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第2部 消えた志求磨
18 新ヒーロー、ガマゾン登場
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御手洗剛志が呼ぶと、うう~、と唸りながら入ってくる男。
日に焼けたボサボサの長髪に野性味あふれるワイルドな顔つき。
毛皮の服を着て、前傾姿勢でまるで獣のような歩き方だ。
《ガマゾン》山中大吉。
頭の中にダダダダ、と文字が打ち込まれてわたしはあっ、と声をあげた。
《ガマゾン》山中大吉……懐かしのヒーロー特集で見たことある。
好評だった《アライグマッスル》より数年後、人気のマスクドアニマルシリーズも視聴率が低迷していた時だったらしい。
製作陣は今までアライグマやイリオモテヤマネコといった比較的かわいらしい動物をモチーフとしたヒーローを登場させていたが、ここで思いきって両生類に手を出したのだ。
そこで誕生したのが《ガマゾン》である。
なんとモチーフはガマガエル。(正式にはヒキガエル)
話題性はあったのだが、その変身後のグロい見た目や子供向けとは思えぬ残酷な戦いぶり──毒をまき散らしたり、酸で溶かしたり、敵を丸呑みしたりと当時のTVの前の子供たちにトラウマ級の衝撃を与え、わずか4話で打ち切りとなった伝説のヒーローなのである。
山中大吉……見た目はワイルドな中年なのだが……しかしなんてヤツを拾ってきやがるんだ。面倒事が起こりそうな予感しかしない。
「間宮京一に代わり、これからは彼がわたしの旅に同行してくれるのだ。大吉、この人たちはセペノイアに行くそうだ。途中まではわたし達と行き先が同じだ。一緒に行くとしよう」
げ……ついてくるつもりか。正直、断りたいが一応助けてもらったし。魔物なんかが出てきたときは《アライグマッスル》の魔物鎮静化の能力が役立ちそうだ。
山中大吉は警戒した目つきでこちらを睨んでいる。たしか番組の設定では幼い頃に両親と生き別れ、ひとりジャングルで動物たちと暮らしていた野生児だったか。言葉なんかはまともに通じるのか?
ともかくわたしとアルマ、楊、御手洗剛志と山中大吉はセペノイアの街を目指すことになった。
「セペノイアに行くのなら俺が紹介状を出しておこう。あの街はまだよそ者の願望者の出入りに厳しいからな。いらんトラブルも避けられるだろう」
サーブル領主ムスタファの好意に感謝し、さっそくわたし達はセペノイアに向けて出発することにした。
また砂漠を越えて行くのにはうんざりだが、今度は隊商は利用しない。
テンプルナイツに狙われているわたしと一緒では普通の人間では危険すぎる。
ムスタファは兵を貸してくれると言ったが、それは断った。
紹介状と旅に必要な物資。国境までのラクダで十分だ。
わたし達は涼しい夕方にサーブルの領都を発つ。
だが魔物に襲われやすい願望者が5人かたまって移動となると……ほら、もう出てきた。魔物の登場だ。
緑色の身体をぐにぐにと動かし、わたし達を囲んでいる。というかサボテンだ。植物系の魔物なんてはじめて見た。
「普通のサボテンに擬態しているから、気付かないうちに囲まれる……意外と手強いから気を付けて」
アルマの忠告。サボテンどもはぐにぐにと近づいてくるが動きは遅そうだ。ただ数が多い。
「おい、おっさん! あんたの出番だ! あんたの能力で魔物を追っ払ってくれ!」
こういう時こそ《アライグマッスル》の力を発揮してもらう。御手洗剛志はまかせろっ、とジャケットの中からラクーンマスクを取り出す──が、その頭を踏み台にして跳躍する影。《ガマゾン》山中大吉だ。
「がううっ、オレがヤルッ!」
空中で腕を交差させ、ワイルド中年は叫ぶ。
「ガアアァーーマアアァーーゾオオォォーーンッッ!」
山中大吉の身体がビカアッ、と輝く。
着地した時にはヒーロー、《ガマゾン》へと変身していた。
赤褐色の全体的にゴツゴツしたデザインのボディー。お腹の部分は白い。
マスクは大きなへの字の口と上に盛り上がったふたつの目玉が特徴。まさしくガマガエルのバケ……いや、ヒーローの登場だ。
《ガマゾン》に大勢のサボテンの魔物が襲いかかる。
「ガアアッ、くらえっ!」
《ガマゾン》の攻撃。背中のイボイボから何かビャアッ、と緑色の液体をまき散らした。
その液体に触れた魔物たちはガクガクと身体を震わせながら倒れていく。これは毒攻撃だ。強力だが、味方がまだ近くにいる時にそんなん使わないでほしい……。
まだ魔物は多い。ババババッ、とサボテンの針を飛ばしてきた。
「クククククッ!」
笑っているわけではない。あれは《ガマゾン》の鳴き声だ。
《ガマゾン》の身体全体が白いテラテラしたものでコーティングされた。サボテンの針が刺さらずにヌルゥッ、と滑っていく。
《ガマゾン》の反撃だ。マスクのへの字口からビュッ、と舌が飛び出した。
一匹を捕らえ、そのまま引き寄せる。まさか──。
わたしのイヤな予感は的中。への字口がバカアッと開き、魔物を丸呑みに。マジか……リアルで見るとかなりのグロさだ。アルマと楊も完全に引いている。
ヒュッ、ヒュッ、ヒュヒュッ、と次々に魔物を呑み込んでいく《ガマゾン》。
最後の一匹を呑み込み、げふぅ、とゲップをしながら腹をさする《ガマゾン》。あんだけの量がどういう仕組みで腹に入るんだ。
