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第2部 消えた志求磨
23 動画配信対決
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「テンプルナイツとかいうヤツだろ、お前。こんなところで騒ぎを起こすつもりか」
わたしが聞くとヒグマアイはドヤ顔で答える。
「セペノイアはたしかにテンプルナイツといえど好き勝手できる街じゃない。だ・か・ら・わたしが来たの。荒っぽいことせずにあんたを捕まえるためにね」
やはりこいつも橋本君や天魔まいと同じようなタイプの願望者か。
こちらの危害を加えるような攻撃は封じられ、相手のヘンテコな勝負に巻き込まれてしまうのだ。
「で? 一体なんの勝負をするつもりだ。今までの相手はみんな返り討ちにしてやったぞ」
「ふっ、話が早いわね、《剣聖》。たしかにわたしみたいなタイプの願望者は自分の得意な分野で勝負ができる。でも一度でも失敗すれば敗北してしまうリスクがある……」
なるほど。そういえば橋本君も一度点を入れられただけで敗北を認めたし(わたしがズルをしたが)、天魔まいも《アライグマッスル》が術にかからなかっただけで戦意喪失した。
「だけどね、このヒグマアイにはぜっっっったいに勝つなんて無理だから☆ だって勝負の内容はライブ動画配信対決! お題にそった動画を配信して、いいねの数で勝敗を決めるの☆ 260万人の登録者がいるわたし、超有利~☆」
「ライブ動画を配信するだって……?」
わたし達が顔を見合わせていると、ガラガラガラとテンプルナイツ兵がまた何か運んでくる。
ウェブカメラが接続されたパソコンだ。わたし達の目の前に置かれた。
またこんな異世界らしくないものを……。
呆れていると、ヒグマアイが熊の耳をピコピコ動かしながら急かす。
「ほら、早く準備して~☆ もうあっちの元の世界に繋がってるから。最初のお題はVチューバーお決まりの自己紹介~! んじゃ、まずはわたしから~☆」
なんと……こんな機材を用意した上に、元の世界に動画を配信できるとは。とんでもないヤツだ……。惜しむらくはその力をもっと違うことに使えなかったのか。
「はい、どうも~☆ ファンの人も初めての人もコンニチワ! ヒグマアイですっ☆ 今日も異世界から配信してます~! え? ウソだろって? それがホントなんだなー。信じてくれない人にはヒグマパンチをお見舞いするゾ☆」
テンションたけえな……あんなんわたしにはムリそう……。
ヒグマアイのモニターには流れるように次々とコメントが入っていく。
『カワイイ! 最高ヒグマアイちゃん!』
『今日もこの声に癒されるわ。ホント好き』
『さすがナンバーワンVチューバー! 次は誰とコラボすんの』
『こないだのゲーム実況、マジ神回。またやってくんねーかな』
ちょろっとあいさつしただけなのに、もういいねの数が8千……これを超えなければならないのか。
「ほら、あんた達の番。誰が何回挑戦してもいいけど、3回負けたら自動的に拘束されるから。その代わりわたしに1回でも勝てればあんた達の勝ち~」
「羽鳴由佳、どうするんだ。僕はこんな……みんなの前で自己紹介なんて出来ないぞ」
楊が不安げな声を出す。アルマもぶんぶんと首を横に振る。
わかっている。モジモジ楊と、もにょっ娘アルマではたしかにムリな話だ。ここは不本意だが──わたしがやるしかない。
パソコンの操作はアルマが出来るというので任せ、わたしはカメラの前に立つ。
「……………………」
「由佳、動画なんだから喋ったり動いたりしないと……あと顔が引きつっててコワイ……」
アルマの指摘にそうだったとわたしはギクシャクした動きで喋りはじめる。
「ど、どうも~、は、羽鳴由佳といいます~。異世界で《剣聖》やってます~。よ、よろしく~」
多少ぎこちないが、まあこの美少女っぷりにモニターごしの男どもはメロメロだろう。あんなバーチャルなクマ娘に生身のわたしが負けるはずがない。いいねの数は2万ぐらいいったか?
わたしはアルマに確認する。
「……えっと……3つ」
はあ!? 3? ……3!? この超絶美少女がっ!?
これは何かの間違いだ。パソコンの故障か、イカサマか、敵の策略か、なんらかの超常現象か……とにかくそんなバカなことがあるはずない。
「あ、でもコメントが入ってきている……」
アルマが気付き、楊が内容を読み上げた。
『はい、厨二病全開コスプレイヤー出たww』
『原作なんか分からんけど……』
『異世界設定、ヒグマアイのパクりじゃん』
『なんか足太くね?』
ぐぐぐ……元の世界で見ているヤツらめ……散々な言われようだ。特に最後のヤツ、許さん。
「ぶふぅーっ! 3! これはもう勝負あったよねーっ!」
ヒグマアイがモニター内ではしゃいでいる。いや……まだだ。まだ自己紹介は終わってない。これからがわたしの本領発揮だ。
「わたしの得意技は居合いですっ。今からやってみせますっ!」
地面に落ちている太めの木の枝を宙へ投げ──居合いの構えから抜刀。
見事木の枝は真っ二つに。パチン、と納刀し、わたしはカメラのほうを見る。どうだ、これは。たまげただろう。
「あ、またコメントが……」
アルマが声をあげ、楊がまたそれを読み上げる。
『ドヤ顔ワロタww』
『フツーに銃刀法違反。通報したで』
『アブネー奴だわ。こういうのが通り魔事件起こすんだろな』
『やっぱ足太くね?』
わたしはその場でズッコケる。
むぐぐ、なぜだ……それに最後のヤツはなんなんだ。殺されたいのか。
わたしが聞くとヒグマアイはドヤ顔で答える。
「セペノイアはたしかにテンプルナイツといえど好き勝手できる街じゃない。だ・か・ら・わたしが来たの。荒っぽいことせずにあんたを捕まえるためにね」
やはりこいつも橋本君や天魔まいと同じようなタイプの願望者か。
こちらの危害を加えるような攻撃は封じられ、相手のヘンテコな勝負に巻き込まれてしまうのだ。
「で? 一体なんの勝負をするつもりだ。今までの相手はみんな返り討ちにしてやったぞ」
「ふっ、話が早いわね、《剣聖》。たしかにわたしみたいなタイプの願望者は自分の得意な分野で勝負ができる。でも一度でも失敗すれば敗北してしまうリスクがある……」
なるほど。そういえば橋本君も一度点を入れられただけで敗北を認めたし(わたしがズルをしたが)、天魔まいも《アライグマッスル》が術にかからなかっただけで戦意喪失した。
「だけどね、このヒグマアイにはぜっっっったいに勝つなんて無理だから☆ だって勝負の内容はライブ動画配信対決! お題にそった動画を配信して、いいねの数で勝敗を決めるの☆ 260万人の登録者がいるわたし、超有利~☆」
「ライブ動画を配信するだって……?」
わたし達が顔を見合わせていると、ガラガラガラとテンプルナイツ兵がまた何か運んでくる。
ウェブカメラが接続されたパソコンだ。わたし達の目の前に置かれた。
またこんな異世界らしくないものを……。
呆れていると、ヒグマアイが熊の耳をピコピコ動かしながら急かす。
「ほら、早く準備して~☆ もうあっちの元の世界に繋がってるから。最初のお題はVチューバーお決まりの自己紹介~! んじゃ、まずはわたしから~☆」
なんと……こんな機材を用意した上に、元の世界に動画を配信できるとは。とんでもないヤツだ……。惜しむらくはその力をもっと違うことに使えなかったのか。
「はい、どうも~☆ ファンの人も初めての人もコンニチワ! ヒグマアイですっ☆ 今日も異世界から配信してます~! え? ウソだろって? それがホントなんだなー。信じてくれない人にはヒグマパンチをお見舞いするゾ☆」
テンションたけえな……あんなんわたしにはムリそう……。
ヒグマアイのモニターには流れるように次々とコメントが入っていく。
『カワイイ! 最高ヒグマアイちゃん!』
『今日もこの声に癒されるわ。ホント好き』
『さすがナンバーワンVチューバー! 次は誰とコラボすんの』
『こないだのゲーム実況、マジ神回。またやってくんねーかな』
ちょろっとあいさつしただけなのに、もういいねの数が8千……これを超えなければならないのか。
「ほら、あんた達の番。誰が何回挑戦してもいいけど、3回負けたら自動的に拘束されるから。その代わりわたしに1回でも勝てればあんた達の勝ち~」
「羽鳴由佳、どうするんだ。僕はこんな……みんなの前で自己紹介なんて出来ないぞ」
楊が不安げな声を出す。アルマもぶんぶんと首を横に振る。
わかっている。モジモジ楊と、もにょっ娘アルマではたしかにムリな話だ。ここは不本意だが──わたしがやるしかない。
パソコンの操作はアルマが出来るというので任せ、わたしはカメラの前に立つ。
「……………………」
「由佳、動画なんだから喋ったり動いたりしないと……あと顔が引きつっててコワイ……」
アルマの指摘にそうだったとわたしはギクシャクした動きで喋りはじめる。
「ど、どうも~、は、羽鳴由佳といいます~。異世界で《剣聖》やってます~。よ、よろしく~」
多少ぎこちないが、まあこの美少女っぷりにモニターごしの男どもはメロメロだろう。あんなバーチャルなクマ娘に生身のわたしが負けるはずがない。いいねの数は2万ぐらいいったか?
わたしはアルマに確認する。
「……えっと……3つ」
はあ!? 3? ……3!? この超絶美少女がっ!?
これは何かの間違いだ。パソコンの故障か、イカサマか、敵の策略か、なんらかの超常現象か……とにかくそんなバカなことがあるはずない。
「あ、でもコメントが入ってきている……」
アルマが気付き、楊が内容を読み上げた。
『はい、厨二病全開コスプレイヤー出たww』
『原作なんか分からんけど……』
『異世界設定、ヒグマアイのパクりじゃん』
『なんか足太くね?』
ぐぐぐ……元の世界で見ているヤツらめ……散々な言われようだ。特に最後のヤツ、許さん。
「ぶふぅーっ! 3! これはもう勝負あったよねーっ!」
ヒグマアイがモニター内ではしゃいでいる。いや……まだだ。まだ自己紹介は終わってない。これからがわたしの本領発揮だ。
「わたしの得意技は居合いですっ。今からやってみせますっ!」
地面に落ちている太めの木の枝を宙へ投げ──居合いの構えから抜刀。
見事木の枝は真っ二つに。パチン、と納刀し、わたしはカメラのほうを見る。どうだ、これは。たまげただろう。
「あ、またコメントが……」
アルマが声をあげ、楊がまたそれを読み上げる。
『ドヤ顔ワロタww』
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