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5 手紙
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小部隊の侵攻とはいえ、散々に打ち負かしたし、国境までの追撃で壊滅的な被害を与えた。
これに懲りてしばらくは国境にも近づかないだろうと思っていたのだが。
一週間もしないうちにまたロストック軍が南下。
数はやはり少数だけど放ってはおけない。
わたしは兵を率いて国境へと向かう。
正規兵の守備部隊はもはやハリボテも同然。なんの役にも立っていない。
敵は騎馬隊のみの編成。
軽く衝突しただけであっさりと退いていった。
騎馬なので逃げ足も速い。
本来なら国境を越えてまで追撃を行いたいのだが、さすがにそれは王家の許可がいる。
その時はこちらも深追いせずに自領へと戻る。
だがまた三日後にはロストックの侵攻。
これもすぐに対応したが、この前と同じように戦闘らしい戦闘もなく、敵は逃げていった。
そしてまた数日後に出現。
こんなことが何度も繰り返された。
追撃の許可を王家のほうにも申請したが、なかなか返事は返ってこない。
「なんなんだ、最近のヤツらの動きは。国境を越えたり、引っ込んだり。まともに戦いもしない」
その日もろくに戦うこともなく、城に戻ってきた。苛立ちながら兜を放り投げる。
「そうですね。以前の動きと違いますね。略奪や戦闘が目的ではないのかも」
フリッツは冷静だ。
その冷静な顔が余計に苛立たせる。
「じゃあ、なんだっていうんだ。正規兵は全然頼りにならないし、国境を越えての追撃は出来ないし。大体、和平のための交渉をしているんじゃないのか」
「……僕が調べていることなんですが」
ここでフリッツが声をひそめる。
「こんな状況ですが、たしかに国の特使はロストックを行き来しています。ですが、それとは別にロストック側と連絡を取り合っている者がいるようなのです」
「どういうことだ? 特使以外にロストックに用があるヤツなんているのか」
「もちろん非公式な密使ですよ。まだ確実な証拠はつかめてはいませんが。最近のロストックの動きはこの密使と連動しているのではないかと睨んでいます」
「? ますます意味が分からないな。なぜそんなことをする必要がある?」
王家や諸侯の中に裏切り者がいるということなのか。でもなんのために? 国境付近で騒ぎを起こさせて、なんの得があるのか。
「それも調査中です。この不穏な動きをしている連中はイルゼ様を襲った刺客とも関係があるかもしれません。これから身辺の警固をもっと強化しようと考えています」
フリッツは真剣な顔でそう言うが、わたしはイマイチ身の危険とかに実感がわかない。
「無用だ。自分の身ぐらい自分で守れる」
「わかっています。例え十人以上の刺客に襲われてもイルゼ様なら素手で打ち倒してしまうでしょう。それどころか熊や獅子ですら相手にならないでしょうね」
「お前な……わたしのことをなんだと思ってるんだ」
「ですが、万が一ということもあります。警固についても僕にお任せください」
普段はなに考えてるのかよく分からないヤツだが、一度言い出したら聞かない頑固なところがある。
わたしは呆れたように好きにしろ、と言った。
それからも数日おきにロストックの軍が国境を越え、それに対して出撃を行なっていた時だった。
アンスバッハ城に一通の手紙が届く。
この前は王家からイェーリンゲン家に宛てられたものだったが、今度は王太子殿下個人からわたしに直接宛てたもの。
執事から手紙を受け取り、わたしはそれをテーブルの上に置いて腕組みしながら睨んでいた。
エアハルト様から直接手紙が届くなんてはじめてのことだ。
これって、もしかしたらラブレターってやつ? そう思ったらドキドキしてなかなか封を切ることができない。
