私の家族は変わってる

松田ねこ太郎

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第四話

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 お見合い当日。
 いつもより着飾ったらみんながやっぱりやめようとか言い出して焦った。ドタキャンは駄目でしょう。それに紹介するリューお兄さま本人が駄々こねるから内心呆れたのは内緒。
 紹介されたるヴィンセントさまはリューお兄さま曰くいい男らしく、いい男だからどうしようとか言っている。気に入られたらミオがいなくなっちゃう、なんて言ってるけど無視しておいた。
 
 いい男だなんて言うけれど、どうせ断られるに決まってる。
 私たち家族はとても強くて有名だった。
 お父さまにお母さま、その子供たち。そんな血や繋がりが欲しくて縁談話は多かったけど、相手が普通な私だと知るとみんながっかりする。なんて自分勝手だと怒りが湧くけど、やっぱり私はハズレだと言われているようで気持ちが重くなる。
 家族が愛してくれるのが唯一の救いだ。
 
 約束の時間までまだ余裕があった。
 家族に憂鬱な気持ちを悟られたくなかったから庭を軽く散歩しようと外へ出る。庭は庭師が管理してくれているからたくさんの時期の花々が咲いていて綺麗だ。赤、青、紫に黄色。たくさんの花は自信満々に咲き誇っていて、自信がない私には少し眩しい。
 木陰にあるベンチに座る。
 折角のワンピースが汚れちゃうかななんて心配したけど、どうせ私のことなんて見ないんだから関係ないと開き直った。
 ざあざあと揺れる木々の音に耳を傾けながら、今日は何時ごろ解散になるんだろうと考える。早く終わるんだったら、また街へ行きたい。果物屋のおじさんにもきちんと挨拶できなかったし、今度はちゃんと自分のお金で買いたい。
 
 風が気持ちよくてうとうととしているとカサッという音と甘い香りがして目を開けた。綺麗に磨かれた革靴が見える。
 慌てて見上げるとそこには男性がいた。
 とても美しい人だ。
 思わず口を開けると彼は目を細めて微かに笑った。
 
「こんにちは、お嬢さん」
 
 低く響くバリトンには聞き覚えがあった。
 
「あ、あなたは」
「はは、すごい驚きようだ」
 
 勢いよく立ち上がる私に声をたてて笑うと、私の腕をそっと持ち上げる。赤みはとうに引いている。
 
「酷くはならなかったようだ」
「あの時いただいたキャンディのおかげで回復が早かったんです。とても助かりました」
「どういたしまして」
 
 以前会った時はしっかりとフードをかぶっていたし、服も外套でわからなかった。黒い印象しかなかったけれど、陽の光の下で見る彼は神々しく美しい。紺色のスリーピースがシルバーの髪によく似合っていた。
 リューお兄さまも美しい人だけど、どちらかというと中性的だ。この人みたいに男性的な美しさじゃない。
 
「今日はご招待ありがとう」
「こちらこそリューお兄さまが無理言ったみたいでごめんなさい。改めまして、私ミオといいます。シェドリー家の末娘です」
「私はヴィンセント・ランジェルだ。リューに言われた通りとても可愛いらしい人だ。あなたにもう一度会えて嬉しいよ」
 
 こんな素敵な人に言われるとお世辞でも嬉しくて恥ずかしくなる。自分の頬が熱くなるのを感じながら私は家へと案内した。
 家へ入ると私とヴィンセントさまが一緒にいることに驚いたリューお兄さまが騒いだ。非常に五月蝿い。
 お兄さまが紹介したくせになんて思いながら応接室で時間いっぱいおしゃべりをした。今までのお見合いの中で一番長く話したことに気づいたのは陽の光が翳り始めてからだった。
 
 
 
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