19 / 32
19 奇襲
しおりを挟む
翌日。
自陣にて再編成も終了。丘陵地帯から再び進み、平原に出る。
「あれは」
敵本陣前を見てフリッツが声をあげた。
地形が一変している。いくつも土塁が築かれ、その下には堀もあるように見える。
馬防柵も至るところに設置され、さながら地形を利用した城のようだ。
「一晩であんなものを。我が軍の騎馬隊をあれで封じようというのか」
「…………」
わたしは黙ってそれを聞いていた。
代わりにルイス卿がフリッツに質問する。
「しかし、あれだと敵も騎馬を使えないのでは」
「昨日の戦いで敵は多くの騎馬を失いました。これからは固く守るつもりなのでしょう」
「あれを突破して敵の本隊を叩くというのか。なにか策は」
「ありません。地道に根気よく攻め続けるしかないかと。かなりの犠牲も出るでしょうが」
フリッツのどこか他人事のような言い方にイラッとした。
「犠牲だと。えらく無責任だな。昨日の勝利で調子に乗ってるんじゃないのか。夜襲でもしておけば、あんなものは築かせなかった」
わたしがそう責めると、フリッツも言い返してくる。
「バルトルト相手に夜襲は通じないでしょう。それより兵を休ませ、準備を整えるほうがずっとマシです」
「マシだと。なんだ、その言い方」
「事実だからです。それに、お互い総力をあげてのこの戦、少々の犠牲で済むわけがないでしょう。北征に参加を決められた時から分かっているはずです」
「なんだと、貴様」
フリッツの胸ぐらをつかみ、睨みつける。
ルイス卿は青ざめて後ろへ下がっていった。
フリッツは臆せず、まっすぐに見つめ返してくる。
「ここまで来ればもう後戻りはできません。僕も、ここにいる兵たちも無事に帰られるとは思っていません。ただイルゼ様、あなただけは」
「いらん心配だと何度言ったら分かる。わたしは負けないし、絶対に勝って帰る。こんな戦、早く終わらせる」
乱暴に離し、わたしは前に出る。
「歩兵隊、前へ。敵本陣へ攻め入る!」
アンスバッハ歩兵隊を前面に出す。騎馬隊の兵も馬を降りて組み込んである。
ザールラントの正規兵は後詰め。
敵の防御線を突破すれば共に本陣へなだれ込む。
「いくぞっ」
わたし自身も徒歩だ。
歩兵たちと一緒に盾を持ち、敵本陣へ近づく。
ロストック軍は土塁や柵を越えてこちらに攻めてこようとはしない。
やはり防御に徹するつもりか。
好戦的で粗野なはずのロストック軍。
それを統制し、このようなものを築かせるバルトルトという男、ただ者じゃない。
ヒュヒュヒュッ、と矢が飛んでくる。
射程内に入った。だがこの程度の矢で我が軍は止まらない。
さらに前進。土塁の上や柵の間から射手が見えた。
「怯むなっ、乗り越えて仕留めるぞ!」
わたしの号令に、歩兵たちは土塁に飛びついていく。
だがそうなると上からの攻撃を防ぎようがない。
たちまち矢や投石の餌食となり、堀に落ちていく。
勇敢なアンスバッハ歩兵はそれでも次々と土塁に取りつく。
馬防柵が張り巡らせている場所でも乗り越えようと果敢に攻めている。
だがやはり矢に射られ、槍で突かれて犠牲を出すばかりだ。
わたしも馬防柵のほうへ。
柵の間から突き出される槍をかいくぐり、穂先を切り飛ばしながら接近。
柵の一部に足をかけて乗り越えようとするが、次は複数の矢の標的に。
「危ないっ!」
急に下に引っ張られる。矢はわたしの身体をかすめていった。
「死ぬ気ですか。あなたは指揮官なのですよ」
引っ張ったのはフリッツだ。
わたしはぶん殴ろうとしたが、さらに矢が飛んできたので伏せる。
「想像以上の守りの固さです。ここはいったん退きましょう、イルゼ様」
無視したかったが、たしかにこのまま無理攻めしても犠牲が多くなるだけだ。
わたしは退却を命じた。
結局、敵の防御線は突破できず、本陣にたどり着くことは出来なかった。
ここまで堅固な守りとは。アンスバッハの猛攻でもビクともしなかった。
「僕の計算違いでした。多少の犠牲を出してもある程度は突破できると踏んでいたのですが」
自陣の幕営内でフリッツがうつむく。
昨日の快勝とは違い、散々な結果だった。
いや、フリッツだけのせいじゃない。
わたしだってあれくらいはどうにかなると思っていた。
力任せに切り込んでいけば、勝てると信じていた。
デッサウ砦のように投石機の支援があれば楽かもしれないが、この平原にはあの時にも増して丈夫な木材が見当たらない。投石に使う石だってそう落ちていない。
だが塁壁を登ったり、堀を渡るための梯子は用意できそうだ。
馬防柵を打ち壊すハンマーのような物も用意させる。
翌日の午後から再び攻めた。
アンスバッハ歩兵中心の攻めは変わらないが、工兵も混ぜている。
歩兵たちが攻めている間に梯子をかけたり、馬防柵を打ち壊す役目を担っている。
昨日よりも苛烈な攻め。敵の反撃も相当なものだ。
多くの死傷者を出しながらも前方の防御線はなんとか突破。
本陣までの防御線は三層で形成されている。
次は中央の防御線。
ここでも塁壁や堀、馬防柵に行く手を阻まれる。
工兵をうまく使って攻略をしようとするが、前方の防御線よりも敵兵が多く配備されている。
いま一歩のところで押し切れず、その日も退却となった。
次の日になると前方の防御線が復活している。
また最初からの攻略となるが、わたし達は諦めずに攻め続けた。
そんな攻めが四日ほど続いたが、どうしても中央の防御線を突破できない。
兵も交代で攻めさせてはいるが疲れが見えている。
その次の日は日中の攻めは休ませ、夜間に少数の兵で奇襲をかけた。
フリッツからは反対されていたが、他にいい方法が見つからない。
が、これは敵の待ち伏せに遭って奇襲隊はほぼ全滅。
再び打つ手がなくなってしまった。
兵の士気は下がり、疲労している。
そろそろ肌寒くもなってきた。本格的な寒さが訪れる前に決着をつけねば。
さらに追い打ちをかけるように深刻な事態が訪れていた。
糧食の不足だ。すでに援軍の要請と共に輸送も頼んでいたはず。
幕舎の中でわたしはルイス卿に詰め寄る。
「わ、我が輩はたしかに使者を出した! 本国に援軍と糧食の要請を、たしかに!」
ルイス卿は顔を真っ赤にして弁明する。
嘘はついていないようだが遅すぎる。
占領したデッサウ砦を経由して前線まで運ぶのはそう労力もかからないはず。
考えても仕方がない。さらに要請の使者を出させ、わたし達は迅速に目の前の敵を倒さなければならない。
「また奇襲をかける。それしかない」
「昨夜の夜襲は失敗しました。難しいでしょう」
わたしの提案にフリッツは首を横に振る。
まあ、聞け、とわたしは机上に広げた地図を指さす。
敵本陣を囲むように防御線が張られているが、比較的後方は手薄。
この数日の攻めの中で回り込もうともしたが、敵の矢にさらされて失敗に終わっている。
「別働隊を組織。大きく迂回して、敵の哨戒の範囲外から背後へ回る。そこから一気に奇襲をかける。本隊と挟撃すれば勝機はある」
「迂回するとはいえ、あまり大勢では気付かれるでしょう。どれほどの兵を回しますか?」
「百……いや、五十で行く。もちろんわたしが指揮を取る。フリッツは人員と馬の選抜を頼む」
「またあなたは……正気とは思えません。そんな一か八かの作戦に、あなた自身が参加するなんて。なぜそうもあなたは御自分の立場を理解していないのですか」
やはり反対された。だけど絶対にここは譲れない。
「このままじゃ勝てない。少数での奇襲もわたしが加わるのとそうでないとでは雲泥の差がある。お前もよく分かっているだろう。これしかないんだ」
「…………」
「それに怪しまれないように、本隊が定期的に攻撃を仕掛けてないといけない。別働隊が奇襲する時も連携が必要だ。これはお前にしか任せられない。分かるな」
「……分かっています。だけど、僕はあなたの身を第一に考えています。あなたに危険が及べば命令もひったくれもありません。イルゼ様もこれは分かっておいてください」
