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ACT-7
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「ふぁ~、お風呂でさっぱりした筈なのに、どっと、疲れが出た気がする」
「すみません、ご主人様。私の洗い方が不器用なせいで…」
「いや、シエラのせいじゃないよ。ただ、俺が一人の男として、大事な何かを失っただけさ」
「…?」
個室で休憩している二人は、なんだか付き合いたてのカップルのように、よそよそしかった。
「そ、そういえば、シエラに新しい服を買ってあげようと思っているんだけど、なにか希望はある」
「ご主人様、私なんかに気遣いは不要です。安物で構いませんよ」
「そうは言ってもな~。そうだ!俺が新しい服を作ってあげるよ。これなら、別に買うわけじゃないから、気にする必要はないよな」
「でも、材料費などもありますし」
「いいから、いいから」
健太郎は、シエラの背後に立ち、緑色に輝く魔方陣を展開した。
「なるほど、サイズの確認はこれでよし…」
「ご主人様…?」
「あっ、動かないで」
「は、はい!」
緑色の魔方陣に、薄茶の魔方陣を重ねるようにして、新しい魔方陣を構築する。そして、シエラの服の周りを新たな魔方陣で囲み、服をリメイクするイメージで、作業に入る。
「そうだな、イメージはファンタジーで、和の要素も取り入れた物にしよう」
「凄い……、私の着ている奴隷服が、みるみる違う服へと変わっていく」
「これで完了!」
健太郎は、シエラの長く綺麗な金髪に、可愛い鈴のヘアゴムを付け、巫女の衣装を連想させるような、可愛さがある中にも、趣がある服を仕上げた。
「おっと、これを忘れていた」
「ご主人様、これはいったい」
「鉄の首輪なんて、可愛いシエラには似合わないからな。新しい首輪をあげるよ」
「ありがとうございます。こんな可愛い服を貰った上に、新しい首輪まで付けていただけるなんて」
「いや~、それほどでもないよ。首輪は特にイメージが浮かばなかったから、シンプルなデザインに仕上げちゃったし」
「そんなことはありません。ご主人様に貰った全ては、私の大事な宝物なんです」
「そこまで言われると、なんだか照れるな」
続いて、自分の服の制作にとりかかった。
(今の俺は17歳のわけだし、それなりの格好をしないとだな)
「何度見ても凄い。無詠唱で魔方陣を展開しているのにも関わらず、無駄な時間が全くなく、とてもスピーディーに効果発動を行なっている」
健太郎の制作した服は、真っ黒なフード付きのロングコートに、白いワイシャツ、天使の羽のようなマークが刺繍によって付けられた黒いネクタイに、黒いズボンを着用ようしていた。
「ご主人様、靴はよろしいのですか?」
「心配いらないよ。靴の方は、ヘルメスの羽靴を履くから」
「ヘルメスの羽靴?」
「ざっくり言うと、靴に羽が生えていて、どんな状況でも飛べることができる、飛行魔法を応用した神器の靴」
「対空戦も視野に入れていたなんて、さすがご主人様です」
「まぁね」(本当は、海にいるモンスターと戦う時に、カナヅチで足を引っ張らないようにするための、応急処置なんだけどね)
そう言うと、健太郎はアイテムボックスを呼び出し、神器の一つであるヘルメスの羽靴を取り出した。
「お風呂に入り体を綺麗にしたし、服もバッチだし、それじゃあ早速、ギルドの方へ行ってみるか」
「はい」
健太郎は空間転移魔法を使い、シエラと共にギルドへと向かった。
「モンスター討伐の依頼を受けるのはいいけど、イマイチ仕組みが分からないな」
「モンスター討伐の依頼は、ギルドランクによって変わり、高ければ高いほど、モンスターは強くなり、報酬は上がるそうです」
「なるほどな、今の俺たちのギルドランクはどのくらいなんだ?」
「確か、ギルドランクは下から、銅、銀、金、ダイヤとなっています」
「じゃあ、ダイヤの俺は一番上の階級なのか」
「そうなります。受付嬢さんによると、ダイヤの階級になった人は、SSS級の称号が与えられるそうです」
「SSS級?」
「このポルト大陸で、最強の冒険者のみに与えられる、名誉ある称号みたいです」
「今日、ギルドメンバー登録を終えたばかりの俺が、そんな大層な称号を貰っていいのかな」
「何を言っているんですか!ご主人様に勝てる存在は、ポルト大陸…、いや、世界中の何処を探してもいません!」
「お、おう」(シエラには悪いけど、俺って別に目立ちたいとか、そういった願望があるわけじゃないからな…)
あまり目立ちたくはないと考えている、健太郎にとって、SSS級の称号は、あまりにも荷が重いようだった。
(シエラが居るわけだし、ここは宿屋が借りられる程度の依頼を受けておこう)
「ご主人様、銀級モンスターの討伐クエストなんて、どうでしょうか」
「そうだなぁ、今晩中に依頼をクリアして帰るなら、少し難しいかもしれないが、その依頼を受けるか」(これなら、シエラのレベルアップにも繋がるし、俺がシエラから離れなかったら、十分にやりきれる依頼だ)
「では、受付嬢さんのところに持って行きますね」
