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7 落胆と怒り
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城へどう戻ったのか、その後どんな話をしたのかも覚えていない。
着替えもせずにベッドに突っ伏し、ヘレナすら部屋の中に入れなかった。
まさかの婚約破棄。エアハルト様はいつから考えていたのだろうか。いや、エアハルト様御自身が決めたかどうかも不明だ。
国王陛下がそうしろと言ったのかもしれない。
わたしが戦ばかりしてたから?
和平の交渉を邪魔したから?
でも特使が行き来してた割には頻繁にこっちに侵攻していた。交渉がうまくいってなかったのは王家の責任じゃないのか。
いろいろ考えるけど、もう取り返しがつかない。はっきりとあの場で言われたのだから。
枕に顔を押し付けながら泣くのだけはこらえる。
こんな事で泣いてたまるか。
わたしは間違った事はしてないし、言ってない。
しばらくしてドアのノック音。
放っておいたけど、しつこいので「何?」と腹立ちまぎれに聞く。
ドアの向こうから執事の申し訳なさそうな声。
「す、すみません。閣下がどうしても外出すると聞かないので。我々では止めることが出来ず」
「お父様が⁉」
病に伏せっているはずのお父様。外出なんて出来るはずがない。
わたしは急いでドアを開けて通路へ。
すでにお父様の怒りの声が響いていた。
壁にもたれかかりながらステッキを振り回している。
「ええい、早く馬車の用意をいたせ! 直接王宮に出向いて抗議する! このような一方的な婚約破棄など了承できるか!」
召使いたちが怯えて近づけないでいる。
婚約破棄の話はすでにお父様の耳にも入っていた。
これでイェーリンゲン家も安泰だとあれだけ喜んでいたのに。
突然の婚約破棄。怒るのも当然だ。
「お父様、無理をしてはいけません。御身体に触ります」
そっと近づき、肩を貸す。
お父様は離せと耳元で怒鳴るけれど、その拍子に咳き込みだした。
わたしは執事に急いで医者を呼ぶよう命じる。
お父様は自室で眠ってしまわれたようだ。
興奮して疲れただけだと医者が言ってたのでひとまずは安心だ。
目が覚めた時にまた無茶を言い出さないといいけど。
わたしはしばらくひとりにしてくれ、と執事に言ってまた自室にこもった。
落ち込んでいたのはその日だけで、翌日からは政務を片付け、兵の調練を行い、領内の巡回もこなした。
もともと出来すぎた話だったんだ。
わたしがエアハルト様の婚約者になるだなんて。
わたしがこのイルゼに転生したせいで少しストーリーに改変が起きたけど、元に戻っただけの話。
もしかしたらねじ曲がったストーリーを元通りにしようという大きな力が働いたのかも。
そう納得することにした。そりゃあ、あんな優しくてカッコいいイケメンと結婚できたらいいに決まってるけど。
王太子妃とか、いずれは王妃様とか、わたしには荷が重すぎる気もする。
このアンスバッハ領でのんびり過ごすだけでも幸せじゃないか。ロストックの侵攻とかいろいろ問題はあるけども。
城の周辺でフリッツを探した。
剣の稽古をしたいのだが、まともに相手できるのはアイツぐらいだ。近くにいた兵に聞いてみる。
「フリッツ様ですか? 昨日よりお姿が見えませんね。最近たまにありますよ。こういう時が」
アイツ、城の仕事をサボって何してるんだ。
昨日ってことは、わたしを馬車で城まで送った後のことになる。
わたしはフリッツが城に戻ってくるのを待つことにした。
しかし夕方になっても部屋や兵舎のほうにもいない。
夕食どきにも見当たらなかった。兵たちに見かけたら教えるように伝える。
日が暮れても同じ。
これは規律違反じゃないのか。帰ってきたらどういう罰を与えてやろうか。
城壁の上から街道を見下ろしながらわたしは待った。
アイツめ、まさか脱走なんてしてないだろうな。
わたしが転生したばかりの頃。
フリッツは最初、トーマスお兄様の従者だった。
どういった経緯でイェーリンゲン家に来たとかはわたしも知らない。
ただ、お兄様がフリッツにイルゼの力になってやってくれと頼んでいたのははっきりと覚えている。
