そんな時は上を向くのさ。

安芸 瑞葉

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二 困った時は友達に相談しよう。

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「……んで? それで途方に暮れちまったから魔法の得意アタシに助けをこいねがいに来た……と」
「はい! そう言うわけでどうか、宜しくお願いします師匠! どうか、どうか私に救いの手を!」
「あのなぁ……アタシは〈火の魔法〉が突出して凄いだけであって、他の魔法は余りパッ、とはしねぇんだけど……と言うか、魔法周りならアタシなんぞよりもアイリスに教えて貰った方が……」
「そうかも知れないけど、ほ、ほら、アイリスは植物の方で手一杯だから、ね? ね? 〈火の魔法〉でも良いから私にご教授してよぉ! お願いだからさぁ……」

 ドン、ドン! っと、地へ文字通りこうべを自ら叩きつけるかの如く、迫真気味た土下座を同じ学園へと通うクラスメートへと向けて実施している私。
 正直、頭に血が昇りそうです。
 若干、そのお友達のおもてからもみるみる、引きつっているかのような様子が見てとれます。
 ひょっとして軽く引かれちゃったかな、私。

 でもでも、卒業後の人生と単位をはかりにかければ何のこれしき、と言った所でしょうか。

 私の気概きがいの強さに愈々いよいよ友人その一たる、カルミアが渋々ながらも魔法を教えてくれるようです!
 ヤッター! と私は思わず柄にも無くガッツポーズをしてしまいました。

 カルミアは腰をかけていた学園の中庭にあるベンチからさっ、と立ち上がってはその赫耀かくようたる赤髪のストレートロングを靡然びぜんとさせます。
 カルミアの性格はガサツで男勝り且つ、ちょっと雑っぽく、荒っぽい。
 脳裏で思考を巡らせるよりも、直感的に動く事を好む女の子です。
 それゆえかカルミアのり成す魔法は何時も強く、手加減と言う物を丸で知りません。

 ですが一度放つ度に、普通ならば体力を沢山消耗してもおかしくはないはずなのにも関わらず、当のカルミアは毎度、毎度、実に平気そうな素振りを見せるのです。
 この事からカルミアは魔法科の先生方から特別視されているのです。

 先生曰く、「彼女の魔力は生まれつきの天性である」……と。
 そして私はそんな偉大な人からこの度、その最も苦手とする魔法を教わるのです。
 ああ、何と贅沢な環境なのでしょうか。

 やはり持つべきものは「友」、ですね。
 そうしてそんな異色の経歴を持つカルミアが凜、と立っては大きな胸の前で、気合いを入れるかの如く両手を合わせてこう言うのです。

「じゃあ、みっちりと教えてやるから色々と覚悟するんだな!」

 はい! のぞむところです! 宜しくお願い致します、〈火の魔法〉の師匠!
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