43 / 77
43. 対面
「ひく……っ、えぐ……っ、ま、まま……、まま……」
さらに数分後。駆けつけた大勢の役人たちは、あちこちから血を流しボロボロになったバハロたちを拘束し、連れていった。
「い……いてぇ……! 待ってくれ……もっと、もっとそっとしてくれ。ほ、骨が……腕も肋骨も折れてやがるんだよ……! ぐあぁっ! いでででで……!」
顔面の数ヶ所が紫色に腫れ上がったバハロは、情けない声をあげながらそう懇願し、鼻血と鼻水を垂らしていた。けれど役人たちは無情までに事務的な動作で、彼の巨体をさっさと運んでいってしまった。
私はえぐえぐと泣くユーリをしっかりと胸に抱きしめたまま、残った役人たちに事情を説明する。セシルはその間私のそばにピタリと寄り添っていた。
「……分かった。必要があれば、後日あなたたちにも再度話を聞かせてもらう。あなたも頬に怪我をしているようだが」
「あ、私は大丈夫です。治癒術師の卵なので、自分で治せますから」
そんな会話をしている間に、集まっていた野次馬たちは皆家に帰ったようだった。辺りに散乱していた私のバッグの中の荷物が、いつの間にか誰かによってちゃんとまとめられ、私のそばに置いてあった。ありがたい。
事情聴取をしていた役人たちも皆行ってしまうと、その場には私とユーリ、そしてセシルだけが残った。
私はおそるおそる、隣に立つセシルの顔を見た。
すると。
「……っ!!」
いつの間にか泣き止み顔を上げているユーリと、隣に立っているセシルが、互いにジッと見つめ合っていた。
同じ色の、瞳で。
私は慌ててユーリの顔を自分の手で覆い、体の向きを変え、セシルからユーリを隠した。
だけど、今さらそんなことをしたところで無意味だった。
「……ティナ」
セシルが低く、静かな声で私の名を呼ぶ。心臓が狂ったように脈打ち、頭が真っ白になった。
動揺した私は従業員寮の方を向き、一歩足を進めて言った。
「……た……、助けてくれて、ありがとう。……私ちょっと……、この子を……」
往生際悪く、私は最後の言い訳を頭の中で絞り出そうとした。あ、預かっていた子ってことに……、寮に住んでる同僚から……。
けれどその時、ユーリが言った。
「まま、てぃなってなぁに?」
(……っ!!)
私は今度こそ、一歩も動けなくなった。
セシルの方が音もなく歩き、私の目の前に立つ。
「……話をしよう、ティナ」
◇ ◇ ◇
従業員寮の私たちの部屋に入ったセシルは、ほんの少し部屋の中を見回し、静かにテーブルの前に座った。ユーリはそんなセシルをジーッと見つめている。さっき大きな男たちに囲まれてあれほど怖い目に遭ったにも関わらず、セシルに対して怯えている様子はない。……見た目が全然違うからだろうか。それとも……。
ひとまずお茶を淹れるべきだろうと、私はゆっくりとキッチンに向かった。すると背後から、セシルが私に声をかける。
「ティナ、こっちへ」
「っ!」
少しギクッとしながらも、私はおずおずとセシルのそばへと近付いた。
テーブルを挟んで座ると、セシルが言った。
「お茶なんかいいから、まずは君の頬の傷を。……ほら、ユーリがさっきからずっと不安そうだ」
「……あ……」
セシルがごく自然に「ユーリ」と呼んだことに若干驚きつつも、彼の言葉で自分の頬に何の手当てもしていないことを思い出した。ユーリもセシルから目を逸らし、私の顔をジッと見ている。そして私のそばにトコトコとやって来ると、私の膝の上によじ登ってきた。
「まま、いちゃい? ゆーり、よしよししゅるね。……よしよし……よーしよーし……」
「……ふふ」
小さな手を伸ばして私の頬を擦る動作を見せるユーリが可愛くて、こんな時だというのについ笑ってしまった。私はその小さなおててと頬の間に自分の手を滑り込ませ、術をかける。
「ありがとう、ユーリ。……わぁ、ユーリのおかげでママ、痛いの飛んでいっちゃった」
そう言いながら魔力を集中させると、手のひらから金色の光が溢れ出し、私の頬を照らす。ノエル先生のところで訓練している私たちを何度も見ているはずのユーリの目が、キラキラと輝いた。
「わぁっ! まま、みてー。ゆーりもいっしょにしてる!」
