過去から来た戦友

ジェイムズ ハーパーDI5

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尋問と回想

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「せっかくだ、この際、目玉をえぐった
    方がいいんじゃないか? なあ、、
     ボス?」

そんな、不気味な台詞を口にした者がいて、ますます、バクスターは胃がむかむかした。

(ヘクターより少し、年上だろうか?
確かサンテスとかいう名前だったな、、)

細身のヘクターより小太りで贅肉が目立ち、肌がやや浅黒い感じだった。

「黙れ、サンテス。お前の目をえぐるぞ」


凄みをきかせて尋問者のリーダーは一喝した。

その、リーダー格の男とバクスターの目が合った。

「殺せよ、好きなやり方で楽しめ、、」

バクスターは尋問者を睨み付け、そう虚勢を張った。

一方の相手は忌々しげに首を横に振った。

「俺は急ぎすぎるのは嫌いなんだ。 野蛮なやり方もな、、」

そして、バクスターは、


CIA本部で受けた、

この尋問者、アルドル・マレラについて
の説明を思い出していた。

極貧の家庭で育ち、

路上生活を経てカルテルのメンバーに拾われてから、この男は、


己の才覚、精神力のみで、辣腕を振るってきただけに、侮りがたいタイプであった。

マレラは、知恵が回り、心理的なテクニックにかけては、カルテル随一で、今までに、

囚われた、米国、又は、その他の情報機関員の多くが、このサディストとの心理戦に敗れ、

最後には、死体として、捨てられる末路を辿った。

バクスター自身、事前にCIA本部のラングレーで十分な尋問対策の訓練を受けたつもりだが、想像以上に苦しかった。

「おい、トニー?」

マレラが突然、口を開いた。

「お前がジャーナリストでないことは分かる モーテルにあった、書類や記者のID、パスポートでな、、特にIDの場合、俺は注意深く調べるようにしている。
どれも特別製の偽造だ」

バクスターは答えなかった。

「お前はアメリカの情報機関員だろ?所属は?国防省か、CIA、FBI、どうなんだ?」

バクスターはそれでも無言だった。

そして、あの、ヘクター、が怒りを露わにしてナイフの刃先をバクスターの眼球すれすれに突きつけた。

「いい加減にしろよ、、!クソアメリカ人が! 黙ってたって助からねえぞ、、 
お前の友達 親兄弟まで 殺しつくしてやりてぇぜ!!」

バクスターはそれに対し、不敵に笑って言い返した。

「やってみろよ、、能無しが!」

ヘクターはその返答を受けて、顔が紅潮し、今にもナイフを

バクスターの目に刺し込もうかという勢いがあった。
しかし、考え直したのかナイフを引っ込めると後ろに下がると、突如、バクスターに唾を吐いた。 

そして、薄笑いを浮かべると、こう、言い添えた。


「まあ、いいさ、お前は、
ボスの料理だ。どれだけ、
辛抱できるか、もう少し、
見物せてもらうぜ」

そして、ヘクターは口笛を吹きながら、離れていった。

そんな中 エメットはヘクターの言葉にあった友達というキーワードが妙に引っかかっていた。 

彼には、友人と呼べる人間がほとんどいなかった。

その多くは10年以上前のヴェトナム戦争で死んでいたのだ。

多くの戦友は、エメットの知る限り、自らの信念を貫き、

戦場という状況下でも、冷静にプロとして生き、死に行った者たちだった。

しかし、それほどの、男たちでも、死ぬ時は死ぬ。
アメリカの世論を混乱させ、

誰からも理解を示されなかった、

あのヴェトナムの戦地で、
バクスターが生き延びることが

できたのは、

戦友たちの、助けがあったからだった。

(しかし、今の俺はどうだ?自分でヘマをして、アイツらのおかげで、保てた命を絶ってしまうかもしれない、状況にいるじゃないか、、)


バクスターはそう、自虐し、急に嫌悪感が、にじみ出たが、突然、ある記憶がフラッシュバックした。


(そういえば、まだ、いたな俺の友達、
いや、兄弟以上の間柄だった奴が、、
   ダニエル、、お前は、
今どこにいるんだ?)

ダニエル・カッター。その男はバクスターがヴェトナムで一緒だった戦友の一人だった。

二人共、海軍特殊部隊SEALの隊員として、多くの作戦に従事し辛酸

を舐めてきたものだった。
長距離偵察活動、破壊工作、情報収集任務、ベトコンの指揮官級の人物を捕縛する、スナッチミッション、

いちいち挙げたら、21世紀まで、かかるのでないかという作戦数があった。

184cmの長身で、高校のフットボールで、鍛えた、たくましい肉体を持つ、バクスターと対照的に、

カッターは170cm、体重、70キロの小柄な体格の持ち主だった。

しかし、特殊部隊のSEALの隊員にふさわしく、筋骨隆々さはバクスターに負けず、
そして、誰よりも、足音を立てない術に長けていた。


このスキルは、ヴェトナムでの特殊作戦に関わる者たちから羨ましがられた。
それで、、カッターに付けられた、


あだ名が、ステルスブーツマンだった。
本人はこの、あだ名がイマイチ、


好きになれず、どうか、呼ばないようにしてくれ、、

と周囲に、懇願していたのをバクスターはずっと覚えていた。

カッターは、高校を卒業後、


自ら、志願して、軍の徴募事務所に行き、海軍に入隊後、またしても、

志願して、特殊作戦部隊要員のトレーニングコースを受けることにした。

そして、ヴェトナムでSEAL隊員の大幅な補充計画が持ち上がると、現地に派遣され


一足先に、戦場にいた、バクスターと、知り合った。

正直、カッターを部隊のキャンプで初めて、見たとき、バクスターはこれといって、特別に思うことはなかった。

ちょうど、その頃は、長距離の潜入偵察作戦の帰還直後で、疲れ切っていたのだ。


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