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無理矢理口に突っ込まれた焼きそばパンに死にかけ、その辺にあったコーラで流し込む。
会長が俺のだぞとか言ってきたけど知ったことではない。
「お、動き出した」
「殺す気ですか!」
隣でへらへらと笑う顔に怒りを覚えたが、その行為で我に帰れたのもまた事実だった。
見渡すと今は中庭のベンチ。恐らく、会長が引きずってきてくれたのだろう。
「感謝しろよ。お前の分、わざわざ売店まで出向いて買ってきたんだから」
「え、会長……」
「田中が。」
会長じゃないんかい。少しでも期待した自分が馬鹿だった。
というか田中君、パシリに使ってごめんと心の中で謝罪しておいた。
「陽貴のこと好きなの?」
「……あぁ、はい。そうです」
どうせ隠したって仕方ないが、このニヤニヤ顔の会長に言うのはすごく、なんかこう釈だった。
そして根掘り葉掘り聞かれたので、小学生の時に同じ図書委員会だったこと、卒業式の日に告白されたこと、連絡出来なかったこと、今でも好きなことを正直に話した。
「お前ら……こじらせてるな」
「やっぱりそうですよね……」
「両思い確定でなんでわざわざ遠回りするんだろうな。あいつは。」
二人で顔を見合わせて溜息をついた。
「あ、でも考えみたら僕の親衛隊なんて出来ないか」
「ん?なんでそう思う」
何故なら、親衛隊は役職持ち、またはファンクラブ総数が50人を超える大所帯でなければ結成されず、殆どがファンクラブ止まりだからだ。
「ファンクラブならまだ規律とかも緩いしなんとかなるかも!」
ファンクラブは、その会にもよるが殆どが遊び半分の軽い気持ちで入っている人が多い。顔ファン、なんとなく、周りが入っているから、人数集めなどよくよく聞けば全然ファンじゃないみたいな人もいたりする。
掛け持ちも有りなのでいくつも加入することもできる。
対して親衛隊は風紀委員会に申請をして、メンバーについても厳正な調査をした上で正式に決定される。
その際に規則やルールなどを親衛対象と話し合った上で、決めていく。
親衛隊と親衛対象が恋愛関係になることは隊の規律を乱すことになりかねる。
皆を平等に愛することが出来なければ、不平等感が生まれるので、親衛隊としてのモチベーションが低下してしまうのだ。
なので、親衛対象に好きな人、若しくは恋人がいる場合にはそれでも入りたい人だけが隊に残り、もし親衛隊に入っていれば抜けるという暗黙の了解がある。
「残念ながら、お前のファンクラブ元々50人超えてたからいけると思う」
僕のファンクラブ???50人超えてる???
「き、聞いてない……」
「田中が作ったやつ」
確かに、田中君が前にファンクラブがどうのこうの話をしていた気がする。田中君は常に勢いが強いから適当に頷いていることが仇となってしまった。
「で、でも!それなら田中君が親衛隊隊長になるべきですよね!」
僕は藁にも縋る思いで会長の目を見るも、会長はあの田中だぞと言わんばかりの顔をしていた。
「俺の親衛隊に入っている田中が、俺に似た男に何かをお願いされて、駄目と言う筈がない」
それはそう。
なんなら親衛隊隊長を譲る気しかしない。
「あ、嶺くん。こんな所にいた!真柴くん~嶺くん居たよ~!」
噂をしていれば田中君がやってきた。
隣には何故か少し顔を赤らめた真柴くん。
とてつもなく嫌な予感しかしない。
「嶺くん……、いや、嶺様。」
嫌な予感は的中した。真柴くん跪いてるし。会長は笑い堪えてるし、田中君はうんうん頷いてる。めちゃくちゃ顔を見てるから顔ファンになって言いくるめられたことは間違いなかった。
「この度、嶺様の親衛隊を設立させていただきました。隊長は僭越ながら自分が務めます」
真柴くんの演説のような挨拶は続いた。
この学園に入学してからファンクラブや親衛隊の存在を知ったこと。僕が会長の親衛隊隊長だったこと。
それが何故か悔しくて絶対に負けられないという気持ちが湧いたこと。
だから、誰にも負けないような親衛隊を作ろうと思ったこと。
ずれてる……。真柴くん、惜しいよ……。
思考が体育会系すぎる真柴くんは話し終えた後に満足気に立ち上がった。
「これから頑張ります!また放課後にお迎えに上がります!それでは!!!」
「次、移動教室だから先行くね~。会長と嶺くんも急ぎなよ~」
真柴くんと田中君は嵐のように去り、呆気に取られる僕と、笑いすぎて咳が止まらない会長だけが残された。
「あ~……あいつスポーツ推薦だから。」
フォローになっているのか微妙な会長に舌打ちをした。
そうして放課後になると、宣言通り真柴くんが教室に迎えに来てくれた。
教室では会長にそっくりな美形の登場に騒然としていた。
「嶺様、お迎えに上がりました」
その呼び方辞めて欲しいと思いつつ、顔の良さに強くは出られない僕は小心者だ。
鞄を持ちたがる真柴くんを躱しながらなんとか廊下に出ると、会長に首根っこを掴まれたので変な声が出た。
「お前ら、生徒会室行くぞ」
有無を言わさぬ会長の勢いは、真柴くんもそっくりだなと思いつつ。
