8 / 22
7
しおりを挟む
真柴くんと再会し、僕の親衛隊が結成され、生徒会に入るという怒涛のような出来事が次々と起きていったが、それもいつの間にか慣れ、早いもので一ヶ月が経過した。
毎日の送り迎えも慣れたものになり、僕と真柴くん、それと会長で登校する日も多い。
しかし、真柴くんは僕と会長からは一歩引いた場所にいて特に沢山話をして仲良くなってきたとか、進展があるとかいう訳でもなかった。
放課後、生徒会室に行くと副会長がその場にいる全員をソファに集めた。
「転校生……」
なんと急なことに、今日の夕方のバスで学園にやってくる予定だという。
今は六月の半ば。なんとも半端な時期の転校だなと思わなくもない。
「なんでも理事長の甥だそうで。生徒会から迎えをお願いしたいと直々に言われてしまいました。どうしましょう、会長」
理事長からの要望が生徒会長ではなく副会長に何故行くのかは置いといて、副会長の顔にはめちゃくちゃ面倒だと物語っていた。
「佳士が行くんだろ?」
会長から想像の斜め上な返答に副会長はため息をついていた。
「……では、補佐のお二人も連れて行ってもよろしいですか?」
「「え?」」
僕と真柴くんは、まさか指名されるとは思わず二人で顔を見合わせる。
真柴くんの驚いた顔が可愛い。
「入寮の荷物もあるので。ほら、か弱い僕一人では厳しいかも知れないでしょう?」
副会長は細身で中性的。
しかし、この間仕事をサボっていた会計の林くんを締め上げていたのを見たし倉庫から重たい段ボールを五箱くらい余裕で運んでいるのも見たことがある。
か弱い……?という空気になっていると、問答無用で腕を引かれて廊下に連れ出された。
その力強さにやっぱり疑問は増えただけだった。
「……来ませんね」
17時になり、下校のチャイムが鳴っても転校生は来なかった。
理事長室に電話をかけるも繋がらず、僕達は途方に暮れていた。
というか、副会長と真柴くんは何故かすごく仲が悪く、顔を見合わせる度にお互い舌打ちしているので、何とか僕が話をする状況に途方に暮れていた。
すると、門の前に人影が見えた。
副会長の予想通り入寮の荷物を持ち、しかも両手に大量の鞄を抱えていた。
事務の人が門の解除をしてくれ、転校生とようやく会うことが出来た。
「すみません!バスに乗り遅れてしまって……」
転校生は、すごく美少年で、金髪がよく似合う小柄な子。この学園では人気が出そうだな~と思うような可愛らしさだった。
「……佳?それに陽も!?」
「え……まさか、柊?」
「柊!?」
どうやら、転校生と副会長、真柴くんは知り合いのようだった。
特に、真柴くんとは同い年だし相当仲が良い様子。
「……」
普通に、面白くないんですけど。
真柴くんとハイタッチとかして、楽しそうに喋ってるし。
僕にはそんなに沢山笑顔を見せてくれないのに、転校生にはニコニコして。
なんだか自分が惨めで泣きそうになってきた時、転校生が僕の存在に気が付いたのか突然話しかけてきた。
「あ、あの!俺、佳と陽の昔馴染みで木島柊って言います!せ、先輩……?ですよね?」
「……廣瀬です。二年。」
必要最低限しか話したくなかった。
これ以上口を開けばまずいと思ったからだ。
三人は僕の返事には特に言及せず、それから理事長室に向かう道中も思い出話で盛り上がっていて楽しそうだったので僕は途中でこっそり帰ることを決めた。
「……真柴くんのばか」
寮に帰る前に自分の荷物を取るために生徒会室に戻ると、まだ会長が残っていて、何かの作業をしていた。
「ん?嶺だけか?お疲れ様……」
僕は会長の顔を見た途端に、それまで我慢していた涙が堪えきれず溢れてしまって、会長の胸に飛び込んで泣いてしまった。
「う~~あぁ~~真柴くん~~~」
「嶺?ど、どうした?」
会長は、戸惑いながらもとりあえず抱き留めてくれた。その優しさにまた涙が出た。
「真柴くんが……美少年にニコニコして……悔しいぃぃ……」
「は?」
泣きながら、転校生が真柴くん達の知り合いだったこと、仲が良さそうだったことを伝えると会長は何故か納得していた。
「あぁ……そういうことか……。あいつ、中学の時荒れてたからな」
「荒れてた?それってどういう……」
会長は誤魔化すように微笑むと、僕の頭をぐしゃぐしゃに撫で回した。
「何でもない。それより、その転校生の一年は危険だな」
「き、危険!?」
「嶺のライバルってこと」
薄々思ってはいた嫌な予感を、ずばり言葉にされると辛いものがある。
その日は結局、僕が泣き止まなかった為に会長が抱き抱えて部屋まで連れて帰ってくれた。
その姿を真柴くんに見られており、更に誤解は深まることになるとは思いもしなかったけれど。
