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第参章
DAY9 -最初で最後の- 開戦編 記憶のない剣聖
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学院を覆う青い膜は剥がれ落ち、それらは地面に落ちる前に霧散した。その一連の姿はキラキラと輝く幻想的な世界であったが、轟音が学院から響きわたることで現実に戻された。ユウナが学院内に入ったことにより、ルドルフの封印術が解け、戦争が再び動き始めた。
(予期せぬタイミングだけど、こりゃ中に突っ込むしかないよね?)
シャルルが皆の確認を取る中、スズカとリュオはユウナのもとに駆けつけ辺りを掃討していた。
(ええ!作戦は次の段階に移るわ!)
「お嬢様!ご無事でございますか?!」
「ええなんとか。あの人も私を吹き飛ばすことを意識してたからか、致命的な傷ではないわ。…超痛いけど。。」
ユウナは下腹部を押さえながらリュオの手を借り立ち上がる。
するとユウナの胸ポケットから小さなクロアが咳き込みながら顔を出した。
「突然なんだってのよ!吹き飛ばされるなら予告してよね!」
クロアは勿論、胸ポケットに収まるようなサイズではないが、体のサイズを変幻自在に変化させる術を持っており、小さなサイズでユウナの側を片時も離れないようにしていた。
「お二方ともご無事で何よりです。私の不甲斐なさが招いたこの事態、どうかお許しを。」
「いいえ。リュオは独立召喚で来てもらってるから仕方ないわ。私がクロア以外にも使役召喚できる余裕があればもっと良かったんだけど。」
「いいえ。それでも守り通せなければ私がここにいる意味がございません。次はこのようなことにならぬよう身命を賭して守り抜きます。」
「…ありがとう。」
ユウナはリュオに微笑みかけた後、辺りを見渡した。まず目に飛び込んできたのは空中に浮かぶヴォルフの姿だった。フォルテを纏い体一つ分もある大剣を片手で持ち上げながら辺りを見下ろしていた。
(さっきヴォルフがルドルフ校長に切り掛かっているのを見た。間一髪校長はどこかへ転移したみたいだけど、ヴォルフの様子がおかしい。)
ジャックからの通信により、手隙のものはヴォルフを確認した。この戦場が封印から解き放たれことによって戦況が一変したが、ヴォルフらにとってみれば、体感的に一瞬で事態が変化したと想像される。それ故にヴォルフは現状把握に努めているのだと予想された。体を震わせながら辺りを見下ろしている姿は怒りに満ち溢れているように伺えた。そして一通り確認し終わると彼は大きく息を吸い込んだ。
「標的をルドルフからルーク・ユウナ・ジャックに変更する!!!皆の者見つけ次第抹殺せよ!!!!」
ドクンと大きく3人の心臓が反応する。
(大丈夫だ。やらせはしない。)
(そーだよ?気を強く持って立ち向かうんだよ!!)
(いいみんな?セマティックスキャンによって今後の作戦は頭に入っているはず。各自、自分の任務に努めて!!)
(りょーかい!!)
シャルルが風に乗って素早くヴォルフの元に向かう。ヴォルフは敵の接近に気づき、目の眩む速度でシャルルに斬りかかる。大きな金属音が鳴り響く中、ヴォルフの大剣はルークの剣によって止められていた。
「先程までとは違うようだな。…どれほどの時が立ったのだ?」
「9日だよ…!!どうしてこんなことするんだ!!」
「お前には関係ない。」
「じゃー私には関係あるのかな?!」
白猫は大きな声をあげてヴォルフに問いかけた。ヴォルフはその姿を見ても、眉一つ動かさず冷静に答えた。
「なんだお前は。」
「…!!!わーおそうきたか…。こりゃ思った以上に面倒かもねえ。」
(スズカさーん。ヴォルフの馬鹿野郎が私を認識しておりませーん。)
(やはり錯乱魔法か何かかけられているわね。なんとかして起こしなさい。)
(もっちろん!)
「私の事を忘れるなんて…」
シャルルのフォニムが膨れ上がった。ザナルカ丘で感じた時の数倍大きいそれは戦場にいる全ての人間に存在を知らしめる程のものだった。
「後悔しても知らないよ?❤︎」
(予期せぬタイミングだけど、こりゃ中に突っ込むしかないよね?)
シャルルが皆の確認を取る中、スズカとリュオはユウナのもとに駆けつけ辺りを掃討していた。
(ええ!作戦は次の段階に移るわ!)
「お嬢様!ご無事でございますか?!」
「ええなんとか。あの人も私を吹き飛ばすことを意識してたからか、致命的な傷ではないわ。…超痛いけど。。」
ユウナは下腹部を押さえながらリュオの手を借り立ち上がる。
するとユウナの胸ポケットから小さなクロアが咳き込みながら顔を出した。
「突然なんだってのよ!吹き飛ばされるなら予告してよね!」
クロアは勿論、胸ポケットに収まるようなサイズではないが、体のサイズを変幻自在に変化させる術を持っており、小さなサイズでユウナの側を片時も離れないようにしていた。
「お二方ともご無事で何よりです。私の不甲斐なさが招いたこの事態、どうかお許しを。」
「いいえ。リュオは独立召喚で来てもらってるから仕方ないわ。私がクロア以外にも使役召喚できる余裕があればもっと良かったんだけど。」
「いいえ。それでも守り通せなければ私がここにいる意味がございません。次はこのようなことにならぬよう身命を賭して守り抜きます。」
「…ありがとう。」
ユウナはリュオに微笑みかけた後、辺りを見渡した。まず目に飛び込んできたのは空中に浮かぶヴォルフの姿だった。フォルテを纏い体一つ分もある大剣を片手で持ち上げながら辺りを見下ろしていた。
(さっきヴォルフがルドルフ校長に切り掛かっているのを見た。間一髪校長はどこかへ転移したみたいだけど、ヴォルフの様子がおかしい。)
ジャックからの通信により、手隙のものはヴォルフを確認した。この戦場が封印から解き放たれことによって戦況が一変したが、ヴォルフらにとってみれば、体感的に一瞬で事態が変化したと想像される。それ故にヴォルフは現状把握に努めているのだと予想された。体を震わせながら辺りを見下ろしている姿は怒りに満ち溢れているように伺えた。そして一通り確認し終わると彼は大きく息を吸い込んだ。
「標的をルドルフからルーク・ユウナ・ジャックに変更する!!!皆の者見つけ次第抹殺せよ!!!!」
ドクンと大きく3人の心臓が反応する。
(大丈夫だ。やらせはしない。)
(そーだよ?気を強く持って立ち向かうんだよ!!)
(いいみんな?セマティックスキャンによって今後の作戦は頭に入っているはず。各自、自分の任務に努めて!!)
(りょーかい!!)
シャルルが風に乗って素早くヴォルフの元に向かう。ヴォルフは敵の接近に気づき、目の眩む速度でシャルルに斬りかかる。大きな金属音が鳴り響く中、ヴォルフの大剣はルークの剣によって止められていた。
「先程までとは違うようだな。…どれほどの時が立ったのだ?」
「9日だよ…!!どうしてこんなことするんだ!!」
「お前には関係ない。」
「じゃー私には関係あるのかな?!」
白猫は大きな声をあげてヴォルフに問いかけた。ヴォルフはその姿を見ても、眉一つ動かさず冷静に答えた。
「なんだお前は。」
「…!!!わーおそうきたか…。こりゃ思った以上に面倒かもねえ。」
(スズカさーん。ヴォルフの馬鹿野郎が私を認識しておりませーん。)
(やはり錯乱魔法か何かかけられているわね。なんとかして起こしなさい。)
(もっちろん!)
「私の事を忘れるなんて…」
シャルルのフォニムが膨れ上がった。ザナルカ丘で感じた時の数倍大きいそれは戦場にいる全ての人間に存在を知らしめる程のものだった。
「後悔しても知らないよ?❤︎」
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