今、思い出してみればお兄様はイルゼの変化にどこか気づいていたような節がある。
お父様もお母様も分からなかったのに。
この世界の風習や歴史、城での生活の仕方など細かいことを教えてくれたのはお兄様だった。
そしてその補佐をしてくれたのはフリッツ。
お兄様が亡くなったあともわたしの手となり足となり、政務や軍事面で力を貸してくれる。
今まではちょっと会えないぐらいじゃ、なんとも思わなかったのに。
今はなんだか心細い。あんな事があった後だからかな。
「イルゼ様」
急に背後から呼ばれて、わたしは心臓がはね上がった。
後ろにいたのはフリッツ。
いつの間に帰ってきてたのか。
「おっ、お前! 今までどこほっつき歩いてんだ!」
「調査ですよ。前にも言ったでしょう」
「調査って、刺客とか密使とかについてか?」
「ええ、イルゼ様には承諾を得ていたはずです」
「だとしてもだ、城を出る時はわたしに一言ぐらいだな……」
「昨日は部屋に閉じこもっておられたので」
むぐう、とわたしは何も言えなくなる。
のほほんとした顔しやがって。わたしがどんな思いをして過ごしてたと思ってるんだ。
わたしが不意打ちで拳を突き出す。
しかしフリッツは軽やかにそれをかわした。
「避けるな。一発殴らせろ」
「嫌ですよ。下手すると死んでしまいます」
こんな美人をつかまえてバケモノみたいに言いやがって。
「それで。その調査で何か分かったんだろうな」
腹は立つが、その調査内容とやらを聞いてみる。
フリッツはやや考えるような顔をしてから、話し出した。
「ロストックに密使を送っている諸侯のひとりは特定できました。ただ、僕が目撃しているだけなのではっきりとした証拠にはならないのです」
「それで、その諸侯のひとりって誰なんだ」
「ヴォルフスブルク公です」
ヴォルフスブルク公って、王宮内の不戦派の筆頭だ。あのマルティナの父親の。
いわば和平交渉を推進する立場。それがこっちの情報を流したり、敵部隊を動かすような真似をしているのか。にわかには信じられない。
「そんな、理由が見当たらない。何かの間違いじゃ」
「いえ、間違いなく確認しています。それに理由なら十分過ぎるほどありますよ」
「陛下の信も厚い重臣だ。ロストックにおもねったところでなんの得もない」
「主戦派である閣下とは反目している仲でしたでしょう。そして娘のマルティナ嬢を王太子妃にしようとしていた」
そんな、まさか。
舞踏会の帰りにわたしを狙った刺客は、ヴォルフスブルク公の手の者だった?
自らの権勢のために、王家や国を裏切ることができるのだろうか。
「そしてイルゼ様が婚約された後のロストックの動き。まんまと乗せられましたね。度重なる出陣をおこない、とうとう王太子殿下の怒りを買ってしまった」
「そんなことまで計算ずくだったっていうのか。たしかにそれで婚約破棄になったけど……」
そういえばエアハルト様が、国境付近で挑発行為を行なっていたのはわたしだと信じ込んでいた。もしそれを吹き込んだのもヴォルフスブルク公だったとしたら。
「全部繋がる。もしそれが本当だとしたら許せない」
「ええ。ですが、今僕らが証拠も無しに訴えても取り合ってもらえないでしょう」
「だったら、どうすれば」
「明日の夜に密使がロストックに向かう情報はつかんでいます。それを待ち伏せして捕らえることが出来れば」
「だったらわたしも行く。その密使を捕えに」
これにはフリッツは難色を示した。
「いえ、戦ではないのですよ。生け捕りです。殺してはいけないし、ギリギリまで敵に気づかれてもいけません」
「そんなのは簡単だ。待ち伏せするんだろ。わたしは我慢強いぞ」
「そうは思えませんが」
どうしても了承しようとしないので首を締めながら揺さぶった。
フリッツは観念したように腕を叩き、降参する。
「まったく、仕方ありませんね。アンスバッハの命運がかかっているかもしれないのに」
首を押さえながら呆れるフリッツ。
それだからこそわたしが行くんだ、と自信ありげにわたしは答えた。
着替えもせずにベッドに突っ伏し、ヘレナすら部屋の中に入れなかった。
まさかの婚約破棄。エアハルト様はいつから考えていたのだろうか。いや、エアハルト様御自身が決めたかどうかも不明だ。
国王陛下がそうしろと言ったのかもしれない。
わたしが戦ばかりしてたから?
和平の交渉を邪魔したから?
でも特使が行き来してた割には頻繁にこっちに侵攻していた。交渉がうまくいってなかったのは王家の責任じゃないのか。
いろいろ考えるけど、もう取り返しがつかない。はっきりとあの場で言われたのだから。
枕に顔を押し付けながら泣くのだけはこらえる。
こんな事で泣いてたまるか。
わたしは間違った事はしてないし、言ってない。
しばらくしてドアのノック音。
放っておいたけど、しつこいので「何?」と腹立ちまぎれに聞く。
ドアの向こうから執事の申し訳なさそうな声。
「す、すみません。閣下がどうしても外出すると聞かないので。我々では止めることが出来ず」
「お父様が⁉」
病に伏せっているはずのお父様。外出なんて出来るはずがない。
わたしは急いでドアを開けて通路へ。
すでにお父様の怒りの声が響いていた。
壁にもたれかかりながらステッキを振り回している。
「ええい、早く馬車の用意をいたせ! 直接王宮に出向いて抗議する! このような一方的な婚約破棄など了承できるか!」
召使いたちが怯えて近づけないでいる。
婚約破棄の話はすでにお父様の耳にも入っていた。
これでイェーリンゲン家も安泰だとあれだけ喜んでいたのに。
突然の婚約破棄。怒るのも当然だ。
「お父様、無理をしてはいけません。御身体に触ります」
そっと近づき、肩を貸す。
お父様は離せと耳元で怒鳴るけれど、その拍子に咳き込みだした。
わたしは執事に急いで医者を呼ぶよう命じる。
お父様は自室で眠ってしまわれたようだ。
興奮して疲れただけだと医者が言ってたのでひとまずは安心だ。
目が覚めた時にまた無茶を言い出さないといいけど。
わたしはしばらくひとりにしてくれ、と執事に言ってまた自室にこもった。
落ち込んでいたのはその日だけで、翌日からは政務を片付け、兵の調練を行い、領内の巡回もこなした。
もともと出来すぎた話だったんだ。
わたしがエアハルト様の婚約者になるだなんて。
わたしがこのイルゼに転生したせいで少しストーリーに改変が起きたけど、元に戻っただけの話。
もしかしたらねじ曲がったストーリーを元通りにしようという大きな力が働いたのかも。
そう納得することにした。そりゃあ、あんな優しくてカッコいいイケメンと結婚できたらいいに決まってるけど。
王太子妃とか、いずれは王妃様とか、わたしには荷が重すぎる気もする。
このアンスバッハ領でのんびり過ごすだけでも幸せじゃないか。ロストックの侵攻とかいろいろ問題はあるけども。
城の周辺でフリッツを探した。
剣の稽古をしたいのだが、まともに相手できるのはアイツぐらいだ。近くにいた兵に聞いてみる。
「フリッツ様ですか? 昨日よりお姿が見えませんね。最近たまにありますよ。こういう時が」
アイツ、城の仕事をサボって何してるんだ。
昨日ってことは、わたしを馬車で城まで送った後のことになる。
わたしはフリッツが城に戻ってくるのを待つことにした。
しかし夕方になっても部屋や兵舎のほうにもいない。
夕食どきにも見当たらなかった。兵たちに見かけたら教えるように伝える。
日が暮れても同じ。
これは規律違反じゃないのか。帰ってきたらどういう罰を与えてやろうか。
城壁の上から街道を見下ろしながらわたしは待った。
アイツめ、まさか脱走なんてしてないだろうな。
わたしが転生したばかりの頃。
フリッツは最初、トーマスお兄様の従者だった。
どういった経緯でイェーリンゲン家に来たとかはわたしも知らない。
ただ、お兄様がフリッツにイルゼの力になってやってくれと頼んでいたのははっきりと覚えている。
今、思い出してみればお兄様はイルゼの変化にどこか気づいていたような節がある。
お父様もお母様も分からなかったのに。
この世界の風習や歴史、城での生活の仕方など細かいことを教えてくれたのはお兄様だった。
そしてその補佐をしてくれたのはフリッツ。
お兄様が亡くなったあともわたしの手となり足となり、政務や軍事面で力を貸してくれる。
今まではちょっと会えないぐらいじゃ、なんとも思わなかったのに。
今はなんだか心細い。あんな事があった後だからかな。
「イルゼ様」
急に背後から呼ばれて、わたしは心臓がはね上がった。
後ろにいたのはフリッツ。
いつの間に帰ってきてたのか。
「おっ、お前! 今までどこほっつき歩いてんだ!」
「調査ですよ。前にも言ったでしょう」
「調査って、刺客とか密使とかについてか?」
「ええ、イルゼ様には承諾を得ていたはずです」
「だとしてもだ、城を出る時はわたしに一言ぐらいだな……」
「昨日は部屋に閉じこもっておられたので」
むぐう、とわたしは何も言えなくなる。
のほほんとした顔しやがって。わたしがどんな思いをして過ごしてたと思ってるんだ。
わたしが不意打ちで拳を突き出す。
しかしフリッツは軽やかにそれをかわした。
「避けるな。一発殴らせろ」
「嫌ですよ。下手すると死んでしまいます」
こんな美人をつかまえてバケモノみたいに言いやがって。
「それで。その調査で何か分かったんだろうな」
腹は立つが、その調査内容とやらを聞いてみる。
フリッツはやや考えるような顔をしてから、話し出した。
「ロストックに密使を送っている諸侯のひとりは特定できました。ただ、僕が目撃しているだけなのではっきりとした証拠にはならないのです」
「それで、その諸侯のひとりって誰なんだ」
「ヴォルフスブルク公です」
ヴォルフスブルク公って、王宮内の不戦派の筆頭だ。あのマルティナの父親の。
いわば和平交渉を推進する立場。それがこっちの情報を流したり、敵部隊を動かすような真似をしているのか。にわかには信じられない。
「そんな、理由が見当たらない。何かの間違いじゃ」
「いえ、間違いなく確認しています。それに理由なら十分過ぎるほどありますよ」
「陛下の信も厚い重臣だ。ロストックにおもねったところでなんの得もない」
「主戦派である閣下とは反目している仲でしたでしょう。そして娘のマルティナ嬢を王太子妃にしようとしていた」
そんな、まさか。
舞踏会の帰りにわたしを狙った刺客は、ヴォルフスブルク公の手の者だった?
自らの権勢のために、王家や国を裏切ることができるのだろうか。
「そしてイルゼ様が婚約された後のロストックの動き。まんまと乗せられましたね。度重なる出陣をおこない、とうとう王太子殿下の怒りを買ってしまった」
「そんなことまで計算ずくだったっていうのか。たしかにそれで婚約破棄になったけど……」
そういえばエアハルト様が、国境付近で挑発行為を行なっていたのはわたしだと信じ込んでいた。もしそれを吹き込んだのもヴォルフスブルク公だったとしたら。
「全部繋がる。もしそれが本当だとしたら許せない」
「ええ。ですが、今僕らが証拠も無しに訴えても取り合ってもらえないでしょう」
「だったら、どうすれば」
「明日の夜に密使がロストックに向かう情報はつかんでいます。それを待ち伏せして捕らえることが出来れば」
「だったらわたしも行く。その密使を捕えに」
これにはフリッツは難色を示した。
「いえ、戦ではないのですよ。生け捕りです。殺してはいけないし、ギリギリまで敵に気づかれてもいけません」
「そんなのは簡単だ。待ち伏せするんだろ。わたしは我慢強いぞ」
「そうは思えませんが」
どうしても了承しようとしないので首を締めながら揺さぶった。
フリッツは観念したように腕を叩き、降参する。
「まったく、仕方ありませんね。アンスバッハの命運がかかっているかもしれないのに」
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