「うん。そうだね。ユーリの優しさでいつもよりずっと癒しの力が強くなってる気がするわ。ありがとうユーリ。……ほら、もう治っちゃったー」
そう言って手を離すと、男にぶたれた私の頬の痣はすっかり完治していた。
私たちの様子をジッと見ていたセシルが、ポツリと呟く。
「……すごいな」
そうしてこちらに向かっておもむろに手を伸ばすと、私の頬をそっと撫でた。
「っ!?」
「もう痛みもないのか?」
「え、ええ。……助けてくれてありがとう、セシル」
「……ん。……間に合ってよかった」
セシルはそう言って、私の頬を何度もなぞる。ユーリがそんな私たちを交互に見ている。
何とも言えない照れくささを感じながら、それをごまかすように私はユーリに言った。
「ほら、ユーリもお礼を言って。この……方に」
言ってから余計に気まずくなる。ユーリは私の膝をピョコンと降りると、セシルの前にトコトコと歩き、元気よくお礼を言った。
「あいあとお!ごじゃましゅっ!」
「……ふ」
セシルは目を細めると、その大きな両手を広げてごく自然にユーリに言った。
「……おいで」
ユーリは戸惑うことなく、セシルの腕に手を伸ばす。息子はこれまで、あまり大人の男性と関わることはなかった。保育士さんたちは女性ばかりだし、遊びに行ったり来たりするのも、保育園のお友達とママさんたちばかり。何度も言葉を交わしているのは、あの温和なノエル先生くらいだ。
けれどユーリは、なぜかセシルを拒まなかった。
セシルはユーリを抱き上げ、膝の上に座らせると、そのふわふわした栗色の頭を優しく撫で、背中をトントンと叩く。
俺たちの子なんだろう、と、彼は一言も聞いてこなかった。
セシルに抱っこされたユーリは、その大きな胸にちょこんと頬をくっつけた。疲れているのだろう。それにこんな時間になってしまって、もう眠くてたまらないはずだ。
セシルの腕の中で瞼を閉じるユーリの姿を、そのユーリをしっかりと抱きとめ、背中を優しく叩くセシルを、私はただ見守っていた。
ふいに胸がいっぱいになり、涙が静かに頬を流れた。
さらに数分後。駆けつけた大勢の役人たちは、あちこちから血を流しボロボロになったバハロたちを拘束し、連れていった。
「い……いてぇ……! 待ってくれ……もっと、もっとそっとしてくれ。ほ、骨が……腕も肋骨も折れてやがるんだよ……! ぐあぁっ! いでででで……!」
顔面の数ヶ所が紫色に腫れ上がったバハロは、情けない声をあげながらそう懇願し、鼻血と鼻水を垂らしていた。けれど役人たちは無情までに事務的な動作で、彼の巨体をさっさと運んでいってしまった。
私はえぐえぐと泣くユーリをしっかりと胸に抱きしめたまま、残った役人たちに事情を説明する。セシルはその間私のそばにピタリと寄り添っていた。
「……分かった。必要があれば、後日あなたたちにも再度話を聞かせてもらう。あなたも頬に怪我をしているようだが」
「あ、私は大丈夫です。治癒術師の卵なので、自分で治せますから」
そんな会話をしている間に、集まっていた野次馬たちは皆家に帰ったようだった。辺りに散乱していた私のバッグの中の荷物が、いつの間にか誰かによってちゃんとまとめられ、私のそばに置いてあった。ありがたい。
事情聴取をしていた役人たちも皆行ってしまうと、その場には私とユーリ、そしてセシルだけが残った。
私はおそるおそる、隣に立つセシルの顔を見た。
すると。
「……っ!!」
いつの間にか泣き止み顔を上げているユーリと、隣に立っているセシルが、互いにジッと見つめ合っていた。
同じ色の、瞳で。
私は慌ててユーリの顔を自分の手で覆い、体の向きを変え、セシルからユーリを隠した。
だけど、今さらそんなことをしたところで無意味だった。
「……ティナ」
セシルが低く、静かな声で私の名を呼ぶ。心臓が狂ったように脈打ち、頭が真っ白になった。
動揺した私は従業員寮の方を向き、一歩足を進めて言った。
「……た……、助けてくれて、ありがとう。……私ちょっと……、この子を……」
往生際悪く、私は最後の言い訳を頭の中で絞り出そうとした。あ、預かっていた子ってことに……、寮に住んでる同僚から……。
けれどその時、ユーリが言った。
「まま、てぃなってなぁに?」
(……っ!!)
私は今度こそ、一歩も動けなくなった。
セシルの方が音もなく歩き、私の目の前に立つ。
「……話をしよう、ティナ」
◇ ◇ ◇
従業員寮の私たちの部屋に入ったセシルは、ほんの少し部屋の中を見回し、静かにテーブルの前に座った。ユーリはそんなセシルをジーッと見つめている。さっき大きな男たちに囲まれてあれほど怖い目に遭ったにも関わらず、セシルに対して怯えている様子はない。……見た目が全然違うからだろうか。それとも……。
ひとまずお茶を淹れるべきだろうと、私はゆっくりとキッチンに向かった。すると背後から、セシルが私に声をかける。
「ティナ、こっちへ」
「っ!」
少しギクッとしながらも、私はおずおずとセシルのそばへと近付いた。
テーブルを挟んで座ると、セシルが言った。
「お茶なんかいいから、まずは君の頬の傷を。……ほら、ユーリがさっきからずっと不安そうだ」
「……あ……」
セシルがごく自然に「ユーリ」と呼んだことに若干驚きつつも、彼の言葉で自分の頬に何の手当てもしていないことを思い出した。ユーリもセシルから目を逸らし、私の顔をジッと見ている。そして私のそばにトコトコとやって来ると、私の膝の上によじ登ってきた。
「まま、いちゃい? ゆーり、よしよししゅるね。……よしよし……よーしよーし……」
「……ふふ」
小さな手を伸ばして私の頬を擦る動作を見せるユーリが可愛くて、こんな時だというのについ笑ってしまった。私はその小さなおててと頬の間に自分の手を滑り込ませ、術をかける。
「ありがとう、ユーリ。……わぁ、ユーリのおかげでママ、痛いの飛んでいっちゃった」
そう言いながら魔力を集中させると、手のひらから金色の光が溢れ出し、私の頬を照らす。ノエル先生のところで訓練している私たちを何度も見ているはずのユーリの目が、キラキラと輝いた。
「わぁっ! まま、みてー。ゆーりもいっしょにしてる!」
「うん。そうだね。ユーリの優しさでいつもよりずっと癒しの力が強くなってる気がするわ。ありがとうユーリ。……ほら、もう治っちゃったー」
そう言って手を離すと、男にぶたれた私の頬の痣はすっかり完治していた。
私たちの様子をジッと見ていたセシルが、ポツリと呟く。
「……すごいな」
そうしてこちらに向かっておもむろに手を伸ばすと、私の頬をそっと撫でた。
「っ!?」
「もう痛みもないのか?」
「え、ええ。……助けてくれてありがとう、セシル」
「……ん。……間に合ってよかった」
セシルはそう言って、私の頬を何度もなぞる。ユーリがそんな私たちを交互に見ている。
何とも言えない照れくささを感じながら、それをごまかすように私はユーリに言った。
「ほら、ユーリもお礼を言って。この……方に」
言ってから余計に気まずくなる。ユーリは私の膝をピョコンと降りると、セシルの前にトコトコと歩き、元気よくお礼を言った。
「あいあとお!ごじゃましゅっ!」
「……ふ」
セシルは目を細めると、その大きな両手を広げてごく自然にユーリに言った。
「……おいで」
ユーリは戸惑うことなく、セシルの腕に手を伸ばす。息子はこれまで、あまり大人の男性と関わることはなかった。保育士さんたちは女性ばかりだし、遊びに行ったり来たりするのも、保育園のお友達とママさんたちばかり。何度も言葉を交わしているのは、あの温和なノエル先生くらいだ。
けれどユーリは、なぜかセシルを拒まなかった。
セシルはユーリを抱き上げ、膝の上に座らせると、そのふわふわした栗色の頭を優しく撫で、背中をトントンと叩く。
俺たちの子なんだろう、と、彼は一言も聞いてこなかった。
セシルに抱っこされたユーリは、その大きな胸にちょこんと頬をくっつけた。疲れているのだろう。それにこんな時間になってしまって、もう眠くてたまらないはずだ。
セシルの腕の中で瞼を閉じるユーリの姿を、そのユーリをしっかりと抱きとめ、背中を優しく叩くセシルを、私はただ見守っていた。
ふいに胸がいっぱいになり、涙が静かに頬を流れた。
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを
青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ
学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。
お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。
お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。
レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。
でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。
お相手は隣国の王女アレキサンドラ。
アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。
バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。
バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。
せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました
虐げられていた次期公爵の四歳児の契約母になります!~幼子を幸せにしたいのに、未来の旦那様である王太子が私を溺愛してきます~
八重
恋愛
伯爵令嬢フローラは、公爵令息ディーターの婚約者。
しかし、そんな日々の裏で心を痛めていることが一つあった。
それはディーターの異母弟、四歳のルイトが兄に虐げられていること。
幼い彼を救いたいと思った彼女は、「ある計画」の準備を進めることにする。
それは、ルイトを救い出すための唯一の方法──。
そんな時、フローラはディーターから突然婚約破棄される。
婚約破棄宣言を受けた彼女は「今しかない」と計画を実行した。
彼女の計画、それは自らが代理母となること。
だが、この代理母には国との間で結ばれた「ある契約」が存在して……。
こうして始まったフローラの代理母としての生活。
しかし、ルイトの無邪気な笑顔と可愛さが、フローラの苦労を温かい喜びに変えていく。
さらに、見目麗しいながら策士として有名な第一王子ヴィルが、フローラに興味を持ち始めて……。
ほのぼの心温まる、子育て溺愛ストーリーです。
※ヒロインが序盤くじけがちな部分ありますが、それをバネに強くなります
※「小説家になろう」が先行公開です(第二章開始しました)
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
神託の聖女様~偽義妹を置き去りにすることにしました
青の雀
恋愛
半年前に両親を亡くした公爵令嬢のバレンシアは、相続権を王位から認められ、晴れて公爵位を叙勲されることになった。
それから半年後、突如現れた義妹と称する女に王太子殿下との婚約まで奪われることになったため、怒りに任せて家出をするはずが、公爵家の使用人もろとも家を出ることに……。
あの日々に戻りたくない!自称聖女の義妹に夫と娘を奪われた妃は、死に戻り聖女の力で復讐を果たす
青の雀
恋愛
公爵令嬢スカーレット・ロッテンマイヤーには、前世の記憶がある。
幼いときに政略で結ばれたジェミニ王国の第1王子ロベルトと20歳の時に結婚した。
スカーレットには、7歳年下の義妹リリアーヌがいるが、なぜかリリアーヌは、ロッテンマイヤー家に来た時から聖女様を名乗っている。
ロッテンマイヤーは、代々異能を輩出している家柄で、元は王族
物語は、前世、夫に殺されたところから始まる。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
学園の華たちが婚約者を奪いに来る
nanahi
恋愛
「私の方がルアージュ様に相応しいわ」
また始まった。毎日のように王立学園の華たちが私のクラスにやってきては、婚約者のルアージュ様をよこせと言う。
「どんな手段を使って王太子殿下との婚約を取り付けたのかしら?どうせ汚い手でしょ?」
はぁ。私から婚約したいと申し出たことなんて一度もないのに。見目麗しく、優雅で優しいルアージュ様は令嬢達にとても人気がある。それなのにどうして元平民の私に婚約の話が舞い込んだのか不思議で仕方がない。
「シャロン。メガネは人前では外さないように。絶対にだ」
入学式の日、ルアージュ様が私に言った。きっと、ひどい近視で丸メガネの地味な私が恥ずかしいんだ。だからそんなことを言うのだろう。勝手に私はそう思いこんでいたけど、どうやら違ったみたいで……?