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情報機関GDIU。
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このビルこそが中央情報局の子飼いの情報機関GDIUの本部である。はじめに入館チェックゲートの
前に行くと何人かの男女がIDを手にして入館確認を保安要員から受けていた。自分の番が来ると、
彼はIDをまた保安員に見せ、暗記している職員番号を告げると、入館を許可された。そして、自分のオフィスがある区画へと歩き出すと、
突然、後ろから声をかけられ、驚きながらも振り向いた。
「あら、ジョナサン。昨日のライトニングズは惜しかったわね。勝てていれば、4連勝だったのに、、」
彼の同僚であるナンシー レイノルズがそう言ったのを聞いて、ジョナサンは思わず苦笑した。
「ああ、まあね。でも仕方ないよ、投手のメイソンが体調不良から立ち直ったばかりだったからね。」
ワイズは野球の人気チームであるスターライトニングズのファンだった。昨日の試合ではナンシー
が熱心に支持しているブラックトライアングルズに接戦の末5対4で負けたのである。
「今年の、トライアングルズは運に恵まれているわ。日本のチームから有能な打者をまた、引き抜くらしいから。
とにかく、次の試合が気になるわね。」
そう、話すナンシーと歩きながら、ジョナサンはオフィスのあるドアにたどり着いた。装置に暗証番号を入力す
ると、ドアのロックが解除された。
部屋に入室すると、ジョナサンはナンシーに微笑んだ。「忠告しておくぜ。ライトニングズの選手は
自分にも相手チームにも厳しい。絶対に調子を取り戻すよ」ナンシーが手を振り、自分のデスクに向かうのを見届けると、ワイズはある光景に気付いた。ナン
シーが歩いて行った先のガラス張りのオフィスルームで、二人の中年男性が会話をしていたのだ。
上司であるマイク シンクロアが情報分析部長のヘンドリー ギャノンと何やら、会話をしていたからである。
情報分析部長が直接、ワイズが所属する第1分析課に来ることはあまりないことで、あるとしても月に3回の各部署の関係者会議ぐらいのものである。数秒ほど二人の話し合いを眺めたあと、ジョナサンは会話を終えてこちらに歩いてくる、ギャノンに会釈をした。
「おはようございます。ギャノン部長。」
ギャノンはうなずいて、少しジョナサンに接近してから、そっと言い添えた。
「健闘を祈っているよ。」
ジョナサンは何のことか分からず、戸惑ったが、聞き返そうにも部長はもうオフィスのドアを開けて退室してしまった。
「おはよう、ワイズ君。 ちょうどギャノン部長と君の話をしていたんだ」
そう上司のシンクロアがワイズに近寄りながら切り出した。
ワイズは問うた。「僕が、、いや、私が何か目立つ事をしましたか?覚えがありません」シンクロアは咳払いしてワイズの瞳を見据えた 「第2会議室にスタンリー君と一緒に来てくれ 。君の協力がいる」
「分かりました。」
そしてシンクロアは去っていった。 4分後ワイズは先輩スタッフのリック フェルナンドスと第2会議室へ通じる通路を歩いていた。「なあジョニー。そう気難しい気分になるな。リラックスしろ、悪い話じゃない」。フェルナンドスは可愛がっている後輩のジョナサンをそう、愛称で和ませたが効果は薄かった。
「一体どういう話なんですか、先輩は知っているんでしょ?ヒントでもいいから教えてください」。そうワイズはフェルナンドスに懇願したが肝心のヒントさえ与えられなかった。そうやり取りしている内に2人は会議室前にたどり着いた。
フェルナンドスがドアをノックすると2人共、入室を許された。室内にはシンクロアと先ほどのギャノンがデスクにおさまっていて、
さらに米国海軍の佐官クラスらしい男が1人とダークスーツの中年女性が席についていた。
フェルナンドスは頭を下げてから口を開いた。 「リック フェルナンドス、そして、ジョナサン ワイズ両名ただ今、参りました。」
それに対しギャノン部長が応じた。 「かけたまえ。二人とも」。リック達は椅子に着席するとギャノンが説明を始めた。
「さて、突如、君たちにこういう形の状況へと参加してもらったのには相応の理由があるんだ。それとまず紹介しておこう。こちらの制服の人は海軍戦略分析研究所のキース大佐だ。そしてCIAの兵器アナリストのハンター氏」。
キースは挨拶の言葉を口にして、ハンターの方もそれに続いた。
海軍のキースの方は短く刈り上げた砂色の髪によく整えた口ひげをしていた。年は50近くだろうか。しかし年齢を感じさせない堂々たる体格の持ち主で、ぜい肉らしいものも見当たらない。そして実用的な感じの地味なフレームの眼鏡をかけている。 そしてこの場の紅一点といえるハンターは40代のスレンダーな女性で栗色の髪を後ろに束ねてポニーテールにしている。
肌にみずみずしさがあり顔貌は無論の事、異性を惹きつける美しさがあった。
フェルナンドスはやや緊張感を声に滲ませて発言した。「では部長、このミーティングの目的をお話していただけますか?実を言うと私は事前に概要を聞いていますがこちらのワイズ君は全く何も知らないのです。」
思わずギャノンの隣にいたシンクロアは失笑しかけて片手で口をふさいだ。
苦笑交じりにギャノンも頭をかいた。
「そうだったな すまんねワイズ君 情報の秘匿レベルがレッド2だったから、契約職員の君には教えるわけにはいかなかったんだ」。
GDIUでは取り扱う機密情報のレベルは主に5段階に分けられる。ギャノンのいうレッド2は正規幹部職員だけが閲覧できる情報であり契約スタッフのワイズにはそれが不可能だった。「かまいません 部長。続けてください」
