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ACT-41
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(敵が何を企んでいるかは分からないけど、後ろにいる部下たちのためにも、ここは引き下がることはできない)
「スズキ~」
(相手が動いた…。どんな戦法を使って来ようとも、私の魔眼が全てを予知してくれるはず。ここは焦らず、様子見を…)
「魔力を溜めすぎて暴走しそう」
「「えっ!?」」
シルルの体から、白い煙がもくもくと浮かび上がり、魔力質量が限界ギリギリまで達していた。
「うわぁ!? シルル、今すぐ魔法を発動させて、魔力質量を安定させるんだ!」
「分かった!」
シルルは体内に蓄積された膨大な魔力を使い、魔法陣を展開した。
魔方陣から紅色の竜が顔を出し、超魔力を帯びた攻撃が、魔王軍がいる方向に放たれた。
(なんて、高威力の攻撃なの…。恐怖で体が動かない…)
「シルル、こっちに向けて攻撃したら、俺が巻き込まれるぞ!」
「あっ! ごめん!!」
ドガーン!!
魔王軍と共に、健太郎は攻撃を受けてしまった。
「危なかった~」
(何!? いったい、何が起こったの!?)
健太郎は、シルルが放った魔法が当たる寸前、紅色の竜の頭を殴り、地面に叩きつけて無効化した。
「スズキ、大丈夫~?」
「間一髪だったよ! 次はちゃんと狙って撃ってくれよ!」
「分かった~」
(嘘でしょ!? 赤い竜の眷属が放った魔法を、素手で無効化するなんて、ありえない! 魔王軍幹部クラスでも、障壁魔法を使って防ぐのに…。勝てる気がしない…。でも、負けるわけにはいかないの)
カリーナは再度集中して、魔力を練り始める。
「カリーナ、君がやっていることは全て、俺に筒抜けだぞ」
「どうして、私の名前を?」
「俺の冒険者としての職業は鑑定士。鑑定して君のステータスを見れば、だいたいのことは察しがつく」
「たったそれだけで、私の行動を予測することはできないはず、他にスキルのようなモノを使っているんじゃないの…」
「魔眼も頭の良さも、どうやら本物みたいだな」
カリーナは、嫌な予感がして、健太郎から距離を取る。
(背中がざわつく…。冷たい殺気が、あの男の方向から感じ取れる)
「あっ、ごめん。殺気が漏れていたみたいだな。この世界に来てから戦いづけの毎日だったから、つい癖になっちゃって」
「貴方の強さは理解できたわ。でも、私は負けられないの。負けちゃいけないの」
「自分がやったことを棚に上げて、逃げようとしても無駄だぞ。俺は守りたい人たちには、とことん優しいが、敵だと認識した奴には容赦はしない!」
二人の間で、稲妻のように轟く熱気がぶつかり合う。
(先手は譲らない! 一撃でも貰えば、私の耐久では耐えることができないから。だから、先手の攻撃で、会話の間に練りに練った魔力純度濃厚な魔法をぶつける! 刺し違える気はない、私にも守りたいモノが存在するから、絶対に負けない!)
「シルル、シエラとシャロのもとに戻っていてくれ」
「えぇ~、なんで?」
「赤い竜の眷属…お前の家族がやって来た時に、引き止めるためにだよ」
「なるほど、分かった~」
シルルは機嫌良さそうに引き返した。
「戦力が減ったみたいだけど、大丈夫なのかしら。こっちには、貴方が助けに来たエルフたちが、人質としているのよ」
「俺はお前が思っているより、強い男じゃないよ。いくら、全知全能をも凌駕するほどの力を得ても、死者を生き返らせることは不可能だし、この世の全ての人を笑顔にすることもできない。表面上の強さだけど、俺は自分の手が届く範囲のモノは、全てこの与えられた力を使って、守ってやりたいんだ」
(雰囲気が変わった!?)
「それを邪魔しようとするなら、相手が例え神様でも、俺はぶっ飛ばす覚悟でいるよ」
健太郎は、中指を手の内に丸め込み、親指で押さえる。
その手をカリーナに向けた。
「怖じ気づいたみたいね。錯乱して、意味もない攻撃をしようとしているわよ。何? 次はデコピンでもするつもりなのかしら?」
「この技は、お前らが生涯最後に見ることになる、最強の物理技だ。歯を食いしばって、しっかり受け止めろよ」
何かを察知したのか、後ろから魔王軍の兵士が駆け寄って来た。
「カリーナ様、あの攻撃を受けては駄目です」
「ここは、私たちが足止めをするので、その間にカリーナ様は逃げて下さい」
「嫌よ。私がアラクネ隊に入ったのは、魔王様の力になるためなの。こんなところで貴方たち部下を死なせるわけにはいかないし、私も死なない。だから、私のことを信じて!」
カリーナの言葉に胸を打たれた部下たちは、その場を離れようとせず、健太郎の前に立ちはだかった。
「何のつもりだ?」
「カリーナ様がお前を倒すための隙をつくる!」
「カリーナ様なら、きっと倒してくれる!」
「お前なんかに、カリーナ様は負けない!」
「美しい上下関係だが、俺にだって負けられない理由がある!」
カリーナが攻撃するのが早いか、健太郎の攻撃の方が早いか、一瞬の刹那、鍛えぬかれた戦士のみが到達できる境地に、その場にいた者たちは達した。
カリーナが攻撃モーションに入ると、健太郎はそれに合わせたかのように、攻撃を仕掛けた。
「スズキ~」
(相手が動いた…。どんな戦法を使って来ようとも、私の魔眼が全てを予知してくれるはず。ここは焦らず、様子見を…)
「魔力を溜めすぎて暴走しそう」
「「えっ!?」」
シルルの体から、白い煙がもくもくと浮かび上がり、魔力質量が限界ギリギリまで達していた。
「うわぁ!? シルル、今すぐ魔法を発動させて、魔力質量を安定させるんだ!」
「分かった!」
シルルは体内に蓄積された膨大な魔力を使い、魔法陣を展開した。
魔方陣から紅色の竜が顔を出し、超魔力を帯びた攻撃が、魔王軍がいる方向に放たれた。
(なんて、高威力の攻撃なの…。恐怖で体が動かない…)
「シルル、こっちに向けて攻撃したら、俺が巻き込まれるぞ!」
「あっ! ごめん!!」
ドガーン!!
魔王軍と共に、健太郎は攻撃を受けてしまった。
「危なかった~」
(何!? いったい、何が起こったの!?)
健太郎は、シルルが放った魔法が当たる寸前、紅色の竜の頭を殴り、地面に叩きつけて無効化した。
「スズキ、大丈夫~?」
「間一髪だったよ! 次はちゃんと狙って撃ってくれよ!」
「分かった~」
(嘘でしょ!? 赤い竜の眷属が放った魔法を、素手で無効化するなんて、ありえない! 魔王軍幹部クラスでも、障壁魔法を使って防ぐのに…。勝てる気がしない…。でも、負けるわけにはいかないの)
カリーナは再度集中して、魔力を練り始める。
「カリーナ、君がやっていることは全て、俺に筒抜けだぞ」
「どうして、私の名前を?」
「俺の冒険者としての職業は鑑定士。鑑定して君のステータスを見れば、だいたいのことは察しがつく」
「たったそれだけで、私の行動を予測することはできないはず、他にスキルのようなモノを使っているんじゃないの…」
「魔眼も頭の良さも、どうやら本物みたいだな」
カリーナは、嫌な予感がして、健太郎から距離を取る。
(背中がざわつく…。冷たい殺気が、あの男の方向から感じ取れる)
「あっ、ごめん。殺気が漏れていたみたいだな。この世界に来てから戦いづけの毎日だったから、つい癖になっちゃって」
「貴方の強さは理解できたわ。でも、私は負けられないの。負けちゃいけないの」
「自分がやったことを棚に上げて、逃げようとしても無駄だぞ。俺は守りたい人たちには、とことん優しいが、敵だと認識した奴には容赦はしない!」
二人の間で、稲妻のように轟く熱気がぶつかり合う。
(先手は譲らない! 一撃でも貰えば、私の耐久では耐えることができないから。だから、先手の攻撃で、会話の間に練りに練った魔力純度濃厚な魔法をぶつける! 刺し違える気はない、私にも守りたいモノが存在するから、絶対に負けない!)
「シルル、シエラとシャロのもとに戻っていてくれ」
「えぇ~、なんで?」
「赤い竜の眷属…お前の家族がやって来た時に、引き止めるためにだよ」
「なるほど、分かった~」
シルルは機嫌良さそうに引き返した。
「戦力が減ったみたいだけど、大丈夫なのかしら。こっちには、貴方が助けに来たエルフたちが、人質としているのよ」
「俺はお前が思っているより、強い男じゃないよ。いくら、全知全能をも凌駕するほどの力を得ても、死者を生き返らせることは不可能だし、この世の全ての人を笑顔にすることもできない。表面上の強さだけど、俺は自分の手が届く範囲のモノは、全てこの与えられた力を使って、守ってやりたいんだ」
(雰囲気が変わった!?)
「それを邪魔しようとするなら、相手が例え神様でも、俺はぶっ飛ばす覚悟でいるよ」
健太郎は、中指を手の内に丸め込み、親指で押さえる。
その手をカリーナに向けた。
「怖じ気づいたみたいね。錯乱して、意味もない攻撃をしようとしているわよ。何? 次はデコピンでもするつもりなのかしら?」
「この技は、お前らが生涯最後に見ることになる、最強の物理技だ。歯を食いしばって、しっかり受け止めろよ」
何かを察知したのか、後ろから魔王軍の兵士が駆け寄って来た。
「カリーナ様、あの攻撃を受けては駄目です」
「ここは、私たちが足止めをするので、その間にカリーナ様は逃げて下さい」
「嫌よ。私がアラクネ隊に入ったのは、魔王様の力になるためなの。こんなところで貴方たち部下を死なせるわけにはいかないし、私も死なない。だから、私のことを信じて!」
カリーナの言葉に胸を打たれた部下たちは、その場を離れようとせず、健太郎の前に立ちはだかった。
「何のつもりだ?」
「カリーナ様がお前を倒すための隙をつくる!」
「カリーナ様なら、きっと倒してくれる!」
「お前なんかに、カリーナ様は負けない!」
「美しい上下関係だが、俺にだって負けられない理由がある!」
カリーナが攻撃するのが早いか、健太郎の攻撃の方が早いか、一瞬の刹那、鍛えぬかれた戦士のみが到達できる境地に、その場にいた者たちは達した。
カリーナが攻撃モーションに入ると、健太郎はそれに合わせたかのように、攻撃を仕掛けた。
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