「あぁ、よろしく」
新たに手に入れた力を持って、初のクエストに行く二人であった。
「すみません、ご主人様。私の洗い方が不器用なせいで…」
「いや、シエラのせいじゃないよ。ただ、俺が一人の男として、大事な何かを失っただけさ」
「…?」
個室で休憩している二人は、なんだか付き合いたてのカップルのように、よそよそしかった。
「そ、そういえば、シエラに新しい服を買ってあげようと思っているんだけど、なにか希望はある」
「ご主人様、私なんかに気遣いは不要です。安物で構いませんよ」
「そうは言ってもな~。そうだ!俺が新しい服を作ってあげるよ。これなら、別に買うわけじゃないから、気にする必要はないよな」
「でも、材料費などもありますし」
「いいから、いいから」
健太郎は、シエラの背後に立ち、緑色に輝く魔方陣を展開した。
「なるほど、サイズの確認はこれでよし…」
「ご主人様…?」
「あっ、動かないで」
「は、はい!」
緑色の魔方陣に、薄茶の魔方陣を重ねるようにして、新しい魔方陣を構築する。そして、シエラの服の周りを新たな魔方陣で囲み、服をリメイクするイメージで、作業に入る。
「そうだな、イメージはファンタジーで、和の要素も取り入れた物にしよう」
「凄い……、私の着ている奴隷服が、みるみる違う服へと変わっていく」
「これで完了!」
健太郎は、シエラの長く綺麗な金髪に、可愛い鈴のヘアゴムを付け、巫女の衣装を連想させるような、可愛さがある中にも、趣がある服を仕上げた。
「おっと、これを忘れていた」
「ご主人様、これはいったい」
「鉄の首輪なんて、可愛いシエラには似合わないからな。新しい首輪をあげるよ」
「ありがとうございます。こんな可愛い服を貰った上に、新しい首輪まで付けていただけるなんて」
「いや~、それほどでもないよ。首輪は特にイメージが浮かばなかったから、シンプルなデザインに仕上げちゃったし」
「そんなことはありません。ご主人様に貰った全ては、私の大事な宝物なんです」
「そこまで言われると、なんだか照れるな」
続いて、自分の服の制作にとりかかった。
(今の俺は17歳のわけだし、それなりの格好をしないとだな)
「何度見ても凄い。無詠唱で魔方陣を展開しているのにも関わらず、無駄な時間が全くなく、とてもスピーディーに効果発動を行なっている」
健太郎の制作した服は、真っ黒なフード付きのロングコートに、白いワイシャツ、天使の羽のようなマークが刺繍によって付けられた黒いネクタイに、黒いズボンを着用ようしていた。
「ご主人様、靴はよろしいのですか?」
「心配いらないよ。靴の方は、ヘルメスの羽靴を履くから」
「ヘルメスの羽靴?」
「ざっくり言うと、靴に羽が生えていて、どんな状況でも飛べることができる、飛行魔法を応用した神器の靴」
「対空戦も視野に入れていたなんて、さすがご主人様です」
「まぁね」(本当は、海にいるモンスターと戦う時に、カナヅチで足を引っ張らないようにするための、応急処置なんだけどね)
そう言うと、健太郎はアイテムボックスを呼び出し、神器の一つであるヘルメスの羽靴を取り出した。
「お風呂に入り体を綺麗にしたし、服もバッチだし、それじゃあ早速、ギルドの方へ行ってみるか」
「はい」
健太郎は空間転移魔法を使い、シエラと共にギルドへと向かった。
「モンスター討伐の依頼を受けるのはいいけど、イマイチ仕組みが分からないな」
「モンスター討伐の依頼は、ギルドランクによって変わり、高ければ高いほど、モンスターは強くなり、報酬は上がるそうです」
「なるほどな、今の俺たちのギルドランクはどのくらいなんだ?」
「確か、ギルドランクは下から、銅、銀、金、ダイヤとなっています」
「じゃあ、ダイヤの俺は一番上の階級なのか」
「そうなります。受付嬢さんによると、ダイヤの階級になった人は、SSS級の称号が与えられるそうです」
「SSS級?」
「このポルト大陸で、最強の冒険者のみに与えられる、名誉ある称号みたいです」
「今日、ギルドメンバー登録を終えたばかりの俺が、そんな大層な称号を貰っていいのかな」
「何を言っているんですか!ご主人様に勝てる存在は、ポルト大陸…、いや、世界中の何処を探してもいません!」
「お、おう」(シエラには悪いけど、俺って別に目立ちたいとか、そういった願望があるわけじゃないからな…)
あまり目立ちたくはないと考えている、健太郎にとって、SSS級の称号は、あまりにも荷が重いようだった。
(シエラが居るわけだし、ここは宿屋が借りられる程度の依頼を受けておこう)
「ご主人様、銀級モンスターの討伐クエストなんて、どうでしょうか」
「そうだなぁ、今晩中に依頼をクリアして帰るなら、少し難しいかもしれないが、その依頼を受けるか」(これなら、シエラのレベルアップにも繋がるし、俺がシエラから離れなかったら、十分にやりきれる依頼だ)
「では、受付嬢さんのところに持って行きますね」
「あぁ、よろしく」
新たに手に入れた力を持って、初のクエストに行く二人であった。
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