ワイズに促されてから
ギャノンはメモ帳を手にして話し出した。
前に行くと何人かの男女がIDを手にして入館確認を保安要員から受けていた。自分の番が来ると、
彼はIDをまた保安員に見せ、暗記している職員番号を告げると、入館を許可された。そして、自分のオフィスがある区画へと歩き出すと、
突然、後ろから声をかけられ、驚きながらも振り向いた。
「あら、ジョナサン。昨日のライトニングズは惜しかったわね。勝てていれば、4連勝だったのに、、」
彼の同僚であるナンシー レイノルズがそう言ったのを聞いて、ジョナサンは思わず苦笑した。
「ああ、まあね。でも仕方ないよ、投手のメイソンが体調不良から立ち直ったばかりだったからね。」
ワイズは野球の人気チームであるスターライトニングズのファンだった。昨日の試合ではナンシー
が熱心に支持しているブラックトライアングルズに接戦の末5対4で負けたのである。
「今年の、トライアングルズは運に恵まれているわ。日本のチームから有能な打者をまた、引き抜くらしいから。
とにかく、次の試合が気になるわね。」
そう、話すナンシーと歩きながら、ジョナサンはオフィスのあるドアにたどり着いた。装置に暗証番号を入力す
ると、ドアのロックが解除された。
部屋に入室すると、ジョナサンはナンシーに微笑んだ。「忠告しておくぜ。ライトニングズの選手は
自分にも相手チームにも厳しい。絶対に調子を取り戻すよ」ナンシーが手を振り、自分のデスクに向かうのを見届けると、ワイズはある光景に気付いた。ナン
シーが歩いて行った先のガラス張りのオフィスルームで、二人の中年男性が会話をしていたのだ。
上司であるマイク シンクロアが情報分析部長のヘンドリー ギャノンと何やら、会話をしていたからである。
情報分析部長が直接、ワイズが所属する第1分析課に来ることはあまりないことで、あるとしても月に3回の各部署の関係者会議ぐらいのものである。数秒ほど二人の話し合いを眺めたあと、ジョナサンは会話を終えてこちらに歩いてくる、ギャノンに会釈をした。
「おはようございます。ギャノン部長。」
ギャノンはうなずいて、少しジョナサンに接近してから、そっと言い添えた。
「健闘を祈っているよ。」
ジョナサンは何のことか分からず、戸惑ったが、聞き返そうにも部長はもうオフィスのドアを開けて退室してしまった。
「おはよう、ワイズ君。 ちょうどギャノン部長と君の話をしていたんだ」
そう上司のシンクロアがワイズに近寄りながら切り出した。
ワイズは問うた。「僕が、、いや、私が何か目立つ事をしましたか?覚えがありません」シンクロアは咳払いしてワイズの瞳を見据えた 「第2会議室にスタンリー君と一緒に来てくれ 。君の協力がいる」
「分かりました。」
そしてシンクロアは去っていった。 4分後ワイズは先輩スタッフのリック フェルナンドスと第2会議室へ通じる通路を歩いていた。「なあジョニー。そう気難しい気分になるな。リラックスしろ、悪い話じゃない」。フェルナンドスは可愛がっている後輩のジョナサンをそう、愛称で和ませたが効果は薄かった。
「一体どういう話なんですか、先輩は知っているんでしょ?ヒントでもいいから教えてください」。そうワイズはフェルナンドスに懇願したが肝心のヒントさえ与えられなかった。そうやり取りしている内に2人は会議室前にたどり着いた。
フェルナンドスがドアをノックすると2人共、入室を許された。室内にはシンクロアと先ほどのギャノンがデスクにおさまっていて、
さらに米国海軍の佐官クラスらしい男が1人とダークスーツの中年女性が席についていた。
フェルナンドスは頭を下げてから口を開いた。 「リック フェルナンドス、そして、ジョナサン ワイズ両名ただ今、参りました。」
それに対しギャノン部長が応じた。 「かけたまえ。二人とも」。リック達は椅子に着席するとギャノンが説明を始めた。
「さて、突如、君たちにこういう形の状況へと参加してもらったのには相応の理由があるんだ。それとまず紹介しておこう。こちらの制服の人は海軍戦略分析研究所のキース大佐だ。そしてCIAの兵器アナリストのハンター氏」。
キースは挨拶の言葉を口にして、ハンターの方もそれに続いた。
海軍のキースの方は短く刈り上げた砂色の髪によく整えた口ひげをしていた。年は50近くだろうか。しかし年齢を感じさせない堂々たる体格の持ち主で、ぜい肉らしいものも見当たらない。そして実用的な感じの地味なフレームの眼鏡をかけている。 そしてこの場の紅一点といえるハンターは40代のスレンダーな女性で栗色の髪を後ろに束ねてポニーテールにしている。
肌にみずみずしさがあり顔貌は無論の事、異性を惹きつける美しさがあった。
フェルナンドスはやや緊張感を声に滲ませて発言した。「では部長、このミーティングの目的をお話していただけますか?実を言うと私は事前に概要を聞いていますがこちらのワイズ君は全く何も知らないのです。」
思わずギャノンの隣にいたシンクロアは失笑しかけて片手で口をふさいだ。
苦笑交じりにギャノンも頭をかいた。
「そうだったな すまんねワイズ君 情報の秘匿レベルがレッド2だったから、契約職員の君には教えるわけにはいかなかったんだ」。
GDIUでは取り扱う機密情報のレベルは主に5段階に分けられる。ギャノンのいうレッド2は正規幹部職員だけが閲覧できる情報であり契約スタッフのワイズにはそれが不可能だった。「かまいません 部長。続けてください」
ワイズに促されてから
ギャノンはメモ帳を手にして話し出した。
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