異界の相対者

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学校編

国民局

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城人とは、ざっくり言えば城で働いている人間のことをいう。城人はふたつに分けられる。ひとつは王族達の世話をする人たちのこと。メイド、コック、医者、庭師諸々。もうひとつは城にある「国民局」で働く人達をいう。城人といえば一般的には後者を指し、前者のことは「奉公さん」と呼び、区別している。一般的な城人、国民局は以下の九つの局で組織されている。

 第一局。奉公さんとは別に王族達に仕えている局。王族達のスケジュール管理などの秘書的業務。
 第二局。城人の花形。エリートが多い。王の意見を汲んで政策する局。
 第三局。総務。国民の窓口。第二局が決めた政策を国民に向けて発表する。城人の給料計算もこの局がする。
 第四局。国の治安を守り、安全を維持するための局。
 第五局。国の収入、支出などの会計事務をする局。国の金を管理している。
 第六局。国民の生活に関わるものを整備する局。水道、電気、ガスや病気の予防など保健福祉にも関わる。
 第七局。二局に続く花形。外交専門の局。外国との連絡、交渉の窓口。
 第八局。司法。四局が逮捕してきた者を尋問し、調書をとったのち公開尋問するかどうかを決める局。
 第九局。監察。城人達が不正をしないか見張る局。

「城人をざっと説明するとこんなもんかな」
 人助けをし、買い物から帰ってくると、ジャモンの説明をシズはベッドに寝ころびながら聞いた。シズはため息に似た相槌をした。ようするに城人とは公務員みたいなもんということだ。それとヨンキョクはシズの思った通り、警察だった。そのヨンキョクになれとジャモンはシズに言うのだ。
「カーネスさんが犯罪者だと仮定しよう」
「五百パー犯罪者だろ。あいつの名前だしたらヨンキョクに捕まるんだし」
「だから、ヨンキョクになってカーネスさんを捕まえるんだ! そして牢屋に入れる!どうだ? 」
 ジャモンがヨンキョクになるのを勧める理由がそれだった。シズだけでカーネスを捕まえたとしても簡単に逃げられる。実証済みだった。組織を利用すれば、カーネスを捕まえられる確率は上がり、厳重に拘束できる。拘束しなければ帰せどうのこうのという話さえもできない。シズはちゃんとした意見で方法だと思った。けど疑問がある。
「ヨンキョクになれるのか?」
 アルバイトみたいには合格できないだろうと、シズは思った。
「城人は頭がよくなければならない。シズは前の世界では頭よかった? 」
「後頭部の形はいいって褒められたことはある」
「……勉強はできたのかい? 」
 シズは記憶を遡る。テストで「助手」の読み方を「スティッチ」と書いたことを思い出し、記憶を遡るのを即座にやめた。
「私はスケットって書きたかったんだ」
「なんの話? 」
「勉強には抵抗があるタイプでした」
「頭悪いんだね、シズ」
 ジャモンはストレートに言った。
「けど、大丈夫。ヨンキョクは身体能力が高ければ入れる可能性がある」
 ジャモンは握りこぶしをつくり、シズを励ますように言った。
「ヨンキョクはね、どんな狂暴の相手でも警棒一本で闘わなきゃいけないんだよ」
「え、拳銃とかは?」
 ジャモンは駄目駄目、と首をぶんぶん横に振った。
「拳銃は百年前の終戦後に使うことも製造することも中止になっている。剣を所持することも厳禁だ。国に関わる者たちは武力に繋がるものを持つことは禁止されているからね。四ヵ国条約でも決まっている」
「四ヵ国条約? 」
「戦後に決まった平和条約さ。神を創らない、戦機・武器・兵力を持たない、信頼を持ち合う。これが世界の決まり」
「世界ってこの世界の国って四つしかないのか? 」
「そうだよ」
 シズは都道府県より少ないと思った。
「北から、インデッセ・アベンチュレ・ベグテクタ・オードの四ヵ国でこの世界はできている。ちょっと待て」
 ジャモンは本棚から丸めてある紙を持ってきて広げた。
「これが世界地図」
 地図には角ばった三日月のような大きな大陸があった。国境であろう線が大陸に三つひかれている。
「大陸ひとつなんだ。島とかはないのか?」
「周辺に小さな島はいくつかあるよ。けど島を人が移住できるように整備することはできない決まりだ。金持ちが別荘にと買うぐらいかな」
「言葉も四ヵ国どこでも同じなのか?」
「あたりまえだよ」
 ジャモンが何を言っているんだと笑った。国によって言葉の違いがおこるなんて意味が分からないとでも言いたげだった。
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