冴えないOL、目を覚ますとギャル系女子高生の胸を揉んでた

白藍まこと

文字の大きさ
5 / 52

05 情報を開示せよ

しおりを挟む

「ご馳走様でした」

「お粗末様でした」

 食事を終えると、雛乃ひなのは立ち上がり食器を下げる。

 そのままキッチンに運び、お皿洗いまでやってくれたりしている。

 私がお願いするでもなく彼女の方から自主的に。

 意外すぎる。

 手際も良さそうでテキパキと食器にフライパンなんかも洗っている。

 なるほど、手慣れているのはよく分かった。

 だが、しかし……。

 雛乃のお皿洗いが終わって居間に戻ってきたタイミングで私は声を掛ける。

「お皿、洗ってくれてありがとう」

「ん-ん、これくらいは当たり前でしょ」

 当然かのように振る舞う雛乃。

 私はこほんと咳ばらいを一つする。

「ちょっと、座りなさい」

「うん、座るけど」

 私なりに改まった空気を出したつもりなのだが、雛乃は小首を傾げて“そりゃ座るよ?”みたいな空気でペタンと膝を折った。

 ローテーブルを挟んで、私達は向かい合う。

 何はともあれ、話し合わなきゃいけない事がある。

「どのくらい、ここにいるつもり?」

 朝は出勤時間に追われてしまって色々と有耶無耶になってしまったが、私はこの少女のことを何も知らない。

 ここに至る経緯も、その展望も。

 改めて、その辺をはっきりとさせておく必要がある。

「ずっと?」

 抽象的な期間の上にクエスチョンマークで更に不明瞭……!

 家事を見てしっかり者かと感心しそうになったが、やはり10代。

 勢いだけの感性を感じる。

「あんた学生でしょ、学校はどうするの?」

 雛乃の制服に見覚えはない。

 この土地周辺の学校ではないのだろう。

「まあ、これから夏休みだし」

 ……夏休み期間中の逃避行ということか?

「夏休みが終わったら帰るってことね?」

「それはどうかなぁ」

 あ、帰る気ないぞこいつ。

「親御さんは、心配してるでしょ」

「ないない、そんな心配してないって」

 あははー、とあっけらかんと雛乃は笑って手を振る。

 何がおかしいか分からないが、それは有り得ないと雛乃は断言する。

 両親が心配をしているという真実があっても、家出少女が自ら打ち明けたりはしないか。

「ほんとかよ」

「親にはちゃんと“あたし、この家を出ていくから”って宣言したけど、何も言われなかったし」

 まあ……仮にそれが本当なら、無関心な両親なことには違いないだろうけど。

 私にとってみれば悲報でしかない。

「なんでそんなことしたの?」

 家を出るなんて、相当な理由がないと実行しないと思うのだけれど。

「家族ってウザいじゃん?」

「……それだけ?」

「それ以上の理由いる?」

 ……短絡的すぎる。

 いや、実はもっと深い理由があってそれを隠そうとしているのかもしれない。

 でも案外、本当にウザいだけなんじゃないかという気もする。

 人を見た目で判断するのは良くないが、それだけで行動できるのも若さだろうしなぁ……。

 判断に困る。

「これまではどうやって生活してたのよ」

 まあ、察するにこうやって誰かの家に転がり込んでいたんだろうけど……。

「昨日が初日だから」

「……なるほど」

 どうやら雛乃の家出初日に出会ってしまったのが私らしい。

 なんていう引き。

 運が良いのか悪いのか。

 いや、悪いに決まってるんだけど。

「てか、あたしも聞いていい?」

「え、うん、いいけど」

 こちらが根掘り葉掘り聞いたせいか、雛乃も気になる事があるようで口を開く。

上坂うえさかさんって女子が好きなの?」

「ぶふっ!!」

 思わずテーブルに突っ伏す。

 思わぬカウンターに息が詰まってしまった。

 いや、まあ状況を考えれば当然の疑問かもしれないのだけど……。

「な、なんでそう思うのかな……?」

「いや、昨日の夜、家に泊めてもらうのに誰に声掛けよっかなぁて考えるじゃん?まあ、普通に男の人を見てたらね……」

 家出先を選ぶ状況は特異だから、形容詞に普通はおかしいのだが。

 まあ、そんな細かいことは置いておこう。

 ていうか、そんなことツッコんでる場合じゃない。

「“お姉ちゃん可愛いね”って近づいて来る人がいてさ」

 痛い、痛い……頭の奥が痛い。

 なんだその典型的なエロオヤジみたいなセリフ……。

 会話の流れとしてどう考えても私なのだが、私ではないと思いたい。

 だってそんなことした記憶ないし。

「酔ってるOLさんらしき人が、あたしのことジロジロ見て来てね?」

「へえ……」

 けらけらと楽しそうに笑っているが、こっちは全く笑えない。

 まさかの未成年に私から声を掛けたのか。

 私は犯罪者予備軍だったのか……いや、もう実行犯か。

「で、まあ、今に至る感じ?」

 雛乃を抱いて、家に泊めることになったと。

 他人事としか思えない内容だ。

「酔いすぎてしまったようね」

 全てを泥酔のせいにしてしまう。

 完全にダメ人間のそれだが、今の私にそれ以外の逃げ道が見つからない。

「で、女子が好きなの?」

 しかし、雛乃は質問を続ける。

 非常に答えたくない内容である。

「それともJK専門とか?」

「私の変態性を勝手に上げるなっ。そうだよ、私は女性が好きなのっ」

 更に捻じ曲がった誤解を受けそうなので、仕方なく打ち明ける。

 いや、誤解と言うには状況が歪すぎるので真実味を帯びてしまっているが、私は決して女子高生にしか興奮しないとか、そういう危ない人物ではない。

 ただ、恋愛対象が同性というだけである。

「年下好き?」

「ねえよ、そんなこだわりねえよ」

 ただ女性が好きなだけの、冴えない独身だ。

「へえ……。単純に、あたしが好みだった?」

 雛乃は視線を真っすぐに私にぶつけてくる。

 こいつ……。

 よくまあ、こんなむず痒い会話を続けようとするな。

 もういいでしょ。

「酔った時の私には、そう見えたんだろうね」

「あ、なにそれ。今は違うみたいな」

 確かに見た目は好みだけど。

 それでも、女子高生相手に手を出すわけにはいかない。

 いや、手遅れなのは理解してるんだけど……。

 でも、理性が止めているのだから絶対にもうしない。

「昨夜の酔った私はどうかしてたの」

「でも、女子が好きなんでしょ?」

「だからって、誰でも好きになるって意味じゃないから」

「あたしにして欲しい事とか、あるんじゃない?」

 それはきっと、雛乃を抱くことを指しているのだろう。

 しかし、私が雛乃に望んでいることは別にある。

「あるよ」

「ほら、あるじゃん」

「大人しく家に帰りなさい」

 期待したものとは違うであろう答えに、雛乃は目を見開く。

 ぷくっと頬を膨らませた。

「帰らない、ここにいるからっ」

「……」

 しかし、そうもいかないだろう。

 少なくとも夏休みの間は良しとしても、それから先は問題だ。

 彼女の人生のこともあるし、他人の家に上がり込むというのも健全ではない。

 この夏休み期間の間に、彼女を説得し家に帰ってもらう。

 大丈夫、気分で動く子なのだ。

 きっとその内、私に嫌気を差すだろうし。

 何だったらホームシックにもなるかもしれない。

 時間を置いて、様子を伺うとしよう。
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった

白藍まこと
恋愛
 主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。  クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。  明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。  しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。  そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。  三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。 ※他サイトでも掲載中です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

名もなき春に解ける雪

天継 理恵
恋愛
春。 新しい制服、新しいクラス、新しい友達。 どこにでもいる普通の女子高生・桜井羽澄は、「クラスにちゃんと馴染むこと」を目指して、入学早々、友達作りに奔走していた。 そんな羽澄が、図書室で出会ったのは—— 輝く黒髪に、セーラー服の長いスカートをひらりと揺らす、まるで絵画から抜け出したような美しい同級生、白雪 汀。 その綺麗すぎる存在感から浮いている白雪は、言葉遣いも距離感も考え方も特異で、羽澄の知っている“普通”とは何もかもが違っていた。 名前を呼ばれたこと。 目を見て、話を聞いてもらえたこと。 偽らないままの自分を、受け入れてくれたこと—— 小さなきっかけのひとつひとつが、羽澄の胸にじわりと積もっていく。 この気持ちは憧れなのか、恋なのか? 迷う羽澄の心は、静かに、けれど確かに、白雪へと傾いていく—— 春の光にゆっくりと芽生えていく、少女たちの恋と、成長の物語。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

迷子を助けたら生徒会長の婚約者兼女の子のパパになったけど別れたはずの彼女もなぜか近づいてくる

九戸政景
恋愛
新年に初詣に来た父川冬矢は、迷子になっていた頼母木茉莉を助け、従姉妹の田母神真夏と知り合う。その後、真夏と再会した冬矢は真夏の婚約者兼茉莉の父親になってほしいと頼まれる。 ※こちらは、カクヨムやエブリスタでも公開している作品です。

処理中です...