初恋の人が親衛隊になるなんて聞いてない!

tomoe97

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会長の告白を受け入れた時から一夜明けた朝、空は澄み渡り、新しい一日の匂いが漂っていた。

 あれから、心の中はまだ熱を帯びたままだ。
会長の顔、声、手の感触。思い返すたびに胸が跳ねる。

そして、僕は心の中でひっそりと決意していた。

もう迷うことは何もない。
真柴くんに対して曖昧な態度を取るのも今日で終わりだ。
会長と、これから向き合っていくために、必要な決断をしなければならない。

 昼休み、中庭のベンチに真柴くんを呼び出した。
 彼は僕の緊張した面持ちを見て、少し驚いた表情を見せたが、すぐににこやかな笑顔を浮かべた。

 「嶺くん、今日はどうしました?」

 あの笑顔に、胸がぎゅっとなる。
 でも、逃げてはいられない。
 勇気を振り絞り、僕ははっきりと言った。

 「……ごめん。真柴くんの気持ちには応えられない」

「……はい」

「会長のことが好きなんだ。だから……返事が遅くなってごめんなさい」

 言葉を吐き出した瞬間、胸の奥がすっと軽くなる。
 迷い続けた時間が、少しずつ消えていくようだった。
 真柴くんは一瞬、驚いた表情を浮かべた。
 しかし、すぐにため息をひとつついた。

 「そっか……やっぱりそうだったんですね」

 その声には、悲しさや嫉妬はほとんどなく、むしろ穏やかな納得が含まれている。
 彼のその態度に、胸の奥で少しだけ罪悪感が芽生える。

 「でも、嶺くん……俺は諦めないです」

 突然の宣言に、思わず目を見開く。

 「え……?」

 「俺は、嶺くんの親衛隊を続けます。」

 その言葉に、心が一瞬揺れる。
 そこにはただ真っ直ぐな決意がそこにある。
 幼い頃から僕を見守ってきた彼だからこそ、こうして真っ直ぐに宣言できるのだろう。

 「そうなの……?」

 戸惑いながらも、彼の表情を見つめる。
 真柴くんは笑いながらうなずく。

 「はい。俺は、嶺くんを守る立場にいたんです。誰に何を言われても、やめません」

 その言葉を聞いて、胸の奥がじんわり温かくなった。
二人で固く握手をした。あの頃とは違う関係になったけれど、これからも信頼できる人であることは間違いないだろう。




放課後、生徒会室は久しぶりに賑やかだった。
珍しく会長は席を外しているが、殆ど集まっている。
そして、転校生くん、もとい柊くんも静かに僕の前に立っていた。

 「俺も、嶺くんの親衛隊に入らせてもらいました!」

 その声に、思わず柊くんに目を向ける。
 柊くんは、少し照れたように笑い、少し目を逸らす。

 「実は、初日に嶺くんを見た瞬間から、見惚れてしまって……それで即、陽に親衛隊に加入したいって伝えてたんです」

 いつもの明るい口調ではなく、緊張している様子だが、心の奥底の熱は伝わってくる。
 真柴くんも、少し照れくさそうに笑った。

「柊はずっと俺のことを応援してくれてたんです。告白しろって。でも、嶺くんがあまりにも兄さんに真っ直ぐ惚れてる姿を見て、それでも親衛隊に入りたいって改めて言われました」

僕は顔が熱くなった。
真柴くんも何故か納得してたし、柊くんからも察しをつけられていたのって、どれだけ分かりやすいのだろうか。
会長がこの場に居なくて助かった。

 「会長とようやく付き合うことになったようですね」

 その声は副会長だった。
 
 「つまり、嶺くんは正式に親衛隊を抜けるということですか?」

 副会長の言葉に、思わず息が詰まりそうになった。
 
 真柴くんは、笑顔のまま僕に一歩近づき、軽く頭を下げる。

 「これからも、嶺くんのことは俺たちが守る。どんな時も」

 その言葉に、自然と微笑みが零れる。
 心の中で、迷いや不安が解けていくようだ。
 会長と付き合うことを決めた僕にとって、これ以上ない安心感だった。

 「ありがとう……」

 心からの感謝を込めて言う。
 柊くんも真柴くんも、軽くうなずく。
 副会長も、微笑みながら目を細める。

 僕と会長だけでなく、仲間たちの絆も深まったことを実感する。


 そして、部屋に戻り、ソファに居た会長の背中に抱きついた。
驚きながらも振り向いて正面から抱き寄せられ手を握られる。
 柔らかく温かい感触に、心が満たされる。
 告白の時の胸の高鳴りが、今度は安堵と幸福に変わっている。
 会長もまた、軽く微笑む。
 その笑顔は、純粋で優しい表情だった。

 「これからも、一緒にいよう、嶺」

 会長の言葉に、頬が熱くなる。
 うなずきながら、心の中で強く誓う。
 どんな困難があっても、この手を離さない。

 
 すべての出来事が、僕たちの未来に繋がる糧となった。
 会長の腕の中で、僕は深呼吸する。
 胸の奥に、静かな幸福と確かな覚悟が広がる。
 
 
 すべての人たちが、今、僕の大切な存在となった。
 もう迷う必要はない。
 これからは、心のままに、愛する人と仲間と共に歩んでいく。
 それが、僕の選んだ未来だ。








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