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第2話〜青春の狭間〜
しおりを挟む朝日が差し込む高校の教室。
放課後の特別活動が終わり、
生徒たちは、
それぞれ私語を交わしながら、
帰路につく頃合い
だった。
星斗は、
教室で一人、
デスクに突っ伏
し、眠るように目
を閉じていた。
やがて、
窓の外からの蝉の歌が
聴こえてくる...。
俯いた視線を上げると...。
そこに立っていた
のは、シンと髪を
結い上げた
お嬢さま風の
梨々花だった...。
「どうかしたの、
星斗? ...体調でも
悪いの...?」
「ん? あ、
いや、、、
そう
じゃねえよ...」
星斗は、
梨々花の優しげな
顔を見つめると、
ふと...恥ずかしく
なってきた。
この頃になってから、
星斗は、
心のどこかで
梨々花を、意識してしまうことが
増えてきた。
それは、
単なる幼馴染の
それ以上の
感情だった。
魅力的な
佇まいに、そして
さらにある
特別な何かに...。
「...ったく、
なんか素っ気
ないよな。」
「えっ?
なに...
そう?」
梨々花は、
困惑げな表情を
見せる。
立ち上がると、軽く梨々花の髪を、
くしゃくしゃ
とした。
「ちょっ、
やめてよっ!
いつものやんちゃ
さが一層増した
わね。」
「ははっ、
かわいい怒り方
だな!」
「もぅ~っ!!」
帰路、
二人は肩を並べて
歩いていた。
年頃の男女では、
当たり前の光景
なのだが、
あまり意識が
至らない...。
「あれ?
梨々花、
今日神職の
風体じゃ
なかったっけ?」
「ううん、
予備の稽古も
あるし...。
今日は普段着で
いいのよ」
梨々花は、
幾分照れくさそう
に言った。
「へぇ...珍しいもんだな」
「そうでも
ないわ。」
翌日の朝は、、、
校門前で二人は道を分かれた。
星斗は、
その後を振り返り、梨々花の
優しげな背中を見つめていた。
そして、
その様子を、
斜め前から
通りかかったクラスメイトの
幾人かが、
腕くくりしながら、
からかってきた。
「ほら!
星斗、梨々花のことが
好きなんだろ?」
「な、
何を口走って
やがる!」
「結構近くにいると、梨々花の体つきが!
すげーエロいって
わかるぜ?」
「うるせえ!!!」
星斗は、
逃げるように駆け出した。
その様子を梨々花も気付き、
心配そうな表情を浮かべた。
教室に着いた星斗は、
俯きがちになっていた。
男子生徒からは、今朝の様子を、
指摘される。
「お?
どしたんだよ
星斗くん? !
梨々花ちゃんのことが
気になるのかな?」
「な、
なんでもねぇよ!」
「へぇ~、
そうかぁ...。
でも、
俺だったら梨々花
ちゃんみたいな
ガチの純真な
お嬢様キャラに
心惹かれるかもし
れねーなぁ~...」
「くっそ!...」
翌日...、
星斗は梨々花を
避けるように
なっていた...。
放課後の特活の
時間も、それぞれ
の活動場所に移動
して他の生徒たち
と行動していた。
しかし、
星斗の様子が
おかしいことに
気づいた梨々花
は、、、
放課後、
すぐに、星斗の部室に
向かった。
「星斗、
どうしたの?」
ふと梨々花が立っ
ているのに
気づき、
顔を逸らす。
「な、
なんでもねぇよ。
そんな大したことは」
「そうなの?...」
しかし、
そう言いながらも、星斗は
我慢できずに
こぼした...。
「あのな...
おれも大人になっ
てきたってことを、
最近よく感じる」
「え...?」
「つまり...
同級生の男子たち
が見ているような
目で、梨々花を見
てしまう自分がい
るってことだ...」
梨々花は顔を赤らめた...。
期待と戸惑いの入り混じった表情になっていく。
一方、
星斗は必死になっ
て言葉を続けた...。
「だから...
おれは、
おまえをあんな目で見るのは
よくないと
思って。
それで、
いつものように
接するのが、
何だかむず
かしく...!」
梨々花は、
心の内に秘めた
淡い期待を隠しきれなかった。
星斗から恋心を
寄せられているのかもしれない、
そんな思いが頭をよぎる。
一方で、幼馴染の関係を壊したくない
という気持ちと、
気まずい想いが
入り交じった。
「星斗...」
梨々花は、
優しく笑みを浮かべながらも、
きゅっと心を
引き締めた。
「私は、星斗のこと
をずっと大切に
思っているわ。
もちろん、、、
いつまでも、
そばにいられ
たら...」
星斗は、
目を見開いた。
言葉を失っていた。
ただし、
その表情からは
幾分、安心したように見えた。
梨々花のその言葉に、
安心を覚えたのかもしれない。
「そうか...
ごめんな、
梨々花。
おれはついつい
昔の目で
見てしまってたんだ。」
星斗は、
梨々花の前で両手を垂れ、
深く息づいた。
「だけど、
おまえのことを
ずっと大切に思ってきたのは事実だ。
その気持ちは揺るがない。
おれはただ、
新しい気持ちに
戸惑っているだけなんだ。...」
梨々花は頷いた。
優しく...
だが、
心強げな眼差しを向けた。
「私も同じよ。
でも、
それはごく自然な
ことじゃない?
私たちは一緒に
大人になっていけば
いいのよ...」
「ああ...
そうだな...」
星斗は、
ほっと安堵の
表情を浮かべた。
そして、、、
二人は、
久しぶりに、
見つめあった...。
その夜、
星斗は、
床に臥せりながら、
天井を見つめて
いた。
いつも通りの日常の中で、
心にかすかに
違和感を感じていた。
これまでとは違う、確かに!
新しい感覚というものがあった。
そして...
ふとした瞬間!
星斗の手から、
不思議な光が
宿っている事を...
感じ取った。
パラパラと舞う
ような小さな
粒子が、
手の平からはじけ
飛ぶのが見えた。
「...なんだ!
これは?」
星斗は、
心配そうに見つめた。
そしてさらに、
もう一つ...
遠くに輝く光が見えはじめた。
視線を外に向ければ、
夜空に巨大な光の渦
が広がっているのが
分かった。
それは...
とてつもなく、
美しく...
神秘的に
渦を巻いていた。
「なんてことだ...
いまだ、
見たことがない!」
星斗の胸中には、
今までにない
高揚感が広がった。
そして、
新たな出会いの予感
を示唆するような、
ある確信が!
生まれていた。
「ああ、
そうだ!...
きっと、
何かが始まるに
違いない...!」
~第3話へつづく~
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