毎日の送り迎えも慣れたものになり、僕と真柴くん、それと会長で登校する日も多い。
しかし、真柴くんは僕と会長からは一歩引いた場所にいて特に沢山話をして仲良くなってきたとか、進展があるとかいう訳でもなかった。
放課後、生徒会室に行くと副会長がその場にいる全員をソファに集めた。
「転校生……」
なんと急なことに、今日の夕方のバスで学園にやってくる予定だという。
今は六月の半ば。なんとも半端な時期の転校だなと思わなくもない。
「なんでも理事長の甥だそうで。生徒会から迎えをお願いしたいと直々に言われてしまいました。どうしましょう、会長」
理事長からの要望が生徒会長ではなく副会長に何故行くのかは置いといて、副会長の顔にはめちゃくちゃ面倒だと物語っていた。
「佳士が行くんだろ?」
会長から想像の斜め上な返答に副会長はため息をついていた。
「……では、補佐のお二人も連れて行ってもよろしいですか?」
「「え?」」
僕と真柴くんは、まさか指名されるとは思わず二人で顔を見合わせる。
真柴くんの驚いた顔が可愛い。
「入寮の荷物もあるので。ほら、か弱い僕一人では厳しいかも知れないでしょう?」
副会長は細身で中性的。
しかし、この間仕事をサボっていた会計の林くんを締め上げていたのを見たし倉庫から重たい段ボールを五箱くらい余裕で運んでいるのも見たことがある。
か弱い……?という空気になっていると、問答無用で腕を引かれて廊下に連れ出された。
その力強さにやっぱり疑問は増えただけだった。
「……来ませんね」
17時になり、下校のチャイムが鳴っても転校生は来なかった。
理事長室に電話をかけるも繋がらず、僕達は途方に暮れていた。
というか、副会長と真柴くんは何故かすごく仲が悪く、顔を見合わせる度にお互い舌打ちしているので、何とか僕が話をする状況に途方に暮れていた。
すると、門の前に人影が見えた。
副会長の予想通り入寮の荷物を持ち、しかも両手に大量の鞄を抱えていた。
事務の人が門の解除をしてくれ、転校生とようやく会うことが出来た。
「すみません!バスに乗り遅れてしまって……」
転校生は、すごく美少年で、金髪がよく似合う小柄な子。この学園では人気が出そうだな~と思うような可愛らしさだった。
「……佳?それに陽も!?」
「え……まさか、柊?」
「柊!?」
どうやら、転校生と副会長、真柴くんは知り合いのようだった。
特に、真柴くんとは同い年だし相当仲が良い様子。
「……」
普通に、面白くないんですけど。
真柴くんとハイタッチとかして、楽しそうに喋ってるし。
僕にはそんなに沢山笑顔を見せてくれないのに、転校生にはニコニコして。
なんだか自分が惨めで泣きそうになってきた時、転校生が僕の存在に気が付いたのか突然話しかけてきた。
「あ、あの!俺、佳と陽の昔馴染みで木島柊って言います!せ、先輩……?ですよね?」
「……廣瀬です。二年。」
必要最低限しか話したくなかった。
これ以上口を開けばまずいと思ったからだ。
三人は僕の返事には特に言及せず、それから理事長室に向かう道中も思い出話で盛り上がっていて楽しそうだったので僕は途中でこっそり帰ることを決めた。
「……真柴くんのばか」
寮に帰る前に自分の荷物を取るために生徒会室に戻ると、まだ会長が残っていて、何かの作業をしていた。
「ん?嶺だけか?お疲れ様……」
僕は会長の顔を見た途端に、それまで我慢していた涙が堪えきれず溢れてしまって、会長の胸に飛び込んで泣いてしまった。
「う~~あぁ~~真柴くん~~~」
「嶺?ど、どうした?」
会長は、戸惑いながらもとりあえず抱き留めてくれた。その優しさにまた涙が出た。
「真柴くんが……美少年にニコニコして……悔しいぃぃ……」
「は?」
泣きながら、転校生が真柴くん達の知り合いだったこと、仲が良さそうだったことを伝えると会長は何故か納得していた。
「あぁ……そういうことか……。あいつ、中学の時荒れてたからな」
「荒れてた?それってどういう……」
会長は誤魔化すように微笑むと、僕の頭をぐしゃぐしゃに撫で回した。
「何でもない。それより、その転校生の一年は危険だな」
「き、危険!?」
「嶺のライバルってこと」
薄々思ってはいた嫌な予感を、ずばり言葉にされると辛いものがある。
その日は結局、僕が泣き止まなかった為に会長が抱き抱えて部屋まで連れて帰ってくれた。
その姿を真柴くんに見られており、更に誤解は深まることになるとは思いもしなかったけれど。
0
あなたにおすすめの小説
眠りに落ちると、俺にキスをする男がいる
綿毛ぽぽ
BL
就寝後、毎日のように自分にキスをする男がいる事に気付いた男。容疑者は同室の相手である三人。誰が犯人なのか。平凡な男は悩むのだった。
総受けです。
【柳原学園】いやいや、俺は『俺様生徒会長』だから
西園 斎
BL
家の都合で『俺様』を演じてる生徒会長が、生徒会やら風紀やら教師やらから好かれるお話。
演技俺様会長総受け(愛され)/後固定CP
*10年以上前の作品を、やや加筆修正していきます
ビッチです!誤解しないでください!
モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃
「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」
「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」
「大丈夫か?あんな噂気にするな」
「晃ほど清純な男はいないというのに」
「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」
噂じゃなくて事実ですけど!!!??
俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生……
魔性の男で申し訳ない笑
めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!
劣等アルファは最強王子から逃げられない
東
BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。
ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。
台風の目はどこだ
あこ
BL
とある学園で生徒会会長を務める本多政輝は、数年に一度起きる原因不明の体調不良により入院をする事に。
政輝の恋人が入院先に居座るのもいつものこと。
そんな入院生活中、二人がいない学園では嵐が吹き荒れていた。
✔︎ いわゆる全寮制王道学園が舞台
✔︎ 私の見果てぬ夢である『王道脇』を書こうとしたら、こうなりました(2019/05/11に書きました)
✔︎ 風紀委員会委員長×生徒会会長様
✔︎ 恋人がいないと充電切れする委員長様
✔︎ 時々原因不明の体調不良で入院する会長様
✔︎ 会長様を見守るオカン気味な副会長様
✔︎ アンチくんや他の役員はかけらほども出てきません。
✔︎ ギャクになるといいなと思って書きました(目標にしましたが、叶いませんでした)
Q.親友のブラコン兄弟から敵意を向けられています。どうすれば助かりますか?
書鈴 夏(ショベルカー)
BL
平々凡々な高校生、茂部正人«もぶまさと»にはひとつの悩みがある。
それは、親友である八乙女楓真«やおとめふうま»の兄と弟から、尋常でない敵意を向けられることであった。ブラコンである彼らは、大切な彼と仲良くしている茂部を警戒しているのだ──そう考える茂部は悩みつつも、楓真と仲を深めていく。
友達関係を続けるため、たまに折れそうにもなるけど圧には負けない!!頑張れ、茂部!!
なお、兄弟は三人とも好意を茂部に向けているものとする。
7/28
一度完結しました。小ネタなど書けたら追加していきたいと思います。
俺は夜、社長の猫になる
衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。
ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。
言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。
タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。
けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。
聞いてた話と何か違う!
きのこのこのこ
BL
春、新しい出会いに胸が高鳴る中、千紘はすべてを思い出した。俺様生徒会長、腹黒副会長、チャラ男会計にワンコな書記、庶務は双子の愉快な生徒会メンバーと送るドキドキな日常――前世で大人気だったBLゲームを。そしてそのゲームの舞台こそ、千紘が今日入学した名門鷹耀学院であった。
生徒会メンバーは変態ばかり!?ゲームには登場しない人気グループ!?
聞いてた話と何か違うんですけど!
※主人公総受けで過激な描写もありますが、固定カプで着地します。
他のサイトにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる