3 / 11
✽第一幕 妖狐転生✽
3話 早く大きくなりたいものじゃ
しおりを挟む
父上様達は、ひとしきり妾を抱いて撫でると布団の上に妾を降ろし去っていった。
ちょうど良い。この部屋の確認でもするかの。
布団から立ち上がると、部屋をぐるりと見渡した。
床は畳式で、典型的な古くからの平屋の日本の屋敷といった感じが取れる。廊下は木の床のようだの。布団はこの和室の中央に敷かれており、扉は布団の頭の方から見て左右に1つずつ、合計2つある。
右の方は開かれ、縁側に続いておる。縁側はどうやら屋敷の周りをぐるりと囲っておるようじゃの。縁側の向こうには美しい日本庭園が見える。これは早く外に出てみたいものじゃのぅ。
左の扉は、さっき父上様達が出ていった扉じゃ。隙間から外を見てみたが、向こうにも同じような扉があったから、どうやら屋敷の内部を移動するにはこちらの扉を使うようじゃ。
しかしこの部屋、結構豪華なものじゃのぅ。まるで、何処ぞの姫君のようじゃな。掛布団は楝色を地に金糸でと銀糸で刺繍をされておる。置かれている箪笥や家具も、一目で結構なものだとわかるものじゃ。
押入れの障子は紫色の花が描かれておる。む、これはもしやミズアオイの花か?確か“水葱”はミズアオイの別名じゃったな……。どうやら部屋はそれぞれの名前に合わせておるようじゃな。
ふむ、部屋の確認も終わったし、暇じゃのぅ。何か面白いものはないのか……。
む?あれは鏡か。そうじゃ、どうせなら妾の姿を確認しておくとしよう。
鏡の方へとテクテクと足を進める。鏡に妾の姿を映さぬように鏡の横へ移動する。家族は皆見目麗しいようじゃが、万が一とゆうものがあるからな。い、一応じゃ。
グッと覚悟を決め、エイッと鏡の前へと出る。閉じていた目をそろりと開けるとそこには……
……な、なんと!!
そこにはとても可愛らしい狐がおった。家族の耳と尻尾から狐と言うことは分かっておったが、これほどまで可愛らしいとは……。
銀糸のようにキラキラと輝くサラサラとした上品な毛並み、クリクリとした紫式部色の大きな瞳。そして何より、ふさふさとした大きな耳と尻尾!!これは、とんでもない美狐なのじゃないじゃろうか!!
鏡の前で、色々とポーズを取る。似合う者を選ぶと言われておる、あのあざとさたっぷりのポーズを。ちょこんと座っての上目遣い、後ろを向き、鏡に振り返って首を傾げるあのポーズ……。クルクルと色んなポーズをとってみる。
クッ……!!妾だと分かっておってもなんじゃ、この可愛さは!!我が事ながら、可愛すぎるぞ……!!
あまりの可愛さに体をクネクネとさせて悶える。前世の人間の姿だったら気持ち悪くて引くだろうなと思うくらいに。と、鏡が目に入る。そこには顔を前足で隠し悶える子狐が……!!
グワッ……!!か、可愛すぎるぞ、妾!!クッ……このままでは危ない。ずっとこの繰り返しになってしまう。妾が可愛すぎて可愛死んでしまう……!!
何とか鏡を見ないように布団へと這って行く。
はぁはぁ……あ、危なかった、このままでは死んでしまうところじゃった……。しばらくは鏡に近づくのはやめるとしよう。近づくには(妾)耐性がついてからじゃないといけないの……。恐るべし、妾……‼
布団の上にひっくり返り、腹を天井へと向けて息を整える。整えておる間も鏡のことを思い出し悶えることが何度かあったが、どうにか息を整えた。
それにしても、この格好は結構危ないの。腹は狐などの4足獣の弱点じゃ。うむ、今度からこの格好にはならぬよう気をつけるとしよう。
クルリと勢いをつけてまわる。
そういえば、父上様達は人型じゃったな。大きくなったら人化できるようになるんじゃろうか……?
妾が人化したら、どんなふうになるのか……。妾も早く人化してみたいものじゃな。さて、早く大きくなる為にももう一眠りするとするかの。
ちょうど良い。この部屋の確認でもするかの。
布団から立ち上がると、部屋をぐるりと見渡した。
床は畳式で、典型的な古くからの平屋の日本の屋敷といった感じが取れる。廊下は木の床のようだの。布団はこの和室の中央に敷かれており、扉は布団の頭の方から見て左右に1つずつ、合計2つある。
右の方は開かれ、縁側に続いておる。縁側はどうやら屋敷の周りをぐるりと囲っておるようじゃの。縁側の向こうには美しい日本庭園が見える。これは早く外に出てみたいものじゃのぅ。
左の扉は、さっき父上様達が出ていった扉じゃ。隙間から外を見てみたが、向こうにも同じような扉があったから、どうやら屋敷の内部を移動するにはこちらの扉を使うようじゃ。
しかしこの部屋、結構豪華なものじゃのぅ。まるで、何処ぞの姫君のようじゃな。掛布団は楝色を地に金糸でと銀糸で刺繍をされておる。置かれている箪笥や家具も、一目で結構なものだとわかるものじゃ。
押入れの障子は紫色の花が描かれておる。む、これはもしやミズアオイの花か?確か“水葱”はミズアオイの別名じゃったな……。どうやら部屋はそれぞれの名前に合わせておるようじゃな。
ふむ、部屋の確認も終わったし、暇じゃのぅ。何か面白いものはないのか……。
む?あれは鏡か。そうじゃ、どうせなら妾の姿を確認しておくとしよう。
鏡の方へとテクテクと足を進める。鏡に妾の姿を映さぬように鏡の横へ移動する。家族は皆見目麗しいようじゃが、万が一とゆうものがあるからな。い、一応じゃ。
グッと覚悟を決め、エイッと鏡の前へと出る。閉じていた目をそろりと開けるとそこには……
……な、なんと!!
そこにはとても可愛らしい狐がおった。家族の耳と尻尾から狐と言うことは分かっておったが、これほどまで可愛らしいとは……。
銀糸のようにキラキラと輝くサラサラとした上品な毛並み、クリクリとした紫式部色の大きな瞳。そして何より、ふさふさとした大きな耳と尻尾!!これは、とんでもない美狐なのじゃないじゃろうか!!
鏡の前で、色々とポーズを取る。似合う者を選ぶと言われておる、あのあざとさたっぷりのポーズを。ちょこんと座っての上目遣い、後ろを向き、鏡に振り返って首を傾げるあのポーズ……。クルクルと色んなポーズをとってみる。
クッ……!!妾だと分かっておってもなんじゃ、この可愛さは!!我が事ながら、可愛すぎるぞ……!!
あまりの可愛さに体をクネクネとさせて悶える。前世の人間の姿だったら気持ち悪くて引くだろうなと思うくらいに。と、鏡が目に入る。そこには顔を前足で隠し悶える子狐が……!!
グワッ……!!か、可愛すぎるぞ、妾!!クッ……このままでは危ない。ずっとこの繰り返しになってしまう。妾が可愛すぎて可愛死んでしまう……!!
何とか鏡を見ないように布団へと這って行く。
はぁはぁ……あ、危なかった、このままでは死んでしまうところじゃった……。しばらくは鏡に近づくのはやめるとしよう。近づくには(妾)耐性がついてからじゃないといけないの……。恐るべし、妾……‼
布団の上にひっくり返り、腹を天井へと向けて息を整える。整えておる間も鏡のことを思い出し悶えることが何度かあったが、どうにか息を整えた。
それにしても、この格好は結構危ないの。腹は狐などの4足獣の弱点じゃ。うむ、今度からこの格好にはならぬよう気をつけるとしよう。
クルリと勢いをつけてまわる。
そういえば、父上様達は人型じゃったな。大きくなったら人化できるようになるんじゃろうか……?
妾が人化したら、どんなふうになるのか……。妾も早く人化してみたいものじゃな。さて、早く大きくなる為にももう一眠りするとするかの。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
8
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる