初恋の人が親衛隊になるなんて聞いてない!

tomoe97

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真柴くんと再会し、僕の親衛隊が結成され、生徒会に入るという怒涛のような出来事が次々と起きていったが、それもいつの間にか慣れ、早いもので一ヶ月が経過した。

毎日の送り迎えも慣れたものになり、僕と真柴くん、それと会長で登校する日も多い。

しかし、真柴くんは僕と会長からは一歩引いた場所にいて特に沢山話をして仲良くなってきたとか、進展があるとかいう訳でもなかった。

放課後、生徒会室に行くと副会長がその場にいる全員をソファに集めた。

「転校生……」

なんと急なことに、今日の夕方のバスで学園にやってくる予定だという。
今は六月の半ば。なんとも半端な時期の転校だなと思わなくもない。

「なんでも理事長の甥だそうで。生徒会から迎えをお願いしたいと直々に言われてしまいました。どうしましょう、会長」

理事長からの要望が生徒会長ではなく副会長に何故行くのかは置いといて、副会長の顔にはめちゃくちゃ面倒だと物語っていた。

「佳士が行くんだろ?」

会長から想像の斜め上な返答に副会長はため息をついていた。

「……では、補佐のお二人も連れて行ってもよろしいですか?」
「「え?」」

僕と真柴くんは、まさか指名されるとは思わず二人で顔を見合わせる。
真柴くんの驚いた顔が可愛い。

「入寮の荷物もあるので。ほら、か弱い僕一人では厳しいかも知れないでしょう?」

副会長は細身で中性的。
しかし、この間仕事をサボっていた会計の林くんを締め上げていたのを見たし倉庫から重たい段ボールを五箱くらい余裕で運んでいるのも見たことがある。

か弱い……?という空気になっていると、問答無用で腕を引かれて廊下に連れ出された。
その力強さにやっぱり疑問は増えただけだった。


「……来ませんね」

17時になり、下校のチャイムが鳴っても転校生は来なかった。
理事長室に電話をかけるも繋がらず、僕達は途方に暮れていた。

というか、副会長と真柴くんは何故かすごく仲が悪く、顔を見合わせる度にお互い舌打ちしているので、何とか僕が話をする状況に途方に暮れていた。

すると、門の前に人影が見えた。
副会長の予想通り入寮の荷物を持ち、しかも両手に大量の鞄を抱えていた。
事務の人が門の解除をしてくれ、転校生とようやく会うことが出来た。

「すみません!バスに乗り遅れてしまって……」

転校生は、すごく美少年で、金髪がよく似合う小柄な子。この学園では人気が出そうだな~と思うような可愛らしさだった。

「……佳?それに陽も!?」

「え……まさか、柊?」

「柊!?」

どうやら、転校生と副会長、真柴くんは知り合いのようだった。
特に、真柴くんとは同い年だし相当仲が良い様子。

「……」

普通に、面白くないんですけど。

真柴くんとハイタッチとかして、楽しそうに喋ってるし。

僕にはそんなに沢山笑顔を見せてくれないのに、転校生にはニコニコして。
なんだか自分が惨めで泣きそうになってきた時、転校生が僕の存在に気が付いたのか突然話しかけてきた。


「あ、あの!俺、佳と陽の昔馴染みで木島柊って言います!せ、先輩……?ですよね?」

「……廣瀬です。二年。」

必要最低限しか話したくなかった。
これ以上口を開けばまずいと思ったからだ。

三人は僕の返事には特に言及せず、それから理事長室に向かう道中も思い出話で盛り上がっていて楽しそうだったので僕は途中でこっそり帰ることを決めた。

「……真柴くんのばか」

寮に帰る前に自分の荷物を取るために生徒会室に戻ると、まだ会長が残っていて、何かの作業をしていた。

「ん?嶺だけか?お疲れ様……」

僕は会長の顔を見た途端に、それまで我慢していた涙が堪えきれず溢れてしまって、会長の胸に飛び込んで泣いてしまった。

「う~~あぁ~~真柴くん~~~」

「嶺?ど、どうした?」

会長は、戸惑いながらもとりあえず抱き留めてくれた。その優しさにまた涙が出た。

「真柴くんが……美少年にニコニコして……悔しいぃぃ……」

「は?」

泣きながら、転校生が真柴くん達の知り合いだったこと、仲が良さそうだったことを伝えると会長は何故か納得していた。

「あぁ……そういうことか……。あいつ、中学の時荒れてたからな」

「荒れてた?それってどういう……」

会長は誤魔化すように微笑むと、僕の頭をぐしゃぐしゃに撫で回した。

「何でもない。それより、その転校生の一年は危険だな」

「き、危険!?」

「嶺のライバルってこと」

薄々思ってはいた嫌な予感を、ずばり言葉にされると辛いものがある。
その日は結局、僕が泣き止まなかった為に会長が抱き抱えて部屋まで連れて帰ってくれた。



その姿を真柴くんに見られており、更に誤解は深まることになるとは思いもしなかったけれど。
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