フリッツはそれだけ言い残して幕舎から出ていった。
ふう、とわたしはため息をつく。
ルイス卿にも改めて作戦の概要を伝えた。
「わたしの奇襲の際にはルイス卿も正規軍を率いて攻撃をお願いします。この作戦の成否はまだ被害の少ない正規軍にかかっています」
「む、うむ。任せてくれたまえ。全力を尽くそう」
奇襲が成功すれば必ず敵は混乱する。
フリッツ率いるアンスバッハ歩兵がその隙に防御線を突破。
攻めやすくなった地形をザールラント正規軍が押し進めば、かなりのプレッシャーとなる。
さらに混乱した敵本陣を挟撃。これで勝てるはずだ。
背後からの奇襲がごく少数の見せかけだとバレれば失敗。わたしも恐らく死ぬだろうが。今はこれに賭けるしかない。
自陣にて再編成も終了。丘陵地帯から再び進み、平原に出る。
「あれは」
敵本陣前を見てフリッツが声をあげた。
地形が一変している。いくつも土塁が築かれ、その下には堀もあるように見える。
馬防柵も至るところに設置され、さながら地形を利用した城のようだ。
「一晩であんなものを。我が軍の騎馬隊をあれで封じようというのか」
「…………」
わたしは黙ってそれを聞いていた。
代わりにルイス卿がフリッツに質問する。
「しかし、あれだと敵も騎馬を使えないのでは」
「昨日の戦いで敵は多くの騎馬を失いました。これからは固く守るつもりなのでしょう」
「あれを突破して敵の本隊を叩くというのか。なにか策は」
「ありません。地道に根気よく攻め続けるしかないかと。かなりの犠牲も出るでしょうが」
フリッツのどこか他人事のような言い方にイラッとした。
「犠牲だと。えらく無責任だな。昨日の勝利で調子に乗ってるんじゃないのか。夜襲でもしておけば、あんなものは築かせなかった」
わたしがそう責めると、フリッツも言い返してくる。
「バルトルト相手に夜襲は通じないでしょう。それより兵を休ませ、準備を整えるほうがずっとマシです」
「マシだと。なんだ、その言い方」
「事実だからです。それに、お互い総力をあげてのこの戦、少々の犠牲で済むわけがないでしょう。北征に参加を決められた時から分かっているはずです」
「なんだと、貴様」
フリッツの胸ぐらをつかみ、睨みつける。
ルイス卿は青ざめて後ろへ下がっていった。
フリッツは臆せず、まっすぐに見つめ返してくる。
「ここまで来ればもう後戻りはできません。僕も、ここにいる兵たちも無事に帰られるとは思っていません。ただイルゼ様、あなただけは」
「いらん心配だと何度言ったら分かる。わたしは負けないし、絶対に勝って帰る。こんな戦、早く終わらせる」
乱暴に離し、わたしは前に出る。
「歩兵隊、前へ。敵本陣へ攻め入る!」
アンスバッハ歩兵隊を前面に出す。騎馬隊の兵も馬を降りて組み込んである。
ザールラントの正規兵は後詰め。
敵の防御線を突破すれば共に本陣へなだれ込む。
「いくぞっ」
わたし自身も徒歩だ。
歩兵たちと一緒に盾を持ち、敵本陣へ近づく。
ロストック軍は土塁や柵を越えてこちらに攻めてこようとはしない。
やはり防御に徹するつもりか。
好戦的で粗野なはずのロストック軍。
それを統制し、このようなものを築かせるバルトルトという男、ただ者じゃない。
ヒュヒュヒュッ、と矢が飛んでくる。
射程内に入った。だがこの程度の矢で我が軍は止まらない。
さらに前進。土塁の上や柵の間から射手が見えた。
「怯むなっ、乗り越えて仕留めるぞ!」
わたしの号令に、歩兵たちは土塁に飛びついていく。
だがそうなると上からの攻撃を防ぎようがない。
たちまち矢や投石の餌食となり、堀に落ちていく。
勇敢なアンスバッハ歩兵はそれでも次々と土塁に取りつく。
馬防柵が張り巡らせている場所でも乗り越えようと果敢に攻めている。
だがやはり矢に射られ、槍で突かれて犠牲を出すばかりだ。
わたしも馬防柵のほうへ。
柵の間から突き出される槍をかいくぐり、穂先を切り飛ばしながら接近。
柵の一部に足をかけて乗り越えようとするが、次は複数の矢の標的に。
