33 / 35
第二章
未来を視る瞳
しおりを挟む
建物の中は、外より更に静謐な空気が漂っていた。思わず背筋が伸びる。
入ってすぐの長い廊下はピカピカに磨き上げられ、窓から差し込む陽の光を反射して眩しいくらいだ。
そこにレイとユーゴの足音がコツコツと響く。ユーゴは緊張でドキドキする胸を押さえ、レイの服の袖をキュッと握り、警戒しながら廊下を歩いた。
「ひさしぶり」
急に後方からかかった声に、ユーゴは驚いて飛び上がった。ゆっくりと振り返ると、黒衣の青年が立っている。
少し癖のあるネイビーブルーの髪。少し眠たそうな目は前髪で隠れていて片方しか見えないけれど、瞳はとても綺麗なサファイアの色をしてる。肌は白を通り越して青白く、そのせいかとても儚げな印象だ。
身長はユーゴより頭ひとつ分くらい低い。その細身の身体が纏っている黒衣の襟元には細かい刺繍、胸元にはたくさんのバッヂが付いている。位が高い人間、ということだ。
「セレン!」
レイが走り寄って抱きつくと細い身体がわずかによろめいた。細い腕がレイを押し返しながら、「コラ」と耳に心地いいテノールで彼を窘める。
この人が「セレン」か、とユーゴはその姿を凝視した。レイの態度から察するに、彼も魔物なのだろう。でも、気配は人間だ。
少し警戒しながら彼を眺めていると、目が合った。柔らかな瞳がユーゴをじっと見つめて少しだけ首を傾げる。
「キミが新しい祭司?」
「あ……は、はい」
「セレン! ユーゴ、だよ! すっごい優秀でね───」
「うるさい」
ユーゴの戸惑いを察知したのか、慌てたようにレイが割り込んでくる。その口を、すかさずセレンが手のひらで塞いだ。
「騒ぐな。彼のことはちゃんとサイラスから聞いて知ってるよ。確認しただけ。───案内するから、ついてきて」
そう言うと、セレンはさっさと歩き出してしまった。ユーゴとレイもその後を追う。
「あの…っ。僕たちが来たの、どうしてわかったんですか?」
その背中に問うと、セレンがチラと肩越しにユーゴを見た。
「どういうこと?」
「いや、あの…」
船の到着時間を知っていても、ユーゴとレイがここに何時に着くかなんてわからないはずだ。なのにトランクを預かりに来た祭司たちも、入ってすぐに声をかけてきたセレンも、タイミングが良すぎる。
そんな風に疑問をぶつけると、セレンは首を傾げくるりとユーゴに向き直った。
「ああ。サイラスと君たちが話してるのが見えたから。時間はだいたい光の角度で分かる」
さらりとそう言ってまた前を向くと、スタスタと歩き出す。
ユーゴは飲み込めないままレイに視線を向けた。
「えっとね、セレンはちょっとだけ先の未来が見えるんよ。おれたちがここに来るのも、ちゃんと分かってたんやろうね」
「え、未来…?」
ユーゴの目が大きく見開かれる。レイは「そうそう」と笑い、セレンを指差した。
「でもね、見えるのはほんのちょっとだけやから。全部が分かるわけやないんよ」
話している間もセレンは振り返らず、軽い足取りで進み続ける。その後ろ姿がどこか気怠げで、だけど独特な存在感があった。
「おしゃべりは終わった? 着いたよ」
ひとつの扉の前でセレンが足を止め、ユーゴとレイの方を向く。心臓がドキリと鳴って、呼吸が苦しくなった。
「大丈夫」
そう言ってレイがポンと背中を叩く。
ゆっくりと開かれる扉を見つめて、ユーゴはキュッと奥の歯を噛みしめた。
通された部屋は、拍子抜けするほど普通の部屋だった。柔らかそうなカーペットが敷かれた床に、シンプルながらも品のあるテーブルとソファが置かれている。唯一目を引くのは、飾り棚に整然と並べられた金細工のティーセットくらいだ。
もっと、こう、大広間のようなところに玉座があって、偉そうな人が座っているような場所を想像していたユーゴは、逆に戸惑った。
「どうぞどうぞ。遠慮しないで座ってください。レイも疲れたでしょう? 紅茶に砂糖、入れる? セレンは?」
たぶん、この人がサイラスで間違いないとは思う。けれど、にこやかにティーカップにお茶を注いで甲斐甲斐しく給仕している姿は、教団のナンバー2という肩書きからは程遠く見える。
どう反応したものか迷いながら、ユーゴもレイたちに倣ってソファに腰掛けた。それぞれの前に紅茶が配られると、サイラスもユーゴたちの正面に腰をかける。ユーゴはその姿を、そっと観察した。
