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#006

宮之阪と悪魔

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 彼女もまた他の人とは違うかった。

 なんと彼女は、この世界に「私」以外に誰かを救う人間がいないから、という理由で誰かを救う人だった。

 そんな考え方を、私は「変わっている」と思った。この世界には彼女以外にも誰かを救おうとする人間はたくさんいると思っていたから。

 しかし、そうじゃなかったんだ。見返りを求めず誰かを助けようとする私が少数派であり、変わっていただけだったんだと改めて感じさせられた。

 彼女は言った。「人間」という生き物は思っているよりも「人間」に無関心であると。誰も他の「人間」を正面から見ようとしていないと。だから、私は戦うのだと。

 そんな彼女に私は小さい頃に魔法少女になりたいと夢見たように初対面ながらも憧れた。この人のように強い想いをもって、戦い、誰かを助け、救いたいと。

 そして、私は大好きなこのクラスを、この学校を、この街を護るために命をかけて戦いたい、そう思ったんだ。

 であれば、今私の周りで理不尽に晒され、ただの人間が命を落とす、そんな横暴がまかり通っていると知ってしまった以上、私はそれを見過ごす訳にはいかない。普通の人のように見過ごしたくはない。


 誰かを助けないくらいなら、私は「変わり者」でいい。


 だからそれに気が付いてしまった時、私は二つの意味で酷く動揺した。

 みんなが私の事を「賢い」と言うがそれは違う。私はただただ目敏いだけなのだ。知らなくてもいいことまで知ろうとして知ってしまうだけなんだ。世の中なんて知らなくていいことばかりなのに。

 でも、今回は知らなかったら良かったとは思わなかった。

 私がそれに気が付くことが出来なかったら、私はきっと私の大切な人々を護ることが出来なかったから。

 しかし、気付いたとは言えども、私には戦う力がなかった。武道なんてやったこともないし、もちろん筋力的な面でも弱い。力じゃ到底及ばない。

 だから、私に出来ることは交渉する事、そしてをする事だ。

 前日に送信した「翌の早朝七時に学校の屋上に来て」というメールには「分かった」とだけ返ってきた。
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