「危ないっ!」
急に下に引っ張られる。矢はわたしの身体をかすめていった。
「死ぬ気ですか。あなたは指揮官なのですよ」
引っ張ったのはフリッツだ。
わたしはぶん殴ろうとしたが、さらに矢が飛んできたので伏せる。
「想像以上の守りの固さです。ここはいったん退きましょう、イルゼ様」
無視したかったが、たしかにこのまま無理攻めしても犠牲が多くなるだけだ。
わたしは退却を命じた。
結局、敵の防御線は突破できず、本陣にたどり着くことは出来なかった。
ここまで堅固な守りとは。アンスバッハの猛攻でもビクともしなかった。
「僕の計算違いでした。多少の犠牲を出してもある程度は突破できると踏んでいたのですが」
自陣の幕営内でフリッツがうつむく。
昨日の快勝とは違い、散々な結果だった。
いや、フリッツだけのせいじゃない。
わたしだってあれくらいはどうにかなると思っていた。
力任せに切り込んでいけば、勝てると信じていた。
デッサウ砦のように投石機の支援があれば楽かもしれないが、この平原にはあの時にも増して丈夫な木材が見当たらない。投石に使う石だってそう落ちていない。
だが塁壁を登ったり、堀を渡るための梯子は用意できそうだ。
馬防柵を打ち壊すハンマーのような物も用意させる。
翌日の午後から再び攻めた。
アンスバッハ歩兵中心の攻めは変わらないが、工兵も混ぜている。
歩兵たちが攻めている間に梯子をかけたり、馬防柵を打ち壊す役目を担っている。
昨日よりも苛烈な攻め。敵の反撃も相当なものだ。
多くの死傷者を出しながらも前方の防御線はなんとか突破。
本陣までの防御線は三層で形成されている。
次は中央の防御線。
ここでも塁壁や堀、馬防柵に行く手を阻まれる。
工兵をうまく使って攻略をしようとするが、前方の防御線よりも敵兵が多く配備されている。
いま一歩のところで押し切れず、その日も退却となった。
次の日になると前方の防御線が復活している。
また最初からの攻略となるが、わたし達は諦めずに攻め続けた。
そんな攻めが四日ほど続いたが、どうしても中央の防御線を突破できない。
兵も交代で攻めさせてはいるが疲れが見えている。
その次の日は日中の攻めは休ませ、夜間に少数の兵で奇襲をかけた。
フリッツからは反対されていたが、他にいい方法が見つからない。
が、これは敵の待ち伏せに遭って奇襲隊はほぼ全滅。
再び打つ手がなくなってしまった。
兵の士気は下がり、疲労している。
そろそろ肌寒くもなってきた。本格的な寒さが訪れる前に決着をつけねば。
さらに追い打ちをかけるように深刻な事態が訪れていた。
糧食の不足だ。すでに援軍の要請と共に輸送も頼んでいたはず。
幕舎の中でわたしはルイス卿に詰め寄る。
「わ、我が輩はたしかに使者を出した! 本国に援軍と糧食の要請を、たしかに!」
ルイス卿は顔を真っ赤にして弁明する。
嘘はついていないようだが遅すぎる。
占領したデッサウ砦を経由して前線まで運ぶのはそう労力もかからないはず。
考えても仕方がない。さらに要請の使者を出させ、わたし達は迅速に目の前の敵を倒さなければならない。
「また奇襲をかける。それしかない」
「昨夜の夜襲は失敗しました。難しいでしょう」
わたしの提案にフリッツは首を横に振る。
まあ、聞け、とわたしは机上に広げた地図を指さす。
敵本陣を囲むように防御線が張られているが、比較的後方は手薄。
この数日の攻めの中で回り込もうともしたが、敵の矢にさらされて失敗に終わっている。
「別働隊を組織。大きく迂回して、敵の哨戒の範囲外から背後へ回る。そこから一気に奇襲をかける。本隊と挟撃すれば勝機はある」
「迂回するとはいえ、あまり大勢では気付かれるでしょう。どれほどの兵を回しますか?」
「百……いや、五十で行く。もちろんわたしが指揮を取る。フリッツは人員と馬の選抜を頼む」
「またあなたは……正気とは思えません。そんな一か八かの作戦に、あなた自身が参加するなんて。なぜそうもあなたは御自分の立場を理解していないのですか」
やはり反対された。だけど絶対にここは譲れない。
「このままじゃ勝てない。少数での奇襲もわたしが加わるのとそうでないとでは雲泥の差がある。お前もよく分かっているだろう。これしかないんだ」
「…………」
「それに怪しまれないように、本隊が定期的に攻撃を仕掛けてないといけない。別働隊が奇襲する時も連携が必要だ。これはお前にしか任せられない。分かるな」
「……分かっています。だけど、僕はあなたの身を第一に考えています。あなたに危険が及べば命令もひったくれもありません。イルゼ様もこれは分かっておいてください」
フリッツはそれだけ言い残して幕舎から出ていった。
ふう、とわたしはため息をつく。
ルイス卿にも改めて作戦の概要を伝えた。
「わたしの奇襲の際にはルイス卿も正規軍を率いて攻撃をお願いします。この作戦の成否はまだ被害の少ない正規軍にかかっています」
「む、うむ。任せてくれたまえ。全力を尽くそう」
奇襲が成功すれば必ず敵は混乱する。
フリッツ率いるアンスバッハ歩兵がその隙に防御線を突破。
攻めやすくなった地形をザールラント正規軍が押し進めば、かなりのプレッシャーとなる。
さらに混乱した敵本陣を挟撃。これで勝てるはずだ。
背後からの奇襲がごく少数の見せかけだとバレれば失敗。わたしも恐らく死ぬだろうが。今はこれに賭けるしかない。
0
あなたにおすすめの小説
『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』
放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。
「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」
身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。
冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。
「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」
得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。
これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】
iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません
由香
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢・セレフィーナに転生した私。
破滅回避のため、目立たず静かに生きる――はずだった。
しかし現実は、三人の兄による全力溺愛&完全監視生活。
外出には護衛、交友関係は管理制、笑顔すら規制対象!?
さらに兄の親友である最強騎士・カインが護衛として加わり、
静かで誠実な優しさに、次第に心が揺れていく。
「恋をすると破滅する」
そう信じて避けてきた想いの先で待っていたのは、
断罪も修羅場もない、安心で騒がしい未来だった――。
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
婚約破棄された夜、最強魔導師に「番」だと告げられました
有賀冬馬
恋愛
学院の祝宴で告げられた、無慈悲な婚約破棄。
魔力が弱い私には、価値がないという現実。
泣きながら逃げた先で、私は古代の遺跡に迷い込む。
そこで目覚めた彼は、私を見て言った。
「やっと見つけた。私の番よ」
彼の前でだけ、私の魔力は輝く。
奪われた尊厳、歪められた運命。
すべてを取り戻した先にあるのは……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる