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貯古齢糖 壬琉苦

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ACT-26

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(いや~、なんとか場をしのげてよかった~。鑑定の知識は元々はなかったけど、智神之加護のお陰で、なんとかなったよ)

「やはり、あの話は本当だったようだな」

「あの話? そういえば、さっきも噂が何とかって、言っていたけど、いったい、どんな噂なの?」

「汝が魔王軍幹部を倒した功績は、一夜にして大陸中に広まった。それでだ、大陸にはスズキという名の他に、魔神という異名までもが耳に入るようになった」

「私たちが聞いた噂では、イベエラの魔神は、大熊のような見た目に、鋭い歯と爪を持っていると聞いていました」

  (それは、人ではない。ただの熊だ)


 ドーン!!


「お前ら全員、そこを動くな!!」


 黒いローブで身を包んだ男が、中央ホールにナイフを持って入って来た。

 よく見ると、その男は小さな女の子を人質にとっていた。


「娘を返して!」

「うるせぇ、一般人はすっこんでろ!!」

「ママー!」


 男は持っていたナイフで、人質にしている女の子の母親を切りつけた。


「キャー!!」

「おい! 人が刺されたぞ!」

「お前ら、動くなって言ったろ!!」


 男は血がついたナイフを振り回して、乗客員を黙らせた。


「ご主人様…」

「分かっている。ここは俺が何とかしてみる」


 健太郎は零秒行動で相手に詰め寄り、人質になっている女の子を奪取した。


「なんだ、お前!? 何、女がいない!?」

「この子は、母親の元に返させてもらうよ」

「うるせぇ! その女をこっちに返しやがれ!」


 男はナイフで健太郎を切りつけた。だが、ナイフの刃は健太郎に触れた瞬間に折れてしまった。


「何!?」

「少し、寝ていてもらうよ」


 健太郎は、男のこめかみを優しく蹴り、気絶させた。


「早く、この子の母親を手当てしないと!」


 健太郎が場を離れようとした時、一発の銃声が鳴り響いた。


「おーい! 何をやっている。こいつが死んでもいいのか!」

「ひっ! 誰か助けてくれー!」

  (まだ、仲間が残っていたか)


 今度は、同じ黒いローブを着た赤髪の男が現れた。


「あの黒いローブ…」

「フィーちゃんも気づいた…?」

「あぁ、あの男たちはおそらく、アイビスの天秤の者たちだろう」


 アイビスの天秤。ミスリル王国を騒がせているテロリスト集団。彼らの目的は、人類の救済。罪を背負う人間を生かし、罪を背負っていない人間を殺す、といった非人道的行いをしている。


  (なるほどね、アイツらがアイビスか…。俺の推理スキルによると、アイツらの今回の目的は、乗客員の貴族の人たちを始末すること。まぁ、絶対にさせないんだけどね)


 健太郎は、先程と同様に、相手に詰め寄る。


「その人も返してもらうよ!」

「…!?」


 ゴロロ…!


「ギニャ!?」

「なんだお前? 器用に空中で静止なんかして。まぁいい、俺たちの邪魔をする奴には、ご退場願う!」


 健太郎が豪雷雲に怯んだ隙に、赤髪の男は回し蹴りで、健太郎を船から落とした。


「ご主人様ー!!」

「またか…、パフィー、少女の母親は任せた!」

「フィーちゃん、どうする気!」

「なぁに、手がかかる魔神様を助けに行くだけさ!」


 フィーベルトが健太郎を助けに行くと、また、黒いローブを着た大男が立ちはだかった。


「調子に乗りすぎだ。これ以上は、何もさせない」

  (仲間の数は二人じゃないのか!? 探知系の魔法にかからなかったのは、あのローブのせいか!)

「フィーちゃん!」


 大男がフィーベルトを羽交い締めにし、船から落とそうとした瞬間、またも一発の銃声が鳴り響いた。


「ぐわぁー!」

「何!? おい、誰が銃を撃ちやがった!!」

「俺だよ」

「お前は、さっき落とした!?」


 銃声の主は、健太郎だった。


「大丈夫か、フィーベルト」

「汝、どうしてここに…?」

「いや~、雷の音で一瞬怯んだんだけど、そのあとの強い襲撃で目を覚ましたんだよ」

「とんだ、ラッキーボーイだな」

  (ボーイじゃないけどね)

「木偶の坊が! 早速、やられやがって!」

「頑張った仲間に対して、その言い方は感心できないぞ」

「仲間? 俺たちは目的が同じなだけで、こいつらを仲間だと思ったことは、一度もない!」

「そうか、安心したよ…」

「何がだよー!」

「お前が本当のクズで、心置きなくぶっ飛ばせる」

「何言ってやがる、こっちには人質がいて、仲間の数だって把握できていない筈だ。そんな中に飛び込んで来るなんて、お前は馬鹿か!!」

「いや、ただの魔神だよ」


 健太郎はアイテムボックスを呼び出し、神器を取り出した。


「この状況で、お前に何が出来るっていうんだよ!」

「全部を終わらせることができるよ。この二つの神器、聖神擬銃ワルキューレと、魔神擬銃ジャバウォックがあればね」


 パッンパッンパッンパッンパッンパッンパッンパッンパッンパッンパッンパッンパッンパッンパッンパッンパッンパッンパッンパッンパッンパッンパッンパッンパッンパッンパッンパッン!!


「ぐわぁー!!」

「弾が迫って来やがる! うわぁー!!」

「に、逃げろー! がぁー!!」

「なんだ、あの撃ち方は!? まるで、ワルツを踊っているかのようだ!」


 健太郎は不規則に銃を撃ち、全く相手に照準を合わせていなかった。だがしかし、健太郎の撃った弾は、見事に相手を撃ち抜いていた。


「俺が所有する、この二つの神器の能力は、絶対先制と絶対命中を持っている」

「このチート野郎がぁぁーー!!」


 黒いローブを着た男たちは、健太郎の神器により、皆んな風穴を開けらた。
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