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第4章 創作の力
4 再発動
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包帯の魔族ゼネストラスは攻撃されながらも天狗の1体の足をつかみ、ぐっと引き寄せる。
その天狗は暴れるが瞬時に首をもがれ、胴を引きちぎられる。
そしてゼネストラスの足元からボッ、と赤黒い樹木が針のように枝を突き出し、残りの天狗を串刺しにした。妖を贄として呪術を使ったようだ。
「小癪な……じゃが、まだまだ」
さらに妖を喚ぼうと扇子を振る玉響。それより早くゼネストラスが叫んだ。
「ギートニオン、いつまでも遊ぶなっ! 手伝え!」
ギートニオンと呼ばれたのは──甲冑の魔族だ。
鬼神大嶽丸の攻撃にヒザをついていたが、勢いよく立ち上がり、体当たり。
大嶽丸は大太刀を手放し、玉響のほうへ背中から倒れる。
ズゥンッ、と石畳が砕け、玉響の姿も消えた。
ゼネストラスの動きを妨げる者はいなくなり、魔族は生存者のほうへ近づいていく。
「やらせるかっ、俺が相手だ!」
葵が生存者たちの前に移動していた。
震える手で短剣の先をゼネストラスへ向ける。
「召喚ができないお前などただのガキ……死ぬか?」
ゼネストラスは右手を伸ばしながらゆっくり歩いてくる。その時──。
咆哮。大嶽丸のものだ。起き上がってギートニオンにつかみかかり、肩にめり込んだままの大太刀に手をかける。
そして腹の辺りを蹴りつけながら強引に引き抜く。ギートニオンはよろめきながらも戦鎚を片手で振ろうとするが──それより早く大嶽丸の強烈な横薙ぎ。
大太刀は折れたが、ギートニオンの胴の一部が砕け、派手にブッ倒れる。大嶽丸はそこへ馬乗りになり、今度は拳を振り下ろしている。
重量級バケモノ同士の凄まじい戦いに葵もゼネストラスも一瞬気を取られた。
ビッ、とゼネストラスの背後から首筋に扇子が当てられる。
玉響だ。大嶽丸の下敷きになったと思われていたが無事だったらしい。いや、こめかみから血を流している。多少のダメージを受けていたようだ。
「ようも妾の身体に傷を……。ただ殺すだけでは飽き足らぬが」
ボンッ、とゼネストラスの首が刎ね飛ばされた。
ボトン、ゴロゴロと葵の目の前を転がり、葵は腰を抜かす。
「この傷の償いは斬首刑で勘弁してやろうかの。次はあの鎧武者の番じゃ」
首を刎ね飛ばしておいて勘弁するも何もないのだが、とりあえず呪術を使う魔族との決着はついた。
ここで葵の魔導書が光を放ち出す。ゼネストラスを倒したことで召喚が可能になったようだ。
「よしっ、アンカルネ・イストワール発動」
葵はすぐに魔導書を発動させる。残るS級魔族は一体。ここでたたみかける。
本から飛び出してきたのはギターケースを担ぎ、ピンクのツインテールをなびかせながら着地する少女。
退魔師、桐生カエデ。
葵はさらに集中。あとふたりは戦姫を喚び出すつもりだ。
だが急に魔導書の光が消えてしまった。
どうして、と狼狽える葵の横を何かが通りすぎた。
首を失ったゼネストラスの身体。ヨロヨロしているが素早い──。その先には当人の首が転がっている。
「パイセンッ、危ないから退がって!」
桐生カエデの叫びに葵は反射的に飛び退く。
ゼネストラスの頭部はモゴモゴと何か唱えている。その位置は生存者たちに近かった。
生存者ふたりの身体から噴水のように血が噴き出す。ビシャアアア、とそれを浴びたゼネストラスの身体は首を拾い上げ、脇に抱えていた。
「──っのお!」
カエデの銃撃。ビスビスビスと退魔処理を施した弾が撃ち込まれるが、ゼネストラスは平然と首を定位置に戻す。
「マズイのう、また呪術によって魔導書が封じられたの。ヤツの傷も癒えてしもうたわ」
「わかってんなら、もちょっと真面目に働いたらー? 生存者がやられたの、油断したアンタのせいだかんね」
「さすがに首が落ちてまで動くとは思っとらんかったわ。妾のせいではない」
「お前ら、言い合ってる場合じゃないっ、あと3人は絶対に守りきるぞ!」
玉響とカエデを叱りながら、葵は怒りにまかせて走る。生存者のひとりがまた浮遊しはじめた為だ。ゼネストラスのほうへ吸い寄せられている。
「させるかってーの!」
カエデがババババ、と素早く印を結ぶ。
生存者の動きが止まったが、ゼネストラスのほうも宙に文字を描きだす。
その隙をついて葵が短剣を突き出す。ゼネストラスは左腕でガード。
「そんなものが俺に効くか……」
ゼネストラスは軽く腕を振り、葵を弾き飛ばす。
葵はうしろへ転びながらも短剣は手放さない。短剣に向けて意識を集中した。
短剣の柄にはめられた青い宝石が輝き出す。
するとゼネストラスの左腕についたわずかな傷が開き、徐々に広がっていく。
「こいつは……! 魔導具の効果か」
ゼネストラスは瞬時に判断。傷が広がり、空間ができつつある左腕を無造作に引きちぎった。
もいだ左腕を宙に投げ、ブツブツとなにか唱える。左腕はゴワッ、と爆裂して数十体のC級魔族となって辺りに降りそそいだ。
「んあーっ、厄介! キモい! もー!」
カエデはグロック18Cをフルオート掃射し、弾切れになるとギターケースでC級魔族を殴りつける。
玉響も足軽姿の小鬼を召喚。槍を構えて葵の周りを守るように囲んだ。
その天狗は暴れるが瞬時に首をもがれ、胴を引きちぎられる。
そしてゼネストラスの足元からボッ、と赤黒い樹木が針のように枝を突き出し、残りの天狗を串刺しにした。妖を贄として呪術を使ったようだ。
「小癪な……じゃが、まだまだ」
さらに妖を喚ぼうと扇子を振る玉響。それより早くゼネストラスが叫んだ。
「ギートニオン、いつまでも遊ぶなっ! 手伝え!」
ギートニオンと呼ばれたのは──甲冑の魔族だ。
鬼神大嶽丸の攻撃にヒザをついていたが、勢いよく立ち上がり、体当たり。
大嶽丸は大太刀を手放し、玉響のほうへ背中から倒れる。
ズゥンッ、と石畳が砕け、玉響の姿も消えた。
ゼネストラスの動きを妨げる者はいなくなり、魔族は生存者のほうへ近づいていく。
「やらせるかっ、俺が相手だ!」
葵が生存者たちの前に移動していた。
震える手で短剣の先をゼネストラスへ向ける。
「召喚ができないお前などただのガキ……死ぬか?」
ゼネストラスは右手を伸ばしながらゆっくり歩いてくる。その時──。
咆哮。大嶽丸のものだ。起き上がってギートニオンにつかみかかり、肩にめり込んだままの大太刀に手をかける。
そして腹の辺りを蹴りつけながら強引に引き抜く。ギートニオンはよろめきながらも戦鎚を片手で振ろうとするが──それより早く大嶽丸の強烈な横薙ぎ。
大太刀は折れたが、ギートニオンの胴の一部が砕け、派手にブッ倒れる。大嶽丸はそこへ馬乗りになり、今度は拳を振り下ろしている。
重量級バケモノ同士の凄まじい戦いに葵もゼネストラスも一瞬気を取られた。
ビッ、とゼネストラスの背後から首筋に扇子が当てられる。
玉響だ。大嶽丸の下敷きになったと思われていたが無事だったらしい。いや、こめかみから血を流している。多少のダメージを受けていたようだ。
「ようも妾の身体に傷を……。ただ殺すだけでは飽き足らぬが」
ボンッ、とゼネストラスの首が刎ね飛ばされた。
ボトン、ゴロゴロと葵の目の前を転がり、葵は腰を抜かす。
「この傷の償いは斬首刑で勘弁してやろうかの。次はあの鎧武者の番じゃ」
首を刎ね飛ばしておいて勘弁するも何もないのだが、とりあえず呪術を使う魔族との決着はついた。
ここで葵の魔導書が光を放ち出す。ゼネストラスを倒したことで召喚が可能になったようだ。
「よしっ、アンカルネ・イストワール発動」
葵はすぐに魔導書を発動させる。残るS級魔族は一体。ここでたたみかける。
本から飛び出してきたのはギターケースを担ぎ、ピンクのツインテールをなびかせながら着地する少女。
退魔師、桐生カエデ。
葵はさらに集中。あとふたりは戦姫を喚び出すつもりだ。
だが急に魔導書の光が消えてしまった。
どうして、と狼狽える葵の横を何かが通りすぎた。
首を失ったゼネストラスの身体。ヨロヨロしているが素早い──。その先には当人の首が転がっている。
「パイセンッ、危ないから退がって!」
桐生カエデの叫びに葵は反射的に飛び退く。
ゼネストラスの頭部はモゴモゴと何か唱えている。その位置は生存者たちに近かった。
生存者ふたりの身体から噴水のように血が噴き出す。ビシャアアア、とそれを浴びたゼネストラスの身体は首を拾い上げ、脇に抱えていた。
「──っのお!」
カエデの銃撃。ビスビスビスと退魔処理を施した弾が撃ち込まれるが、ゼネストラスは平然と首を定位置に戻す。
「マズイのう、また呪術によって魔導書が封じられたの。ヤツの傷も癒えてしもうたわ」
「わかってんなら、もちょっと真面目に働いたらー? 生存者がやられたの、油断したアンタのせいだかんね」
「さすがに首が落ちてまで動くとは思っとらんかったわ。妾のせいではない」
「お前ら、言い合ってる場合じゃないっ、あと3人は絶対に守りきるぞ!」
玉響とカエデを叱りながら、葵は怒りにまかせて走る。生存者のひとりがまた浮遊しはじめた為だ。ゼネストラスのほうへ吸い寄せられている。
「させるかってーの!」
カエデがババババ、と素早く印を結ぶ。
生存者の動きが止まったが、ゼネストラスのほうも宙に文字を描きだす。
その隙をついて葵が短剣を突き出す。ゼネストラスは左腕でガード。
「そんなものが俺に効くか……」
ゼネストラスは軽く腕を振り、葵を弾き飛ばす。
葵はうしろへ転びながらも短剣は手放さない。短剣に向けて意識を集中した。
短剣の柄にはめられた青い宝石が輝き出す。
するとゼネストラスの左腕についたわずかな傷が開き、徐々に広がっていく。
「こいつは……! 魔導具の効果か」
ゼネストラスは瞬時に判断。傷が広がり、空間ができつつある左腕を無造作に引きちぎった。
もいだ左腕を宙に投げ、ブツブツとなにか唱える。左腕はゴワッ、と爆裂して数十体のC級魔族となって辺りに降りそそいだ。
「んあーっ、厄介! キモい! もー!」
カエデはグロック18Cをフルオート掃射し、弾切れになるとギターケースでC級魔族を殴りつける。
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