私の家族は変わってる

松田ねこ太郎

文字の大きさ
7 / 21

第七話

しおりを挟む
 


 
「物だとシェドリー家の面々には敵わないだろうから、私は別のものにしよう」
 
 私のケーキを食べている様を見つめながら考えていたのか、ふと考えついたように突然そう宣言し出した。
 
「正直に言うと私が選んだものを身につけて欲しいし、飾って欲しい。しかしミオを困らせてしまうのは不本意だ」
「……私ってそんな着飾らせる価値ないと思うんですけど」
「しかし何もプレゼントしないのも癪だ。私だって贈りたいのに。遠慮しなくてはいけないのはおかしいだろう。婚約者なのに」
 
 焼き菓子のレッドジャムクッキーに手をつけながらヴィンセントさまを見ると彼もこちらを見ていた。真っ赤なレッドジャムにも負けない、赤いガーネット色の瞳。最近この色を見ると心臓が不自然に締め付けられる気がする。
 今日のペンダントはガーネットで彩られている。なんだか急に恥ずかしくなった。
 
「ミオ、今度は我が家に遊びにおいで」
「……ヴィンセントさまの、ですか?」
「我が領地はある意味アミューズメントパークだからね。きっとミオも楽しめると思うよ」
 
 ヴィンセントさまの家は首都に隣接している領地にある。
 リューお兄さまのお友達で紹介してもらったけれど本来は私が話しかけるのは憚れる身分。首都から近い領地はもともと高位貴族や王族に名を連ねるものぐらいだ。ヴィンセントさまのランジェル家は何世紀も前から王家と懇意にして数々の功績があるからか、王家の相談役と言われている。宰相すらもランジェル家を頼りにしているそうで驚いたのを覚えてる。リューお兄さまはどうしてこんな雲上の人々と仲良くなれるのかすごく不思議……
 
「それに今から慣れておくのも大事だと思うから」
 
 土地に。そう言った彼の瞳は一層赤く輝いていて長く見つめていると火傷しそうだ。
 
 我が家が異種族間家族のように彼の領地もさまざまな種族が住んでいる。
 彼の領土にはそれぞれの種族が順応できるようにエリアで分かれていて、お互いの種族を尊重し合えるよう政策を講じており平和的に発展している。そもそもこの国では一つの領地に一つの種族が住んでいる。ここは首都だから多種多彩な種族がいるが、首都を囲むように広がる領地にはそれぞれの種族だけが住み、あまりお互いを干渉し合わないようになっている。
 様々な種族をまとめるのは大変だ。お互いの性質が共存できるものであれば良いけど反発し合う可能性もあるのだから。
 我が国を治める王は龍神だという。だけど国をまとめているのは宰相を務めているエルフ族だというし、私は姿を見たことがないから実際にいるのかわからない。でも龍神さまがいるから多種族が平和に集まることができるのだろうと考えるといるのかもなぁと思う。
 
 ヴィンセントさまは大きな手で私の髪を掬う。黒々とした濡羽色の髪を面白そうに触りながら「今度この色の宝石を買おうかな」など言ってと笑っていた。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生後はゆっくりと

衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。 日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。 そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。 でも、リリは悲観しない。 前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。 目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。 全25話(予定)

【完結短編】ある公爵令嬢の結婚前日

のま
ファンタジー
クラリスはもうすぐ結婚式を控えた公爵令嬢。 ある日から人生が変わっていったことを思い出しながら自宅での最後のお茶会を楽しむ。

王様の恥かきっ娘

青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。 本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。 孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます 物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります これもショートショートで書く予定です。

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

愛しの第一王子殿下

みつまめ つぼみ
恋愛
 公爵令嬢アリシアは15歳。三年前に魔王討伐に出かけたゴルテンファル王国の第一王子クラウス一行の帰りを待ちわびていた。  そして帰ってきたクラウス王子は、仲間の訃報を口にし、それと同時に同行していた聖女との婚姻を告げる。  クラウスとの婚約を破棄されたアリシアは、言い寄ってくる第二王子マティアスの手から逃れようと、国外脱出を図るのだった。  そんなアリシアを手助けするフードを目深に被った旅の戦士エドガー。彼とアリシアの逃避行が、今始まる。

「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」

歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。 「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは 泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析 能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り 続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。 婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...