転生先は水神様の眷属様!?

お花見茶

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···❆クラソフィア入都編❆···

身分証明書〜side.セルン〜

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 転移するとそこは、ドゥアンセラの草原だった。ドゥアンセラの草原はクラソフィアからとても近い場所にある。ここに出れたことは運がいいな。

 クラソフィアはこのあたりで1番大きな街だ。普段はこの草原も人がいるはずなんだが、今日は何故だか一人も気配を感じない。とは言っても、クラソフィアの門の前には人の気配をたくさん感じるし、ただ単に偶然人がいなかっただけだろうが。

 森を抜け門の前の列に並び、順番が来るのを待つ。紫と碧はぐっすりと眠っている。昼を過ぎた頃、俺たちの番になった。
身分証明書を持ってないことを伝えると、奥の詰め所の休憩室らしきところに案内された。中央にあるイスに座るように促されて座る。建物の中に入ってフードをかぶったままというのは失礼だと思い、椅子に座るとフードをおろした。弥生もだ。

「それではまず、身分証明書を持っていない理由を訪ねてもよろしいでしょうか?」
「馬車での移動途中に魔物に襲われて、馬車をおいて逃げてきたんだ。身分証明書はその馬車においてきてしまった」
「そうでしたか……。では、仮身分証明書を作るので、こちらの水晶に手をかざして頂いてもよろしいでしょうか。犯罪の有無や名前、年齢を調べますので」
「ああ」

 水晶にでかざすと、光ってカードが出てきた。どうやらこれは仮身分証明書を作る水晶だったらしい。犯罪履歴があったら水晶に出てくるってところか……。

「こちらが仮身分証明書になります」

 カードをスッと机に滑らせるようにして渡される。色々と説明をしてくれるのは助かるが、さっきからやたらと弥生を見てる気がする。弥生が笑うと、騎士の顔が赤くなった。弥生は美少女だからな。だが、何故だろうか……胸がもやもやする。

「で、では、妹さんの方も……」

 妹?この騎士には弥生が俺の妹にでも見えているのだろうか。弥生も少し不思議そうな顔をしている。それでも自分のことだと分かったらしく、水晶に手をかざす。俺と同じように軽く光り、カードが出てくる。そのカードを騎士がサッと取り、弥生に手渡す。手渡しする必要なんかないだろう……。

「ありがとうございます」

 弥生は笑ってお礼を言う。騎士はさらに赤くなって口ごもる。弥生の手を握りながら。

 こんな奴にお礼なんか言わなくてもいいだろう。クソッ、なんかイライラする。

 しばらくしても騎士は弥生の手を握ったままだ。

「……あの、そろそろ手を離してもらっても?」

 弥生が困ったように言う。すると騎士は今気がついたのか、慌てたようにパッと離す。

「す、すみません!!……あ、あのもし良かったらこの後……!!」

 おい、お前。今、何を言おうとした。

「この後、なにか?あ、そういえばまだ自己紹介してませんでしたね。私はヤヨイ・ユヅキと言います。今日はありがとうございました。お忙しいでしょうに」

 弥生もこんな奴に自己紹介なんかしなくていい。どう見たって、お前を口説こうとしてるぞ。

「い、いえ。とんでもありません!!わ、私はデルディル・シュトーム、20歳、独身、彼女無しです!!」

 いらない情報を弥生に言うんじゃない。
 弥生はよく分かってないようだけどな。こういう時、弥生が鈍くて助かる。

「シュトームさん、よろしくお願いしますね」
「こ、こちらこそ今後ともよろしくお願いします!!あと、デルディルで結構です!!(できればディルと呼んでほしいなぁなんて……)」

 今の、絶対に意味違うだろう。あと、聞こえないように小声で言ったんだろうが、俺には聞こえてるぞ。弥生には聞こえてないようだが。

「あ、あの、お義兄さん……あ、お兄さんの名前は……」

 ……こいつ、やっぱり弥生に落ちたな。まあ、弥生は俺の……。

「俺はセルン・ユヅキ。俺も20歳だ」
「よろしくお願いします、お義兄さ……セルンさん!!」
「……さっきから気になってたんだが、そのお義兄さんはなんだ」
「あら、セルはお兄さんって呼ばれて嬉しくないの?」
「弥生、多分お前の思っているのと違うぞ?」

 多分というか絶対。お前のせいで、デルディルの馬鹿が完全にお前を嫁にしようとしてるぞ。

「お、お義兄さん、是非ともヤヨイさんを……!!」
「うぎゃあぁぁぁっっ!!」
「ぎゃああぁぁぁんっっ!!」

 デルディル貴様、今何を言おうとした。紫と碧のおかげで助かったものの。

 弥生が紫と碧を懸命にあやす。

「いつの間に赤ちゃんが……?」
「言っとくが、最初からいたぞ」

 こいつが、最初から弥生しか見てないことがよく分かった。

「セル、碧を抱いていてくれないかな?」
「分かった」

 弥生から碧を受け取る。

「あ、あの、その子たちは?」

 弥生、今忘れてたって顔しただろ。
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