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第十三話
しおりを挟む家族となった牛頭鬼の父とメドューサ族の母は元気になった私に家族を紹介した。
「はじめまして、キミの兄上だよ。こんな素敵な妹ができるなんて僕はなんて運がいいんだ!」
「まあまあ! とっても可愛いわ。なんて魅力的な子なの」
「小さいな。俺がこれから守ってやるから安心しろよ。虐められたら俺に言え。兄ちゃんが守ってやる」
「……僕とも仲良くして」
長男は聖獣族のユニコーンで長女はスライム族、次男は獣人で三男はミストで姿形が見えない。でも声は聞こえる。
唖然とした私の間抜けな顔すら可愛いと褒める彼らは一体どういう心情なんだろう。最下位に属する人間を見たことがないのだろうか。
「名前はミオって言うんだよね。お兄さまは色々考えたんだよ。ミーと呼ぶのも可愛いし、なんだったら猫のようにミャーと呼んでもいい」
「何を馬鹿なことを言っているの? リューは顔は良くても頭は弱いわね。ミオはミオでいいのよ。素晴らしい名前でしょう」
「俺もそう思うぞ」
「なんでそんな酷いことを言うんだ! 愛称から親しさを感じるかも知れないじゃないか」
「……リュー兄さんはもう少し考えたほうがいいと思う……」
「ニルケまで……」
コントのように私を挟んで喋る兄たちは種族は違うのにとても仲が良さそうだった。わいわい賑わっていてみんな優しそうで。嬉しそうに私の話をしている。誰も疎んでいない。
ユニコーンは乙女以外には厳しい恐ろしい聖獣だ。美しい見た目と反して獰猛な性格をしているから近寄ると危険だと聞いたことがある。
彼の容姿もそこらでは見ないほど整っている。美しい顔にはこれまた立派な一角があってそれも含めて完璧な容姿とも思えた。
スライム族は人を取り込むのがとても得意だ。近づくと丸呑みされて逃げられない。よく人間がスライムに食べられているのを見る。濁った体の中に人型が見えるから、絶対に近寄らないと決めていた。
でも長女の体は湖畔のように凪いでいて透き通っていた。とても綺麗だ。
獣人の次兄は何もかも大きくて驚いた。
鋭い牙も爪もふさふさの尻尾も耳もボリュームがあってさっきから太い尻尾が戸棚に当たってガチャガチャと揺れている。
獣人の中でも孤高の強さを誇る狼なのだとわかる。これだけ大きいと爪で引き裂かれたら首ごと飛んでしまうのではないだろうか。きっと私みたいなチビは体すら真っ二つにされてしまうかも知れない。それに声も大きくてちょっと怖い。けど眼差しは温かくてなんだか安心できた。
三男のミストは姿形がないけど、さっきから私に寄り添ってくれているのがわかる。肩にそっと触れられているのか、そこが温かい。人型じゃないから見えないせいでどう話していいかわからない。でも私が話そうとする空気を察して目の前に近寄ってきてくれるから、とても優しいんだと思う。細かく動くミストが時々ふわりと手を包む。これは慰めてくれてるのかなあなんて思いながら姿の見えない兄に微笑む。
屋敷に仕えている人々も一人一人が穏やかに微笑んで私を歓迎してくれているのがとてもよく伝わってきた。ただの人間だからと下に見ることもなく。
父と母がいうようにここには私を疎く思う人がいない。
不思議だ。
どうしてなんだろう。
なんとも言えない感情が心を埋め尽くす。
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