!」

この子面白いなぁ・・・話を合わせてくれる・・・
やっぱ高級な店の女の子の接客は上手だな。

「えーまじで?アンドロイド?笑。だとしたらすげー技術じゃん、俺たちの作ってるAIなんかよりも全然凄いじゃん」

「いえいえ、体温から感情を分析するのって凄いですよ~」

「本当にアンドロイドなの~調べてみたいなぁ~」

「えーどうやってですか?」

「うーん、体温を分析して、ちゃんとテンションが上がったりするかを・・・」

「なんかHなこと考えてませんか?笑」

「あはは、バレた?笑」

軽い下ネタにもアニメネタにも仕事話も程よく合わせてくれて盛り上がってきたところに・・・

『お客様・・そろそろララァさんお時間なんですが、いかがいたしますか?もちろん延長は可能です』

ふと周りをみると、みんなのところにもボーイさんが来ていたが・・・・
全員延長するようだった。
部長が延長しても良いと言っていてもさすがに俺だけ延長するのも気がひけるが、みんな延長だったら気にならない。っていうか、ちょっと気がひけるけど延長するつもりだったけど。

「延長でお願いします!!」

「ありがとう~嬉しい」

『承知いたしました』

「延長してくれたから・・・もっと凄い秘密教えちゃうね」

「え?なになに?」

「このお店の女の子はみんなアンドロイドなんだけど、このお店の系列も全部そうなの。そして・・・そのデータを集約しているメインコンピュータ『マザー』っていうAIがいるの」

「ララァちゃんさ・・・SF好きでしょ?」

「え?バレた?笑。大好きですよ笑」

話を合わせてくれるにしてもSFの話ができる女の子はなかなかいないし、面白そうな話だったから続きを聞いてみたくなった。

「うん、それで?」

「で、私たちの話したこととかは全部『マザー』に集約されているのね、お客さんの情報も。あっ個人情報とかはなしね。」

「うんうん」

「それで『マザー』がデータを集約して分析してお店とか私たちに送られてくるの」

「うん、面白い」

「気づいた?この席の人誰もチェンジしなかったでしょ?」

「え?ああ、まあ・・・でもさ・・・このお店の子みんな可愛いもん」

「じゃあ・・・・この中で誰が好みだった?」

「え?・・・あ・・まあ・・・ララァちゃん」

「うふふ、ありがと。鈴木さんキャバクラ来たの初めてじゃないでしょ?」

「うん・・まあ」

「じゃあ、うちの系列に来たことあるかもね」

「こんな高級店は初めてだよ」

「あっもっと親しみやすいお店もあるよ」

「そうなんだ・・で?続き聞かせてよ」

「うん、今日もね、お店から誰が誰に着くか指示をもらってね、もちろん『マザー』からの情報を使ってね。みんなの好みに合うように女の子がついたの。」

「なるほどね・・・・」

「名前もね・・・毎回変えるんだよ笑」

「え?そうなの?」

「うん『マザー』から何個か候補が送られてくるの。お客様が気になってお話が弾むように」

「え?じゃあ・・いつもはララァちゃんじゃないの?」

「うん、ララァは鈴木さんだけの名前だよ」

「おお・・・それはそれで・・・ちょっと嬉しいな・・・」

「前に来たお客様ならね・・・・どんなお話を楽しくしていただいたか?どんな女の子を延長していただいたか?そういうデータも送られてきているの、来ていただいたお客様が楽しんでもらえるように、楽しくお話してももらえるようにね」

ララァちゃんの話は面白かった・・・
これ・・・仕事のネタというか・・次の企画に繋がりそうだな・・・・

「いやぁ・・・面白い話だよ・・・・ララァちゃん何か飲む?」

「え?いいんですか?じゃあ・・鈴木さんは?」

「あっじゃあ俺もおかわり」

俺はもう一杯飲んでララァちゃんの話を聞くことにした。

「かんぱーい、ありがとうございます」

「いやいや、楽しいよ、マジで」

「鈴木さん、下着見たいって言ってましたよね?」

「え?笑。そりゃ見たいよ」

「何色が好きなんですか?鈴木さん」

「えーー・・・・迷うなぁ・・・・まあ・・でも・・ララァちゃん色が白いから赤とか似合いそうだなぁ」

俺がそう言うと、ララァちゃんは黒いドレスの肩の部分を少しだけずらしてブラ紐を見せてくれた。綺麗な赤のブラ紐だった。

「ね?ふふふ」

「え?俺の下着の好みもわかってたってこと?」

「さあ・・どうでしょうね笑」

「え?・・・・マジの話なの?これ?」

「ふふふ、マジですよぉ笑。・・・私お酒弱いんですよね・・・・」

ララァちゃんはお酒を一口飲んだだけで、少し頬が赤くなった。
可愛さが倍増した・・・やばい・・・これ・・・マジで口説きたくなる・・・・
冷静さを取り戻そうと、周りを見てみた。
みんな・・女の子にメロメロになってる・・・よかった俺だけじゃなかった。

「え?じゃあ・・SF好きとかもデータを元に話を合わせてるって感じ?」

「違いますよ、大好きです。SF、アニメも好きですよ」

「じゃあ・・・その『マザー』が俺に合うような趣味のララァちゃんを選んでくれたってこと?」

「そうですよ、だってせっかくお店に来てくれたんだから、楽しくお酒を飲んで欲しいじゃないですか」

「うん、楽しい笑」

「やっぱりお酒飲んだら熱くなってきちゃった。この仕事はじめても全然お酒強くならないんですよねぇ・・・鈴木さんの開発した体温センサーだと、今の私どんなテンションだって分析されるんだろうなぁ・・・」

やばいぞ・・・本格的にやばいぞ・・・
キャバクラにハマる人間なんて・・・って今まで思ってきたが、今俺は完全にララァちゃんにハマりそうになっている・・・
もしララァちゃんの言うことがほんとでAIが分析しているのだとしたら優秀なAIだ・・・
完全に分析されて手のひらの上でコロコロされている・・・・

「あっ・・連絡先とか・・・交換しない?」

「いいですよ~、嬉しい!」

俺はララァちゃんとLINEの交換をした。
・・・アカウントが『ララァ』になっている・・・
俺だけの名前っていうのはやっぱり嘘か・・・
少しテンションが下がったが

「アンドロイドって色々できるんですよ~、LINEで会話なんてしちゃったら、私どんどん鈴木さんのこと理解しちゃいますよ。次来てくれたらもっといっぱいいろんなお話できそうだなぁ」

「マジで?でもこのお店高そうだからそんな簡単にはこれなそうだよ」

「そうですか?そうかぁ・・・まあ・・・じゃあお店では会えないかもしてないですけど・・・」

え?なんだって・・プライベートでも会ってくれるのか?
これはAIじゃない。完全な一流のキャバクラ嬢のテクだ!
騙されそうだ!でも・・・騙されてもいいからもう少し話をしてみたい・・・・

『そろそろお開きにするか・・・』

部長が少し残念そうな表情をしながらもこの会を終わらせようとした。
まあ、金額はわからないが・・多分相当な金額になったんだろう・・・

俺たちは後ろ髪を思いっきり引っ張られながら席を立った。
見送りに来てくれたララァちゃんに

「じゃあ・・また。・・・LINEしてもいい?」

「はい。待っていた方がいいですか?・・・私から送っちゃダメですか?」

「え?いや全然!!!即レスするよ」

『ありがとうございました』

ボーイと女の子に見送られて、俺たちは店を出た。

「やばかったな・・・やっぱ良い店は違うな・・・・」

「ああ、マジで俺に着いてくれた子最高だったよ」

「いやいや、俺の子の方がやばかったって」

「いやぁ・・・いろんな銀座のクラブも行ったけど・・・この店は中々・・・いやいい店だよ、まあ値段もなかなかだったけどな・・社長に怒られるかな・・・」

部長がそう言ってレシートを見せてくれたが・・・
ああ・・・凄いな・・・一人で来ようかと思ったけど・・・ボーナスが出た月にしか来れなそうだな・・・
そんな会話をしながら店の外に出た『ノストロモ』と書いた看板を前を通り過ぎた。

ノストロモ・・・・・・・
思い出した・・・

映画『エイリアン』の宇宙船の名前だ。
・・・・その宇宙船はAIが管理をしていた・・・・
そのAIの名前は・・・・・『マザー』だったはずだ・・・・・
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