「さすがは《ガマゾン》。あんな魔物どもではわたしが戦うまでもなかったな」
高らかに笑う御手洗剛志。おい、本当にあんなんを連れて回るつもりか……。
日に焼けたボサボサの長髪に野性味あふれるワイルドな顔つき。
毛皮の服を着て、前傾姿勢でまるで獣のような歩き方だ。
《ガマゾン》山中大吉。
頭の中にダダダダ、と文字が打ち込まれてわたしはあっ、と声をあげた。
《ガマゾン》山中大吉……懐かしのヒーロー特集で見たことある。
好評だった《アライグマッスル》より数年後、人気のマスクドアニマルシリーズも視聴率が低迷していた時だったらしい。
製作陣は今までアライグマやイリオモテヤマネコといった比較的かわいらしい動物をモチーフとしたヒーローを登場させていたが、ここで思いきって両生類に手を出したのだ。
そこで誕生したのが《ガマゾン》である。
なんとモチーフはガマガエル。(正式にはヒキガエル)
話題性はあったのだが、その変身後のグロい見た目や子供向けとは思えぬ残酷な戦いぶり──毒をまき散らしたり、酸で溶かしたり、敵を丸呑みしたりと当時のTVの前の子供たちにトラウマ級の衝撃を与え、わずか4話で打ち切りとなった伝説のヒーローなのである。
山中大吉……見た目はワイルドな中年なのだが……しかしなんてヤツを拾ってきやがるんだ。面倒事が起こりそうな予感しかしない。
「間宮京一に代わり、これからは彼がわたしの旅に同行してくれるのだ。大吉、この人たちはセペノイアに行くそうだ。途中まではわたし達と行き先が同じだ。一緒に行くとしよう」
げ……ついてくるつもりか。正直、断りたいが一応助けてもらったし。魔物なんかが出てきたときは《アライグマッスル》の魔物鎮静化の能力が役立ちそうだ。
山中大吉は警戒した目つきでこちらを睨んでいる。たしか番組の設定では幼い頃に両親と生き別れ、ひとりジャングルで動物たちと暮らしていた野生児だったか。言葉なんかはまともに通じるのか?
ともかくわたしとアルマ、楊、御手洗剛志と山中大吉はセペノイアの街を目指すことになった。
「セペノイアに行くのなら俺が紹介状を出しておこう。あの街はまだよそ者の願望者の出入りに厳しいからな。いらんトラブルも避けられるだろう」
サーブル領主ムスタファの好意に感謝し、さっそくわたし達はセペノイアに向けて出発することにした。
また砂漠を越えて行くのにはうんざりだが、今度は隊商は利用しない。
テンプルナイツに狙われているわたしと一緒では普通の人間では危険すぎる。
ムスタファは兵を貸してくれると言ったが、それは断った。
紹介状と旅に必要な物資。国境までのラクダで十分だ。
わたし達は涼しい夕方にサーブルの領都を発つ。
だが魔物に襲われやすい願望者が5人かたまって移動となると……ほら、もう出てきた。魔物の登場だ。
緑色の身体をぐにぐにと動かし、わたし達を囲んでいる。というかサボテンだ。植物系の魔物なんてはじめて見た。
「普通のサボテンに擬態しているから、気付かないうちに囲まれる……意外と手強いから気を付けて」
アルマの忠告。サボテンどもはぐにぐにと近づいてくるが動きは遅そうだ。ただ数が多い。
「おい、おっさん! あんたの出番だ! あんたの能力で魔物を追っ払ってくれ!」
こういう時こそ《アライグマッスル》の力を発揮してもらう。御手洗剛志はまかせろっ、とジャケットの中からラクーンマスクを取り出す──が、その頭を踏み台にして跳躍する影。《ガマゾン》山中大吉だ。
「がううっ、オレがヤルッ!」
空中で腕を交差させ、ワイルド中年は叫ぶ。
「ガアアァーーマアアァーーゾオオォォーーンッッ!」
山中大吉の身体がビカアッ、と輝く。
着地した時にはヒーロー、《ガマゾン》へと変身していた。
赤褐色の全体的にゴツゴツしたデザインのボディー。お腹の部分は白い。
マスクは大きなへの字の口と上に盛り上がったふたつの目玉が特徴。まさしくガマガエルのバケ……いや、ヒーローの登場だ。
《ガマゾン》に大勢のサボテンの魔物が襲いかかる。
「ガアアッ、くらえっ!」
《ガマゾン》の攻撃。背中のイボイボから何かビャアッ、と緑色の液体をまき散らした。
その液体に触れた魔物たちはガクガクと身体を震わせながら倒れていく。これは毒攻撃だ。強力だが、味方がまだ近くにいる時にそんなん使わないでほしい……。
まだ魔物は多い。ババババッ、とサボテンの針を飛ばしてきた。
「クククククッ!」
笑っているわけではない。あれは《ガマゾン》の鳴き声だ。
《ガマゾン》の身体全体が白いテラテラしたものでコーティングされた。サボテンの針が刺さらずにヌルゥッ、と滑っていく。
《ガマゾン》の反撃だ。マスクのへの字口からビュッ、と舌が飛び出した。
一匹を捕らえ、そのまま引き寄せる。まさか──。
わたしのイヤな予感は的中。への字口がバカアッと開き、魔物を丸呑みに。マジか……リアルで見るとかなりのグロさだ。アルマと楊も完全に引いている。
ヒュッ、ヒュッ、ヒュヒュッ、と次々に魔物を呑み込んでいく《ガマゾン》。
最後の一匹を呑み込み、げふぅ、とゲップをしながら腹をさする《ガマゾン》。あんだけの量がどういう仕組みで腹に入るんだ。
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