抵抗しても良いことは無いので黙って引きずられながら僕達は生徒会室に向かった。
会長が俺のだぞとか言ってきたけど知ったことではない。
「お、動き出した」
「殺す気ですか!」
隣でへらへらと笑う顔に怒りを覚えたが、その行為で我に帰れたのもまた事実だった。
見渡すと今は中庭のベンチ。恐らく、会長が引きずってきてくれたのだろう。
「感謝しろよ。お前の分、わざわざ売店まで出向いて買ってきたんだから」
「え、会長……」
「田中が。」
会長じゃないんかい。少しでも期待した自分が馬鹿だった。
というか田中君、パシリに使ってごめんと心の中で謝罪しておいた。
「陽貴のこと好きなの?」
「……あぁ、はい。そうです」
どうせ隠したって仕方ないが、このニヤニヤ顔の会長に言うのはすごく、なんかこう釈だった。
そして根掘り葉掘り聞かれたので、小学生の時に同じ図書委員会だったこと、卒業式の日に告白されたこと、連絡出来なかったこと、今でも好きなことを正直に話した。
「お前ら……こじらせてるな」
「やっぱりそうですよね……」
「両思い確定でなんでわざわざ遠回りするんだろうな。あいつは。」
二人で顔を見合わせて溜息をついた。
「あ、でも考えみたら僕の親衛隊なんて出来ないか」
「ん?なんでそう思う」
何故なら、親衛隊は役職持ち、またはファンクラブ総数が50人を超える大所帯でなければ結成されず、殆どがファンクラブ止まりだからだ。
「ファンクラブならまだ規律とかも緩いしなんとかなるかも!」
ファンクラブは、その会にもよるが殆どが遊び半分の軽い気持ちで入っている人が多い。顔ファン、なんとなく、周りが入っているから、人数集めなどよくよく聞けば全然ファンじゃないみたいな人もいたりする。
掛け持ちも有りなのでいくつも加入することもできる。
対して親衛隊は風紀委員会に申請をして、メンバーについても厳正な調査をした上で正式に決定される。
その際に規則やルールなどを親衛対象と話し合った上で、決めていく。
親衛隊と親衛対象が恋愛関係になることは隊の規律を乱すことになりかねる。
皆を平等に愛することが出来なければ、不平等感が生まれるので、親衛隊としてのモチベーションが低下してしまうのだ。
なので、親衛対象に好きな人、若しくは恋人がいる場合にはそれでも入りたい人だけが隊に残り、もし親衛隊に入っていれば抜けるという暗黙の了解がある。
「残念ながら、お前のファンクラブ元々50人超えてたからいけると思う」
僕のファンクラブ???50人超えてる???
「き、聞いてない……」
「田中が作ったやつ」
確かに、田中君が前にファンクラブがどうのこうの話をしていた気がする。田中君は常に勢いが強いから適当に頷いていることが仇となってしまった。
「で、でも!それなら田中君が親衛隊隊長になるべきですよね!」
僕は藁にも縋る思いで会長の目を見るも、会長はあの田中だぞと言わんばかりの顔をしていた。
「俺の親衛隊に入っている田中が、俺に似た男に何かをお願いされて、駄目と言う筈がない」
それはそう。
なんなら親衛隊隊長を譲る気しかしない。
「あ、嶺くん。こんな所にいた!真柴くん~嶺くん居たよ~!」
噂をしていれば田中君がやってきた。
隣には何故か少し顔を赤らめた真柴くん。
とてつもなく嫌な予感しかしない。
「嶺くん……、いや、嶺様。」
嫌な予感は的中した。真柴くん跪いてるし。会長は笑い堪えてるし、田中君はうんうん頷いてる。めちゃくちゃ顔を見てるから顔ファンになって言いくるめられたことは間違いなかった。
「この度、嶺様の親衛隊を設立させていただきました。隊長は僭越ながら自分が務めます」
真柴くんの演説のような挨拶は続いた。
この学園に入学してからファンクラブや親衛隊の存在を知ったこと。僕が会長の親衛隊隊長だったこと。
それが何故か悔しくて絶対に負けられないという気持ちが湧いたこと。
だから、誰にも負けないような親衛隊を作ろうと思ったこと。
ずれてる……。真柴くん、惜しいよ……。
思考が体育会系すぎる真柴くんは話し終えた後に満足気に立ち上がった。
「これから頑張ります!また放課後にお迎えに上がります!それでは!!!」
「次、移動教室だから先行くね~。会長と嶺くんも急ぎなよ~」
真柴くんと田中君は嵐のように去り、呆気に取られる僕と、笑いすぎて咳が止まらない会長だけが残された。
「あ~……あいつスポーツ推薦だから。」
フォローになっているのか微妙な会長に舌打ちをした。
そうして放課後になると、宣言通り真柴くんが教室に迎えに来てくれた。
教室では会長にそっくりな美形の登場に騒然としていた。
「嶺様、お迎えに上がりました」
その呼び方辞めて欲しいと思いつつ、顔の良さに強くは出られない僕は小心者だ。
鞄を持ちたがる真柴くんを躱しながらなんとか廊下に出ると、会長に首根っこを掴まれたので変な声が出た。
「お前ら、生徒会室行くぞ」
有無を言わさぬ会長の勢いは、真柴くんもそっくりだなと思いつつ。
抵抗しても良いことは無いので黙って引きずられながら僕達は生徒会室に向かった。
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