Ruins of a mental hospital

縁ノ下

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行方不明

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 2018年6月13日午前9時。
俺は会社に向かう電車に乗っていた。
通勤や通学の人で車内は満員状態だった。
暑苦しい車内で沢山の人に押されながらもようやく会社がある駅に到着した。

 「ふぅ~今日も一日頑張るか」
 妻の愛しているわの言葉を思い出し、俺は気合いを入れた。

 午後14時。
仕事を着実に進めていた。
パソコンで作業をしていた時、携帯電話が鳴った。
オフィス外で確認すると妻からの電話だった。
妻が勤務時間に電話を掛けてくる事は滅多に無い。
妻からの電話に不吉な予感がした。
固い表情で恐る恐る電話に出た。

「………」

無言電話だった。
妻の声はまるで聞こえない。

「おい!大丈夫か!」

「………」

 ぷつりと電話は切れた。
俺は妻が誘拐されたかもしれないと疑ったが、今は大事な作業中ということもあり帰る訳にはいかなかった。
心配で胸が一杯のなか、出来るだけ早く仕事を終わらせ、会社を出た。

午後8時。
 外は薄暗くなっていた。
急いで駅に向かい電車に乗る。
何度も妻に電話を掛けたが、一切出ることはなかった。

 午後9時。
俺は家に帰宅した。
外から家を見たとき、普段なら明かりが付いているのに暗かった。
妻は家に居ないのかもしれない。
俺は恐る恐る家のドアを開いた。
家の中から生臭い血の匂いがした。
床には血の跡が残っていた。
俺は全身に鳥肌が立った。
恐る恐る血の跡を辿る。

 リビングに辿り着いた。
人の気配は無い。
血の跡はキッチンから伸びていた。
もうそこには妻の姿は無かった。
俺は膝をつき泣き叫んだ。

「仕事なんて放り出してもっと早く駆け付けていれば」

 絶望と後悔が同時に俺に押し寄せた。
俺はなんとか立ち上がり、涙を拭いた。
探すしかないと決心し、家を飛び出した。


6月30日午後14時。
俺は髭と髪が伸び、痩せ細っていた。
あの日から仕事を放り出して妻を探し続けていた。
警察も妻を誘拐した犯人の捜索をしていた。
やっと掴んだ情報は、連続誘拐犯のアジトだった。
アジトは深い森の中にある精神病院の廃墟だった。
警察はアジトを立ち入り禁止にし、捜索を行っている。
俺は警察に行く手を阻まれ、アジトの中には入れなかった。

 7月14日午前8時。
俺は警察が妻を助け出し、犯人を逮捕してくれると信じていた。
だが、警察はなんの手掛かりも得られなかった。
アジトの捜索を行った警察官は30人も命を落とした。
辛うじて帰って者も意識が朦朧としている、精神異常の状態だった。
精神異常の帰還者が放った言葉は「恐ろしい化物がいる」だった。
世の人はこの言葉を信じなかった。
警察官達は精神病院の廃墟を怖がるように致死量ガスが発生していると仮定し、捜索を続行不可能と判断し打ち切った。

 その事を知った俺は警察を過信していた自分を憎んだ。
この一ヶ月何もしなかった後悔が俺を襲った。
妻に対して何一つ救いの手を差し伸べる事が出来なかった事を後悔し続けた。

 7月15日午前6時。
俺は昨日、泣き止んだ後に決心していた。
誰にも頼らず自分で妻を救い出し、犯人に復讐する事を決心した。
一晩ゆっくり体を休めて、万全の状態でアジトに向かった。
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