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17. 無神経な義妹
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「すっごいわよねぇ! さすがはヘイワード公爵家のお屋敷ね。うちより断然広くて豪華だわ! いいなぁお義姉さまったら。こんなお屋敷で毎日のんびり暮らしていられるなんて」
彼が出て行って呆然とする私の様子などお構いなしに、サリアは応接間をキョロキョロと無作法に見回しながらそんな脳天気なことを言っている。さすがに怒りが抑えきれず、私は彼女に詰め寄った。
「どういうつもりなの? サリア。わざわざここまで出向いてくるのなら、せめて先に手紙くらいよこしてよ……! 突然訪ねてくるなんて非常識だわ。ラウル様にもご迷惑をかけてしまったじゃないの」
「えぇ? お手紙……、出さなかったかしら? あたし。……あ、そうか。面倒くさくなっちゃって後回しにしたまま忘れてたんだったわ。うふふ。ごめんなさいお義姉さま。次からは必ず出すわね。……んもう、そんな怖いお顔で怒らないでぇ。そんな顔してると、ラウル様に嫌われちゃうわよ。なんちゃって。うふふっ」
「……っ! あ、あなたねぇ……、」
真剣に話しているのにそれを茶化すようなことを言われ、ますます頭に血が上る。するとそんな私を見て、サリアが小首を傾げた。
「どうしたの? お義姉さま。そんなにムキになっちゃって。……もしかして、図星だった? お義姉さまとラウル様、上手くいってないの?」
「……っ、」
「あ、やっぱり! そうなのね! ラウル様に嫌われちゃったの?」
「……違うわ。大きな声で変なことを言わないで。……悪いけど、外してくれる?」
部屋の隅に控えていた使用人たちにそう声をかけると、彼女たちはかしこまりました、と小さく答え部屋を出て行った。ようやく義妹と二人きりになる。
するとサリアは前のめりになって私に尋ねてきた。
「ね、そうなんでしょ? だってさっきのラウル様の様子、明らかにおかしかったもの! あんなの新婚の妻にむける顔じゃないわ。すっごく冷たくて、いかにもお義姉さまのことが大っ嫌い! って感じだった。ね、どうして? どうしてそんなに嫌われちゃったの? 結婚式の前ぐらいまで、二人すごく仲良かったじゃない」
「……だから、嫌われたりなんかしてないってば。あなた何なの? 失礼よ。今ラウル様のご機嫌が悪かったのは、あなたが原因なのよ。それが分からない? お忙しい彼をわざわざこの部屋に引き留めて、話し相手なんかさせて。今度こんな真似をしたら、お父様に手紙を出して全て言いつけるわよ!」
サリアのあまりにも無遠慮な言葉に神経を逆撫でされた私は、これまでになく彼女にきつい物言いをした。もはや怒りをそのままぶつけただけだ。けれどサリアはすこしも堪える様子がない。
「ほらぁ、そんなに怒るなんて、やっぱり図星なんだわ。……やっぱり、あたしの読み通りだったわね……。あの子ったら、ラウル様の心をこんなにも掻き乱しちゃうなんて……。本当、罪な子だわ」
「……何? 一体何の話をしてるわけ?」
突然、わざと私に聞かせるかのように、何やら意味深な言葉をブツブツと呟くサリア。無視することもできず、私は苛立ちながらそう問いただした。
「まぁお義姉さま、とりあえずそこに座ってよ。あたし今からお義姉さまに大事なお話をするから。ね?」
そう言われて、自分がまだサリアの目の前に突っ立ったままでいたことに気付いた。何となく気まずい思いをしながら、私はサリアの向かいのソファーに腰を下ろす。
「……それで? 早く話して」
義妹への苛立ちが収まらぬまま、私は話を急かした。
するとサリアは私の方に身をかがめ、片手を口元に添え、小さな声できっぱりと言った。
「お義姉さま、ラウル様ね、浮気してるわよ」
彼が出て行って呆然とする私の様子などお構いなしに、サリアは応接間をキョロキョロと無作法に見回しながらそんな脳天気なことを言っている。さすがに怒りが抑えきれず、私は彼女に詰め寄った。
「どういうつもりなの? サリア。わざわざここまで出向いてくるのなら、せめて先に手紙くらいよこしてよ……! 突然訪ねてくるなんて非常識だわ。ラウル様にもご迷惑をかけてしまったじゃないの」
「えぇ? お手紙……、出さなかったかしら? あたし。……あ、そうか。面倒くさくなっちゃって後回しにしたまま忘れてたんだったわ。うふふ。ごめんなさいお義姉さま。次からは必ず出すわね。……んもう、そんな怖いお顔で怒らないでぇ。そんな顔してると、ラウル様に嫌われちゃうわよ。なんちゃって。うふふっ」
「……っ! あ、あなたねぇ……、」
真剣に話しているのにそれを茶化すようなことを言われ、ますます頭に血が上る。するとそんな私を見て、サリアが小首を傾げた。
「どうしたの? お義姉さま。そんなにムキになっちゃって。……もしかして、図星だった? お義姉さまとラウル様、上手くいってないの?」
「……っ、」
「あ、やっぱり! そうなのね! ラウル様に嫌われちゃったの?」
「……違うわ。大きな声で変なことを言わないで。……悪いけど、外してくれる?」
部屋の隅に控えていた使用人たちにそう声をかけると、彼女たちはかしこまりました、と小さく答え部屋を出て行った。ようやく義妹と二人きりになる。
するとサリアは前のめりになって私に尋ねてきた。
「ね、そうなんでしょ? だってさっきのラウル様の様子、明らかにおかしかったもの! あんなの新婚の妻にむける顔じゃないわ。すっごく冷たくて、いかにもお義姉さまのことが大っ嫌い! って感じだった。ね、どうして? どうしてそんなに嫌われちゃったの? 結婚式の前ぐらいまで、二人すごく仲良かったじゃない」
「……だから、嫌われたりなんかしてないってば。あなた何なの? 失礼よ。今ラウル様のご機嫌が悪かったのは、あなたが原因なのよ。それが分からない? お忙しい彼をわざわざこの部屋に引き留めて、話し相手なんかさせて。今度こんな真似をしたら、お父様に手紙を出して全て言いつけるわよ!」
サリアのあまりにも無遠慮な言葉に神経を逆撫でされた私は、これまでになく彼女にきつい物言いをした。もはや怒りをそのままぶつけただけだ。けれどサリアはすこしも堪える様子がない。
「ほらぁ、そんなに怒るなんて、やっぱり図星なんだわ。……やっぱり、あたしの読み通りだったわね……。あの子ったら、ラウル様の心をこんなにも掻き乱しちゃうなんて……。本当、罪な子だわ」
「……何? 一体何の話をしてるわけ?」
突然、わざと私に聞かせるかのように、何やら意味深な言葉をブツブツと呟くサリア。無視することもできず、私は苛立ちながらそう問いただした。
「まぁお義姉さま、とりあえずそこに座ってよ。あたし今からお義姉さまに大事なお話をするから。ね?」
そう言われて、自分がまだサリアの目の前に突っ立ったままでいたことに気付いた。何となく気まずい思いをしながら、私はサリアの向かいのソファーに腰を下ろす。
「……それで? 早く話して」
義妹への苛立ちが収まらぬまま、私は話を急かした。
するとサリアは私の方に身をかがめ、片手を口元に添え、小さな声できっぱりと言った。
「お義姉さま、ラウル様ね、浮気してるわよ」
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