初恋の人が親衛隊になるなんて聞いてない!

tomoe97

文字の大きさ
5 / 22

4

しおりを挟む
「会長。今日は珍しく早かったですね。……そちらの方は……」

生徒会室に入ると、副会長の窪井君と書記の武君がいた。
真柴くんを上から下まで凝視しているのが分かる。

ちなみに副会長と書記さんは真面目で、特に副会長は乱れたことが嫌いなのでセフレのイメージが先行してしまっている親衛隊のことが嫌っている。(主に会長のせい)
なので、いつも大体僕のことは無視している。


「新しい生徒会補佐連れてきた。」


静かに副会長から睨まれているのを感じていると、会長がとんでもないことを言い始めた。

「へぇ……この方が。もしかしてこの間おっしゃっていた弟くんですか?」

「あぁ。弟なら文句ないだろ」


曰く、生徒会には一ヶ月前まで生徒会補佐が居たらしいが、会長に惚れてしまい、しかも会長も軽い気持ちで手を出した為に副会長が大激怒。
生徒会補佐はクビになり、会長には新しい生徒会補佐を見つけてこいと命令されていたとのこと。

自分の弟が入学してくるから、そのうち連れてくるとだけ言っていたらしい。


「会長……何やってるんですか」

僕は会長の親衛隊にも関わらず、一切知らなかった。というか、会長の生徒会活動に一ミリも興味が無いので生徒会室に足を踏み入れたのもはじめてだ。

「それで?弟くんを補佐にするのはまぁいいですけど。なんで親衛隊まで連れてきているんですか?」

「いや、こいつ嶺の親衛隊隊長になったから。嶺につきっきりな訳。ついでに嶺も補佐にすれば良くね?って思って」

人は驚き、突っ込みどころが多すぎると思考が停止することをはじめて知った。
真柴くんは生徒会補佐ってなんの話?とか会長に聞いているし、会長は謎のドヤ顔をしているし、書記さんは完全無視だし。

何より、副会長の呆れた真顔がめちゃくちゃ恐くて目を合わせることが出来なかった。

いや、無茶苦茶なことしやがってこのくそ会長がとか思われてる顔じゃん……。

「僕なんかに補佐は務まりません。妙なこと言ってないで、はやく副会長に謝った方が身の為かと。」

会長の耳元で囁くと、会長は無理と一言だけ言って生徒会長の机に進んだ。
もう仕事内容の引き継ぎをする気満々らしい。

「……こちらに迷惑だけはかけないで下さいね」

「嶺様!一緒に頑張りましょうね!」

何故だか皆、受け入れが早すぎる。副会長は諦めたようにため息をつくと、自分の席に戻っていった。
僕一人が事態を飲み込めていなかったが、意外なことに会長は生徒会補佐の仕事を丁寧に教えてくれた。

