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一冊目 妄想用紙「神の檻」
神退治
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「うわぁ、あれ、アレだよ。一文字神。何でこの世界に来るかなぁ。
しかもあれ、もう狂ってるし」
『落ち着いてんな、勝算あるのか?』
「半ば諦めてる。どうにか他の世界に興味を逸らして出て行ってもらえば何とかって感じ。多分他の世界でも同じようにたらい回しにされてるんだね」
『……自分が行く』
「正気?君、身体に戻ったらすぐに魔力枯渇で死んじゃうんだけど?」
「いーい?ルイン。ヒィロが起き上がったら瓶を確認して、僕が入ったらすぐ蓋をする。
そんで、ヒィロが倒れたらまたすぐ蓋を開けるんだよ、お願いね」
「わかった、任せて、キィ兄ちゃん、ご武運を」
当代、ルインは一族の守り人のような存在であるキィが意を決して瓶の蓋を開ける姿を見守った。
きゅぽ
軽い音と同時に蓋が地面へと転がり、キィの身体が崩れ落ちる。慌てて支えようと駆け寄る前に体勢を持ち直し、こちらへと手を差し伸べた。
「剣、渡せ」
言われるがままに聖剣を手渡すと、しっかりと握り込んで混沌を撒き散らす化け物へと駆け出した。
地面に転がった瓶を拾い上げ、中の光を確認すると蓋を急いで封じた。
それからは、圧巻だった。
彼が剣を振るうたびに、ごっそりと抉り取られる神の末路。
全ての攻撃をかわすことさえせずに削り、かき消す。
恐ろしいことに一振りごとにその動きは精度を増している。
「そこ、か!!」
最後に胸元へと突き立てられた剣。突き立った、ということは、削りきれないほどの密度があることを示していた。
このままでは!
冷や汗が伝い、崩れかけた異形が彼へと襲いかかるところがやけにゆっくりと見えた。
彼の口元が、ひずむ。
「光よ……」
瞬間、全てが真っ白に染まり切った。
ようやく見え始めた視界に入ったものは、破壊の後と、倒れ伏した黒髪の少年。異形の神の姿は跡形もなかった。
はっとして、瓶の蓋を慌てて引き抜いた。
きゅぽん!
ほぼ同時に少年ががばりと身を起こし、焦ったように空中へと手を伸ばす。
手の中に何かを包み込むと、心底安堵したようにへにょりと笑った。あぁ、あれはキィ兄ちゃんだ。
「あ、当代。こっちこっち、瓶持ってきて、逃げちゃうから!早く!!」
かけより瓶を手渡す。
何かを入れ、そして。
きゅ
小さな音と共に封じられた蓋
「ふぅっ、あっぶなかったぁ……」
瓶の中では再び小さな光、ヒィロ兄ちゃんが輝いていた。心なしか普段より強めに点滅している気がする。
「ふふっ、まぁそう言わずにさ、もうちょっと付き合ってよ」
キィ兄ちゃんがそう声をかけると不本意そうに瞬いた。
しかもあれ、もう狂ってるし」
『落ち着いてんな、勝算あるのか?』
「半ば諦めてる。どうにか他の世界に興味を逸らして出て行ってもらえば何とかって感じ。多分他の世界でも同じようにたらい回しにされてるんだね」
『……自分が行く』
「正気?君、身体に戻ったらすぐに魔力枯渇で死んじゃうんだけど?」
「いーい?ルイン。ヒィロが起き上がったら瓶を確認して、僕が入ったらすぐ蓋をする。
そんで、ヒィロが倒れたらまたすぐ蓋を開けるんだよ、お願いね」
「わかった、任せて、キィ兄ちゃん、ご武運を」
当代、ルインは一族の守り人のような存在であるキィが意を決して瓶の蓋を開ける姿を見守った。
きゅぽ
軽い音と同時に蓋が地面へと転がり、キィの身体が崩れ落ちる。慌てて支えようと駆け寄る前に体勢を持ち直し、こちらへと手を差し伸べた。
「剣、渡せ」
言われるがままに聖剣を手渡すと、しっかりと握り込んで混沌を撒き散らす化け物へと駆け出した。
地面に転がった瓶を拾い上げ、中の光を確認すると蓋を急いで封じた。
それからは、圧巻だった。
彼が剣を振るうたびに、ごっそりと抉り取られる神の末路。
全ての攻撃をかわすことさえせずに削り、かき消す。
恐ろしいことに一振りごとにその動きは精度を増している。
「そこ、か!!」
最後に胸元へと突き立てられた剣。突き立った、ということは、削りきれないほどの密度があることを示していた。
このままでは!
冷や汗が伝い、崩れかけた異形が彼へと襲いかかるところがやけにゆっくりと見えた。
彼の口元が、ひずむ。
「光よ……」
瞬間、全てが真っ白に染まり切った。
ようやく見え始めた視界に入ったものは、破壊の後と、倒れ伏した黒髪の少年。異形の神の姿は跡形もなかった。
はっとして、瓶の蓋を慌てて引き抜いた。
きゅぽん!
ほぼ同時に少年ががばりと身を起こし、焦ったように空中へと手を伸ばす。
手の中に何かを包み込むと、心底安堵したようにへにょりと笑った。あぁ、あれはキィ兄ちゃんだ。
「あ、当代。こっちこっち、瓶持ってきて、逃げちゃうから!早く!!」
かけより瓶を手渡す。
何かを入れ、そして。
きゅ
小さな音と共に封じられた蓋
「ふぅっ、あっぶなかったぁ……」
瓶の中では再び小さな光、ヒィロ兄ちゃんが輝いていた。心なしか普段より強めに点滅している気がする。
「ふふっ、まぁそう言わずにさ、もうちょっと付き合ってよ」
キィ兄ちゃんがそう声をかけると不本意そうに瞬いた。
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