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脱出!

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そう気付いたバクスターの目の前に一人の黒ずくめの男が近寄り、マレラの死体を、どかし、かがみこんだ。

「立てますか?我々はあなたを救出するために派遣されました。」

男は言って
た。足首の鞘からコンバットナイフを抜くとバクスターを縛っている、ロープを全て、切り落とした。

「急いで、ここから、脱出しないといけません。外でヘリが待っています。それに我々と一緒に乗り込んでください」

「わかった。」

バクスターは、かすれた声で答えた。

「ギャノン、コナー、彼を支えてやれ。それと、ヘリの機内で、応急手当をするのも忘れるな。いくぞ。」

そう、軍の救出チームの男は言った。命令口調だった、ところから考えて、この男はチームの指揮官だろう。

さらに、バクスターには、どこかで聞いたことがある声のトーンだと思えた。

10分を少し、過ぎてから、バクスターは、救出部隊の面々に連れられて、特殊作戦用の中型ヘリコプターに乗せられた。

医療用ベッドに寝かされてから、少し、間をおいてヘリは回転翼を勢いよく作動させ離陸を始めた。

衛生兵から、鎮痛剤を投与され、止血処置をうける中、バクスターは、機内でまたしても、あの指揮官と顔を合わせた。

「お礼をいいます。おかげで、命拾いしましたよ。」

チームの指揮官の顔は黒い覆面マスクに覆われ表情が読めず、また、年齢もつかめなかった。

しかし、彼はバクスターに歩み寄り、近くの椅子に腰掛けると、自ら 覆面を外した。


「そんなに、堅苦しくしなくていいんだよ、、久しぶりだな。エメット、、、」
そう、語りかけた、男の真の素顔を見て、バクスターは、目を大きく見開き、驚愕を隠せなかった。

「お前、、
    まさか、、ダニエルか、、、!」


「ああ、、そうとも、、、
    何年ぶりだ?え、、」

バクスターは、
ヴェトナム以来共に戦場を
渡り歩いた戦友 ダニエル カッター
を前にして、言葉が出なかった。
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