【完結済】結婚式の翌日、私はこの結婚が白い結婚であることを知りました。

鳴宮野々花

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9.

「……君を罠に嵌めようとした可能性は高いね」
「……やはり、そうですわよね」


 後日、私はパーティーでの一件をマキシミリアーノ様に相談しに屋敷を訪れていた。

「話を聞くだけでエイダン・ギャラガー子爵令息の行動を不審に思うよ。確かに君は魅力的だし、本心から君を好きである可能性もないわけがないけど、」
「っ?!そっ、そんな…っ」

 マキシミリアーノ様がサラリと言った「君は魅力的だし」に敏感に反応してしまう私。頬がじわりと熱を帯びる。エイダン様に言われると不気味なはずの言葉も、マキシミリアーノ様に言われると思わずときめいてしまう。

「だけどこのタイミングで狙ったかのようにそんなことを言い出すなんて…、穿った見方をすれば、君に不貞の事実を作りその現場を押さえようとでもしているんじゃないかと思うよね」
「そ、そして私の有責として離婚しようと……?」
「……可能性はあると思う」
「…………。」

 そこまでする男だったのか……。何も知らずに一途にミッチェルを信じていた自分が情けなくも憐れにも思える。そして親友だと思っていたポーラも、私にうまく罪をなすりつけられる日を心待ちにしているのかもしれないのだ。

 私が黙ってしまうと、マキシミリアーノ様が励ますように微笑んで言った。

「でも、君には私がついているから。大丈夫。心配しないで」
「……ありがとうございます、マキシミリアーノ様……」

 ……本当に心強い。どうしてこの方は赤の他人の私にここまで親切にしてくださるのだろう。やはりご自身が以前に私と同じような辛さを味わったことがあるから、放っておけないのだろうか……。

「私が調査を頼んでいる者にこまめに報告をもらっているんだけどね、まだこの短期間ではなかなか確固たる不貞の事実を複数掴むことは難しいようなんだ。もうしばらく時間がかかるだろうから、アミカ嬢、気を付けるんだよ。一人きりで外を出歩いたりしないように」
「は、はい」
「……その後、ミッチェルはどうだい?妙な真似はしてこない?その……夜とかも……」
「ええ、大丈夫ですわ。屋敷ではごく普通に過ごしております。相変わらず理由をつけては寝室も別にしておりますし。来週あの人はベルナップ伯爵の領地視察への同行で遠方まで出かけるので数日留守にしますの。しばらくは私も気兼ねなくゆっくり過ごせますわ」
「そう。それはよかった」

 マキシミリアーノ様は少しホッとした表情をした後、すぐに気を引き締めるように真面目な顔で言った。

「気を付けて過ごして。くれぐれも、不用意に出かけないようにね」
「ええ」

 マキシミリアーノ様の気遣いに胸を熱くしながら、私はそう返事をした。




 ところが。


 その翌週、私はとてつもなく恐ろしい思いをすることになったのだった。




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