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第十九話
しおりを挟む「彼とは、どうなの」
調香が無事終わってプレゼントが完成した。調香はニルケお兄さまの手をたくさん借りたからラッピングは頑張って豪華にお母さま好みに仕上がったと思う。お兄さまたちに迷惑をかけてしまった品だけど喜んでくれると嬉しいなあ。
プレゼントが完成するとニルケお兄さまは私を部屋まで送り届けてくれた。屋敷の中なら安全だと思うのに過保護の家族がいるとこれが普通なのだと勘違いしそうで怖い。
「どう、って言われてもなあ。とにかく優しい人だと思う。私には勿体無いぐらい」
「まあそうだろうね」
「でしょう? あの人に釣り合う人ってどんな人だろう」
ヴィンセントさまはとても紳士で丁寧。気品に溢れていて、孤児だった私には勿体無い。
そういうと呆れた声が聞こえた。
「そうじゃなくて、同意したのは優しいってとこだけだから。ヴィンセントにミオは勿体無い。でもヴィンセントにはミオしかいないからしょうがないけど」
不快感を露わにして言うものだから笑ってしまう。
「あの人に私しかいないなんてことないと思うけどなあ。でもじゃあ、ニルケお兄さまは誰ならいいの」
「誰とかないから。そんなの嫁ぐ必要がないから家にいれば良い」
拗ねた声色で珍しく言うものだから今度こそ声に出して笑ってしまった。案の定少し睨まれる。
「ミオはさ、自分の価値が分かってないんだよ。自己分析が甘いというか、自己肯定感が低すぎ。もっとふんぞり返って良いんだよ」
「ふんぞり返るは言い過ぎじゃない」
到着した部屋に招待すると遠慮するように首を振った。
「ふんぞり返っても良いぐらいの部屋だよ」
「……意味がわからない」
見渡す自室に疑問を思っているとニルケお兄さまがプレゼントを私の手から持っていく。
「これは僕の部屋で保管するよ。ここじゃ薔薇の香りが移っちゃいそう」
「あー確かに。それじゃあお願いします」
素直に渡すと口角を上げて帰っていった。
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