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3.勉強は苦手
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その日から地獄の様な勉強漬けが始まった。学園からきちんと3日に1回先生が派遣されてきたのだ。ただ先生の教え方は上手くて最初の頃の箸にも棒にも掛からない状態はすぐに脱出できたのが嬉しかった。
「先生って教え方上手いですね。頭悪い俺でも前より格段に賢くなった気がします」
先生は首を傾げた。
「貴方は頭悪くないですよ。むしろ何というか勘所が良くて教えててかなり楽しいですこちらは」
「またまたーお世辞言わなくていいですって!試験ほんとーにまっったく出来ないくらいダメだったし」
俺の言う事を聞いた先生は小さい子に言い聞かすようにゆっくりと話した。
「入学試験ができなかったのは、基礎的な知識がなかっただけ。この村で教えてもらう『基礎』と私達学園で考えている『基礎』が違ったんですね多分。なので今入学前に慌ててと言う感じにはなってしまうのですが、知識を頭に入れてもらってます。あともう少し頑張って頂ければ他の学生に混じって授業を受けても大丈夫になりますよ」
…あれ?何か引っかかるぞ。
「気になる事があるんですけど?」
「答えられる事なら」
どうぞとばかりに手を差し出した先生。
「学園って勉強が出来る人が入るんじゃないんですか?そのふるいにかけるための試験なんでしょ?」
ハァァ~と先生は盛大に溜め息をついた。
「そういう勘違い多いんですよ。たまたま勉強ができる人が多いだけでそれで選抜してる訳ではないのです。最後甲乙付け難いとなった時にはそれで選びますが」
「えっ!俺『とっても勉強ができる人しか入れない』って聞いてたけど違うの?じゃ何で選んでるの?」
今まで大人達から聞いていた話と違うので驚いた。
「あくまでも『この国の中枢を担える様な人物を発掘し育てる』のが学園の目的です。その為の知識は持っていてもらわないと困りますが、勉強よりも大事な物があります。…リュさんは何だと思いますか?」
何だろう?知識でも身分でもお金でもなさそうだ…
「人格かな。悪い奴に政治をしてもらいたくないし」
「概ね正解です。政治をやるには多少の腹黒さも必要とはされますが、学園では正しい判断が出来る人物を選んでいます。それが知識が劣っていても貴方が選ばれた理由です」
「よっしゃ!当てたぜ…って人格なんてどうやったらわかるんですか?長く付き合うくらいしないと難しくないですか?」
先生はその質問にはにっこり微笑んでこう言った。
「それは秘密です。でも分かる方法があるんですよ」
秘密って何だそりゃ?
「ひょっとして魔法?」
先生は曖昧な笑みを浮かべてごました。
我が国には魔法がある。その事は一般的に知られており、とんでもなく辺鄙なうちの村にも水の魔法が使える人がいる。ただし先天的な能力であり尚且つ出来る人は少ない。うちの村だと何と1人しかいない(前述の水の魔法使いのみ)他にも色々と種類もあるようだがこの村以外にあまり出た事のない俺は良く知らない。学園に入ったらそういう授業もあるんだろうけど、あまり関係ないな。
小さい頃には自分も魔法ができるかもと思って、カッコつけて「炎よ出ろ!」なーんてやってた事もあったけどねー。生まれつきの力だと分かってからはそんな事はしていない。魔法の力がなくても水は川か泉でくんでくればいいし、炎は火おこしすればこと足りる。水の魔法を使える人はいるが、この村は豊かな建国の森があり恵まれているため、『危機的状況で出番だ!』なんてことはほとんどない。水汲みしないで楽だね!なくらいの位置づけだ。
あとは魔法以外に『エルフの祝福』ってのもあるが、こっちはうちの村ではありふれすぎて誰も気に留めてない…まぁ外部の人には口外しないと決まってるので黙ってよう。
『何故俺が受かったか?』という謎は少し解けたしいいことにしよう。一瞬だけどあの『布袋さん』が学園に圧力かけて受からせたのかと思っちゃったんだよね。そうだとしたら絶対入学しないで済む方法を考えなきゃいけなくなるんで。
