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22 魔法部隊の猛攻
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帝国の精鋭飛空強襲隊を撃退し、わたしたちレジスタンス軍主力は北方戦線へと向かう。
ゲームならあっという間に次マップとなるわけだけど、この世界じゃそうもいかない。例によって数日間の行軍を経て目的地へ到達。
幸い、セヴェリン王子率いる軍は少数ながらもイェリング軍を押しとどめていた。
イェリング軍は同盟国に遠慮しているというより、セヴェリン王子が前線に出てきていることに動揺しているという。
かといってこのまま何もせず自国に引き返しては帝国の怒りを買う。相手としてもまずはセヴェリン王子を逆に説得しようとしているそうだ。
諜報兵からの情報はこんなもんだ。
概ねゲームと同じ展開。となればイェリング軍の指揮官もヤツだろうとわたしは敵陣を睨みつける。
河を挟んだ橋の向こうにイェリングの旗がいくつもはためいている。
その下にはローブ姿の兵が大勢待機している。
イェリング遠征軍の多くは魔術士や僧侶で編成された魔法部隊。
そしてそれを率いるのが……いたいた、中央で豪華な椅子に座ってる一際派手なのが。
司祭のミアって金髪女だ。
司祭って聖職者だよね。それなのになにあれ。大胆なスリットの入ったドレスにミンクのコートみたいなの羽織っちゃってさ。
あのハデハデ女は結果的にはセヴェリン王子の説得で仲間になる。あくまでゲームでの話だけどね。
この期に及んで新たな女性キャラ。いや、それはまだいい。問題はあのミアとかいう女は手当たり次第に男性キャラにちょっかいを出しやがるのだ。
中盤以降の参入のクセにその魅惑的なナイスバディとあざとい喋り方で数々のイケメンたちをたぶらかしていく。
ゲームでは必死こいて親密度上げたキャラを横取りされてさ、どんだけ煮え湯を飲まされたことか……。
あのビッチが仲間になるマップかー。なんだかやる気出ないし面倒くさいんだよね、ここのマップ。
今は膠着してるけど、しばらくしたら帝国の使者に脅されて進軍してくるんだよ。帝国はこっちにセヴェリン王子がいるなんて思ってないからね。
でもイェリングは帝国に逆らえないからガンガンこっちに攻めてくるわけ。もちろんセヴェリン王子は攻撃されないけど。
だからセヴェリン王子がひとりで移動してミアを説得できればクリア。でもその間にこっちがひとりでも敵兵を殺しちゃったら説得失敗、ゲームオーバーってやつ。
ゲームじゃすごい難しかったんだよ。普通に戦ったら殺しちゃうし、加減しすぎるとこっちが危ない。
うあー、魔法防御上げるアイテム持ってないよ。あの魔法部隊相手に耐えきれるだろうか。
待てよ、この世界ではゲームと同じ結果になるとは限らないんだった。
仲間になるはずのないギオルグが仲間になったみたいに。
ということはだ。逆に仲間になるキャラが仲間にならないって現象も起きるんじゃないだろうか。
自己防衛のためやむを得ずって感じで、どさくさまぎれに殺ってくれないだろうか、誰かが。
わたしが恐ろしいことを考えている間にイェリング軍が動き出した。
ローブ姿の兵士たちが続々橋を渡り始めている。
「姫、下がっててください。僕が指揮官のミアを説得して兵を撤退させます」
セヴェリン王子がそう言って前に出る。
うむむ、それが簡単にできるならとっくにむこうも退いてるだろう。とはいえここは王子に任せるしかない。
「みんな! イェリング軍の兵士を殺してはいけません! 防御に専念し、セヴェリン王子が説得するまで耐えるのです!」
わたしがそう叫んでみんなを鼓舞する。
ひとりが魔法の集中攻撃を受けないように横一列に並び、じわじわと退がる。
おお、うおっ、もう敵の射程範囲内か。敵の魔法攻撃が容赦なく降り注いでくる。
魔法防御の高いウルリクやわたしはなんとか大丈夫だけど、ホルガーやギオルグは相当キツそうだ。手持ちの傷薬で回復しているけど、このままじゃヤバい。
わたしも回復に回る。そして隙を見て睡眠で攻撃。これなら敵を傷つけずに戦闘不能にできる……ってありゃ、失敗した。魔術士って状態異常の耐性強かったんだ。
たまらずこちらも間接攻撃で反撃。もちろん敵の攻撃を寸断するための加減したものだけど。万が一当たったとしてもむこうには僧侶が多数いてすぐに回復してしまう。殺してしまう危険は少ないだろう。
矢や魔法で反撃し、敵の攻撃が中断したところで急いで回復。
だけどまたすぐに敵の魔法が飛来。あああ、魔法防御の低いユニットがピンチに。それとアグナーがもうブチ切れそうだ。今にも突っ込んでいって敵兵に斬りかかりそう。
セヴェリン王子……早く! このままじゃゲームオーバーになっちゃう!
ゲームならあっという間に次マップとなるわけだけど、この世界じゃそうもいかない。例によって数日間の行軍を経て目的地へ到達。
幸い、セヴェリン王子率いる軍は少数ながらもイェリング軍を押しとどめていた。
イェリング軍は同盟国に遠慮しているというより、セヴェリン王子が前線に出てきていることに動揺しているという。
かといってこのまま何もせず自国に引き返しては帝国の怒りを買う。相手としてもまずはセヴェリン王子を逆に説得しようとしているそうだ。
諜報兵からの情報はこんなもんだ。
概ねゲームと同じ展開。となればイェリング軍の指揮官もヤツだろうとわたしは敵陣を睨みつける。
河を挟んだ橋の向こうにイェリングの旗がいくつもはためいている。
その下にはローブ姿の兵が大勢待機している。
イェリング遠征軍の多くは魔術士や僧侶で編成された魔法部隊。
そしてそれを率いるのが……いたいた、中央で豪華な椅子に座ってる一際派手なのが。
司祭のミアって金髪女だ。
司祭って聖職者だよね。それなのになにあれ。大胆なスリットの入ったドレスにミンクのコートみたいなの羽織っちゃってさ。
あのハデハデ女は結果的にはセヴェリン王子の説得で仲間になる。あくまでゲームでの話だけどね。
この期に及んで新たな女性キャラ。いや、それはまだいい。問題はあのミアとかいう女は手当たり次第に男性キャラにちょっかいを出しやがるのだ。
中盤以降の参入のクセにその魅惑的なナイスバディとあざとい喋り方で数々のイケメンたちをたぶらかしていく。
ゲームでは必死こいて親密度上げたキャラを横取りされてさ、どんだけ煮え湯を飲まされたことか……。
あのビッチが仲間になるマップかー。なんだかやる気出ないし面倒くさいんだよね、ここのマップ。
今は膠着してるけど、しばらくしたら帝国の使者に脅されて進軍してくるんだよ。帝国はこっちにセヴェリン王子がいるなんて思ってないからね。
でもイェリングは帝国に逆らえないからガンガンこっちに攻めてくるわけ。もちろんセヴェリン王子は攻撃されないけど。
だからセヴェリン王子がひとりで移動してミアを説得できればクリア。でもその間にこっちがひとりでも敵兵を殺しちゃったら説得失敗、ゲームオーバーってやつ。
ゲームじゃすごい難しかったんだよ。普通に戦ったら殺しちゃうし、加減しすぎるとこっちが危ない。
うあー、魔法防御上げるアイテム持ってないよ。あの魔法部隊相手に耐えきれるだろうか。
待てよ、この世界ではゲームと同じ結果になるとは限らないんだった。
仲間になるはずのないギオルグが仲間になったみたいに。
ということはだ。逆に仲間になるキャラが仲間にならないって現象も起きるんじゃないだろうか。
自己防衛のためやむを得ずって感じで、どさくさまぎれに殺ってくれないだろうか、誰かが。
わたしが恐ろしいことを考えている間にイェリング軍が動き出した。
ローブ姿の兵士たちが続々橋を渡り始めている。
「姫、下がっててください。僕が指揮官のミアを説得して兵を撤退させます」
セヴェリン王子がそう言って前に出る。
うむむ、それが簡単にできるならとっくにむこうも退いてるだろう。とはいえここは王子に任せるしかない。
「みんな! イェリング軍の兵士を殺してはいけません! 防御に専念し、セヴェリン王子が説得するまで耐えるのです!」
わたしがそう叫んでみんなを鼓舞する。
ひとりが魔法の集中攻撃を受けないように横一列に並び、じわじわと退がる。
おお、うおっ、もう敵の射程範囲内か。敵の魔法攻撃が容赦なく降り注いでくる。
魔法防御の高いウルリクやわたしはなんとか大丈夫だけど、ホルガーやギオルグは相当キツそうだ。手持ちの傷薬で回復しているけど、このままじゃヤバい。
わたしも回復に回る。そして隙を見て睡眠で攻撃。これなら敵を傷つけずに戦闘不能にできる……ってありゃ、失敗した。魔術士って状態異常の耐性強かったんだ。
たまらずこちらも間接攻撃で反撃。もちろん敵の攻撃を寸断するための加減したものだけど。万が一当たったとしてもむこうには僧侶が多数いてすぐに回復してしまう。殺してしまう危険は少ないだろう。
矢や魔法で反撃し、敵の攻撃が中断したところで急いで回復。
だけどまたすぐに敵の魔法が飛来。あああ、魔法防御の低いユニットがピンチに。それとアグナーがもうブチ切れそうだ。今にも突っ込んでいって敵兵に斬りかかりそう。
セヴェリン王子……早く! このままじゃゲームオーバーになっちゃう!
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