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第七話
しおりを挟む「物だとシェドリー家の面々には敵わないだろうから、私は別のものにしよう」
私のケーキを食べている様を見つめながら考えていたのか、ふと考えついたように突然そう宣言し出した。
「正直に言うと私が選んだものを身につけて欲しいし、飾って欲しい。しかしミオを困らせてしまうのは不本意だ」
「……私ってそんな着飾らせる価値ないと思うんですけど」
「しかし何もプレゼントしないのも癪だ。私だって贈りたいのに。遠慮しなくてはいけないのはおかしいだろう。婚約者なのに」
焼き菓子のレッドジャムクッキーに手をつけながらヴィンセントさまを見ると彼もこちらを見ていた。真っ赤なレッドジャムにも負けない、赤いガーネット色の瞳。最近この色を見ると心臓が不自然に締め付けられる気がする。
今日のペンダントはガーネットで彩られている。なんだか急に恥ずかしくなった。
「ミオ、今度は我が家に遊びにおいで」
「……ヴィンセントさまの、ですか?」
「我が領地はある意味アミューズメントパークだからね。きっとミオも楽しめると思うよ」
ヴィンセントさまの家は首都に隣接している領地にある。
リューお兄さまのお友達で紹介してもらったけれど本来は私が話しかけるのは憚れる身分。首都から近い領地はもともと高位貴族や王族に名を連ねるものぐらいだ。ヴィンセントさまのランジェル家は何世紀も前から王家と懇意にして数々の功績があるからか、王家の相談役と言われている。宰相すらもランジェル家を頼りにしているそうで驚いたのを覚えてる。リューお兄さまはどうしてこんな雲上の人々と仲良くなれるのかすごく不思議……
「それに今から慣れておくのも大事だと思うから」
土地に。そう言った彼の瞳は一層赤く輝いていて長く見つめていると火傷しそうだ。
我が家が異種族間家族のように彼の領地もさまざまな種族が住んでいる。
彼の領土にはそれぞれの種族が順応できるようにエリアで分かれていて、お互いの種族を尊重し合えるよう政策を講じており平和的に発展している。そもそもこの国では一つの領地に一つの種族が住んでいる。ここは首都だから多種多彩な種族がいるが、首都を囲むように広がる領地にはそれぞれの種族だけが住み、あまりお互いを干渉し合わないようになっている。
様々な種族をまとめるのは大変だ。お互いの性質が共存できるものであれば良いけど反発し合う可能性もあるのだから。
我が国を治める王は龍神だという。だけど国をまとめているのは宰相を務めているエルフ族だというし、私は姿を見たことがないから実際にいるのかわからない。でも龍神さまがいるから多種族が平和に集まることができるのだろうと考えるといるのかもなぁと思う。
ヴィンセントさまは大きな手で私の髪を掬う。黒々とした濡羽色の髪を面白そうに触りながら「今度この色の宝石を買おうかな」など言ってと笑っていた。
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