パソコンの使い方、コピーをとる、雑用や風紀委員会などとの連絡係などを主に行うらしい。

「要は俺のサポートだ。特に陽貴は俺から仕事を奪うくらいの勢いで働け。」

横暴すぎる。真柴くんは真面目なのかその言葉もメモに取っていた。

僕達があれこれしている内に、いつの間にか副会長と書記さんは居なくなっていた。どうやら帰ってしまったようだった。

これから放課後はあの人達と顔を合わせなければならないと思うと憂鬱な気持ちになり、ついため息をついた。

「嶺様、大丈夫ですか?顔色が……」

なんだか今日は色々ありすぎて疲れた。
生徒会室から寮に向かう帰り道、真柴くんは気を遣ってくれて、一生懸命話をしてくれていたが、僕は上の空で返事をしていた。

食欲も湧かず、食堂に行きましょうとも言ってくれたけれど断って、部屋の前で皆と別れた。


はずだった。



5分ほど経ってから、ドアがバンバン叩かれ、あまりのうるささに顔を顰めながら出ると案の定、そこにいたのは会長だった。

「……何ですか。」

会長は部屋から適当な服と下着だけを取りに戻っていたらしく、手に抱えている。
もしかしなくても泊まるつもりだろう。

「おい、作戦会議するぞ」

僕は疲れすぎて上機嫌に部屋へと入り込んでいく会長の後ろ姿を呆然と眺めることしかできなかった。

「……一応聞きますけど、なんのですか」

「決まってるだろ。お前ら二人の両思い大作戦!」

絶対、この人楽しんでる。
そう遠い目をしながらとりあえず落ち着ける為にシャワーを浴びることに決めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

眠りに落ちると、俺にキスをする男がいる

綿毛ぽぽ
BL
就寝後、毎日のように自分にキスをする男がいる事に気付いた男。容疑者は同室の相手である三人。誰が犯人なのか。平凡な男は悩むのだった。 総受けです。

【柳原学園】いやいや、俺は『俺様生徒会長』だから

西園 斎
BL
家の都合で『俺様』を演じてる生徒会長が、生徒会やら風紀やら教師やらから好かれるお話。 演技俺様会長総受け(愛され)/後固定CP *10年以上前の作品を、やや加筆修正していきます

ビッチです!誤解しないでください!

モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃 「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」 「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」 「大丈夫か?あんな噂気にするな」 「晃ほど清純な男はいないというのに」 「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」 噂じゃなくて事実ですけど!!!?? 俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生…… 魔性の男で申し訳ない笑 めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

台風の目はどこだ

あこ
BL
とある学園で生徒会会長を務める本多政輝は、数年に一度起きる原因不明の体調不良により入院をする事に。 政輝の恋人が入院先に居座るのもいつものこと。 そんな入院生活中、二人がいない学園では嵐が吹き荒れていた。 ✔︎ いわゆる全寮制王道学園が舞台 ✔︎ 私の見果てぬ夢である『王道脇』を書こうとしたら、こうなりました(2019/05/11に書きました) ✔︎ 風紀委員会委員長×生徒会会長様 ✔︎ 恋人がいないと充電切れする委員長様 ✔︎ 時々原因不明の体調不良で入院する会長様 ✔︎ 会長様を見守るオカン気味な副会長様 ✔︎ アンチくんや他の役員はかけらほども出てきません。 ✔︎ ギャクになるといいなと思って書きました(目標にしましたが、叶いませんでした)

Q.親友のブラコン兄弟から敵意を向けられています。どうすれば助かりますか?

書鈴 夏(ショベルカー)
BL
平々凡々な高校生、茂部正人«もぶまさと»にはひとつの悩みがある。 それは、親友である八乙女楓真«やおとめふうま»の兄と弟から、尋常でない敵意を向けられることであった。ブラコンである彼らは、大切な彼と仲良くしている茂部を警戒しているのだ──そう考える茂部は悩みつつも、楓真と仲を深めていく。 友達関係を続けるため、たまに折れそうにもなるけど圧には負けない!!頑張れ、茂部!! なお、兄弟は三人とも好意を茂部に向けているものとする。 7/28 一度完結しました。小ネタなど書けたら追加していきたいと思います。

俺は夜、社長の猫になる

衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。 ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。 言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。 タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。 けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。

聞いてた話と何か違う!

きのこのこのこ
BL
春、新しい出会いに胸が高鳴る中、千紘はすべてを思い出した。俺様生徒会長、腹黒副会長、チャラ男会計にワンコな書記、庶務は双子の愉快な生徒会メンバーと送るドキドキな日常――前世で大人気だったBLゲームを。そしてそのゲームの舞台こそ、千紘が今日入学した名門鷹耀学院であった。 生徒会メンバーは変態ばかり!?ゲームには登場しない人気グループ!? 聞いてた話と何か違うんですけど! ※主人公総受けで過激な描写もありますが、固定カプで着地します。 他のサイトにも投稿しています。

処理中です...