耳が隠れる程度の長さの髪は、サラサラとしていて真っ白な白髪だ。その髪が透き通るような白い頬を優しく縁取っている。瞳の色は、光の加減で赤とも茶色とも見えるような、不思議な色をしていて、とても穏やかな感じがする。
魔物の美醜は能力に直結することが多い。
彼は「天使」だとレイが言っていたと思う。確かに、とても美しい。
「ええと、じゃあ、改めて。はじめまして、宝の主教、サイラスと申します」
「ユーゴです。よろしくお願いします」
深々と頭を下げると、「楽にしてください」と前から声がかかる。
宝の主教と言えば、教団では宗主に次いで偉い役職だ。教団の中に主教は四人いて、一応、並列ということになってはいるけれど、宝、聖盾、智、光の序列があるのは周知の事実だ。
なだか畏れ多くて、緊張しながら顔をあげると、サイラスは変わらず穏やかに笑んでいた。
「レイ」
突然、セレンがレイの腕を引いて立ち上がった。「え?」とレイが間の抜けた声をあげる。
「部屋にお菓子忘れてきた。サイラスとかユーゴさんでも食べられるやつ。取りに行くから付いてきて」
「え…。でも話が…」
「大丈夫。すぐだから。いいでしょ? サイラス」
セレンがそう言うと、サイラスはあっさり「どうぞ」と扉の方に手を向ける。びっくりしたのはユーゴも一緒だ。まだ出会ったばかりの人とふたり置いていかれるのが不安で、思わずサイラスとレイを交互に見てしまう。
「す、すぐ戻るからね!」
セレンに引きずられながら、レイが扉の向こうに消えていく。パタンと扉が閉まるのと同時、思わずといった風にサイラスがクスッと笑った。
「ああ、ごめんなさい。セレンは気を利かせたつもりなんです。僕が、彼らがいると少し話しにくい話をしようとしたから」
「あ……未来視、ですか?」
ユーゴが訊ねると、サイラスはわずかに右の眉を上げた。
「そうです。レイが話しましたか?」
「あの、えっと……ほんの、少しだけ」
そうですか、と、ため息混じりに言って、サイラスが視線を落とす。
「セレンのことは、内密にお願いします。彼がここにいることを外の人に知られたくないんです」
「え…?」
言葉の意味をはかりかねてユーゴがサイラスを見返すと、彼は困ったように笑って紅茶をひと口飲んだ。
「セレンはレイと同じ、ハーフの悪魔です。けれどレイと違って、とても力が弱い。不老で長寿、未来視が出来る以外は普通の人間とかわりません。いや、体力は普通の人間以下かな」
サイラスの話を聞きながら、確かタフィーもそんなことを言っていたな、と思い出す。
「セレンの未来視は、目の前にいる人の、数分から一日先くらいの未来を見る力です。ただし、制御が難しく、人と会うたびに次々と未来が見えてしまうため、とても疲れるみたいで…」
「大変、ですね」
「ええ。しかも、その力を欲しがる輩も多い。だから、セレンはここから滅多に出ません。そもそもここに彼がいることも、大聖堂で働く人しか知りませんしね」
そこまで話してサイラスはまたひと口、紅茶を飲んだ。手持ち無沙汰だったユーゴも、つられてティーカップを口に運ぶ。やっぱり、何の味もしない。たふん目の前のこの人もそうなのに、酔狂だ。
「ちなみに、大聖堂で働く聖職者の半数は魔物です。彼らはもちろん、セレンの事情を知っています。他の人間たちは知りません。彼らにとってのセレンは占術師の長です」
サイラスはティーカップを置き、微笑みながら続けた。
「セレンが雨が降ると言えば降るし、不意の来客なんかも言い当てるので、不気味に思っている人間もいるようです」
未来を視ているんだから、当たって当然なんですけどね、とサイラスが笑う。
返す言葉が見つからなくて、ユーゴも曖昧に笑んだ。
入ってすぐの長い廊下はピカピカに磨き上げられ、窓から差し込む陽の光を反射して眩しいくらいだ。
そこにレイとユーゴの足音がコツコツと響く。ユーゴは緊張でドキドキする胸を押さえ、レイの服の袖をキュッと握り、警戒しながら廊下を歩いた。
「ひさしぶり」
急に後方からかかった声に、ユーゴは驚いて飛び上がった。ゆっくりと振り返ると、黒衣の青年が立っている。
少し癖のあるネイビーブルーの髪。少し眠たそうな目は前髪で隠れていて片方しか見えないけれど、瞳はとても綺麗なサファイアの色をしてる。肌は白を通り越して青白く、そのせいかとても儚げな印象だ。
身長はユーゴより頭ひとつ分くらい低い。その細身の身体が纏っている黒衣の襟元には細かい刺繍、胸元にはたくさんのバッヂが付いている。位が高い人間、ということだ。
「セレン!」
レイが走り寄って抱きつくと細い身体がわずかによろめいた。細い腕がレイを押し返しながら、「コラ」と耳に心地いいテノールで彼を窘める。
この人が「セレン」か、とユーゴはその姿を凝視した。レイの態度から察するに、彼も魔物なのだろう。でも、気配は人間だ。
少し警戒しながら彼を眺めていると、目が合った。柔らかな瞳がユーゴをじっと見つめて少しだけ首を傾げる。
「キミが新しい祭司?」
「あ……は、はい」
「セレン! ユーゴ、だよ! すっごい優秀でね───」
「うるさい」
ユーゴの戸惑いを察知したのか、慌てたようにレイが割り込んでくる。その口を、すかさずセレンが手のひらで塞いだ。
「騒ぐな。彼のことはちゃんとサイラスから聞いて知ってるよ。確認しただけ。───案内するから、ついてきて」
そう言うと、セレンはさっさと歩き出してしまった。ユーゴとレイもその後を追う。
「あの…っ。僕たちが来たの、どうしてわかったんですか?」
その背中に問うと、セレンがチラと肩越しにユーゴを見た。
「どういうこと?」
「いや、あの…」
船の到着時間を知っていても、ユーゴとレイがここに何時に着くかなんてわからないはずだ。なのにトランクを預かりに来た祭司たちも、入ってすぐに声をかけてきたセレンも、タイミングが良すぎる。
そんな風に疑問をぶつけると、セレンは首を傾げくるりとユーゴに向き直った。
「ああ。サイラスと君たちが話してるのが見えたから。時間はだいたい光の角度で分かる」
さらりとそう言ってまた前を向くと、スタスタと歩き出す。
ユーゴは飲み込めないままレイに視線を向けた。
「えっとね、セレンはちょっとだけ先の未来が見えるんよ。おれたちがここに来るのも、ちゃんと分かってたんやろうね」
「え、未来…?」
ユーゴの目が大きく見開かれる。レイは「そうそう」と笑い、セレンを指差した。
「でもね、見えるのはほんのちょっとだけやから。全部が分かるわけやないんよ」
話している間もセレンは振り返らず、軽い足取りで進み続ける。その後ろ姿がどこか気怠げで、だけど独特な存在感があった。
「おしゃべりは終わった? 着いたよ」
ひとつの扉の前でセレンが足を止め、ユーゴとレイの方を向く。心臓がドキリと鳴って、呼吸が苦しくなった。
「大丈夫」
そう言ってレイがポンと背中を叩く。
ゆっくりと開かれる扉を見つめて、ユーゴはキュッと奥の歯を噛みしめた。
通された部屋は、拍子抜けするほど普通の部屋だった。柔らかそうなカーペットが敷かれた床に、シンプルながらも品のあるテーブルとソファが置かれている。唯一目を引くのは、飾り棚に整然と並べられた金細工のティーセットくらいだ。
もっと、こう、大広間のようなところに玉座があって、偉そうな人が座っているような場所を想像していたユーゴは、逆に戸惑った。
「どうぞどうぞ。遠慮しないで座ってください。レイも疲れたでしょう? 紅茶に砂糖、入れる? セレンは?」
たぶん、この人がサイラスで間違いないとは思う。けれど、にこやかにティーカップにお茶を注いで甲斐甲斐しく給仕している姿は、教団のナンバー2という肩書きからは程遠く見える。
どう反応したものか迷いながら、ユーゴもレイたちに倣ってソファに腰掛けた。それぞれの前に紅茶が配られると、サイラスもユーゴたちの正面に腰をかける。ユーゴはその姿を、そっと観察した。
耳が隠れる程度の長さの髪は、サラサラとしていて真っ白な白髪だ。その髪が透き通るような白い頬を優しく縁取っている。瞳の色は、光の加減で赤とも茶色とも見えるような、不思議な色をしていて、とても穏やかな感じがする。
魔物の美醜は能力に直結することが多い。
彼は「天使」だとレイが言っていたと思う。確かに、とても美しい。
「ええと、じゃあ、改めて。はじめまして、宝の主教、サイラスと申します」
「ユーゴです。よろしくお願いします」
深々と頭を下げると、「楽にしてください」と前から声がかかる。
宝の主教と言えば、教団では宗主に次いで偉い役職だ。教団の中に主教は四人いて、一応、並列ということになってはいるけれど、宝、聖盾、智、光の序列があるのは周知の事実だ。
なだか畏れ多くて、緊張しながら顔をあげると、サイラスは変わらず穏やかに笑んでいた。
「レイ」
突然、セレンがレイの腕を引いて立ち上がった。「え?」とレイが間の抜けた声をあげる。
「部屋にお菓子忘れてきた。サイラスとかユーゴさんでも食べられるやつ。取りに行くから付いてきて」
「え…。でも話が…」
「大丈夫。すぐだから。いいでしょ? サイラス」
セレンがそう言うと、サイラスはあっさり「どうぞ」と扉の方に手を向ける。びっくりしたのはユーゴも一緒だ。まだ出会ったばかりの人とふたり置いていかれるのが不安で、思わずサイラスとレイを交互に見てしまう。
「す、すぐ戻るからね!」
セレンに引きずられながら、レイが扉の向こうに消えていく。パタンと扉が閉まるのと同時、思わずといった風にサイラスがクスッと笑った。
「ああ、ごめんなさい。セレンは気を利かせたつもりなんです。僕が、彼らがいると少し話しにくい話をしようとしたから」
「あ……未来視、ですか?」
ユーゴが訊ねると、サイラスはわずかに右の眉を上げた。
「そうです。レイが話しましたか?」
「あの、えっと……ほんの、少しだけ」
そうですか、と、ため息混じりに言って、サイラスが視線を落とす。
「セレンのことは、内密にお願いします。彼がここにいることを外の人に知られたくないんです」
「え…?」
言葉の意味をはかりかねてユーゴがサイラスを見返すと、彼は困ったように笑って紅茶をひと口飲んだ。
「セレンはレイと同じ、ハーフの悪魔です。けれどレイと違って、とても力が弱い。不老で長寿、未来視が出来る以外は普通の人間とかわりません。いや、体力は普通の人間以下かな」
サイラスの話を聞きながら、確かタフィーもそんなことを言っていたな、と思い出す。
「セレンの未来視は、目の前にいる人の、数分から一日先くらいの未来を見る力です。ただし、制御が難しく、人と会うたびに次々と未来が見えてしまうため、とても疲れるみたいで…」
「大変、ですね」
「ええ。しかも、その力を欲しがる輩も多い。だから、セレンはここから滅多に出ません。そもそもここに彼がいることも、大聖堂で働く人しか知りませんしね」
そこまで話してサイラスはまたひと口、紅茶を飲んだ。手持ち無沙汰だったユーゴも、つられてティーカップを口に運ぶ。やっぱり、何の味もしない。たふん目の前のこの人もそうなのに、酔狂だ。
「ちなみに、大聖堂で働く聖職者の半数は魔物です。彼らはもちろん、セレンの事情を知っています。他の人間たちは知りません。彼らにとってのセレンは占術師の長です」
サイラスはティーカップを置き、微笑みながら続けた。
「セレンが雨が降ると言えば降るし、不意の来客なんかも言い当てるので、不気味に思っている人間もいるようです」
未来を視ているんだから、当たって当然なんですけどね、とサイラスが笑う。
返す言葉が見つからなくて、ユーゴも曖昧に笑んだ。
1
あなたにおすすめの小説
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放
大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。
嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。
だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。
嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。
混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。
琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う――
「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」
知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。
耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる