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第4章 創作の力
5 ヴァルキリーペンタグラム
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地面にバラバラと落ちてきたC級魔族たち。
その多くは葵のほうへ向かってきた。
玉響の召喚した小鬼たちとぶつかる。
小鬼が繰り出す槍に貫かれ、黒い体液をまき散らしながら倒れる魔族。だが数が多い。
葵を守っていた小鬼たちは魔族の強靭な爪や牙に引き裂かれ、その数を減らしていく。
玉響がさらに妖を召喚しようとするが──そこへ猛牛のように突っ込む甲冑の魔族ギートニオン。
肩には鬼神大嶽丸を担ぎ、突進しながらその巨体を豪快に投げつける。
舌打ちしながら跳躍してかわす玉響。
投げ捨てられた大嶽丸にむけ、ギートニオンの戦鎚の一撃。
轟音とともに大嶽丸の身体は粉々に砕け散った。
そして返す勢いでギートニオンは戦鎚を振り回しゴッ、と宙へ放り投げる。その先には玉響。
玉響はぬりかべを3体重ねて召喚して防御。空中で破壊音が響く。
混乱に乗じてまた呪術が発動した。
ひとりの生存者が血を噴き出して絶命。包帯の魔族ゼネストラスの左腕がみるみる再生し、さらに身体もメキメキとふたまわりほどデカくなる。
桐生カエデがギターケースから霊符の付いた鎖を取り出して投げつける。
ジャラアアアッ、とゼネストラスに巻き付いた鎖がギチギチと締めあげた。
「オン アボキャ ベイロシャノウ マカボダラ マニ ハンドマ ジンバラ ハラバリタヤ ウン」
印を結びながら真言を唱えるカエデ。だがすでにゼネストラスは鎖を引きちぎっていた。
残るふたりの生存者が宙に浮く。
「させるかあっっ!」
カエデが梵字の書かれた金属バットを持って突っ込む。
「カエデッ、これを使え!」
とっさに葵は短剣エスパス・エトランジェを投げた。
葵を守っている小鬼の数はわずか。身を守るためにも短剣を手放すわけにはいかないのだが、葵はそうすべきだと直感した。
走りながらカエデは短剣をキャッチ。短剣にはすでに葵が集中して力を込めている。
掴みかかるゼネストラスの手をかわし、カエデは短剣を腹部に突き刺す。だがまだ浅い。その場で回転し、金属バットでさらに打ち込む。
腹部に深くめり込んだ短剣。青い光が漏れ出てくる。
「うごっ──」
ゼネストラスの腹部に渦を巻く空間が現れ、魔族の身体はふたつに両断された。
立山のときはその空間に魔族を吸い込むことができたのだが、今回の光はすぐに収まってしまった。創造力を込める時間が少なかった為か。
ゼネストラスにダメージを与えたが、そのふたつに別れた上半身と下半身はすぐに動き出す。残るふたりの生存者を狙っている──。
「しつこいっての!」
無数の霊符が宙を舞う。カエデが印を結び、真言を唱えた。
「ノウマク サンマンダ バザラダン カン!」
霊符が次々と爆発。ゼネストラスのふたつの身体は吹っ飛ばされ、生存者から離れた。
上空から腹の底へ響くような唸り声。
見上げると、九つの尾を持つ巨大な化け狐が牙をむき出して甲冑の魔族ギートニオンを睨みつけている。
「あれは──」
妖狐、玉響の正体。周囲にボボボボと数百もの狐火が眩しいほどに辺りを照らす。
「ようもこの姿をさらさせたな、ヌシ様の前で」
玉響は上空からギートニオンへ飛びかかる。無数の狐火が先行してギートニオン、そしてC級魔族たちへ炸裂した。
C級魔族は残らず消滅。ギートニオンも緑の炎に包まれる。
グアッ、と玉響に噛み咥えられたギートニオンの甲冑がベキベキとへこみ、隙間から黒い体液が噴き出す。
玉響がブンと首を振り、ギートニオンはゼネストラスのほうへと投げ捨てられる。
生存者ふたりはすでにカエデが救い出していた。
2体のS級魔族は傷を負いながらも再び動き出す。
ゼネストラスの身体は自身が巻き付けてある包帯で強引に接合され、ギートニオンのボロボロの甲冑はギギギギ、と刺々しい形に変貌していく。
「まだ倒れない! ほんとしつっこいヤツら! ウザ~」
「異界の物の怪ども……打たれ強さだけは褒めてやるかの。だがこのままではラチがあかぬぞ、ヌシ様」
カエデと玉響が葵のほうを振り向く。
その時──葵の持っていた魔導書が光を放ち出す。
ゼネストラスにダメージを与えたことで再び使用可能になっていたのか。
「アンカルネ・イストワール、発動」
葵はすぐに魔導書を発動させる。いつまた封じられるか分からない。限界まで集中し、喚び出したのは──。
鉄拳豪腕娘、リッカ・ステアボルト。
伝説の傭兵、グォ・ツァイシー。
竜討伐者、フレイア・グラムロック。
5人は呼びかけるでもなく自然と陣形を組む。
「オン マカリシエイ ヂリベイ ソワカ」
カエデが印を結びながら真言を唱える。
5人の足元に星形の魔法陣が展開。
化け狐姿の玉響を中心に5人の力が集約される。
ガアッ、と開いた玉響の口の前にギュルギュルと回転するエネルギー弾が形成された。
ゼネストラスとギートニオンが向かってくる。エネルギー弾が発射される前に距離を詰めるつもりだ。だが──。
フレイアが右手を振ると、空から結界を突き破って竜殺剣バルムンクが飛来。2体の前に突き刺さり、行く手を阻む。
エネルギー弾が発射された。瞬間、辺りの景色が真っ白に。音もない──が、わずかな間を置いて凄まじい轟音と揺れ。
再び夜の闇が訪れ、玉響の狐火が辺りを照らし出す。
5人の戦姫が立っている先、参道から神社の本堂までの地面が消滅していた。いや、これは……神社のある山ごと半分消し飛んでいる。
当然、結界もS級魔族も跡形もなく消滅。
五戦姫同時攻撃。とんでもない威力に葵は戦慄した。
その多くは葵のほうへ向かってきた。
玉響の召喚した小鬼たちとぶつかる。
小鬼が繰り出す槍に貫かれ、黒い体液をまき散らしながら倒れる魔族。だが数が多い。
葵を守っていた小鬼たちは魔族の強靭な爪や牙に引き裂かれ、その数を減らしていく。
玉響がさらに妖を召喚しようとするが──そこへ猛牛のように突っ込む甲冑の魔族ギートニオン。
肩には鬼神大嶽丸を担ぎ、突進しながらその巨体を豪快に投げつける。
舌打ちしながら跳躍してかわす玉響。
投げ捨てられた大嶽丸にむけ、ギートニオンの戦鎚の一撃。
轟音とともに大嶽丸の身体は粉々に砕け散った。
そして返す勢いでギートニオンは戦鎚を振り回しゴッ、と宙へ放り投げる。その先には玉響。
玉響はぬりかべを3体重ねて召喚して防御。空中で破壊音が響く。
混乱に乗じてまた呪術が発動した。
ひとりの生存者が血を噴き出して絶命。包帯の魔族ゼネストラスの左腕がみるみる再生し、さらに身体もメキメキとふたまわりほどデカくなる。
桐生カエデがギターケースから霊符の付いた鎖を取り出して投げつける。
ジャラアアアッ、とゼネストラスに巻き付いた鎖がギチギチと締めあげた。
「オン アボキャ ベイロシャノウ マカボダラ マニ ハンドマ ジンバラ ハラバリタヤ ウン」
印を結びながら真言を唱えるカエデ。だがすでにゼネストラスは鎖を引きちぎっていた。
残るふたりの生存者が宙に浮く。
「させるかあっっ!」
カエデが梵字の書かれた金属バットを持って突っ込む。
「カエデッ、これを使え!」
とっさに葵は短剣エスパス・エトランジェを投げた。
葵を守っている小鬼の数はわずか。身を守るためにも短剣を手放すわけにはいかないのだが、葵はそうすべきだと直感した。
走りながらカエデは短剣をキャッチ。短剣にはすでに葵が集中して力を込めている。
掴みかかるゼネストラスの手をかわし、カエデは短剣を腹部に突き刺す。だがまだ浅い。その場で回転し、金属バットでさらに打ち込む。
腹部に深くめり込んだ短剣。青い光が漏れ出てくる。
「うごっ──」
ゼネストラスの腹部に渦を巻く空間が現れ、魔族の身体はふたつに両断された。
立山のときはその空間に魔族を吸い込むことができたのだが、今回の光はすぐに収まってしまった。創造力を込める時間が少なかった為か。
ゼネストラスにダメージを与えたが、そのふたつに別れた上半身と下半身はすぐに動き出す。残るふたりの生存者を狙っている──。
「しつこいっての!」
無数の霊符が宙を舞う。カエデが印を結び、真言を唱えた。
「ノウマク サンマンダ バザラダン カン!」
霊符が次々と爆発。ゼネストラスのふたつの身体は吹っ飛ばされ、生存者から離れた。
上空から腹の底へ響くような唸り声。
見上げると、九つの尾を持つ巨大な化け狐が牙をむき出して甲冑の魔族ギートニオンを睨みつけている。
「あれは──」
妖狐、玉響の正体。周囲にボボボボと数百もの狐火が眩しいほどに辺りを照らす。
「ようもこの姿をさらさせたな、ヌシ様の前で」
玉響は上空からギートニオンへ飛びかかる。無数の狐火が先行してギートニオン、そしてC級魔族たちへ炸裂した。
C級魔族は残らず消滅。ギートニオンも緑の炎に包まれる。
グアッ、と玉響に噛み咥えられたギートニオンの甲冑がベキベキとへこみ、隙間から黒い体液が噴き出す。
玉響がブンと首を振り、ギートニオンはゼネストラスのほうへと投げ捨てられる。
生存者ふたりはすでにカエデが救い出していた。
2体のS級魔族は傷を負いながらも再び動き出す。
ゼネストラスの身体は自身が巻き付けてある包帯で強引に接合され、ギートニオンのボロボロの甲冑はギギギギ、と刺々しい形に変貌していく。
「まだ倒れない! ほんとしつっこいヤツら! ウザ~」
「異界の物の怪ども……打たれ強さだけは褒めてやるかの。だがこのままではラチがあかぬぞ、ヌシ様」
カエデと玉響が葵のほうを振り向く。
その時──葵の持っていた魔導書が光を放ち出す。
ゼネストラスにダメージを与えたことで再び使用可能になっていたのか。
「アンカルネ・イストワール、発動」
葵はすぐに魔導書を発動させる。いつまた封じられるか分からない。限界まで集中し、喚び出したのは──。
鉄拳豪腕娘、リッカ・ステアボルト。
伝説の傭兵、グォ・ツァイシー。
竜討伐者、フレイア・グラムロック。
5人は呼びかけるでもなく自然と陣形を組む。
「オン マカリシエイ ヂリベイ ソワカ」
カエデが印を結びながら真言を唱える。
5人の足元に星形の魔法陣が展開。
化け狐姿の玉響を中心に5人の力が集約される。
ガアッ、と開いた玉響の口の前にギュルギュルと回転するエネルギー弾が形成された。
ゼネストラスとギートニオンが向かってくる。エネルギー弾が発射される前に距離を詰めるつもりだ。だが──。
フレイアが右手を振ると、空から結界を突き破って竜殺剣バルムンクが飛来。2体の前に突き刺さり、行く手を阻む。
エネルギー弾が発射された。瞬間、辺りの景色が真っ白に。音もない──が、わずかな間を置いて凄まじい轟音と揺れ。
再び夜の闇が訪れ、玉響の狐火が辺りを照らし出す。
5人の戦姫が立っている先、参道から神社の本堂までの地面が消滅していた。いや、これは……神社のある山ごと半分消し飛んでいる。
当然、結界もS級魔族も跡形もなく消滅。
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