「どうされたのですか? 読まないのなら、わたしが代わりに読んで差し上げましょうか?」
侍女のヘレナが後ろからひょっこり覗いてそう言ってくる。
わたしはじょ、冗談じゃないと手紙を抱きかかえるようにして部屋の隅に。
「ここで読むから放っておいて」
そう言うと、ヘレナはクスクス笑いながらわかりました、と答えた。
震える手で手紙を取り出す。うわ、すごいキレイな字。
これ、本物のエアハルト様が御自分で書いたものなんだ。
感動している場合じゃない。肝心なのはその内容だ。
手紙の文章はごく短いものだった。
親愛なるアイスバッハ侯爵令嬢。
折り入って大事な話があるので王都郊外の私邸にてふたりきりで会いたい。
日時は──。
わたしはそれを読んで窓のカーテンにぐるぐると巻き付く。
ヘレナが心配そうに声をかけてきた。
「ど、どうされたのですか。なんと書いてあったのです?」
「ふ、ふたりきりで会いたいって。お、王太子殿下が」
「正式な婚約前に? どうしたのでしょうね。でも、すごい。それでいつ?」
「三日後。殿下の私邸で」
カーテンにくるまりながらわたしは答える。
顔が真っ赤になってるだろうから、見られるのが恥ずかしい。
「それなら、その時に着ていくドレスを選んでおかないと! コーディネートはわたしにお任せくださいね!」
ヘレナの張りきった声に、小さくうなずくわたし。
婚約してからはじめて会うことになるのか。
なんだか緊張してきた。
✳ ✳ ✳
会う約束をした当日。
早い時間から化粧やドレスの着付けをヘレナに手伝ってもらう。
今日のドレスは舞踏会と違い、シックな紺色。
ヒールは清楚な白。アクセサリーは派手すぎないように宝石は付いてない銀製のもの。
うん、さすがはヘレナだ。
なんだかおしとやかで、大人の女性になった感じ。
「すっごいキレイです、イルゼ様。これなら殿下をますますメロメロにさせちゃうでしょう」
「そ、そうかな」
言いながら鏡の前で何度も確認。
外にはすでに馬車を待たせてある。ヘレナに礼を言い、部屋を出る。
「ああ、イルゼ様。まだ城も出ていないのに手と足が一緒に出ていますよ」
わたしはたはは、と笑いながら深呼吸する。
馬車の御者はいつものフリッツ。
わたしはフリッツの前でクルッと見せつけるようにドレスをなびかせる。
「どうしました? 回転斬りの練習ですか? 裾が汚れてしまいますよ」
「…………」
コイツに見せびらかしてもしょうがなかった。
わたしは咳払いしながら客車の中へ。
エアハルト様の私邸までには二、三時間はかかる。
それまでに気持ちを落ち着けておこう。
客車の窓から景色を眺めながらそう思った。
ガシャガシャと鎧のこすれる音がする。
前回の舞踏会のときには御者のフリッツのみだったが、今回は武装した十人の兵士が護衛に付いているためだ。
エアハルト様に会うのにあまり物々しくしたくないのだが。
好きにしろと言った手前、文句は言わないけど。
のどかな野菜畑の広がる地域にさしかかる。
農作業をしていた領民たちが手を止め、こちらに頭を下げてくる。
イルゼって小説の中では悪役令嬢だって割には領民に慕われているんだよね。
イルゼが北方の敵相手に活躍してるのを知ってるからか。
狩りで農作物に被害を及ぼす獣の数を減らしているからか。
小説の内容からだけでは評価できない部分がたくさんある。
このイルゼに転生しなきゃ、フリッツもヘレナの事も知らないままだっただろう。
それにしてもエアハルト様は急にふたりで会いたいなんて、どうしたのだろうか。
私邸って、完全にプライベートな空間だよね。
大事な話があるってことだけど。婚約の儀式についての事だろうか。
細かい打ち合わせはまだ全然してなかったもんね。でもこれって当人同士で話すことなのかな?
ロストックの侵攻についてもいろいろ聞かれそう。
不戦派のエアハルト様はわたしが出陣しているのを知って、不愉快に思ってるかもしれない。
でも正規軍がアテにならないから、どうしてもアンスバッハ軍が出ないといけないのは事実。
前にもその点は評価してくれたはずだ。
もしかしたら、褒めてくれるかもしれない。
よくやったねとか、よく無事に戻ってきてくれた、なんて。
客車の中でいろいろ考えているうちに、エアハルト様の私邸前に到着したようだ。
まだまだかかると思っていたのに、あっという間に感じた。
客車のドアが開き、フリッツが手を差し出してくる。
わたしはその手を取って慎重に馬車を降りた。こんなところでつまづきでもしたら恥ずかしいもんね。
これに懲りてしばらくは国境にも近づかないだろうと思っていたのだが。
一週間もしないうちにまたロストック軍が南下。
数はやはり少数だけど放ってはおけない。
わたしは兵を率いて国境へと向かう。
正規兵の守備部隊はもはやハリボテも同然。なんの役にも立っていない。
敵は騎馬隊のみの編成。
軽く衝突しただけであっさりと退いていった。
騎馬なので逃げ足も速い。
本来なら国境を越えてまで追撃を行いたいのだが、さすがにそれは王家の許可がいる。
その時はこちらも深追いせずに自領へと戻る。
だがまた三日後にはロストックの侵攻。
これもすぐに対応したが、この前と同じように戦闘らしい戦闘もなく、敵は逃げていった。
そしてまた数日後に出現。
こんなことが何度も繰り返された。
追撃の許可を王家のほうにも申請したが、なかなか返事は返ってこない。
「なんなんだ、最近のヤツらの動きは。国境を越えたり、引っ込んだり。まともに戦いもしない」
その日もろくに戦うこともなく、城に戻ってきた。苛立ちながら兜を放り投げる。
「そうですね。以前の動きと違いますね。略奪や戦闘が目的ではないのかも」
フリッツは冷静だ。
その冷静な顔が余計に苛立たせる。
「じゃあ、なんだっていうんだ。正規兵は全然頼りにならないし、国境を越えての追撃は出来ないし。大体、和平のための交渉をしているんじゃないのか」
「……僕が調べていることなんですが」
ここでフリッツが声をひそめる。
「こんな状況ですが、たしかに国の特使はロストックを行き来しています。ですが、それとは別にロストック側と連絡を取り合っている者がいるようなのです」
「どういうことだ? 特使以外にロストックに用があるヤツなんているのか」
「もちろん非公式な密使ですよ。まだ確実な証拠はつかめてはいませんが。最近のロストックの動きはこの密使と連動しているのではないかと睨んでいます」
「? ますます意味が分からないな。なぜそんなことをする必要がある?」
王家や諸侯の中に裏切り者がいるということなのか。でもなんのために? 国境付近で騒ぎを起こさせて、なんの得があるのか。
「それも調査中です。この不穏な動きをしている連中はイルゼ様を襲った刺客とも関係があるかもしれません。これから身辺の警固をもっと強化しようと考えています」
フリッツは真剣な顔でそう言うが、わたしはイマイチ身の危険とかに実感がわかない。
「無用だ。自分の身ぐらい自分で守れる」
「わかっています。例え十人以上の刺客に襲われてもイルゼ様なら素手で打ち倒してしまうでしょう。それどころか熊や獅子ですら相手にならないでしょうね」
「お前な……わたしのことをなんだと思ってるんだ」
「ですが、万が一ということもあります。警固についても僕にお任せください」
普段はなに考えてるのかよく分からないヤツだが、一度言い出したら聞かない頑固なところがある。
わたしは呆れたように好きにしろ、と言った。
それからも数日おきにロストックの軍が国境を越え、それに対して出撃を行なっていた時だった。
アンスバッハ城に一通の手紙が届く。
この前は王家からイェーリンゲン家に宛てられたものだったが、今度は王太子殿下個人からわたしに直接宛てたもの。
執事から手紙を受け取り、わたしはそれをテーブルの上に置いて腕組みしながら睨んでいた。
エアハルト様から直接手紙が届くなんてはじめてのことだ。
これって、もしかしたらラブレターってやつ? そう思ったらドキドキしてなかなか封を切ることができない。
「どうされたのですか? 読まないのなら、わたしが代わりに読んで差し上げましょうか?」
侍女のヘレナが後ろからひょっこり覗いてそう言ってくる。
わたしはじょ、冗談じゃないと手紙を抱きかかえるようにして部屋の隅に。
「ここで読むから放っておいて」
そう言うと、ヘレナはクスクス笑いながらわかりました、と答えた。
震える手で手紙を取り出す。うわ、すごいキレイな字。
これ、本物のエアハルト様が御自分で書いたものなんだ。
感動している場合じゃない。肝心なのはその内容だ。
手紙の文章はごく短いものだった。
親愛なるアイスバッハ侯爵令嬢。
折り入って大事な話があるので王都郊外の私邸にてふたりきりで会いたい。
日時は──。
わたしはそれを読んで窓のカーテンにぐるぐると巻き付く。
ヘレナが心配そうに声をかけてきた。
「ど、どうされたのですか。なんと書いてあったのです?」
「ふ、ふたりきりで会いたいって。お、王太子殿下が」
「正式な婚約前に? どうしたのでしょうね。でも、すごい。それでいつ?」
「三日後。殿下の私邸で」
カーテンにくるまりながらわたしは答える。
顔が真っ赤になってるだろうから、見られるのが恥ずかしい。
「それなら、その時に着ていくドレスを選んでおかないと! コーディネートはわたしにお任せくださいね!」
ヘレナの張りきった声に、小さくうなずくわたし。
婚約してからはじめて会うことになるのか。
なんだか緊張してきた。
✳ ✳ ✳
会う約束をした当日。
早い時間から化粧やドレスの着付けをヘレナに手伝ってもらう。
今日のドレスは舞踏会と違い、シックな紺色。
ヒールは清楚な白。アクセサリーは派手すぎないように宝石は付いてない銀製のもの。
うん、さすがはヘレナだ。
なんだかおしとやかで、大人の女性になった感じ。
「すっごいキレイです、イルゼ様。これなら殿下をますますメロメロにさせちゃうでしょう」
「そ、そうかな」
言いながら鏡の前で何度も確認。
外にはすでに馬車を待たせてある。ヘレナに礼を言い、部屋を出る。
「ああ、イルゼ様。まだ城も出ていないのに手と足が一緒に出ていますよ」
わたしはたはは、と笑いながら深呼吸する。
馬車の御者はいつものフリッツ。
わたしはフリッツの前でクルッと見せつけるようにドレスをなびかせる。
「どうしました? 回転斬りの練習ですか? 裾が汚れてしまいますよ」
「…………」
コイツに見せびらかしてもしょうがなかった。
わたしは咳払いしながら客車の中へ。
エアハルト様の私邸までには二、三時間はかかる。
それまでに気持ちを落ち着けておこう。
客車の窓から景色を眺めながらそう思った。
ガシャガシャと鎧のこすれる音がする。
前回の舞踏会のときには御者のフリッツのみだったが、今回は武装した十人の兵士が護衛に付いているためだ。
エアハルト様に会うのにあまり物々しくしたくないのだが。
好きにしろと言った手前、文句は言わないけど。
のどかな野菜畑の広がる地域にさしかかる。
農作業をしていた領民たちが手を止め、こちらに頭を下げてくる。
イルゼって小説の中では悪役令嬢だって割には領民に慕われているんだよね。
イルゼが北方の敵相手に活躍してるのを知ってるからか。
狩りで農作物に被害を及ぼす獣の数を減らしているからか。
小説の内容からだけでは評価できない部分がたくさんある。
このイルゼに転生しなきゃ、フリッツもヘレナの事も知らないままだっただろう。
それにしてもエアハルト様は急にふたりで会いたいなんて、どうしたのだろうか。
私邸って、完全にプライベートな空間だよね。
大事な話があるってことだけど。婚約の儀式についての事だろうか。
細かい打ち合わせはまだ全然してなかったもんね。でもこれって当人同士で話すことなのかな?
ロストックの侵攻についてもいろいろ聞かれそう。
不戦派のエアハルト様はわたしが出陣しているのを知って、不愉快に思ってるかもしれない。
でも正規軍がアテにならないから、どうしてもアンスバッハ軍が出ないといけないのは事実。
前にもその点は評価してくれたはずだ。
もしかしたら、褒めてくれるかもしれない。
よくやったねとか、よく無事に戻ってきてくれた、なんて。
客車の中でいろいろ考えているうちに、エアハルト様の私邸前に到着したようだ。
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