そしてじわじわと月日がすぎ、入学の日が近づいていく。
「先生って教え方上手いですね。頭悪い俺でも前より格段に賢くなった気がします」
先生は首を傾げた。
「貴方は頭悪くないですよ。むしろ何というか勘所が良くて教えててかなり楽しいですこちらは」
「またまたーお世辞言わなくていいですって!試験ほんとーにまっったく出来ないくらいダメだったし」
俺の言う事を聞いた先生は小さい子に言い聞かすようにゆっくりと話した。
「入学試験ができなかったのは、基礎的な知識がなかっただけ。この村で教えてもらう『基礎』と私達学園で考えている『基礎』が違ったんですね多分。なので今入学前に慌ててと言う感じにはなってしまうのですが、知識を頭に入れてもらってます。あともう少し頑張って頂ければ他の学生に混じって授業を受けても大丈夫になりますよ」
…あれ?何か引っかかるぞ。
「気になる事があるんですけど?」
「答えられる事なら」
どうぞとばかりに手を差し出した先生。
「学園って勉強が出来る人が入るんじゃないんですか?そのふるいにかけるための試験なんでしょ?」
ハァァ~と先生は盛大に溜め息をついた。
「そういう勘違い多いんですよ。たまたま勉強ができる人が多いだけでそれで選抜してる訳ではないのです。最後甲乙付け難いとなった時にはそれで選びますが」
「えっ!俺『とっても勉強ができる人しか入れない』って聞いてたけど違うの?じゃ何で選んでるの?」
今まで大人達から聞いていた話と違うので驚いた。
「あくまでも『この国の中枢を担える様な人物を発掘し育てる』のが学園の目的です。その為の知識は持っていてもらわないと困りますが、勉強よりも大事な物があります。…リュさんは何だと思いますか?」
何だろう?知識でも身分でもお金でもなさそうだ…
「人格かな。悪い奴に政治をしてもらいたくないし」
「概ね正解です。政治をやるには多少の腹黒さも必要とはされますが、学園では正しい判断が出来る人物を選んでいます。それが知識が劣っていても貴方が選ばれた理由です」
「よっしゃ!当てたぜ…って人格なんてどうやったらわかるんですか?長く付き合うくらいしないと難しくないですか?」
先生はその質問にはにっこり微笑んでこう言った。
「それは秘密です。でも分かる方法があるんですよ」
秘密って何だそりゃ?
「ひょっとして魔法?」
先生は曖昧な笑みを浮かべてごました。
我が国には魔法がある。その事は一般的に知られており、とんでもなく辺鄙なうちの村にも水の魔法が使える人がいる。ただし先天的な能力であり尚且つ出来る人は少ない。うちの村だと何と1人しかいない(前述の水の魔法使いのみ)他にも色々と種類もあるようだがこの村以外にあまり出た事のない俺は良く知らない。学園に入ったらそういう授業もあるんだろうけど、あまり関係ないな。
小さい頃には自分も魔法ができるかもと思って、カッコつけて「炎よ出ろ!」なーんてやってた事もあったけどねー。生まれつきの力だと分かってからはそんな事はしていない。魔法の力がなくても水は川か泉でくんでくればいいし、炎は火おこしすればこと足りる。水の魔法を使える人はいるが、この村は豊かな建国の森があり恵まれているため、『危機的状況で出番だ!』なんてことはほとんどない。水汲みしないで楽だね!なくらいの位置づけだ。
あとは魔法以外に『エルフの祝福』ってのもあるが、こっちはうちの村ではありふれすぎて誰も気に留めてない…まぁ外部の人には口外しないと決まってるので黙ってよう。
『何故俺が受かったか?』という謎は少し解けたしいいことにしよう。一瞬だけどあの『布袋さん』が学園に圧力かけて受からせたのかと思っちゃったんだよね。そうだとしたら絶対入学しないで済む方法を考えなきゃいけなくなるんで。
そしてじわじわと月日がすぎ、入学の日が近づいていく。
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